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みりんさん
平均点: 6.66点 書評数: 533件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.153 4点 アンドロイドは電気羊の夢を見るか?- フィリップ・K・ディック 2023/07/22 17:55
こういう古典の金字塔的作品に低評価をつけると己の教養と読解力が浮き彫りになりますね。

放射線が降り注ぐ終末的な世界観に火星からアンドロイドが逃げてくるという SF要素。
で、なぜか動物を飼うことがステータスとなっている世界(これもよく分からん)で主人公は電気羊を飼っている。うん、ちょっと世界観が独特すぎるな。よう思いつくわこんなん。
オペラ歌手に扮したアンドロイドを処理するところまではついていけたんだけど、そこから置いてけぼりにされた。自分は「星を継ぐもの」みたいにわかりやすく謎の解明がないと楽しめないらしい…

テーマは電気動物→動物 アンドロイド→人間(とイジドア)の対比を描写する事でアンドロイドと人間には果たしてどこに差異があるのか、人間固有の特性とは何かを問いているっぽい。たぶん。"電気羊の夢"=本物の動物になることを指しているとすると「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」というタイトルは「アンドロイドは人間と同じになれるのか?」という解釈で良いのか?

No.152 8点 アミュレット・ホテル- 方丈貴恵 2023/07/21 01:14
敬愛する方丈先生の新シリーズ。『竜泉家の一族シリーズ』がどれも馬鹿みたいに面白かったので楽しみにしていました。楽しみにしていると言っても連作短編集なのでそこまで期待はせずに購入したけど、これまたエンタメの極地ですな。

〜あらすじ〜
そのホテルは犯罪者たちの楽園。
一、ホテルに損害を与えない
二、ホテルの敷地内で傷害・殺人事件を起こさない
2つの絶対規則を破ったらホテル探偵が必ず追い詰めます。

いや〜良いねこの犯罪者ばかりなのに殺伐としていない雰囲気のホテル。『竜泉家の一族シリーズ』はミステリとしては優れているものの探偵役の魅力がイマイチないな〜と思っていたのですが、本作の名探偵とアレを兼ね備えた主人公はかなり魅力的ですよ。主人公だけではなくホテルのオーナーや「一見さんお断り」に登場する語り手など愛らしいサブキャラも。

ここからネタバレ

「アミュレット・ホテル」ではお手本のような詐術。見事!

「クライム・オブ・ザ・イヤー」では主人公以外犯行不可能に思える状況で事件が起こり、主人公の過去や役職に就いた経緯などが明かされる。てかクライム・オブ・ザ・イヤーって…(笑)

「一見さんお断り」では愛らしい語り手がホテルに潜入すると人間消失事件が。二重リングのもたらす効果が素晴らしいです。これが1番お気に入りかな。

「タイタン」では金属探知機のある部屋にどうやって凶器を持ち込んだかが鍵となるド直球の本格ミステリ。しかし凶器のすり替えをどのタイミングで行ったのかがよくわからん。「タイタンの間」が1人になった時に凶器取り出したんだよね?その時はすでに被害者の周りに人がいっぱい集まってるはずだからいつすり替えられたんだ?再読の必要あり。

作者のことを鬼贔屓してるとは言え「孤島の来訪者」と同じ8点はさすがに甘すぎか… でも新作は1人の評価がそのまま作品の評点になるので甘めに(笑)

No.151 6点 赫衣の闇- 三津田信三 2023/07/20 04:11
むむ…どうやら物理波矢多シリーズの読む順番を間違えたらしいが特に問題はなし 

戦後の日本の闇市などがのさばる退廃的な雰囲気を存分に味わえました。どれだけ忠実に描かれているかはわかりませんが。物理波矢多シリーズはその時代のレトロな雰囲気と主人公の置かれた状況が魅力的です。刀城言耶は放浪してるだけなので…(笑)

そして切り裂きジャックや赫衣などは怪談としていつもより想像に容易くて怖いが、今回の殺人現場は三津田作品史上1番怖い(というかグロい)。動機はかなり攻めてるな〜という印象。ということで、作品の雰囲気やホラーは素晴らしいが、肝心の謎解きがほぼホワイダニットだけだとちょっと物足りなさを感じました。

