皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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みりんさん |
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| 平均点: 6.66点 | 書評数: 533件 |
| No.473 | 7点 | 緑のカプセルの謎- ジョン・ディクスン・カー | 2025/09/06 08:27 |
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| 解説によると、黄金期の探偵小説は空前の毒殺ブームだったらしい。だが個人的に「毒殺」ってミステリーでやられると面白みに欠けるんだよな。時間差で密室もアリバイも簡単にできちゃうし、不可能性の純度が数段階落ちる。
しかし本作は違う。なんと寸劇の最中に、観察者3人の目の前で堂々と殺人が行われるからだ。さらに、容疑者全員には鉄壁のアリバイがある。 寸劇は「人間の観察力が如何に信用ならないか」を問うためのテストであり、至る所に罠が張り巡らされているのがポイント。真相には関係しないが、時計の影のアイデアが面白かった。 アリバイのアイデアについては、(見抜けなかった腹いせとかではないが)標準的な類いのもので特段驚きはなく、どちらかというと1つ目の毒殺事件の動機の方に感心した。 不可能性の高い犯罪を描いているだけで8点をつけたくはなるが、『曲がった蝶番』『夜歩く』のような怪奇的な演出に欠けるので少し物足りない(『三つの棺』くらい突き抜けていると別に気にならんが)。カーおじさんもそろそろオカルトネタが尽きたのかな。 |
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| No.472 | 8点 | 曲った蝶番- ジョン・ディクスン・カー | 2025/09/03 18:39 |
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| 沈みゆくタイタニック号事件の最中、身元の入れ替わりがあったと主張する男。どちらが本物の資産家ジョン・ファーンリーなのか?相続人を巡って不可思議な殺人事件が起こる。
『魔女の隠れ家』のように序盤から怪奇を充満させて読者を引っ張るわけではない。屋根裏に封印された自動人形の調査から徐々に加速していく珍しい型。犯人は衆人環視の中でどのように殺人を遂行したのか?がメイン…と思いきや…本題は「曲った蝶番」に帰着するのだ。 ポオの『メルツェルの将棋指し』に触発されて思いついたのかな? 『死者はよみがえる』のせいでフェアプレイなんて些細な要素に思えてきた。驚けたら勝ちだ。被害者当てから犯人当て、動機に至るまで終始カーに裏をかかれた作品。 金色の自動人形がプリントされた創元の装丁がイイネ(珍しく)。 関係ないですがタイタニックってすこぶる面白いですよね。本作のせいでもう一度見たくなりました。 |
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| No.471 | 7点 | 死者はよみがえる- ジョン・ディクスン・カー | 2025/08/29 19:20 |
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| 草。これ真相当てられた奴いねえだろw
いや待て。このサイトのプロ達ならこのくらいは当てて当然なのか?と姿勢を正して皆さんのレビューを拝見すると、20人中20人が敗北しているようでホッとした。 タイトルから、ポーに影響を受けた死者蘇生ミステリーかと期待したが、やや滑稽味のある無実倒叙系ミステリー(巻き込まれ型と言うのですね)のような始まり方をして、謎が謎を呼ぶ展開に…その内のほとんどはハドリーの概要説明や容疑者の供述で紐解かれますが… 密室なのか非密室なのか境界があいまいのまま真相に辿り着くと実に本意の密室に着地して感動した。この密室に関してはかなりフェアだ。そこから論理を辿ると、確かに動機以外は解ける人がいてもおかしくはない。 小密室・アンフェアさ・タイトルの意味も含めて結構気に入ったんだが8点を付けると負けな気がする。 |
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| No.470 | 7点 | アラビアンナイトの殺人- ジョン・ディクスン・カー | 2025/08/26 21:05 |
