皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
シーマスターさん |
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平均点: 5.94点 | 書評数: 278件 |
No.158 | 6点 | 箱の中の天国と地獄- 矢野龍王 | 2010/03/01 21:31 |
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無茶苦茶な設定のサバイバルゲーム第三弾。(この人は「コレ」オンリーだよね)
高層ビル丸々一個を使った大掛かりで凝巧な仕掛けは、この作者ならでは・・ではないかな。(さすが早稲田理工卒・・関係ないか) ただ、この手の話は一般に「息づまる閉塞感や緊張感の中で、知力と機転で障壁を次々とクリアしていく」様を観戦することに醍醐味があると思うのだが、本作では常識的な確率を大きく逸脱する「運」のヘルプが多大な点がどうにもスッキリしない。 「何でコイツらだけ、そんなに・・」が何度あったことか。 展開上やむを得ないとは思うが、そこントコに「何らかのネタ」を仕組むことができていたら、かなり(以下略) まぁ、トリプルアクセルを回避して表現力で勝負したというところか。(ムリヤリだけど真央ちゃん銀おめでとう。パシュートの皆さんも) |
No.157 | 6点 | 密室殺人ゲーム2.0- 歌野晶午 | 2010/02/22 22:40 |
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殺人ゲームシリーズ第二弾。
第1話・・・アイデアはとてもユニーク(この「ルール」読めた人いる?)だが、こんなにたくさん無関係に見える殺人事件が起きて、それぞれにそれなりのシチュエーションがあるのだから読み疲れるよなァ。まァこのネタを十分生かすためにはしょうがないか。 2・・・こういうのは5ページくらいですませてくれ。 3・・・これは凄まじいトリックだ。 4・・・時刻表まみれの推理合戦は読み疲れるよなァ。まァこのシリーズならではのトリックには驚きがあるといえばある。 5・・・プロローグで前作(王手飛車取り)の事後が明らかにされるが、本編は古典的な不可能殺人モノ。 6・・・大したことないネタを「凝らせすぎ」。長すぎ。 全体的にミステリの質は前作より高いと思うが、他の方も仰るように、このシリーズはもういいんじゃないかな。 AVチャットの擦れた会話での推理合戦は一、二編なら許せるけど全部だとさすがにゲンナリズムすよね。でもまだ引っ張りそうな気配あるね。 以前のような淡々と陰鬱さを描出する短編の方が好きなんだけどなー たのむよ晶ちゃん。 (何様?) |
No.156 | 6点 | 三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人- 倉阪鬼一郎 | 2010/02/12 20:19 |
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純バカ度は「四神~」の方が高いと思うが、本作をバカミスの一言で片づけてしまっては作者も浮かばれない。(ご活躍中です)
謹んで技能賞、並びに敢闘賞を授与しよう。(おまえは相撲協会の理事長か) まぁ、故A先生も褒めてつかわせてくださることでしょう。 |
No.155 | 6点 | 四神金赤館銀青館不可能殺人- 倉阪鬼一郎 | 2010/02/07 23:31 |
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いいんじゃないかな。正統派バカミスということで。
バカミスの王道、これぞバカミス。 だけど、はじめの方で自分でネタバレしてるじゃん、この作者は。 ソレがなかったら、もっと驚けたし笑えたとも思うんだけどな。 一般教養が乏しい私は、本作で初めて「左近の桜、右近の橘」という言葉を知りました。 どんな本でも何かしらの収穫はあるものですね。 |
No.154 | 7点 | ナイルに死す- アガサ・クリスティー | 2010/02/06 23:02 |
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文生さんや測量ボーイさんと同じく、このサイトでの「これほど高い評価」に驚きました。
映画はエジプトのロマンが満載で素晴らしいです。 |
