皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格/新本格 ] Killer X キラー・エックス/文庫版は、二階堂黎人×黒田研二 名義で刊行 |
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クイーン兄弟 | 出版月: 2001年11月 | 平均: 6.57点 | 書評数: 7件 |
光文社 2001年11月 |
光文社 2006年01月 |
No.7 | 6点 | ミステリ初心者 | 2020/11/30 22:41 |
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ネタバレをしています。文庫版を買いました。
割と多いページ数であり、クローズドサークルでありながら事件が起きるまでが遅く、テンポの悪さがありました。しかし、文章が非常に読みやすく、頭にすっと入ってきます。決して長すぎるということはなく、むしろ短いぐらいに錯覚するレベルでした。 推理小説的には、冒頭部分の"誰がシゲルちゃんを殺したか"の密室と、"誰がシゲルちゃんを転落させたか"がメインに話が進んでいきます。アナザーストーリーに連続突き落とし犯の話が出ますが、これはそれほど絡んできませんし、ちょっと予想がつきました。 大きな謎とは関係なく、もうこれでもかというくらいに読者を欺く叙述トリックが盛り込まれています。推理小説家が日記を書いているならば、絶対叙述トリック説ありますねぇ(笑)。いちおう嘘は書いていないし、主人公は目的があってしたことですが…。叙述トリックのにおいを隠そうともしない小説でしたが、私はまるでわかりませんでした(涙)。服部のシゲルちゃんに対しての応対から、ほんのすこしだけ女性を感じたのですが、もう少し考えるべきだったかもしれません…とはいえ、赤子を使ったアレは、到底気づくのは不可能でしょうね(笑)。 以下、好みではなかった部分。 ・冒頭で密室を期待したのですが、残念でした。 ・読者に登場人物の性別を錯覚させることはすでに前例があるし、割とよく出てきますよね(笑)。出産した赤子を死んだ人間の代わりにさせるのはさすがに今回初めて見ましたが、それに近いような叙述トリックは前例があるし、もう少し大トリックに絡めてほしかったです。この小説ならではのものが欲しかったです。 読者をだまそうとしたどんでん返しは、そのほとんどが何かしらのアンフェアさを使わないといけないし、すべて推理可能という小説はありえないかもしれません。なので、この小説も、魅力的などんでん返しのある多重解決ものとしてみたらよい作品です。ただ、どんでん返しや叙述トリックを許容するならば、もっともっと奇想天外でまるで見たことのないようなものを求めてしまいます。あと、結末が暗すぎるのがちと堪えました(笑)。 |
No.6 | 6点 | メルカトル | 2019/08/02 22:45 |
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大雪に閉ざされた山荘に招かれた6人の男女。同窓会と思いやって来た彼らを待っていたのは、変わり果てた恩師の姿だった。下半身の自由を失い、大きな傷を負った顔は、不気味な仮面に覆われていたのだ。頻発する“突き落とし魔”事件との関係は―。外界から隔絶された世界で、謎の殺人鬼が牙を剥く!実力派作家2人がタッグを組んだ、超絶的本格ミステリ。
『BOOK』データベースより。 なかなか事件が起こらず、じりじりした気分を強いられます。緊迫感が最後まで持続できていない印象はありますが、何か仕掛けがあると感じたり不自然な描写が見られるので、ミステリとしては最後にドカンと落とし穴に落ちたりするんだろうなとは予想出来ます。まあ、文章が一人称でしかも日記形式で書かれている為、余計にそう感じるのでしょう。 終盤漸く事件が怒涛の様に起こり、すぐに解決編に雪崩れ込みますが、その騙しのテクニックには驚きを禁じ得ません。アンフェアギリギリの細かな伏線が張り巡らされて、なるほどと納得させられます。ただ、一ヵ所ある人物の言動に明らかな矛盾があったのが若干の瑕疵かもしれません。 全体としては正統派の本格ミステリ(吹雪の山荘の典型的なパターン)でありながらも、another sideを取り入れるなどの工夫も凝らされています。ただ、事件が起きるまでがやや単調で、個人的には少々退屈さを覚えましたし、最後スッキリとした纏まりに欠ける気がしたので減点しました。 |
No.5 | 7点 | 名探偵ジャパン | 2019/01/08 20:30 |
