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みりんさん
平均点: 6.65点 書評数: 349件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.10 7点 心理試験- 江戸川乱歩 2024/09/13 01:47
本サイトに登録されている乱歩作品の中で最高評価を受けているのが本作。この雑味のないシンプルさと心理分析の納得感に起因しているのでしょう。罠の引っかかり方だけを抽出すれば犯人はただのアホにしか見えないところなのだが、犯人の行動原理を的確にプロファイリングした明智の賢さを実に巧みに示している点が流石乱歩だと思います。


【ネタバレのようなもの】



お金を半分だけ盗む→自演で交番に届ける
もし仮に強盗目的であることが発覚しても、逮捕には繋がらない。これ何気に賢いなと思いました。これのせいで疑われたことを差し引いても、なかなかのトリックじゃあないですか?

No.9 6点 D坂の殺人事件- 江戸川乱歩 2024/09/13 00:08
日本最古の密室もの(1925)らしい。ソースはwikipedia(^^;)
海外ではポー、ドイル、ルルーなどが既に優れた密室を生み出していた中、本作の功績は「日本の家屋で密室を成立させるのは不可能」という定説を覆したことらしい。ほんとですか?じゃあ+1点しとくか。
全体的に『モルグ街の殺人』の影響が色濃く出ているのを感じますが、真相のぶっ飛び具合で遠く及んでいないという印象。明智小五郎という探偵が有名になりすぎてしまったのも一つの弊害か。
密室ものだけどその構築方法は肩透かしで、HowよりWhyの方がはるかに印象に残りました。

No.8 6点 黒蜥蜴- 江戸川乱歩 2024/09/11 13:15
明智ィ〜さすがにモブ盗賊の命の扱い酷くねえか?笑
流石に誘拐犯対名探偵の頭脳戦はご都合主義で子供騙しに感じてしまいましたが、私は好敵手から想い人へと変わってしまう黒衣婦人のヒロイン小説として楽しみました。最後のキスシーンで、毒を口移しにして共倒れエンドにしていたら、私の好みの結末でした。
三島由紀夫ってこういうのも好きなんだ、意外。三島由紀夫版も読まないとねえ…

No.7 8点 芋虫 江戸川乱歩ベストセレクション2- 江戸川乱歩 2024/09/10 17:27
表題作『芋虫』はあまりにも凄惨を極めた内容で衝撃を受けました。評点は『芋虫』だけの評価。
外界からの(性的)刺激を受信する感覚器官の欠損という点で『人間椅子』に通ずる異常性愛の形であると読み取ることもできます。
『人でなしの恋』は性愛の異常さでいえば、『芋虫』には遠く及びません(我基準)が、両作ともに残された妻は生涯罪の意識に苛まれることでしょう。

探偵小説的趣向が強いのは『夢遊病者の死』とせいぜい『双生児』くらいで他はほぼ怪奇小説。
『芋虫』と『人でなしの恋』以外は正直4〜6点ほどで、『踊る一寸法師』が結構よかったかな。元ネタのエドガー・アラン・ポー『ちんば蛙』も読まねばならん。

あと巻末の三津田先生の解説が良い。未収録の『陰獣』で解説を〆るほどお気に入りなのが面白い。

No.6 6点 暗黒星- 江戸川乱歩 2024/09/10 01:57
このレベルのミスリードにすっかり騙されてしまうのは私くらいなものか…(苦笑)
手垢のついたプロットかもしれないが、少年の気持ちになって雰囲気を存分に楽しんだ。「暗黒星」とは明智小五郎にとってだけではなかった。伊志田一家にとっても、十年以上目に見えぬ脅威として鳴りを潜めていた。まさに隕石級の底知れぬ執念がそこにはあったということか。

No.5 6点 屋根裏の散歩者- 江戸川乱歩 2024/09/09 22:40
犯罪のもつ魅力に取り憑かれてしまった男。狂人の異常心理を扱った犯罪小説パートが80%、シンプルなトリックと明智小五郎の冴え渡る推理を楽しむ本格探偵小説パートが20%。どちらかというと前者が乱歩の持ち味かな〜という風に思います。こういうトリックも好きですけどね
そういえば『陰獣』にもこんなやついたなあ。というか元ネタか。読む順番逆だったな。

No.4 8点 パノラマ島奇談- 江戸川乱歩 2023/09/13 21:17
冒険モノを期待して読むと耽美で絢爛な幻想小説でした。
ここまでこの舞台を映像で見せてくれ!!と思わせたのは初めてで、パノラマ島の幽玄な描写に魅了されました。初恋の女性かずっと夢見たユートピアのどちらを選び取るのか見届ける作品でもあります。

(再読)これがいまのところ『芋虫』『孤島の鬼』に並んで最高作かもしれない。7点→8点

No.3 5点 二銭銅貨- 江戸川乱歩 2023/08/08 03:05
乱歩のデビュー作。
よく練られたショートコントっぽい。8字ずつ飛ばす理由までついてると嬉しかった。
当時男同士では頭脳の優劣を競い合うことくらいしかやることなかったんでしょうか笑

No.2 8点 孤島の鬼- 江戸川乱歩 2023/07/27 01:53
これは名作ですね〜 乱歩良いな乱歩
江戸川乱歩って子供向けなイメージがあって今読んでもつまらないだろ?って失礼な先入観があったんですが、「陰獣」を読んでからイメージが180°変わりました。
「孤島の鬼」では「陰獣」のような粘着質で気持ち悪い文体ではなく、かといって清涼!爽やか!って感じでもなく、どこか不気味で不安感を駆り立てる良い雰囲気でした。

スリラー・冒険・本格・怪奇小説そしてラブロマンス どれも優秀でそれぞれが魅力を打ち消し合わずに、ジャンルが変わっていく面白さを味わえます。

No.1 7点 陰獣- 江戸川乱歩 2023/07/07 21:26
三津田信三氏の「忌館 ホラー作家の棲む家」という作品の中でこの「陰獣」が絶賛されていたので気になって読んでみました。昔の作品だからか?120ページ読むのに2時間程かかってしまいました笑

【ネタバレがあります】


連城作品の耽美性を薄めて陰湿さを強化したような感じで、作品の雰囲気が独特で読み味がありますね。
そんな陰獣、派手なトリックはないもののラストの2転3転する多重解決と答えの出ない推理に悩み悶える主人公が印象に残りました。

もう一つの中編「蟲」では異常者の犯罪心理をたっぷり読ませられる。ここまで徹底されてるのは「殺戮に至る病」以来だ。これはまさに陰獣に登場した探偵作家、大江春泥の得意とする内容だろうか。

こりゃ乱歩作品他のも読まないとなあ。

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