No.153 | 6点 | 時限絶命マンション- 矢野龍王 | 2010/02/02 22:44 |
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これはひどい。
サバイバルゲームであれば多少結末がヘボくても構わない、という無類のS.G.(=サバイバルゲームの略語。ねぇよ?)好き以外は決して読んではならない。いや、そういう人でもミッフィーのママくらい寛容な方以外はスルーした方が無難かもしれない。 なにしろ結末は「多少へボ」ではなく「多大にカス」だし、途中も全くゾクゾクできる代物ではないのだから褒めどころがないことこの上ない。 オチというのかネタというのか、そういうものも非常に中途半端でバカミスにもなり得ないのだから救いがない。 救いがないと言えば、ストーリー自体が究極的に救いがない。 ただ「この途方もなく炸裂し続けるドタバタに、どう落とし前をつけてくれるのか?」の一点だけで、短時間に一気に読まされてしまったことは否定できない。 |
No.152 | 6点 | びっくり館の殺人- 綾辻行人 | 2010/01/27 23:54 |
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(ネタバレあり)
結局叙述トリックだったわけだが、これ自体はさほど悪くはないと思う。 一番疑問に感じたのは「〇〇二人が揃って、警察の事情聴取に対しボロを出さずに虚構を貫き通せるものなのか」ということだ。 殺人事件ともなれば、繰り返し繰り返し、ウンザリする程しつこく訊かれるだろう。それを〇〇が白を切り通すのはチョット非現実的過ぎやしないか? よほど刑事達の質が劣悪でなければ。(こういうところだけはどうも甘受できないんだなぁ) そして、もう一人の一番の(そして一番危うい)当事者(コイツを考慮すればあまりにもリスクが高い計画だ)を、都合よく3週間以上もトランスを維持させ、大震災で逃げ切る・・・まあ、これは「時代」をうまく使ったと評価してもいいのかもしれない。 だけどそんなことより、あくまでも「不気味な童話」のような雰囲気を味わう話だよね。 ラストも・・・・・まいっか。悪ふざけということで。 何はともあれ短時間でスラスラ読め、エンタメとしてそれなりに面白かった。 |
No.151 | 7点 | アヒルと鴨のコインロッカー- 伊坂幸太郎 | 2010/01/24 17:14 |
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伊坂氏は、昨年の本業界(=本の業界、そんな言葉あるのか?)では「表向き村上春樹の独走に見えるが実はトータルでは最も読まれた作家ではないか」と言われているらしいが、本作のような小説をたくさん書いているとすれば、それもあり得るかもね、と思わせられる作品ではある。
伊坂氏の文章スタイルが軽妙で大衆受けするのはとてもよく解かるし、「言い得て妙」と共感できる比喩表現やボケとウィットに富んだ会話も面白いとは思うが、個人的には本筋と無関係の描写が多い小説は苦手だし、ある程度の緊張感が持続されていないミステリは、クッションの上を歩かされているようでどうもスタスタ進まないんだよね。 というわけでこの人の作風はあまり好みではないけど、本作のトリックにはしっかり騙されました。「驚きは少なかった」という方が多いようですが自分は大いに驚きました。古典的だけど「〇の〇」にも笑いました。 小説としてのテイストは重力ピエロとほぼ同じだと思うけど、トリックの分だけこちらが上だと思う。 欲を言えば、最後にもう一つ何かサプライズが欲しかったですね。 |
No.150 | 5点 | 魔術師- ジェフリー・ディーヴァー | 2010/01/13 22:45 |
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本作を含む一連のシリーズの探偵役である、車椅子の捜査官リンカーン・ライム・・・初めのうちはこの名前を見るたびになぜかモスコミュールが飲みたくなったりしたものですよ。