No.150 7点 白魔の塔- 三津田信三 2023/07/18 23:07
物理波矢多シリーズ第2弾  ミステリ度低め
前作で炭鉱夫として活躍した物理波矢多が今作では灯台守に転職し、そこで灯台長の長い怪異譚を聞くことになる。その怪異譚はなぜか物理が島に来てから体験した怪異と酷似している。
いつもよりホラーが控えめで退屈に感じていたが、とある真実が明かされた時に前述の絡み合った謎が繋がり、真の恐怖が待っていた。最後の最後に白魔の塔が現れるところがこの目に浮かぶほど良いシーンです。
幻想小説ってこういうのを指すのかな…?

No.149 7点 黒面の狐- 三津田信三 2023/07/17 22:11
おお〜刀城言耶シリーズ以外の三津田先生の作品の中では最もミステリ度が高いのではないでしょうか。
戦後の炭鉱という視覚的にも社会背景的にも薄暗い舞台で密室殺人が立て続けに起こる。その動機はとある手記を読むまでは全く想像だにできないが、なかなかハードで社会派的要素を多分に含んでいます。
ラストでは、そこまでばら撒かれていた伏線やミスリードすらも丁寧に拾う物理並矢多の多重推理が刀城言耶を彷彿とさせます。

No.148 9点 私という名の変奏曲- 連城三紀彦 2023/07/17 00:12
こ、これは美しい…… 最終章は何度も読み返すことになるだろう。
【ネタバレします】



「なぜ犯人だと思い込んでいる人物が7人も存在するのか」という魅惑的な謎の解答は読んでいる途中で薄々見え隠れするが、トリックが本題ではない。何もかもが偽物で虚飾の世界に閉じ込められた一人の女性が奏でる変奏曲を作者の流麗な筆致に酔いながら最期まで見届ける作品である。
連城三紀彦のミステリ長編はあと何作品未読なんだろうと少し楽しみが減ってきた寂しさを感じています。

No.147 7点 わたしを離さないで- カズオ・イシグロ 2023/07/15 23:51
おお……これは手離しで面白いとは思わなかったけど心に残る小説だ。
夢野久作の作品もそうだったけど、100ページ読むのに2時間ほどかかってしまった。やっぱり現代的でライトな文体で殺人事件が起きないとなかなか読む手が進まないらしいw

「介護人」である女性の生涯がどこか淡白で諦観したような独白体で語られる。微笑ましい少女時代から始まり、読むごとに不気味さが増していくが、作者はこれをもったいぶらずにたった100ページ程で主人公世界における最大の謎が明かしてしまう。ミステリでは大オチに持ってくるところだけど、生命倫理や理不尽な運命に対する各々の姿勢が主題なんだろうね。ラストのマダムのキャシーに対する言葉は沁みる。

No.146 7点 禍家- 三津田信三 2023/07/13 23:28
これは面白い!
両親を亡くした主人公が祖母と引っ越しするが、なぜか近所の反応がおかしい上に怪異が主人公の身に降りかかる。その現象を探るべく街の歴史から調査していく主人公とヒロインだが…………
純然たるホラーとして読みましょう

No.145 6点 逢魔宿り- 三津田信三 2023/07/13 13:13
三津田作品を刊行順に読んでいこうと思っていたけど、評判良いので一足先に読んでみた

4つの独立した怪談短編集とラストに総括した「逢魔宿り」という構成 一番面白かったのは「予告画」
「蛇棺葬」「百蛇堂」での舞台「百々山」が出てくるのは嬉しいな
実話からどこまで脚色されているのかや全て作り物なのか気になるところ

刀城言耶シリーズでは「首無の如き祟るもの」くらいしか該当しないけど、三津田先生ってちょっとメタ構造好きすぎ。作家シリーズでは主人公が三津田信三でこの「逢魔宿り」も語り手は同じ僕=三津田信三なんだけど、この「僕」は作家シリーズの時よりメタ的に上位の存在な気がする。

No.144 6点 月館の殺人- 綾辻行人 2023/07/12 18:39
絵が可愛いし終始コミカルな雰囲気なんだけど、6人も死ぬ連続殺人事件の舞台には合ってないと思う。
本格ミステリとしてはなかなか楽しめた 上巻の最後に明かされる1つ目の仕掛けは特に