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| 長い。カーの500ページってクリスティーの1000ページと読了に要する時間は同じだからな。ほんで見取り図ついてないの創元推理文庫だけなのか…文字もバカみたいに小せえし、アンチになりそう。っぱ海外ミステリーはハヤカワだな(短絡的思考)
メインの内容は3人の警察関係者による事件の概要説明で、三人の断片的で異なる証言を組み合わせて1つの筋道を立てるというような趣向ではないのが残念。実に不評な本作、道中は確かに退屈だが、謎解きおよび真相に限って評価するとかなり面白いと思う。 【以下ネタバレ注意】 特に、犯人とは別の人物Aが、犯人とは別の人物Bを庇う(恩に着せる)ために捨て身のアリバイ工作をし、その結果、犯人とは別の人物Cが心強い味方となるというなんとも奇妙な展開。手がかりの明確な開示と論理においては、同国のライバル・クイーン(さほど読んでないが)を意識している?石炭や手紙、過剰なアリバイ証言など、何気ないものが手がかりになる展開が結構好き。 本作は珍しく、ハドリーの推理が善戦している。 |
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| No.469 | 9点 | 三つの棺- ジョン・ディクスン・カー | 2025/08/21 08:05 |
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| このオッサン、密室の巨匠みたいに評されるけど『夜歩く』とせいぜい『火刑法廷』くらいしか読んだことなかったんだよな。子分達の方がよっぽどぶっ飛んだ密室(ウナギとか)書いてんぞと突っ込みたかったんだが…本作は認めるしかないな(何様)
ランポール君が久々に復活し、相変わらず影が薄い。そして新訳なのにやはりカーは読みづらい。 まず、密室からの仮面男の消失事件はその不可解性が群を抜いている。次にやや魅力は落ちるが、衆人環視の雪密室で、至近距離で起こった銃殺でなぜ犯人を目撃した者がいないのか?という謎。過去の脱獄事件、兄弟間の因縁、動機の不在により、事件は更に複雑怪奇の様相を呈する。 【以下 完全なるネタバレ】 当初の犯人の計画でも十分に魅力的で"ありえそうな"不可能犯罪足り得たが、サービス精神旺盛なカーおじさんはこれだけでは足りないと思ったのだろう。必然性・蓋然性を捧げてまで、互いに憎み合う被害者と犯人、<二つの棺>の共同作業がこの一世一代とも呼べるイリュージョンを創出した。結果、魔術や幽霊の存在を疑うほどの神秘に到達した。『死時計』もこのくらい分かりやすくすれば傑作になったのでは? ところで、実はかの有名な密室講義は読めていない。作品の一部を読まずに評価するのも失礼と思ったが、作品名が出た時点でネタバレを危惧して、読み飛ばしてしまった。いつか必ずこの講義も読みたいのだが、古典の密室を網羅したと確信できるのはいつになるのだろう?その時に追記するかも。 密室講義の前の、「"実現可能性"や"リアリティ"を探偵小説に求めるべきではない(意訳)」「魔法のような密室に本当の魔法を期待してガッカリする」 というのには同意。数多の密室は解かれずに密室のままでいいのかもしれない。過去に魔法のような密室トリックを経験したのは本作を含めてまだ片手で数えられるほどだ。この巨匠にこれより凄い不可能犯罪は描けるのだろうか?巨匠にとっても一世一代にはならないのだろうか?10点を付けないのは他作品への期待。楽しみに読んでいきたい。 |
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| No.468 | 6点 | 死時計- ジョン・ディクスン・カー | 2025/08/18 21:45 |
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| 時計師の家で起こる刺殺事件。同じ部屋には銃を持った男と元警察官。月に照らされた怪しい人影。本領発揮とまではいかないが、久々にスリリングなミステリーに回帰した。
「悪魔的想像力に長けたその人間は、そいつ(時計)を、墓場へ進みゆく時間の、文字どおりの象徴として見てとったのだ。毎日数十回は見てきたはずのものを…」 こいつはいいね…知略に長けた冷酷な犯人が凶器に選んだのはなんと時計の針。この(略)はなんとなくポアロシリーズを連想させた。今まではあんまり魅力がなかったフェル博士がここにきて面目躍如なのも良かった。 ただ、なんで見取り図ねーんだよ、犯行現場思い浮かべづらすぎ…トリック難しすぎ… で-1点。 |
