海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

Tetchyさん
平均点: 6.73点 書評数: 1570件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.190 7点 一の悲劇- 法月綸太郎 2008/02/19 23:55
ロスマク風悲劇は大好きなのでストーリーは好き。しかし、やはりこういう一種ハードボイルド的趣向の作品に密室殺人は合わない。
意外な犯人も『誰彼』同様、途中で興味を失ってしまった。

No.189 10点 頼子のために- 法月綸太郎 2008/02/18 23:12
前3作でもやもやしていた割り切れない何かがこの作品でパッと眼の前から消え去った感じがした。
この作品がなければ、法月綸太郎は、新本格ムーヴメントの荒波に呑まれてそのまま、浮上せず、終わってしまっただろう。
この作品があったからこそ、新本格の旗手の1人として並び称されるようになったのだと思う。
みなさんの云う、あの後味の悪い最後が自分は好きである。
結局、何が恐ろしいのかというのをまざまざと見せつけてくれたからだ。
この作品がきっかけでロス・マクドナルドの諸作にも手を出すことになった。
しかし、その後の法月綸太郎を悩める探偵にした諸悪の根源のような作品でもあるのだが・・・。

No.188 4点 誰彼- 法月綸太郎 2008/02/17 13:58
コリン・デクスターをやりたかったとのことだから、度重なる仮説のひっくり返しは覚悟していたが、これほどとは・・・。
みなさん同様、真相が解っても、「へぇ~・・・」って感じでした。
法月初体験には向かない小説。

No.187 4点 雪密室- 法月綸太郎 2008/02/16 22:49
題名も内容もトリックもフツーの本格ですな。
2作目がこれとはちょっと痛い。

>マニアさんへ

ぬいぐるみの「ぐりもお」はジョン・ディクスン・カーの作品『三つの棺』に出てくるグリモー教授から来ていると思われます。

No.186 6点 密閉教室- 法月綸太郎 2008/02/15 22:27
今の法月作品からは考えられない青春ミステリ。
とはいえ、この作者特有の斜に構えた、皮肉な視点はすでにありますが。
学生の頃、信用できる大人として拠り所だった先生が、実は汚い大人の1人だった、そんなことを知ってしまう大人の世界を垣間見る作品ですかね。
主人公は、はっきり云って嫌いですが。

No.185 6点 地獄の奇術師- 二階堂黎人 2008/02/14 23:06
古き良き探偵小説の香り漂う本格推理小説。
二階堂氏本人が読みたかった小説を誰も書かないならば俺が書くっていった感じで書かれたような小説だ。
とにかく乱歩作品のオマージュのオンパレード!
みなさんのおっしゃっているように、犯人は簡単に割れますね。私もそうでした。
あと、終章に蘭子の口から語られる神学的推理、形而上学的推理ははっきり云って蛇足だと感じた。
もう作者の趣味で書いたような文章だ。

No.184 4点 探偵はバーにいる- 東直己 2008/02/14 00:02
ススキノ探偵<俺>シリーズ第1作。
ススキノで便利屋稼業=トラブル回収業を請け負う俺がススキノの街で仲間と悪友との間を行き交いながら人捜しをする。
う~ん、ちょっと合わなかった。
文章がふざけすぎて情緒が感じられなかった。
想像していたのと違ったわ。残念!

No.183 7点 虚無への供物- 中井英夫 2008/02/12 23:05
ヒヌマ・マーダー・ケース。
サロメとか色々なガジェットが楽しかった本書。
『黒死館殺人事件』、『ドグラ・マグラ』と並んで3大ミステリと評される本書だが、確かに意外と読みやすい。
でも内容はちょっと古めかしいかな。
二階堂黎人の作品を読み慣れた人なら、そうは思わないかもしれない。
ただ殺人現場の真相が図面もないのに、アレでは納得が行かないんだけど・・・。

No.182 8点 犯罪は二人で- 天藤真 2008/02/11 22:55
文庫の裏表紙に書いてあるイントロダクションにあるおしどり怪盗夫婦シリーズは12編中3編しかないのでシリーズ物としなかった。
でもこのシリーズは結局犯行は不成功に終わるものばかりで最後にほろりと温かいテイストが流れるのがミソ。
最後の最後まで駄作がなかった。
天藤真は素晴らしい!