No.143 6点 クリムゾンの迷宮- 貴志祐介 2023/07/11 22:44
すごい評価だ 
デスゲーム系パニックサバイバルホラーかな 主催者の目的や裏側まで明かされないとモヤモヤしてしまうタチなので今すごいモヤモヤしてます。とはいえ水や食糧まで制限されたサバイバルものはハラハラするし、ラストの迷宮追いかけっこはゾクゾクします。 アボリジニのおじさんかわいそう…

「天使の囀り」と「黒い家」も楽しみだ

ネタバレ




やっぱり未知の化け物より人間ベースの化け物の方が怖いよね 

No.142 6点 世界でいちばん透きとおった物語- 杉井光 2023/07/11 20:03
暫定で今年1番の話題作ですね。たぶん。非常に凝られた力作であると思います。
前評判、前情報、なんなら帯すら目を通さずに読んだ方が良いです。

No.141 6点 スラッシャー廃園の殺人- 三津田信三 2023/07/10 23:35
面白かったけど怖かった。
スプラッターホラーというジャンルを初めて小説で読んだのですが、もう殺害シーンがグロくてグロくて少し痛みが紙面を貫通して伝わってきましたよ笑
そして「シェルター終末の殺人」と同様に三津田先生のホラー映画愛が止まらない(見たことある作品1つもなしw)
ただし、本作はただのスプラッタホラーでは終わらず仕掛けがたっぷり… 珍しくダミー犯人+真犯人共に的中したと思ったら見事に騙された。一通り読み終えてからプロローグを読み返すとおおおおそういうことだったのかと感心。

No.140 5点 シェルター終末の殺人- 三津田信三 2023/07/09 22:21
ホラー映画オタクの方は読んだ方が良い ホラー映画談義でめちゃくちゃ楽しめると思う。itとかミストみたいな超有名映画しか見たことない自分にはほとんどわからんかった。

核爆発によりシェルターに逃げ込んだ6人の男女間でなぜか密室+装飾の施された連続殺人が起こるというコテコテの本格ミステリ。状況設定は去年話題だった「方舟」に似ているし、ひとりまたひとりと殺されていく過程はホラーの名手三津田先生ならではのゾクゾク感でめちゃくちゃ楽しめてたんだよね。
でもごめんなさいオチがなあ…

No.139 6点 夏と冬の奏鳴曲- 麻耶雄嵩 2023/07/09 05:33
今読み終わったがダメだこれ面白すぎて笑いが止まらんw
「虚無への供物」を外して三大奇書に入れるべきだろう。
クローズドサークルの定番で始まり、20年前の事件のミステリアスさや首無死体+密室に興奮度は高まる。更にキュビズムを中心に"展開"だの"摂動"だのわけのわからん用語が出てくると、神秘的で純文学的な動機が潜んでいる予感がしてここで傑作だと確信する。9時間半の読書の末にはとんでもない真相が待っていた。

こんなに解説や他の方のレビューを見るのが楽しみな作品は始めてだ
解説サイト読んでだいぶ満足できたので+5 でも最悪のミステリ作品だと思うw

No.138 7点 陰獣- 江戸川乱歩 2023/07/07 21:26
三津田信三氏の「忌館 ホラー作家の棲む家」という作品の中でこの「陰獣」が絶賛されていたので気になって読んでみました。昔の作品だからか?120ページ読むのに2時間程かかってしまいました笑

【ネタバレがあります】


連城作品の耽美性を薄めて陰湿さを強化したような感じで、作品の雰囲気が独特で読み味がありますね。
そんな陰獣、派手なトリックはないもののラストの2転3転する多重解決と答えの出ない推理に悩み悶える主人公が印象に残りました。

もう一つの中編「蟲」では異常者の犯罪心理をたっぷり読ませられる。ここまで徹底されてるのは「殺戮に至る病」以来だ。これはまさに陰獣に登場した探偵作家、大江春泥の得意とする内容だろうか。

