三人の名探偵のための事件 ビーフ巡査部長 |
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作家 | レオ・ブルース |
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出版日 | 1998年12月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 7人 |
No.7 | 8点 | メルカトル | |
(2022/05/15 23:07登録) サーストン家で開かれたウィークエンド・パーティーの夜、突如として起こった密室殺人事件。扉には二重の施錠がなされ、窓から犯人が逃げ出す時間はなかった。早速、村の警官ビーフ巡査部長が捜査を開始するが、翌朝、ウィムジイ卿、ポアロ、ブラウン神父を彷彿とさせる名探偵たちが次々に登場して…華麗なる名探偵どうしの推理合戦と意外な結末。練り上げられたトリックとパロディ精神、骨太なロジックに支えられた巨匠レオ・ブルースの第一作にして代表作、ついに文庫化! 『BOOK』データベースより。 読み始め、原文を直訳している感じで、文章が硬いと感じました。読み難い訳ではありませんが、もう少し平明で分かり易い翻訳を心掛けて欲しいものだと思いました。ただ、話としては悪くありません。丁度良いタイミングで事件が起こり、窓は一つ開いているものの密室殺人だと判明します。まあ、現在となってはありきたり過ぎる位で、むしろ地味と言えるとは思います。 依頼されてもいないのに三人もの名探偵が次々と現れ、警察を尻目にめいめいに捜査を開始するのを傍観している巡査部長という図式は、余りにも非現実的過ぎてなんだかなあって感じです。しかし、いよいよ探偵達の謎解きが始まると俄かに面白くなります。この趣向、この解決編、この真相、正に良く出来た新本格を読んでいる様な錯覚さえ覚えます。ウィムジイ卿、ポアロ、ブラウン神父をパロった探偵の果たして誰が真相を言い当てるのか、興味津々で読み進められました。しかも三人が三人とも遜色ない推理を披露し、伏線を回収しまくります。所謂多重解決ものの白眉と言っても過言ではないでしょう。 |
No.6 | 5点 | Campus | |
(2016/09/24 16:29登録) 「なごやかなウィークエンド・パーティの夜、突如として起こった密室殺人事件。名探偵たちはそれぞれ推理をつくして謎に挑戦する…。」(Amazon内容紹介より) なーんか、かったるいんだよなあというのが第一印象。 訳が悪いのか、それとも元々なのか(レオ・ブルースは他作品もほとんど小林晋が訳しているから、そのへんの判断がつかない)。とにかく、読んでいていまいち楽しくない。 三人の名探偵のパロディがあって、それぞれが推理をする推理合戦! という概要でつまらなくなるわけないじゃんという気がするんだけど、どうも取り調べも間の推理も楽しくない。読んでいて眠くなってしまったところも多い(イギリス新本格ってこういうの多いよね。ブレイクとかも『章の終わり』とかは酷く退屈だった)。 謎解きのラインとしてはなかなか良いんだよ。 全体の趣向としては、『毒チョコ』みたいに推理がどんどん積み重なっていくんじゃなく、立場も中身も並んだものがどん、どん、どんとおかれる感じで、相手を否定しあう推理合戦という意味では物足りないけど、実はそれがどんでん返しにも使われていて好印象。密室トリックも、あるアイディアに関しては「シンプルだけどみたことないな」ってなるし。 しかし、どうも読んでいて楽しくない。 うーん、個人的にはキャロラス・ディーン物のほうが楽しいかなあ、という印象っす。普通の本格ファンはビーフ物の方をとる人が多いみたいだけどサ。 |
No.5 | 5点 | ボナンザ | |
(2016/02/28 20:36登録) 結末は予想できるが、そこに至るまでの積み重ねは文句なし。 |
No.4 | 7点 | 蟷螂の斧 | |
(2015/07/11 21:24登録) 3人の名探偵対田舎巡査部長の構図です。多重解決より、構図そのものを楽しむ作品のような気がしますね。巡査部長は最初から犯人は解かっていると3人に対し公言してはばからないところが面白い。密室(窓は開いている)の推理は幾通りも示され、夫々楽しめた。真相は後出し的な面もあるが、それがどうしたとでも言わんばかりである(笑)。 |
No.3 | 8点 | nukkam | |
(2015/07/03 10:56登録) (ネタバレなしです) 英国のレオ・ブルース(1903-1979)の1936年発表のデビュー作で最高傑作の呼び声も高い本格派推理小説です。パロディーミステリーでもあり、3人の名探偵はクリスティーのエルキュール・ポアロ、セイヤーズのピーター・ウィムジー卿、チェスタトンのブラウン神父を彷彿させる人物像です。ビーフ巡査部長の造形も秀逸で、いわゆる「アマチュア探偵を馬鹿にしてその意見に耳を貸さない頑固警官」役を完全に演じきっています。登場人物のキャラクターに頼っただけのミステリーではなく多重解決ものとしてもなかなかよく出来ており、推理の競演とどんでん返しが見事です。オリジナルのシリーズ物を先に読んでいれば本書の面白さは更に増加すると思います。 |
No.2 | 3点 | mini | |
(2010/09/24 10:17登録) マナリング「殺人混成曲」の物真似に堪能し書評書いたから、物真似つながりでこれもね 「三人の名探偵のための事件」はレオ・ブルースの代表作と言う人も多いようだが私は異論がある 一種の多重解決ものだけど、三人の推理をただ並べただけで、前の推理を後の探偵が覆してという趣向ではない 一応推理合戦と言えるが各探偵の推理が絡むというスタイルではない そう捉えるとすると、この作品の肝は構成よりもいかに物真似が上手いかどうかが鍵で、この辺は「殺人混成曲」と同様だ さて肝心の物真似だが、これが下手糞 例えばウィムジイ卿などはキャラが濃いから、似せようと思えばもっと何とかなったと思うが全然似ていない ブラウン神父も全く駄目、これならクリスティが「おしどり探偵」中でやったパロディの方がずっと感じが出てた ブルースはアイデアは面白いが物真似は苦手なようだ 物真似パート以外にも、ビーフ巡査の捻くれたキャラも後の作品に比べると大人しく、特徴が充分には出ていない 私にはこれがレオ・ブルースの代表作にはどうしても思えないのである 個人的には「ロープとリングの事件」を高く買っているんだけど、他のネット上の書評では概ね、「三人の名探偵」の評価が高い人程「ロープとリング」の評価は低い傾向があるんだよな 「三人の名探偵」と「ロープとリング」の評価は私は全く逆 そのうち「ロープとリング」を高い採点付けて書評書くつもりだから覚悟しとき |
No.1 | 6点 | kanamori | |
(2010/08/10 18:00登録) ビーフ巡査部長シリーズ第1作。 ピーター・ウィムジイ卿、エルキュール・ポアロ、ブラウン神父をパロッた3人の名探偵が密室殺人に挑むという内容。 多分にバークリーを意識したように思えるプロットですが、それほど弾けた展開を見せてくれる訳ではありませんし、パロデイとしても中途半端な印象です。 ただ、多重解決もののパズラーとしては、まずまず面白かった。 |