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| No.467 | 6点 | 盲目の理髪師- ジョン・ディクスン・カー | 2025/08/14 10:34 |
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| 政治家の爆弾発言を残したフィルム、エメラルド像の盗難…消えた女の死体…シリーズ初のドタバタコメディと安楽椅子探偵フェル博士。外交官、元船長、推理作家、操り人形師の姪が船上を引っ掻き回し、思いも寄らぬ展開の連続。期待していた人間消失はややズッコケ気味だが、シリーズ随一のリーダビリティーとユーモアが魅力の作品。前作からなぜか方向転換?フーダニットものとして、丁寧に伏線が配置され、脚注付きで回収されていく。まあまあ面白い。ただ、『夜歩く』や『魔女の隠れ家』のような作風を期待してしまっている自分がいる。 | |||
| No.466 | 6点 | 剣の八- ジョン・ディクスン・カー | 2025/08/12 17:16 |
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| フェル博士の3作目なのに書評数8とマイナー寄りの作品。読み終わった直後ですら、既に中盤あたりの記憶が抜け落ちている。この薄味さと偶然的要素が事件を複雑にさせる感じ、既読作で1番近いのは『四つの兇器』かな。「大好物のザリガニスープ(まずそうw)に手をつけなかった」という謎から構築されるロジックは堅牢とは言い難い(好きな食べ物を最後まで取っておく私のような人もいる!)が、直感的推理としてはよく出来ており、良質なフーダニットものと言える。解説の霞流一氏はこの作風転換はクイーンの<奇蹟の1932年>に触発されているのではと推察している。
ヴァン・ダイン並に影の薄い語り手のランポール君、もうクビですか? |
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| No.465 | 6点 | 帽子収集狂事件- ジョン・ディクスン・カー | 2025/08/11 22:56 |
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| 読んでる途中に思い出したがこれだ!!昔読もうとしたけど途中から文章が頭に入ってこなくて断念したヤツ!!このオッサンはやめておこうと決意した苦き思い出の作品との思わぬ再会。新訳パワーでなんとか読めたが、ページ数が同じでもカーはクリスティーの2倍くらい時間がかかるようだ(笑)
帽子の盗難とデュパンシリーズの未発表原稿以外には特に目を引くものはなく、殺人事件は実に平凡なものです。また、道中は不可能興味を唆られるわけでもなく、『魔女の隠れ家』のような禍々しさもなく、一つ良さをあげるとしたら、舞台が霧が立ちこめるロンドン塔というところでしょうか。 フェル博士が「〜だわ。」とお嬢様言葉になる時が2回くらいあるのなぜ? 【以下直接的なネタバレ】 唐突に意外な犯人とそのアリバイトリックが示されて驚きました。今や犯行現場の錯誤はアリバイ崩しものの鉄板ネタなわけですが、江戸川乱歩が絶賛したのは当時としては初出だったからなんですかね?1934年なら既に手垢のついてそうなネタな気がしますがねぇ…それとも、不可能犯罪であることを強調せずにフーダニットとして勝負したことなのかなあ。もし始祖だったら+2点しますが、確かめようがないよねこういうの。 今作のフェル博士あんまいいとこなしだな。 |
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| No.464 | 7点 | 魔女の隠れ家- ジョン・ディクスン・カー | 2025/08/09 15:14 |
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| 監獄の長官を代々受け継ぐスタバース家のとある儀式と死に様に関する言い伝え、断頭台のある<魔女の隠れ家>の禍々しい演出がとても上手い。怯懦な女性と語り手との出会いからも壮絶な事件の幕開けを期待させる。冒頭から実に引き込まれた。私は古い作品を読む時に「この時代の作品の犯人の意外性といってもせいぜいコイツ程度だろう」という油断が生まれる。現代読者としての傲慢さが私を迷路に追い込むのだ。今作もまさかそんなサプライズがしっかり用意されているとは微塵も思わず、素直に感心した。アンリ・バンコランシリーズとは明白に違うというのはそういうことネ。