こりゃ乱歩作品他のも読まないとなあ。

No.137 6点 復讐は合法的に- 三日市零 2023/07/07 00:43
第21回「このミステリーがすごい」は「名探偵のままでいて」や「レモンと殺人鬼」が受賞したそうで(両方とも未読…)それらの作品には及ばなかったものの隠し玉として書籍化されることになったのが本作。

主人公の仕事や依頼の内容などがスピーディに展開される全体的に無駄がない構成。
【ネタバレします】


「女神と負け犬」では2年間彼氏に騙されたOLが依頼人。エリスの違法スレスレでどこかユーモアのある数々の嫌がらせを楽しめる。ラストのやりとりは痛快。
「副業」では"法律では問えない小悪党"相手にどうやって復讐するのか。そして小悪党の行なっている副業とは何か。ラストのエリスのセリフに痺れます。
「潜入」では小学四年生にしてエリスの秘書メープルの活躍が見れます。真相はなかなかアクロバティック。しかしこのアリスとメープルもなかなか複雑な関係そうだ…
「同類」ではいわゆる暴露系インフルエンサーの正体を推理する内容である。"同類"を追いつめる中でエリスなりの復讐への捉え方や仕事の流儀などが最後にわかる良い構成となっている。

シリーズならないかな。短編集ということでプロットはちょっと小粒なので、ぜひ長編を読んでみたい。
エリスとメープルの関係性とかも明かされるといいな
そしてエリスが好き。××だけど…いや××の方が良いか…

No.136 7点 百蛇堂―怪談作家の語る話- 三津田信三 2023/07/06 20:20
久しぶりに1000ページを超える超大作を読んで疲れました。
上巻ともいえる「蛇棺葬」は純然たるホラーで「百蛇堂」はミステリ的解釈も楽しめるホラーといった感じでした。名探偵ジャパンさんのおっしゃる「ホラー対ミステリ」が言い得て妙。
旧家の因襲が生んだ怪奇小説としても面白かったし、ラストに謎が解かれてから現れる恐怖が一番ゾッとしました。

作家シリーズはこれでおしまいか。まだまだあのキャラ達を読みたかった。

No.135 6点 蛇棺葬- 三津田信三 2023/07/05 13:46
百蛇堂で行われる百巳家の葬送儀礼が怪異を引き起こす和風ホラー作品
本作『蛇棺葬』では全くと言っていいほどその謎が明かされない。ホラーはホラーのまま終わるのかそれとも『百蛇堂』ではその謎が明かされるのかを楽しみに読みます。

百蛇堂を読みましたがここに多くの伏線が貼ってあります。

No.134 9点 作者不詳 ミステリ作家の読む本- 三津田信三 2023/07/03 03:20
めちゃくちゃ楽しめた
『迷宮草子』という妖しげな雑誌を読んだ者は、そこに収録された7つの短編の謎を解かないと怪奇現象に見舞われるという奇抜な設定。
つまり作中作(更に作中作中作もあったりする)が7つもあるのですが、続きを読む手が止まらない面白いものしかなくて、作者のアイデアの豊富さとこの作品に対する熱量が少し怖くなったくらいです。

ということで需要があるかわからない私的『迷宮草子』ランキング発表
1位 首の館 
完全な<テン・リトル・インディアン型ミステリ>と作中では定義され、たった100ページ足らずで『そして誰もいなくなった』のようなハラハラ感が味わえます。トリック・フェアさ共に見事。チャットが殺害動機かつ1人だけ別の場所で既に死んでいるという点で名探偵コナンの「奇術愛好家殺人事件」を思い出しました。

2位 子喰鬼縁起
不可解な赤子消失事件。 登場人物達の錯綜した思惑に解決編で一番唸らされました

3位 朱雀の化物
<テン・リトル・インディアン型ミステリ>その2なんだけど、これそして誰もいなくなったへのもうひとつの解答(短編だから許される!?)と言えるのではないでしょうか。そのくらい発明的だと思うんだけど、何如せん読書量が少ないもんでこれが初出なのか使い古された既出のネタなのかはわかりません。似たようなのはあったような…

ちなみに解決編を考慮しない場合、作中作として純粋に1番楽しめたのはちょっとお茶目な主人公が活躍する「娯楽としての殺人」 動機がないのが動機。それが『ゴラクトシテノサツジン』

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