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ミステリの祭典

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ホワイトラビット

作家 伊坂幸太郎
出版日2017年09月
平均点6.60点
書評数5人

No.5 6点 ぷちレコード
(2023/04/28 23:05登録)
仙台駅近くの釣り堀にいることが多い泥棒で、伊坂作品ではお馴染みの「黒澤」が登場する長編。
仙台市の住宅街で発生した人質立てこもり事件に、依頼された空き巣の仕事中だった黒澤が巻き込まれてしまう。警察と犯人の駆け引き、窮地に追い込まれても機転が利く黒澤の策略、二転三転する物語から目が離せなくなる。
黒澤だけでなく、犯人、捜査員、人質家族とそれぞれの人物像が立ち上がってくる様を読んでいると、登場人物をストーリーに供するコマだけにしない著者の愛情が伝わってくる。端役まで人柄を実感させる技があり、それが小説に深みを与えている。

No.4 5点 E-BANKER
(2020/11/29 18:20登録)
”伊坂幸太郎20th”か・・・もう二十年になるんだねぇー
個人的にかなりの伊坂作品を読み込んだつもりだが、今回はどんなマジックか? どんな目くるめく展開なのか?
2017年の発表。

~兎田孝則は焦っていた。新妻が誘拐され、今にも殺されそうで、だから銃を持った。母子は怯えていた。眼前に銃を突き付けられ、自由を奪われ、さらに家族には秘密があった。連鎖は止まらない。ある男は夜空のオリオン座の神秘を語り、警察は特殊部隊SATを突入させる。軽やかに、鮮やかに。「白兎事件」は加速する。誰も知らない結末に向けて。驚きとスリルに満ちた、伊坂マジックの最先端~

今回は「兎」と「オリオン座」と「ジャン・ヴァル・ジャン」である。
そして久しぶりの登場となる、新潮社の伊坂作品にはお馴染みの、愛すべき泥棒キャラ「黒澤」。
つまりは、「黒澤」が「兎」と「オリオン座」と「ジャン・ヴァル・ジャン」をうまいこと使って立てこもり事件、そしてその裏に隠された誘拐事件をうまいこと解決する・・・そんな話。
なんのこっちゃ、って思う?

そう。今回も伊坂の腕で何となくうまく丸め込まれた感じ。
本作は、今までにない書き方というか、物語の全体を俯瞰している「神」のような視点が、まるで作品を支配するように、時間軸を行ったり来たりさせる。
コイツが曲者。読者は最初に目にするシーンが、実は裏側はこういうことでした、というのを後で「神」から告げられることになる。
ただ、これが旨く嵌まっているかどうかは正直微妙なところ。ウルサイと感じる読者も結構いそうだ。

個人的には、あくまでこれまでの作者の佳作との比較でいうなら、一枚も二枚も落ちる印象。
作品のテイストでいれば「ゴールデンスランバー」が似ているんだけど、もうひとつ突き抜ける爽快感というか、ヤラレタ感がなかったなぁー。(オリオン座の話もイマイチだし)
前評判は高いと聞いてたので、やや看板倒れに思えた。
まあ良い。次読む作品に期待しよう。

No.3 7点 sophia
(2019/02/05 21:59登録)
ギミックを成立させるために行った二つの場面の時間軸の微妙なずらしが見事。「レ・ミゼラブル」へのオマージュであろう作者の視点からの注意書きが要所で挿入されるのも最初は鬱陶しかったですが、時間軸のずれたこの作品を読みやすくするのに効果を上げています。なかなか新しい趣向で楽しめました。

No.2 8点 VOLKS
(2018/11/30 13:25登録)
面白い!
黒澤さんがお元気そうで何より(笑)
伊坂作品は、どうしてこうも不思議な仕事の人が多いのか、どうしてこんな仕事が仕事として成り立つのか…
そこんところは置いといて、とにかく自分の日常には起こり得ない(起こってもらっちゃー困るけど)ストーリーがとても楽しめた。

No.1 7点 まさむね
(2017/11/03 22:50登録)
 仙台の住宅街で人質立てこもり事件が発生。そこに絡んでくる様々な人たち…。お馴染みの黒澤さんも登場して…。
 もっと詳しく書きたいけれども、未読の方の楽しみを奪うことになりそうなので、やめておきましょう。見事な構成力で、兎に角楽しく読ませていただきました。久方ぶりに(?)伊坂幸太郎さんの実力を再確認できた感じ。面白かったですよ。

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