皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
みりんさん |
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平均点: 6.66点 | 書評数: 385件 |
No.20 | 7点 | 暗闇坂の人喰いの木- 島田荘司 | 2024/06/01 22:17 |
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嗚呼…島荘より優れたトリックを生み出す作家は此の世に存在しないのだナ…そんな作家に早くも出会ってしまったワタシは不幸者なんだナ…
と『暗闇坂の人喰いの木』を初めて読んだ時は嘆いたものです。しかし同著者のアレや他の著者のアレを読んでから、再読するとまあまあ…いやしかし本作、そこ以外はもう死ぬほど面白い。冒頭から猟奇殺人に死体消失、にわとりが奏でるメロディ、巨人の家、そして人を喰う木。島田荘司は魅力的で神秘的な事象を生み出すと言う才能では群を抜いています。動機も『占星術』『斜め屋敷』よりも表層的でなく深い情念からくるものですし、トリックでは大きく劣っていてもこちらの方が好きだったりします。 レオナとか言う奴を思い出すため&書評残すために再読したけど、かなり時間かかった。671ページ8h44min読了。 |
No.19 | 8点 | 涙流れるままに- 島田荘司 | 2023/09/03 19:39 |
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吉敷竹史シリーズ第15弾
15作品も読んでられねーよって方は『北の夕鶴2/3の殺人』→『羽衣伝説の記憶』→『飛鳥のガラスの靴』と読んでから『涙流れるままに』を読むと満足度が上がると思います。 あと読んでないの自分だけかもだが、横溝正史の『八つ墓村』も読んでおくと良いかも。横溝代表5作(?)のうち唯一未読だったので近々読むのが楽しみになった。 |
No.18 | 6点 | 飛鳥のガラスの靴- 島田荘司 | 2023/08/29 22:11 |
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吉敷竹史シリーズ第14弾 宗肖之助氏による解説にはシリーズの第十作にあたると書かれているがこれ如何に?
『奇想、天を動かす』から始まった吉敷と主任との対立は深まるばかりです… 無事、犯人を突き止めるが、主任にギャフンと言わせるわけでもないので読者の溜飲は下がらん。が、あえてそうしているのでしょうね。根強く残る男性中心主義から徐々に性差が緩和される昭和から平成への移り変わり。その構造が犯罪動機を生み、悲劇をもたらすこともしばしば。日本という特殊な島国が内包するあらゆる問題について考えさせられる一冊です。 |
No.17 | 5点 | ら抜き言葉殺人事件- 島田荘司 | 2023/08/27 18:56 |
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吉敷竹史シリーズ第13弾
このシリーズの中で異彩を放っていて気になっていたタイトルでした。 「ら抜き言葉」を下品で軽薄で無教養で最低の言葉だとみなす「ら抜き言葉」撲滅論者vsら抜き言葉を使ってしまった人気作家の2人によるしょうもないバトルが繰り広げられます。ヒジョ〜に読んでいて楽しかったです。 |
No.16 | 7点 | 羽衣伝説の記憶- 島田荘司 | 2023/08/26 19:00 |
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吉敷竹史シリーズ第12弾 (どうやら『展望塔の殺人』も吉敷竹史シリーズに入るらしいので、過去のシリーズ第○弾と書いたのが1つずつズレている笑)
【ネタバレあります】 『北の夕鶴』以降シリーズ9作品を跨いで5年ぶりの登場となった加納通子。いやもう待望でしたよ。最近読み始めた私なんぞは10日ぶりの再会でしたが、シリーズ読者は待ち焦がれていたことでしょう。 そして、10日前に読んだ『北の夕鶴』の展開を結構忘れている私の記憶力に絶望しましたよ。 本編はミステリーが本当にオマケで、吉敷竹史と加納通子の5年ぶりの再会がメイン。『北の夕鶴』ではラブストーリーと事件がややミスマッチな感じがしましたが、こちらは程良い謎、程良い解決でした。麻衣子さん恐るべしです。 |
No.15 | 8点 | 奇想、天を動かす- 島田荘司 | 2023/08/24 17:55 |
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吉敷竹史シリーズ第10弾