本作の多重のドンデン構成はよくできているとは思うが、この程度のものは本邦にいくらでもあると思うし、「一瞬にしての年齢、性、体形をも超えた変装」や「どんな鍵も忽ち開けてしまうスキル」や「目くらまし」等々の一流マジシャンのテクニックが犯罪のメソッドになっている点もミステリとしてあまりいい印象ではない。ルパン三世のようだ。 また、ラストに二人の女性の出世話を、それぞれワザワザ本編とは無関係のエピソードを作ってまでくっつけることに何の意味があるのだろう。何か事件に関する追加のドンデンがあるのかと期待しちゃったよ。 更にマジックの道具や機械の部品などで解かりにくい用語が多かったり、現代アメリカ風のシャレた言い回しがリーダビリティの上で仇になったりと、翻訳のディスアドバンテージを被ってしまっていることも否定できない。 しかし何より「長すぎる」。 |
No.149 | 6点 | 夜想- 貫井徳郎 | 2009/12/15 22:58 |
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本作はミステリではありません。(ソレっぽい部分もあるにはあるが)
超常能力も出てきますが端的に言えば「ある新興宗教ができる過程」と纏めてしまえるかもしれない。 もしその宗教が現実にあるとしたら、本作はこのままその布教小説になりうるでしょう。 【余談】かなり以前にある宗教、〇〇〇会(伏字にする意味ありませんね)刊行の小説を読んだことがあります。(もちろん買ったりなどしていません、貰いものです・・多分会員の方から)・・その内容を思いっきり概略すると・・・ 悲運に見舞われ続け、堕落し荒んだ生活に身を浸す主人公が敬虔な信者に出会い、紆余曲折の末ついには心を開かれ、その道に生きていく・・・ というベタな話だけど、読み物として結構面白い上、途中「闇が深ければ深いほど夜明けは近い」みたいな件(くだり)に至ったときには少し感動してしまったものですよ。【余談終わり】 本作は(他の作品からも窺われるように)宗教に関して中立のスタンスでありながらも強い関心を抱いている作者が、その意義を掘り下げて宗教の枠を超えた救済論を考察した書であると同時に、「絶望的な悲しみを背負った人々」に向けた作者なりの優しい眼差しとささやかなメッセージが込められた作品だとも思います。 |
No.148 | 6点 | クリスマス・プレゼント- ジェフリー・ディーヴァー | 2009/12/15 22:51 |
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作者は現代屈指のドンデンメーカーとされているようだが、本作について率直に感想を述べれば「うーん、それほどですかねぇ」
16のストーリーが収録された短編集だが、殆どのネタはクイーンの『ミニ・ミステリ傑作選』だとかアシモフの『ミニ・ミステリ100』なんかのショートショートに毛が生えた程度のレベルにしか感じられんのですよ。 決して凡庸なアイデアばかりではないんだけど、大半は「転」で「結」が見えちゃう、見えなくても「ふ~ん」という読後感しか残さない話が多いんすよね。 ストーカーやレクサスが出てきても、O・ヘンリやサキの時代から今世紀にいたるまでドンデン短編のパターンは殆ど進化していないと感じさせてくれるのは、このジャンルにおいての伝統美と尊ぶべきか展せぬ末裔の寂寥と憂うべきか虞や虞や汝を如何せん そんな中でも以下の3編は個人的な“合格作品”です。 『ジョナサンがいない』・・・第1話ということもあるが「変転」には驚いたし面白い。しかしこの手のショートはやはり「いかに最後にあっと言わせるか」が勝負になると思うので、その点でネタの使い方がもったいないと思う。 『三角関係』・・・これは唯一文句なしにやられた。本邦の・・いやいやこれ以上何も言うまい。 『パインクリークの未亡人』・・・スカッと、という感じではないがこれだけやってくれれば合格点をつけざるをえない。恐らく本書の中では本作あたりに最も作者らしさが顕れているのだろう。 次点として 『ひざまずく兵士』・・・これも書き方によっては「最後の一行でゾッと」させられたろうに。 次々点 『超越した愛』・・・着地点はいく通りか想定できたが、間に落とされた。 あとはちょっとねぇー、シェークスピアの話なんかは結構イケてるとは思うけど、こういうところで期待するものとはチョット違うかなぁー まぁ設定が全くバラバラの短編集だから、ニューヨークを中心としたアメリカ東部の様々な雰囲気を手軽に楽しむつもりで、この季節にコーヒーブレイクとして読むのにはオススメです。 |
No.147 | 6点 | 闇の底- 薬丸岳 | 2009/12/07 23:46 |
