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ミステリの祭典

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制服捜査
駐在警官・川久保篤シリーズ

作家 佐々木譲
出版日2006年03月
平均点6.90点
書評数10人

No.10 7点 ROM大臣
(2024/03/25 13:18登録)
舞台は北海道内に設定された架空の田舎町、志茂別町。主人公は、機構改革による強制異動で、札幌から駐在所の制服勤務へ転任させられた、元私服刑事の川久保篤巡査部長。
失踪、傷害、殺人と、小さな町にしてはいろいろ事件が起こるが、町の人間から犯罪者を出すのを嫌がる閉鎖的な有力者たちが、川久保の前に立ち塞がる。それを脅したりすかしたりしながら、事件解決に向けて努力する川久保の姿には、他の警察小説にない独特の味わいがある。特に十三年前の幼児失踪事件を扱った「仮装祭」が、サスペンスと謎に満ちた力作である。

No.9 6点 ZAto
(2011/04/11 00:09登録)
町に潜む巨悪を炙り出す最終話『仮装祭』が圧巻であることに異を挟む必要はないのだが、あえてミステリー色を廃して、北の果てで地道に生きようとしながらも前科者ゆえに居場所を追われる土木職人を描く『割れガラス』が、私が文庫本のパッケージから勝手に想像していた世界観に近く、印象に残る一編となった。

No.8 5点
(2011/02/12 13:10登録)
北海道の小さな町・志茂別町を舞台に、そこで起きた事件を駐在警察官が追う連作物語。
舞台となる町は田舎町だが、田舎独特のほのぼのとした雰囲気はなく、意外に荒んでいる。そんな沈鬱な町のイメージが、情景や人間関係の巧みな描写によって伝わってくる。物語自体も陰気だが、平坦、平板な文章と、主人公のキャラによって、それほど暗くは感じなかった。
ラストに衝撃はほとんどない。エンタテイメント、特に短篇には最後の一撃を期待してしまうが、この程度のラストも悪くはなく、ほどよく楽しめた。もう少し抜きん出た要素はほしかったが...

No.7 7点 HORNET
(2011/01/09 18:41登録)
 駐在警官川久保巡査部長の活躍を描いた短編集。中央の警視庁や警察庁を舞台に立ち回る派手さはなく,地道で地味な物語ですが,だからこその味がありました。ミステリとしても質の高いものではないかと思います。

No.6 7点 ウィン
(2010/09/25 12:05登録)
面白い。予想以上に面白かった。
しかし、この警察小説という分野では横山秀夫という第一人者がいるので、どうしても比べてしまい、そしてやっぱり横山さんの方が上手いなあ……と思ってしまうのである。
と言いながらも、俺の中では横山さんと十分匹敵するほどの上手さだったと思っている。
そして、これはどっちかというと地元密着型の警察ですね。装丁が哀愁を感じさせ何となく好き。
装丁だけ見ると、暗い感じの作品のような気がするが、読んでみると意外にそうでもなくスラスラ読める。

No.5 8点 itokin
(2010/07/06 18:30登録)
物語は淡々として地味ではあるが、情感、風景の描写も出色で読んでも損はない。心に残り続編も読みたくなる。

No.4 8点 まさむね
(2010/02/08 21:18登録)
さすが佐々木譲といった作品。
川久保巡査部長の人柄と駐在警官としての葛藤が,すべての短編から染み出ている。もちろん,ミステリの要素ともうまく融合させている。
個人的には,「割れガラス」がイチオシ。川久保巡査長にこれでもかというほど感情移入できました。

No.3 7点 touko
(2010/02/01 21:08登録)
作者の他作品も含めて、逸脱の仕方と解決方法が若干ワンパターン気もしましたが、駐在警官のジレンマは胸に迫ってくるものがありました。

No.2 6点 だい様
(2009/04/23 22:00登録)
駐在警官川久保篤シリーズ第1弾

渋い!まさにこの一言に尽きる。
田舎町の閉鎖性、駐在警官の苦労と非常にリアリティがあり楽しめた。

No.1 8点 あびびび
(2009/02/28 11:51登録)
「このミステリーがすごい」の第二位。短編(中篇?)5編からなるシリーズだが、北海道のある田舎町に駐在勤務した主人公が、制服がゆえに捜査ができないジレンマをそのつど解放していく過程は胸がすく思い。
ササキジョーらしい軽妙な文章で一気に読める。

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