【ネタバレあります】 今まで密室殺人、死者の亡霊、人間消失、列車消失と数々の不可能状況を演出してきた作者はシリーズ10作目で「もうこれ流石にオカルトに頼らないと解決不可能だろ」ってレベルの謎を提示してきます。 特に"トイレからの人間消失"の不可能っぷりには蟻の這い出る隙間もありません。あるけど。 しかし、ここまでされるとハードルが上がりすぎて、この世の法則を捻じ曲げてしまう程のトリックを期待してしまいました(タイトル的にもね)。解決編は驚く部分もありましたが、やはり即席の殺人なのもあって少々チープな真相も… あらゆる不可能状況は連動していて、一つの真相で全てが解けるタイプの方が私は好みなんだなぁとふと思いました。そういった観点では『北の夕鶴』の方が好きかな〜とか… 社会派との兼ね合いも難しいところだとは思いますので贅沢な要望ですが(笑) 遊郭の情景描写や社会的背景の蘊蓄、『冤罪』や『日本人の罪』をテーマにした社会派要素、最後の吉敷竹史の信念など島荘ベストに上げる方がいるのも不思議ではありません。しかし、これに満点をつけるのは自分自信を騙しているような気がするのでこの点数で |
No.14 | 6点 | 幽体離脱殺人事件- 島田荘司 | 2023/08/22 05:56 |
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吉敷竹史シリーズ第9弾
関西弁の女が強烈すぎて電話シーンだけで既に面白かった。『毒を売る女』でひたすら梅毒を移そうと奮闘するヤベー奴がいたけどあいつより印象に残った。 「女の親友同士は結婚する相手に、その男っぷりも経済状態もあまり差がついてはいけないということだ。相手と同程度の男と一緒にならなくてはいけない。」 そうなんですか世の女性の皆さん |
No.13 | 5点 | 夜は千の鈴を鳴らす- 島田荘司 | 2023/08/21 04:57 |
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吉敷竹史シリーズ第8弾
この作品『異邦の騎士』と同時期なのか・・・『斜め屋敷』〜『異邦の騎士』の間に吉敷竹史シリーズが7作品も出てるなんて当時はゴリゴリの本格モノはやはり嫌われていたんでしょうかねぇ… 今作トリックはわかってしまったけど、小説として楽しめましたよ |
No.12 | 6点 | 灰の迷宮- 島田荘司 | 2023/08/20 11:58 |
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吉敷竹史シリーズ第7弾
【ネタバレがあります】 こういうフーダニットでもハウダニットでもなく"独立した個々の不可解な事象に関連性を見出して一つの連続的な真実を導き出す"系のミステリ(名称あるのか?)が読んでる途中は1番モヤモヤします。そのモヤモヤに対して解決編で得られるカタルシスは少し足りなかった。そして、吉敷竹史の思考回路は少し飛躍しすぎというか御手洗潔に片足突っ込んで来てる気がしますね… ピタゴラスイッチとかアレとか諸々。 偶然要素は多いですが、良くできてるとは思いますし、最後の電話はウルッときましたよ。まあ満足です。 いや、満足じゃねぇ。『北の夕鶴』で登場した元妻の通子はいつ登場するんや。あんな良いキャラを使い捨てはやめてくれ〜シマソ〜と思いつつ続きも読みます。 |
No.11 | 7点 | Yの構図- 島田荘司 | 2023/08/19 19:22 |
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吉敷竹史シリーズ第6弾
いじめを苦に自殺した少年の亡霊、一つのホームの両側に到着した新幹線から服毒死体、死体には桔梗の花や蝶が… 相変わらず不可能状況を作り上げるのが上手い。 そして吉敷竹史モテすぎ。課長時代の島耕作かよってくらいモテる(シマコーよりは遥かに紳士だが) |
No.10 | 6点 | 確率2/2の死- 島田荘司 | 2023/08/17 18:59 |
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吉敷竹史シリーズ第5弾(のはず)
2時間でサラッと読めた。前作あたりから文体がスリムになったのかなあ?読むスピードが異常に上がった。なんか超不評ですが、私は楽しめました。 やっぱり誘拐ものってある程度の面白さは保証されてると思う。犯人の目的がわからない誘拐モノは特にね。そしてタイトルもイイ皮肉ですね。 しかし、前作『消える水晶特急』同様に推理で真相を引き当てることは不可能だと思う。どうせヒントをもらっても推理を組み立てられないので私には問題ありませんが(笑) |
No.9 | 7点 | 消える「水晶特急」- 島田荘司 | 2023/08/17 06:38 |
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島田荘司「その列車 消えるよ」 なぬ!?