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前作と同様に悲愴な過去が絡んだ陰惨な連続殺人劇であり、「誰が次々と私刑を処す殺人魔なのか?」が謎の中心となる濃味のミステリー。
Who?に関しては自分も途中「コイツなら意外性も十分だし辻褄も合わせられる」と2回(つまり順に2人)ほど目星をつけたが敢えなく×× 推理して真相に辿り着ける話ではない(決して負け惜しみではない、断じて違う)が、これほど絶望的でやりきれない構図を予想できた読者がいるのだろうか? 99%の悪魔性と1%の人間性の罪深きカルマの果てには漆黒の闇以外の何物もないということなのか・・・ 映画〇〇〇〇Nや〇〇Wにも通ずる悪の因果応報と連鎖、底知れぬ暗鬱さのみを残すトラジディであることだけは間違いないだろう。 |
No.146 | 6点 | 密室殺人ゲーム王手飛車取り- 歌野晶午 | 2009/11/30 23:55 |
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単品では短編ミステリとしての体も成しえない雑魚ネタを寄せ合わせて一冊の本に仕上げた、という感もなくはないが、形式において作者の独創性を買ってもいい作品だとも思う。
歌野らしい、いくつかの叙述系の仕掛けには全く驚けなかったわけではないが、(恐らく)一番ネタになるのであろう仕掛けは、かなり早い段階で想定内に入っちゃった。 しかし、これほど恐ろしさを覚えながら読んだミステリも個人的には例が少ない。 (トリックは別として)全くのゲーム感覚で次々と人を殺す・・・それが現実にありえるかもしれない、と感じさせるストーリーメイクのため読中背筋からうすら寒いものがとれませんでしたよ。 最終章は(初っ端のサプライズを除いて)意味不明にも思えるが、歌野自身のある作品でも見られた彼特有の世界観というか感性が映し出されたエンディングのようでもあるようですね。あまり好みではないが、わからなくもない。 |
No.145 | 6点 | 晩餐は「檻」のなかで- 関田涙 | 2009/11/25 21:19 |
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冴えない中年作家の『作品』と彼の『現実』が交互に進む変則ミステリ。(作中作形式と言えなくもない)
『作品』の現実離れした設定はクローズド好きなら大いに惹かれるだろうし、『現実』のバカっぽさも捨てがたいものがある。 『作品』はゲーム型殺人劇として楽しめる話だとは思うが、読者の視点からだけでは論理的に解決することはできない・・・ある登場人物が自分の発言の真偽(他の人には知る術がない)を知っているからこそ、の真相看破なので残念ながら本格推理小説とは言い難い。 それでも最後にはドンデンハンターを弄ぶかのようなトランスな伸縮感が待ち受けています。 非常にユニークな作品なだけに、先述の謎解きの部分で(ヘリクツっぽくてもいいから)何とかロジックを張れていたら、かなりの注目作になったことだろう。 惜しい作品だと思う。 |
No.144 | 6点 | 舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵- 歌野晶午 | 2009/11/14 23:27 |
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歌野らしからぬ軽めのタッチの短編集。
タイトルから「生意気なガキンチョが大人顔負けの推理で難事件の真相をズバズバ言い当てる話」が並んでいるのかと予想していたが、ぜーんぜんそんなことはありません。 ひとみちゃんの些細な言動がヒントになって、その叔父さんの刑事が(もちろん地道な捜査の上)事件を解決していく全うなパズラー集です。 まぁ少々コジツケっぽい推論が多いのはこの手の短編集としては止むを得ないところでしょうが、みなさん言われているとおり、それぞれの話が少しずつ関連しているのはいい感じです。 しかし自分もabc1さんが仰るとおり、11歳の女の子は普通もう少し大人っぽい話し方をするのではないかと思うが・・ |
No.143 | 6点 | 後悔と真実の色- 貫井徳郎 | 2009/11/11 23:57 |
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貫井作品だから当然単なる本格ではないが、例によってミステリ部分は緻密な構成で、「驚くべき真相」が仕組まれているといっても褒め過ぎではない仕上がりになっている、と思う。
