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ミステリの祭典

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犯罪カレンダー (1月~6月)
エラリイ・クイーン

作家 エラリイ・クイーン
出版日1962年01月
平均点5.67点
書評数6人

No.6 4点 レッドキング
(2022/03/19 14:27登録)
エラリー・クイーン第三短編集 前半(1月~6月)
   1月「Inner Circle」 学閥サークル内秘密サークルの連続殺人。犯人焙り出しの名前ネタ。
   2月「大統領の5セント貨」 ワシントンが埋めた遺物捜し。クイーン版「黄金虫」。
   3月「マイケル・マグーンの凶月」 探偵からの紛失書類捜索依頼が、殺人事件に出くわして・・
   4月「皇帝のダイス」 死体が握っていたルビーダイスのダイイングメッセージ・・からの・・
   5月「ゲティスバーグのラッパ」 ABCラッパ殺人事件のツイストWhoロジック。
   6月「くすり指の秘密」 超美人花嫁を殺害予告するストーカーと、殺人のWhoHowダニット。

No.5 5点 虫暮部
(2021/01/04 11:55登録)
 結末でガッカリの繰り返し。唯一「ゲティスバーグのラッパ」の真相はシンプルながらビシッと決まっている。
 生き残り保険ネタが2編重複しているのは、アンソロジストとしてちと自分に甘いんじゃないのかEQ?

No.4 7点 E-BANKER
(2014/10/12 12:33登録)
ミステリー歳時記とも言える「犯罪カレンダー」。
本作はそのうちの前半部分(1月~6月)を集録した前編。
優れたミステリー作家であると同時に、優れたアンソロジストでもあった作者が贈る珠玉の作品集。

①「双面神クラブの秘密」=1月。「双面神クラブ」のメンバーがひとりひとりと死んでいく連続殺人事件。なかなか魅力的なお膳立てが揃っているのだが、最終的に決め手となったのは“ことば遊び”的なやつ。向こうの作家ってこういうの好きだよね。
②「大統領の5セント貨」=2月。アメリカ初代大統領ジョージ・ワシントン。彼が1791年2月、ある場所に記念の品を埋蔵した。その場所とは?というのが本編の謎。一世紀半の時空を超えて、ワシントンとエラリーが対決する。でもこれって、アメリカの歴史に精通してないとピンとこない。
③「マイケル・マグーンの凶月」=3月。所得税の申告書類が盗まれるという変わった事件から始まる本編。事件は意外な広がりを見せるのだが、それよりもアメリカでも確定申告の期限って3月15日だったってことが「へぇー」・・・
④「皇帝のダイス」=4月。銃で撃たれた被害者が握っていたイカサマ用のダイス。そのダイスが示している真犯人とは、ってことでダイニング・メッセージを扱った本編。ただし、最終的には更に意外な真相が待ち受けている。
⑤「ゲテイスバークのラッパ」=5月。南北戦争の激戦地として有名なゲテイスバーク。南北戦争に従軍したレジェンドの老人たちが、毎年ひとりひとりと死んでいく・・・。
⑥「くすり指の秘密」=ジューンブライドの6月。幸福な花嫁が毒殺される。しかも結婚指輪から放たれた毒によって・・・。エラリーが指摘した犯人特定のロジックはちょっとしたことなのだが、この辺りの“使い方”はさすがの熟練ぶり。まとまりのよい作品。(最後がエラリーが一本取られてしまうのだが・・・)

以上6編。
短編の良さが詰まった一冊。そんな感想がピッタリの作品。
短い作品なので、長編に比べれば複雑な事件背景も煩雑な人間関係も描かれず、ある意味実にシンプルなプロット。
シンプル過ぎると「無味乾燥」ということになるのだが、エラリーやクイーン警視、ニッキイなどお馴染みの登場人物たちが賑わすことで、小気味よい読後感にも繋がっている。

まぁ、幾分推理クイズ的な雰囲気なのは仕方ないだろう。
ミステリーの楽しさ、面白さを追求した作品ということで水準以上の評価としたい。
(④⑥を個人的には押したい。次が②③あたりか・・・)

No.3 6点
(2011/09/04 23:20登録)
月ごとの記念日などにちなんだ事件をそろえた連作なのは当然ですが、ジョージ・ワシントン、カリギュラ、南北戦争など歴史的な由来などから書き起こしていて、そこにもこだわりを見せる短編集です。
最初の1月は結局ショート・ショート並みのクイズ的謎解きでがっかりでしたが、2月からの5編は少なくとも悪くありません。複雑さ難解さのみで言えば、4月がたぶん1番で、手がかりにはなるほどと納得させられます。また5月のストーリーと雰囲気、ミスディレクションはなかなかいいなという感じ。
しかし、個人的には3月が気に入っています。この作品、最後の推理はたいしたことはありません。それよりタイトルの私立探偵マイケル・マグーンについて、ボガードと比較してからかったり、事件が彼の所得税の確定申告書盗難で始まったりといったユーモアが楽しいのです。クイーン警視に、これが小説だったら誰を犯人にするかと聞かれて、エラリーがマイケルだと答えるところも、犯人を小説構成上から直感で指摘したがる読者への皮肉が感じられます。

No.2 7点 Tetchy
(2011/03/01 22:10登録)
クイーンのいるところ犯罪有り。本書は1年を通じてその月に起きた事件を綴った短編集。各編はその月の出来事に関連している。

月ごとの特色が十分にプロットに活用されているかといえばそうとは云えない。寧ろ各月の記念日や祝日、そして由来をアイデアのヒントに物語と綴ったという色が濃い。プロットと有機的に組み合わさっているのは「皇帝のダイス」ぐらいか。

しかしなんといっても本書ではクイーン初期のロジック重視のパズラーの面白さが味わえるのが最大の読みどころ。それぞれ50~60ページという分量で語られるそれぞれの事件は無駄がなく、作品もロジックに特化された内容で引き締まっている。

個人的ベストは「くすり指の秘密」。このクラスの作品があと2作収録されていればもうちょっと点数を割り増ししただろう。

No.1 5点 monya
(2010/10/11 23:16登録)
私的には大好きな短編集である。
アホみたいな言葉遊びが溢れているのは何処か微笑ましく、楽しく読める。
クイーンもまだまだ若い時期で、デューセンバーグを乗りこなし何処までも、といった具合だ。
個人的に好きなのは4月。
4月にしかできないネタで、茶目っけに溢れている
点数はまあ、本格ミステリとしての評価なら……という感じ

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