皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
Tetchyさん |
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平均点: 6.73点 | 書評数: 1601件 |
No.54 | 7点 | 三浦和義事件- 島田荘司 | 2008/11/01 14:13 |
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最近疑惑の死を遂げた三浦和義氏。
ノンフィクション作品だがここに上がっていたので感想をば。 面白いのは当然のことながら、マスコミサイドの視点で描かれた三浦像と三浦本人の視点で描かれた造形がものの見事に食い違っていることだ。情報操作というものは非常に恐ろしいものだと痛感した。 おそらく対岸の火事と思い、読んでいる私を含めた読者も、犯罪に巻き込まれ、いわれのない容疑をかけられた時、どのように周囲が、世間が自分に対して変化していくのか、それをまざまざと見せつけられる。 本書の最後で島田はこのようなことを云う。 「重大事件に必ず犯人が挙がるとは限らないことを、われわれ日本人はそろそろ学ばなければならない」 これは世間が騒ぎ立てたがために警察・検察が三浦を何が何でも犯人として挙げざるを得ない状況に追い込まれたことを批判した文章なのだが、本格ミステリ作家である彼がこのようなアンチテーゼめいたことを発言するのが興味深い。 |
No.53 | 9点 | 天に昇った男- 島田荘司 | 2008/10/31 23:17 |
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ヤバイ。ものの見事にハマッてしまった。
本作は島田作品の中でも異色の物で、作者本人でさえあとがきで全く予想外に生まれた副産物であると述べている。 島田ミステリに通底する弱者への真心とロマンシズム、これが一貫して物語のBGMとして流れ、進んでいく。最後には珍しく悲劇的な結末で無機質に締められ、読者の心には冤罪に対してのほろ苦さが色濃く残る。最後に門脇春男は救われたのか、それは判らないが不幸な者がここにいるということを強く教えられた。 |
No.52 | 8点 | ひらけ!勝鬨橋- 島田荘司 | 2008/10/30 22:23 |
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これ、実はけっこう好き。
この小説は殺人事件が起こるものの、明らかに作者得意の本格推理ではない。 「青い稲妻」チームの個性的な面々の日常とホームの存続を賭けたゲートボールの白熱した試合、そしてクライマックスで繰り広げられるかつて一流の素人レーサーだった老人たちの華麗なるカーチェイスが主になっており、老人たちの再生と青春の復活がメインテーマなのだ。 ゲートボールの試合を読んで、これほど手に汗に握ったのは後にも先にもこの作品だけである。 オイラは角川文庫版で読んだが、この表紙がものの見事に内容と全く関係のないマンガになっている。 誰だ、担当者は!? |
No.51 | 7点 | 死者が飲む水- 島田荘司 | 2008/10/29 14:21 |
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御手洗シリーズ『斜め屋敷の犯罪』で登場した牛越刑事が主役を務めるスピンオフ作品。
北国の叙情が滲み出てくるようだ。 でも時刻表トリックはやっぱり苦手。 |
No.50 | 8点 | 火刑都市- 島田荘司 | 2008/10/28 23:04 |
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当時初めて読んだ島田流社会派小説。
そんな中でもトリックが組み込まれているのが島田らしいなぁと思った。 解決部分では唸らされたけど、犯人の動機が観念的で、ちょっと作者自身、自論に酔っているような気がせんでもない。 |
No.49 | 5点 | 殺人ダイヤルを捜せ- 島田荘司 | 2008/10/27 22:41 |
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かなり一昔の時代を感じさせるミステリ。
この一昔前ということをもっと念頭に置いておけばトリックも見破れたかも。 しかしもうすぐ、この題名に使われている「ダイヤル」の意味が解らない世代が読者になっていくんだろうなぁ。 |
No.48 | 9点 | 龍臥亭幻想- 島田荘司 | 2007/12/27 18:11 |
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またもややってくれた島田荘司!と快哉を思わず挙げたくなる奇想の数々だ!
森孝魔王の存在はもう論理的には解明できないだろうと思っていたが、またも豪腕でねじ伏せてくれました! 真相は頷けない部分もあり、また奇妙な偶然も気になるが、やはり島田は本格ミステリの巨人だなぁ! |
No.47 | 7点 | 上高地の切り裂きジャック- 島田荘司 | 2007/12/22 18:06 |
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島田氏は本当にこの頃、冤罪事件にのめり込んでいたのだなぁ、というのが解る話。
しかし表題作は題名と内容がマッチしていないですね。 もう1つの「山手の幽霊」の方はかつての御手洗物の雰囲気があって好きな一編。 |
No.46 | 7点 | ネジ式ザゼツキー- 島田荘司 | 2007/12/21 17:56 |
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『眩暈』を髣髴させる悪夢のような手記が今回も論理的に明かされる!