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漫才コンビみたいな名前ですが、現在この名前は使われておらず、光文社文庫版では黒田研二と二階堂黎人の合作名義になっていますね。
内容は、色々な意味で凄いです。 まず、作者二人の「読者を騙すぞ!」という鼻息の荒さが凄い。私自身は、あまり「騙し騙され」に特化しすぎたミステリは胃もたれしてしまうほうなのですが、ここまでの執念を見せられたら素直に感服します。 次に、叙述が凄い。もう途中から「これ叙述トリック使ってんな」というのが見え見えなのですが、その使われどころが凄い。一応、トリックのための叙述ではなく、叙述トリックが使われる理由が作中で説明されるのですが、だとしたら、こんな叙述トリックにうってつけな舞台が(作中の現実に)整ったことが奇跡的に凄いですよ。 最後に、バカミスとして凄い。叙述トリックのネタが割れたあとに読み返すと、これは言い逃れ不可能なバカミスになりました。シゲルちゃん(笑)。「うあああ……」(笑)。思い出しただけで笑えます。 黒田研二のぶっとび加減に二階堂黎人が説得力を与えて、二階堂黎人のアクの強さを黒田研二が抑えています。この二人、まさかのベストマッチだったようですね。 |
No.4 | 7点 | 蟷螂の斧 | 2013/11/18 12:01 |
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黒田研二氏と二階堂黎人氏のお得意なところ(前者・叙述もの、後者・フェアな伏線の提示・回収)をマッチさせた佳作だと思います。真相は複雑な展開で、少し混乱しますが楽しめました。「口絵代わりの抜粋シーン」ということで、殺人事件?が最初に提示されます。その後、無関係と思われる突き落とし事件が時々挿入され、後半は事件が次から次へと起き、目まぐるしい展開となります。雪山山荘、サプライズの仕掛けなど好みで高評価なのですが、一つだけ駄目な点(○○像)がありマイナス1となりました。 |
No.3 | 7点 | simo10 | 2009/10/06 21:17 |
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シリーズものとは知らずに三作目の「永遠の館の殺人」を先に読んでしまい、それが気に入ったので一作目である本作を読んでみました。
ベタベタなクローズドサークルもので(個人的に嬉しい)、まさにバカミスの名がふさわしい一品。 --以下ネタばれ-- 大きな謎の一つは感付いてしまい(名前がちょっとねぇ)、「なあんだやっぱり」と思ったんですが、後から後から明らかにされる謎の解明に最後は見事に大混乱しました。 よくもまあここまで謎を用意したなという感じです。 謎が完全に解明されていないものがあるんですが、これは読者が考えろってことなんですかね? (例えば、あの人を突き落としたのは結局どっちなの?とか、連続突き落とし魔に落とされた人の中に大人も混じっているのは何故?とか) |
No.2 | 6点 | シーマスター | 2009/09/19 23:26 |
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この話に関しては、何を言ってもネタバレになりそうですね。
これでもかとばかりに、いろんな「仕掛け」や「返し」が仕組まれているが、正直目あたらしいネタは見あたらないような・・・ アンフェアといわれても止むを得ない描写もありそうだが、作者(達)自身そんなことは百も承知の上でそうした記述や「言葉の騙し絵」を楽しんでいる、言わば「お遊び」な作品なのだろう。 その他、例えばB2(おっとっと)なんかは完全に確信犯的な「ズル」だよね。 設定はガチな「吹雪の山荘」だけど読了してみれば本格ミステリというよりは、(ちょっとバカ系の)ミステリ風ブラックエンタメ小説という感じではないですかね。 |
No.1 | 7点 | ロビン | 2009/09/06 21:46 |
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二階堂黎人と黒田研二による合作シリーズ。
舞台は閉ざされた吹雪の山荘、そこで起こる得体の知れない殺人鬼による連続殺人。それと同時並行に起きている下界での突き落とし魔の正体。。と、中身はコテコテの本格作品です。 以下、ネタばれ。 本書はサプライズ好きの人にはたまらない作品だと思います。曖昧な記述が続いているから匂いはあるのですが、それでもこちらの想像を上回る一撃が待っています。 |