しかし、いくつかのエピソードは纏め方が唐突だし、小ネタの1つである「日時のミスリード」はいくら何でもひどすぎる。こんなものは無関係な一般人でもその可能性を思いつくだろうし、ましてや警視庁を頭とする東京中の警察が全くそれを想定できなかったなんていう展開は現実味に欠けること著しい。 またリーダビリティの面でも『愚行録』や『乱反射』などの直木賞候補作品に比べると、若干引けを取るように感じられるのは、自分が警察の内情話にあまり関心が高くないことのみに由来するものだろうか。(直木賞候補だから面白いとか云うつもりは勿論ない) 生身の体臭が感じられるような切々とした心情描写は、作者の真骨頂の一つであり大いに惹きつけられるところではあるが、今回は全体的に少々くどい印象が拭えなかったと感じたのは、本作と自分の相性が今ひとつだったことの証左なのかもしれない。 どこまで内容と関連づけられたものかは分からないが、装丁のブルーは美しい。 |
No.142 | 6点 | 転生- 貫井徳郎 | 2009/10/28 22:23 |
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本作が刊行されたころにはまだまだホットな話題であった臓器移植を題材にしたサスペンスミステリー
エンタメとしては面白い。 |
No.141 | 6点 | 女王様と私- 歌野晶午 | 2009/10/13 23:45 |
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序盤の叙述ジャブ2、3発は、コレ系に慣れていれば何てことはないが、それでもこの調子なら「驚愕のドンデン返し」が仕組まれているかも・・・と期待を抱かされもする。(ていうかカバーや帯の文句が煽りすぎ)
しかし、結局メイン(?)のネタは作者自身の「ある作品」のネタのリユースだし、(それでも使い方が巧ければ、自分は可とする派だが)その作品を未読の読者でも恐らく「あっと驚く」というより「何それ・・」という反応の方が遥かに多いだろうと推測される程度の出来にしかなってない、と思うのだが如何だろうか。 一発を狙って空振り、というより半端なスイングで凡フライ、といった感じのどっちつかずの「使い方」になってしまっているのは再利用の負い目がなせる業か。 その後の「設定」やミステリとしての妙に細かいプロットにも特筆すべきものはないように思う。 要するに作者がこの作品で「何をしたかったのか」が見えなかったわけだが、変貌前の「あの人」の「語り」なんかは結構笑えたので、「つまらない本」ではなかった。 |
No.140 | 6点 | 天使の囀り- 貴志祐介 | 2009/10/05 23:03 |
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(ネタバレあり)
小説、映画、ゲーム等でバイオホラーが流行った頃の作品だよね・・・ 詳細かつ膨大な生物学的知識を素材に、緻密かつ精巧な構成により現実感を伴った生々しいグロテスクが迫ってくる・・・・という点においては本作を超える「作品」はあまりなかったのではないかな。(その分野に多く接したわけではないから明言はできないけど) この作者ならではの驚異的な学術情報集積力と、それを料理するストーリーメイクの達人業が遺憾なく発揮された力作といえよう。 (どこがネタバレ?・・・「バイオ」は前半のネタバレです・・・半ばでお目見えする「線虫」が前半の「ミステリアスな謎」の「答え」だからね) |
No.139 | 6点 | Killer X- クイーン兄弟 | 2009/09/19 23:26 |
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この話に関しては、何を言ってもネタバレになりそうですね。
これでもかとばかりに、いろんな「仕掛け」や「返し」が仕組まれているが、正直目あたらしいネタは見あたらないような・・・ アンフェアといわれても止むを得ない描写もありそうだが、作者(達)自身そんなことは百も承知の上でそうした記述や「言葉の騙し絵」を楽しんでいる、言わば「お遊び」な作品なのだろう。 その他、例えばB2(おっとっと)なんかは完全に確信犯的な「ズル」だよね。 設定はガチな「吹雪の山荘」だけど読了してみれば本格ミステリというよりは、(ちょっとバカ系の)ミステリ風ブラックエンタメ小説という感じではないですかね。 |