それは好ましいことだが、ダークヒーロー感のあるバンコランの方がフェル博士より好きだなあ。 あと古い翻訳で読んだからか、(めちゃくちゃ×3)読みにくかった。カーは一文一文が重く、やはり気軽には読めないので、連休中に読んでいこう。 |
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| No.463 | 7点 | ベンスン殺人事件- S・S・ヴァン・ダイン | 2025/08/07 17:38 |
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| 綿密に計画された犯罪は個の心理から構築される唯一無二の芸術品…心理の追跡は物的証拠や状況証拠よりも尊い…
なんと心理探偵は1926年に既に誕生していたのか。ポアロが心理云々を重視するようになったのは確か中期あたりから(?)だし、ロジャー・シェリンガムとはどっちが先なのだろう。 黄金時代の幕開けと称されているが、幕開けから既にこんなに皮肉られまくってるのジャンルとして煮詰まりすぎだろう。やや弱めの多重解決要素まであるし。今や英国のバークリーと共に米国では忘れ去られた悲しき作家らしいが、いまだに本格が根強い孤高の島国ではいつまでも読まれ続けられるのではないか。 |
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| No.462 | 7点 | ナイルに死す- アガサ・クリスティー | 2025/08/05 17:50 |
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| はっきりいって今までのクリスティー作品の中でダントツで面白かった。親友に婚約者を奪われた哀れな女性の行く末に心を揺さぶられた。無限に拡散していく人物相関はどこに着地するのだろう?ととにかく夢中になって読んだ。まだ著作を5分の1も読めていない私だが、読んだことない方にクリスティーのおすすめを聞かれたら現時点では真っ先にこれをお勧めすると思う。
【ネタバレ強め】【シリーズ過去作ついても触れるので注意】 肝心な時に限ってピタリと当ててしまった。当てたくなかった。なぜ当てられたかというと同シリーズの過去作にほぼ同じと言ってもいい犯人の設定と動機があるからだ。どうしてもその作品の使い回しという印象が拭えない。緻密に計画した犯行のはずなのに、あの(5分の空白)には確定的な要素がないとも思う。確かに過去作品よりは、経緯が詳細に描写される分、真相は効果的に映るし、ロマンスとしてもビターなエンディングも好みだ。過去作品さえ読まずに本作だけをつまみ食いしていたら、他の名作に並ぶ評価だったのが悔やまれる。でも、本作の持つ魔力に惹かれて、必ずいつか再読してしまうと確信している。 |
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| No.461 | 5点 | もの言えぬ証人- アガサ・クリスティー | 2025/08/04 00:49 |
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| 遺産相続をめぐる利己的な一族の話で、『邪悪の家』ってタイトルはこっちの方が相応しそう。事件は老女の転落事件と病死のみで、ポアロが容疑者と話して情報を引き出すだけで500ページ以上引っ張られるのはさすがにしんどかったが、犯人の意外性はある。この感じのズラし方は久々かな?引っかかった。
影が薄くなってきたヘイスティングスが今作でほぼリタイアと聞いてやや寂しくなる。助手による記述形式は手がかりの与え方、ミスリードの手法に限界がきたのかな。 ※直井明氏の解説で『カーテン』に関して超重大なネタバレを喰らったような気がします(大泣) 問題なければいいのですが… |
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| No.460 | 6点 | ひらいたトランプ- アガサ・クリスティー | 2025/08/03 14:39 |
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| 全く知らなかったがオールスター編だったのか。普通に容疑者4人以外のレイス大佐とか疑ってたぞこっちは。初耳のブリッジはクリスティーオリジナルゲームかと思ってた。面白そうなのになんで日本で浸透してないんだろう。2vs2のゲームで1人休憩てよくわからんな。