とはいえ、ちょっと無理を感じたかなぁ。 最後の殺人事件の解明は無理が重なったような感じを受けたし。ちょっと残念。 |
No.45 | 7点 | 光る鶴- 島田荘司 | 2007/12/20 18:13 |
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表題作はまんま『秋好事件』を吉敷物にアレンジしたストーリー。この結末は『秋好事件』に対する島田氏の願望だろう。
「吉敷竹史、十八歳の肖像」はミステリではないが、またも吉敷が好きになった。 最後の「電車最中」は、よくこんなモチーフを探し出したなぁとひたすら感心。最後、ちょこっと泣かせるしね。 |
No.44 | 5点 | 高山殺人行1/2の女- 島田荘司 | 2007/12/18 19:00 |
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気軽に読める分、深みにかけますな。
真相はすぐに判ったし。 道中で遭うオートバイ乗りが、かなり活躍するのだが、これも島田氏のロマンティック志向ゆえか。 |
No.43 | 2点 | 消える上海レディ- 島田荘司 | 2007/12/15 18:52 |
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上海レディの正体にかなり無茶を感じた。
2時間サスペンスドラマみたいな陳腐な内容だった。 もしかして上海旅行を経費で落とすために書いたのでは?なんて勘ぐるほど、駄作。 |
No.42 | 5点 | 消える「水晶特急」- 島田荘司 | 2007/12/14 17:56 |
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今回のトリックは途中で判ったので、最後にいたるまでがじれったかったです。
でもやはりサービス精神溢れる島田氏の筆は読者を飽きさせません。 あと哀しいかな、本作のストーリーは携帯電話が普及した今、成り立たないのよね。 |
No.41 | 7点 | 天国からの銃弾- 島田荘司 | 2007/12/13 18:37 |
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『眩暈』の変調のような「ドアX」始め、佳作ぞろいの中編集。
「首都高速の亡霊」はタランティーノ映画を見ているかのように1つの事件について色んな関係者の立場から叙述するユニークな物語。 「天国からの銃弾」は最後に明かされる家族の秘密の暗さ(ちょっと納得いかない部分もあるが)。 読んで損はないよ。 |
No.40 | 9点 | 夏、19歳の肖像- 島田荘司 | 2007/12/12 18:11 |
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ある男のひと夏の燃えるような恋の物語。
ストーリーはチープなんだけど、こういう感傷物に弱い私。 今の世の中では主人公はストーカー以外何者でもないんだけど。 |
No.39 | 2点 | 嘘でもいいから殺人事件- 島田荘司 | 2007/12/10 18:12 |
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単なるコレクターズアイテムだなぁ。
ギャグも寒かった・・・。 |
No.38 | 8点 | 天に昇った男- 島田荘司 | 2007/12/09 17:42 |
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意外に好きです、この作品。
恐らくノンフィクション『秋好事件』を書くための取材中に生まれた作品だろう。 最後のオチはいただけないが。 |
No.37 | 10点 | 踊る手なが猿- 島田荘司 | 2007/12/07 18:44 |
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文句無し!の短編集。
表題作は「踊る手なが猿」の正体に、島田の奇想の冴えを感じたし、「Y字路」の意外な結末もまたよし! しかしなんと云っても「暗闇団子」がいい!! ホント、こういうの書くと上手いよなぁ、島田は! |
No.36 | 9点 | 毒を売る女- 島田荘司 | 2007/12/06 18:11 |
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島田氏のショートショートが読めるという貴重な短編集。
中身もヴァリエーションが結構あって無視するには勿体無い。 名作「糸ノコとジグザグ」はこの短編集収録です。 |
No.35 | 10点 | 展望塔の殺人- 島田荘司 | 2007/12/04 18:42 |
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珠玉の短編集とはまさにこのことを云うのだろう。
まさにこの頃の島田は神の領域に達していたようだ。 全てがクオリティが高い。 昭和62年のこの作品で、すでにストーカー犯罪やキレる若者を題材に創作していることが瞠目に値する。 流石、島田である。 |