人間消失程度では飽き足らなくなった島荘は遂に列車消失も演出してしまいます。草。 吉敷竹史シリーズ第4弾 本作はなんか知らんが前3作に比べてリーダビリティが異常に高い。私は小説を読む時に100ページごとに時間を測るという奇特な習慣があるんだが、島荘作品は大体100ページで80〜90分くらいかかるのね。でも今作はなぜか100ページ55分ペース(これは東野圭吾クラスw)。なんでだろうね。やっぱり立て篭もり事件はサスペンスフルで読む手が止まらなくなるのかな。それとも今回は語り手が吉敷竹史じゃなかったからかな。ともかく一気読みできる快作でした。 最後の"感動の再会"シーンは作者のサービス精神に拍手です。いや〜面白かった。 この愛らしい女性コンビはこれからも登場してくれないかな〜なんて思っちゃったわけです。 |
No.8 | 8点 | 北の夕鶴2/3の殺人- 島田荘司 | 2023/08/16 17:38 |
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私は本格ミステリに"実現可能性"というあまりに些細なことを気にする余り、『斜め屋敷』や『姑獲鳥の夏』を読んでブチギレそうになったのも今は昔。今読めばどちらも傑作という評価を下すでしょう。いつか読み返そうと思いつつ、なかなかタイミングがねぇ…
この『北の夕鶴2/3の殺人』も実現可能性が著しく低そうなトリック、それでいい(保険付きなのは笑った)。『占星術』『斜め屋敷』そして今作『北の夕鶴』。一生忘れられないであろうトリックを島荘はいくつ生み出しているのだろうと楽しみにこれからも読んでいきます。 吉敷竹史シリーズは3作品目。奇妙奇天烈で掴みやすい御手洗潔と違って冷静な好青年というぼやけた印象しかなかった吉敷竹史がこんなに情熱的で感情的なキャラクターだったとは。男とはこうあるべきだという少々古臭い価値観だが、元妻の幸せを心から祈る元亭主の命懸けのラブロマンス+サスペンスとしても優秀だと思います。しかし、あのユニークな物理トリックとこのラブロマンスがややミスマッチな気がしないでもない笑 |
No.7 | 7点 | 出雲伝説7/8の殺人- 島田荘司 | 2023/08/15 15:49 |
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虫暮部さん(名前出して申し訳ありません)のおっしゃる通りで犯人はヒジョーに不可解な偽装工作をしていると言わざるを得ません。普段、物語の整合性・矛盾というものに鈍感で何でも受け入れてしまう私ですら今作はさすがに変だと感じました。
が、これは好きな作品になりました。 まず、首無のバラバラ遺体が7つの終着駅で部位ごとに見つかる。もうこれだけで読む推進力になるのに更に胴体には「五穀の起源」の見立てが施されている。出血大サービスです。でも時刻表は思考停止するので無視無視♪ 「八岐の大蛇伝説」について巻き起こる学術的な対立がまあ面白い。そしてこんな見立てをしたのも8つに切り刻んだのもすべては犯人の学術研究由来の憎悪であるというのが良い。ラストの犯人を追い詰めるトラップもそれに心を揺さぶられた犯人という皮肉も最高でした。 「学術研究は成果なんて出さなくても楽しければ良いんだ」という前向きなメッセージもいただきました。 ということでミステリとしては大きく減点、それ以外の要素で大きく加点としこの点数にします。 |
No.6 | 6点 | 寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁- 島田荘司 | 2023/08/14 03:50 |
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吉敷竹史シリーズ第1弾