他の方もおっしゃっているように、ゲームから容疑者の心理や性格を分析するスタイルは『カナリヤ殺人事件』や『心理試験』を想起させるが、それ一辺倒にはならず、容疑者4人の過去の犯罪にも焦点を当てている分、説得力があると思う。後ろめたい過去のある4人の容疑者をポアロが聴取で追い詰めていく展開も高度な騙し合いとなっている。フェミニストの推理作家はやや浮いた道化として描かれているので、完全に投影しているわけではないのだろうが、推理作家の苦労やポリシーが伝わってきて楽しい。 ブリッジ知らなくても結構面白い。ブリッジ自体も多分ポーカーより面白い。 |
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| No.459 | 7点 | メソポタミヤの殺人- アガサ・クリスティー | 2025/08/02 22:14 |
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| いやあ面白かった。クリスティーって東野圭吾と同じで会話文中心で一気に読ませる力があるから広く親しまれているんだろうな。映像も映えるし。本サイトの国内国外書評数1位がこの2人なのも納得。
【ネタバレ】 元夫が姿を変えて容疑者の中に紛れ込んでいるかもしれない!て展開は最近読んだカーの『夜歩く』みたいで興奮した。食傷気味の入れ替わりもこうやってあらかじめ提示されていれば許せる。 ポアロシリーズにしては珍しく半密室で不可能犯罪が取り入れられている。執筆当時ですらそこまで斬新でもなさそうだが、これがあるだけで嬉しい。被害者の人となりや背景を探ることで浮かび上がる真相とポアロの推理というよりプロファイリングが面白い。それまで和気藹々としていたのに被害者が輪に入るだけで調査団員同志がギスギスする…これは現代でいわば"サークルクラッシャー"てやつだな。にしても作者は恋愛沙汰好きすぎるね |
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| No.458 | 6点 | 雲をつかむ死- アガサ・クリスティー | 2025/08/02 15:07 |
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| 1935年のポアロ中期作。『ABC殺人事件』の前なのか。日本では『ドグラ・マグラ』が発表された年だと思うと、意外と我が国のミステリーも先進性があるというか本国イギリスに健闘しているな。
【ネタバレのようなものあり】 列車内では飽き足らなくなったのか、遂には天空で殺人事件が起こる。メイントリックはその綱渡り的な面も含めて実にホンカクミがあって好感が持てた。吹き矢とハチのアイデアはミスリードとして十分に機能している。 ただ人物関係でよくやるアレは流石に食傷ぎみだ。いくら当時の戸籍制度・身分制度・捜査手法が杜撰でも、流石にこれを見逃すことはないだろうと思う。『オリエント急行』と同じように、捜査編もかなり退屈。 |
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| No.457 | 5点 | 光のアダム- 中井英夫 | 2025/07/27 00:28 |
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| 森の廃屋に住んでいる名家・瀬良家に魅入られた美術評論家と失語症の画家。二人はそこで世にも美しい妖精のような人ならざるものを幻視する。
おお!とらんぷ譚よりもさらに反地上的な幻想小説。本作は"地上"というワードを現実という意味で多用する。主人公は"地上"の時間に囚われた人間なのに対して、失語症の画家は異次元へと飛翔する天使に近づこうと…うん、なんかよくわかんねーけど終盤はやたら俗っぽく・・・地上っぽくなる。話の掴みどころはないが、幻想文学ってこういうものか。あの世とこの世の境目のような雰囲気を出すのはうまい。"地上"の代名詞である主人公が傲慢で煩悩にまみれた性格なのはわざとなのだろう。 |
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| No.456 | 6点 | 無実はさいなむ- アガサ・クリスティー | 2025/07/26 16:45 |
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| まだほとんど読めていない戦後のクリスティー作品の1つ。