No.181 9点 雲の中の証人- 天藤真 2008/02/10 12:52
天藤版リーガル・ミステリ集とでも云おうか、9編中5編が法廷を舞台にしたミステリでそのどれもが傑作。
設定から結末まで一貫してユニークな「公平について」はもとより、中篇の表題作の何とも云えない爽快感。
「赤い鴉」、「或る殺人」の哀愁漂う結末。膨大な人生の喪失感を思わせる深い作品。
もう少しこのシリーズを読みたかった。

No.180 8点 背が高くて東大出- 天藤真 2008/02/10 00:21
粒揃いの傑作ばかり!
「日曜日は殺しの日」と「死神はコーナーに待つ」の2編は自明の理だと思われていた事件が全く予想外の証言や真相が出没することで、全く予想外の真相に行き当たる。
“日常の謎”系「父子像」やミステリアスな結末の「背面の悪魔」、ストレートな「女子校生事件」、実に深い余韻を残す「三枚の千円札」も印象深い。

No.179 7点 われら殺人者- 天藤真 2008/02/08 22:29
短編集3作目。
表題作は文庫の表紙と裏表紙の梗概からは想像できないような着地をする。
なんとも後味の悪い結末。
「崖下の家」、「悪徳の果て」はもう人間の最も厭らしい部分を見せ付けるような結末で正直、今でも震えが来る。
天藤真のダークサイドを見るような短編集だ。

No.178 6点 星を拾う男たち- 天藤真 2008/02/07 22:41
天藤真短編集2作目はまだミステリというより小噺のような感じ。
あえて1つ選ぶとすればジュヴナイル・ミステリ「白い火のゆくえ」が秀作か。
誤植切手を巡る大人・子供入り混じっての迷走や最後の意外な犯人―しかも後味が結構ビター―となかなか読ませる。
次に期待。

No.177 6点 親友記- 天藤真 2008/02/06 23:29
天藤真初期の短編集。
ミステリというより、オチのついた小噺といった方が適切かも。
個人的には「誓いの週末」が好き。
これはチェスタトンでしょう。

No.176 5点 わが師はサタン- 天藤真 2008/02/05 23:10
本書は発表当時、鷹見緋沙子名義で発表され、長らく幻の覆面作家の作品とされていたが、大谷羊太郎、草野唯雄、天藤真の共用ペンネームである事が発覚。
そしてこの作品は天藤真の手になる物。
だからかもしれないが、オカルトテイストのストーリーに正直面食らった。
結構鬼畜系の登場人物が出てくるし、後味は悪い。

No.175 7点 善人たちの夜- 天藤真 2008/02/04 22:55
ミステリというよりもシチュエーション・コメディと云った方が妥当のような物語。

危篤の床に就く親父のために偽装結婚を画策した所、思惑から外れて事は意外な方向に向かい・・・。

田舎の大地主の息子との結婚生活奮闘記のような日々苦闘する主人公二人の姿と非の打ちようがないほどの善人の弥左衛門とそれらを取り巻く気のおけない親戚どもの様子を書きたかったのだろうと思う。
でも恋人を一種理不尽な形でレンタルした修蔵の心境を考えると、結末は残酷な気もせんでもない。

No.174 7点 死角に消えた殺人者- 天藤真 2008/02/03 22:05
今回の主人公令子にどうしても感情移入できなかった。
この令子の探偵ごっこにつき合わされている感じがどうしても拭えなかった。
とはいえ、冒頭の、関係のない4人の転落死、その事件を解決すべく結成される遺族会、そして一癖も二癖もあるいかがわしいそのメンバー、結末直前のどんでん返し、そして4人が同乗して死に至った経緯のコミカルさ、など正に天藤ワールドのエッセンスが詰まってはいる。

No.173 7点 炎の背景- 天藤真 2008/02/02 14:03
ジェットコースター的逃亡劇でとにかく先の読めない話だった。
学生期のトラウマから女嫌いになったヒッピー青年と、同じく学生時代のトラウマから男嫌いになった赤軍派女性を逃亡のカップルに仕上げる辺り、心憎い。
でも最後の真相及び結末がどうにも消化不良。これは自分の好みの問題なのだろうけど。

No.172 9点 殺しへの招待- 天藤真 2008/02/01 13:55
巻措く能わず、とはこのことなのかと実感。
プロット自体は特に斬新ではなく寧ろ地味なのだが、設定や登場人物の動かし方に匠の技が効いていて、350ページ弱を思う存分、愉しませてくれる。
今回の目玉はやはり5人の男に送られた妻からの殺人予告状でこれがどの誰を指すのか判らないという点が面白い。
しかもこのあとの展開は予想外だった。
でも第3部はいらなかったんじゃないかなぁと個人的には思う。

No.171 9点 皆殺しパーティ- 天藤真 2008/01/31 23:20
題名のように7人もの死者が出るという虐殺劇。
狙われる主人公が筋金入りの色魔で大会社の社長であり、街の大権力者という読者に同情を許さない人物なのに、読後感は爽やかという天藤マジックが味わえる。
ちょっと題名がチープだけど、中身は濃いぞ!

キーワードから探す