タイトルから明らかなトラベルミステリーだったので避けていた。 「死んだはずの女がなぜ寝台列車に?」「なぜ犯人は被害者の顔の皮膚を剥いだのか?」 相変わらず冒頭からとてつもなく魅力的な謎、いや、越えるべき"壁"を提示してくれる。さすが島荘です。その謎の強大さに対して、吉敷竹史はあまりにも丁寧な筋道を示し、合理的な解決を試みる。このあたりは奇想天外な真相を唐突に思いつく御手洗潔との対比でしょうか。 真相はトラベルミステリーの域を出ないかと思っていたら一捻り、二捻り、どんでん返しと見せかけて1.5捻りほどで留まりました。 綾辻先生の解説によると『占星術』『斜め屋敷』では先生のようなマニア間では既にカルト人気を得ていたが、売れ行きは芳しくなかったそうです。そこで流行のトラベル要素を取り入れ見事『はやぶさ』は大ヒットしたそうな。そんな苦心の末生み出された一冊、なかなか楽しかったです。 |
No.5 | 6点 | 毒を売る女- 島田荘司 | 2023/03/25 15:57 |
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【ネタバレあります】
毒を売る女 8点 梅毒に侵された女の奇行との攻防。梅毒に罹らなかった主人公までもどんどん精神的に崩れていくのがキツいけれど最後は救われて良かった。最近大流行している梅毒の恐ろしさが再認識できるのでオススメ。 渇いた都市 4点 冴えない男の倒叙で共感できるけれどもラストがよく分からない。 糸ノコとジグザグ 5点 目黒区の形を知っている東京都民におすすめ。解説で知りましたが謎の演説男は御手洗だったんですね。 ガラスケース 5点 たった5ページだけどオチが好き。 バイクの舞姫 5点 これが本格ミステリー宣言で定義していた「本格ミステリー小説」という奴か ダイエットコーラ 7点 25時間周期にする方法とオチが面白い。星新一作品っぽい。 土の殺意 5点 被害者の長すぎる大演説が当時の世相をふわっと想像させてくれて良かった。 数字のある風景 3点 一番ミステリアス…。 |
No.4 | 7点 | 斜め屋敷の犯罪- 島田荘司 | 2022/12/31 01:42 |
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御手洗の道化っぷりを楽しむにはイイかもしれません。
『暗闇坂』再読後追記: いくら実現可能性が低いからと言ってこの独創的なトリックに5点はないと思い7点に。 |
No.3 | 6点 | 御手洗潔の挨拶- 島田荘司 | 2022/12/27 13:40 |
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ミステリというより御手洗潔の人間性が知れる一冊です。
ファン必読 |
No.2 | 7点 | 異邦の騎士- 島田荘司 | 2022/12/17 16:10 |
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ラブストーリーとして、良かったです |
No.1 | 10点 | 占星術殺人事件- 島田荘司 | 2022/12/17 07:33 |
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40年間誰にも解かれなかったって作中でどんだけハードル上げるんだろうと思ってしまったが、メイントリックが余りにも鮮やかで美しく長年解かれなかったのにも納得がいきます。真相が解明されたあとなぜこれに気づかなかったんだろうと言う思いに駆られますがまさにコロンブスの卵というやつでしょうか。タイトルが「占星術殺人事件」なのもちょっと意地悪。
事件に関係のないパートが多いと言う意見もありますが現存している容疑者が少なすぎるのでミスリードもある程度必要かなと私は納得しています。あと御手洗潔がシャーロックホームズをディスりまくるシーンも笑えます。 |