舞台は『ねじれた家』で形式は『そして誰もいなくなった』みたいな感じだった。最近は初期のポアロシリーズを読んでいたので、ガラッと雰囲気が変わって面食らった。資産家夫婦の5人の養子の人間模様が複数視点で丁寧に描かれ、まるで自分ごとのように読ませてしまう力がある。日本の新本格作家(好きですよ)に足りないのはこういうところなのだろう。 親の愛情は子にとっての束縛となる。血の繋がっていない親ならなおさら倒錯した感情を抱いてしまうのだろう。犯罪をゲームのように楽しむフィリップだけがこの重さにそぐわずかなり浮いている(てかちょっとサイコっぽいw)。得意の恋愛描写も健在だが、最後は少し雑かな。 パズル好きの私の嗜好とは少しズレた作品だが『ねじれた家』と共に自著ベスト10入れているのも何となく頷ける。 |
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| No.455 | 7点 | アミュレット・ワンダーランド- 方丈貴恵 | 2025/07/26 01:10 |
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| アミュレット・ホテルの続編。前作が小ヒットしたのもあり、売れ路線を狙ったか?本格度は前作より下がり、その代わりにエンタメ度がアップ。てことで贔屓しても7点に抑えておこう。
竜泉家シリーズはあまりキャラクターに愛着はないが、こちらのハードボイルド風なのに理知的なホテル探偵が格好良くて好きだ ドゥノット・ディスターブ 6点 生配信中に背後から刺された双子の片割れ。衆人環視の密室と鉄壁のアリバイだが実は〜のネタでズッコケ。ポイントは袖の内側に隠した両手から紐解かれるロジック。 落とし物合戦 7点 遺失物管理を担当しているラウンジ&バー『ブラック・カイザー』には高価なブレスレットと靴下の中に入ったぬいぐるみが届けられた。申し出た3人の中の誰が真の落とし主なのかを当てるフーダニット。その裏には正体不明の大泥棒・ニコラウスの影。舞台設定と謎のアンバランスさが愛らしく、著者らしく実にロジカルに解決されていく。犯罪者の楽園なのに従業員はほのぼのしてていいな。 ようこそ殺し屋コンペへ 7点 イタリアのマフィアの開催する殺し屋コンペにより、5人の刺客がアミュレット・ホテルの従業員・水田に襲いかかる。著者初のガン・アクション。方丈先生の端正な本格マインドを評価している身としては、あまりそっちには行ってほしくはないなと思いながら読んでいたが、推理を武器にするホテル探偵によるフーダニットに落ち着き安心。これは法月綸太郎へのオマージュ的なやつですか?? "ホテルのルールに守られているのは、宿泊客のほうなのだ" なるほどねぇ… ボマーの殺人 7点 アミュレット・ホテルを乗っ取ろうとする爆弾魔が最上階に出現。無数の容疑者から犯人を特定する鮮やかなロジックはいつも通りながら、49個の爆弾の中にたった一つ紛れ込んだ解除コードを探す力技とやや強引な10桁コードの推理もおまけつき。ホテル探偵による容赦ない拷問シーンがぜひ見たかったなあ(笑) 以上4編。『落とし物合戦』と『ようこそ殺し屋コンペへ』が特に面白かった。短編なので、事件の動機となるドラマや人間背景が薄っぺらく見えるのは仕方がない。ので続編は長編でどうですか(^^) |
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| No.454 | 7点 | 三幕の殺人- アガサ・クリスティー | 2025/07/23 22:49 |
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| ポアロが登場するまで約200ページ。日常でも何かしらの役を演じてしまう自己愛の強い俳優と人間観察が趣味の好事家による素人探偵コンビが活躍して新鮮。
【ネタバレあり】 ポアロを悩ませるのが聖人の権化のような牧師が殺された動機。これは良心が痛む凄まじい一撃だ。しかし、それよりどちらかというと2つの殺人の会食に居合わせた者を疑わせるというミスディレクションのためだったという動機の方が良かったのではないか? よくもまあこんな良作をポンポンかけるなあ いや今作に関しては「犯人はエッグでチャールズを自分の元に呼び戻すためだ」という確信があった。怪しいモノローグや独り言もあったし。だがクリスティーはそこまで甘くなかった。 |
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