皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
みりんさん |
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平均点: 6.65点 | 書評数: 464件 |
No.31 | 7点 | 写楽 閉じた国の幻- 島田荘司 | 2025/06/29 09:41 |
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読書メーターに私が投稿した感想を引っ張ってきてるので上巻と下巻に分けます。
<上巻> 10ヶ月で140作品を版行し、忽然と姿を消した天才浮世絵師・写楽は出自・経歴・人柄に至るまで全てが謎に包まれている。 Who is Sharaku? 今作はその200年来のミステリーが解かれてしまうのだろうか?歴史ミステリーゆえ敬遠してきたが、傑作の予感! ※ちなみに写楽が世界三大肖像画家の1人という言説は完全なガセらしい <下巻> "どのように考えてもどこかに破綻が生じ、隘路に迷い込む" かのアゾート殺人を彷彿とさせる歴史ミステリーだ。 あとがきによると初出の説でないことが悔やまれるが、"閉じた国の幻"をここまでドラマティックに演出した事で優れたエンタメへと昇華したと思う。面白かった! ところで島田荘司って高飛車で地位が高くて聡明でお嬢様系の強い女性に偏った嗜好があるよね。今どきこんな口調で喋る女の人いるのか?笑 逆にちょっと主婦に対して扱いが雑に感じる。 |
No.30 | 7点 | 御手洗潔のダンス- 島田荘司 | 2025/06/29 09:31 |
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タイトル通り御手洗潔が小躍りするような謎が詰め込まれた短編集 。どいつもこいつも面白い。
特に2つ。『山高帽のイカロス』は空を飛ぶ幻想画家が20m上空で死亡するという衝撃的な導入と真相でグッと引き込まれた。 『とある騎士の物語』くらい強引なトリックとロマンスが組み合わさると島田荘司といえばこれだなあと安心します。 |
No.29 | 7点 | 展望塔の殺人- 島田荘司 | 2025/06/29 09:28 |
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読み落としていた吉敷竹史シリーズ!しかし吉敷はほとんど名前だけの登場であり、シリーズものの楽しみはない。 表題作の展開は『奇想、天を動かす』を想起させる。受験戦争は「父親の経済力」と「母親の狂気」だと40年前に島田荘司によって既に問題提起されていた。 乱歩『目羅博士の不思議な犯罪』の島荘版とも呼べる『死聴率』や、亡霊と偶然と奇想が光る『発狂する重役』が特に面白い。 |
No.28 | 7点 | 切り裂きジャック・百年の孤独- 島田荘司 | 2025/06/29 09:27 |
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あの猟奇殺人鬼がベルリンにも出没。100年の時を経ても、人間の卑小さが不変である限り、時代の特異点のような凄惨な事件は起こり得る。世界で最も有名な未解決事件に本格味溢れる真相と雰囲気を味付けしたのは流石。今作のコンパクトさを御手洗潔シリーズでも見習って欲しいところ。解説でも言われている通り、島田荘司という作家は夢を託せるミステリ作家だなとしみじみ。 |
No.27 | 7点 | 天国からの銃弾- 島田荘司 | 2025/06/29 09:23 |
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粒揃いの中編が3つ。どれも平均以上に面白いが、表題作『天国からの銃弾』は出色の出来栄え。 高度経済成長期の魔都"東京"で蔓延る虚飾・天下り・利権・薬物・風俗を題材にここまでミステリーとして面白くするのは流石としか言いようがない。島田荘司の小説家としての最盛期はこのあたり? |
No.26 | 8点 | 天に昇った男- 島田荘司 | 2025/06/29 09:21 |
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珍しくミステリーではなく、冤罪や死刑制度に対するアンチテーゼとして書かれた作品(あとがきによると) 『涙流れるままに』などでも繰り返し用いられる島荘の一大テーマと思われる。今作は作品の雰囲気を損なうほど主張は強くなく、男の波乱の生涯と儚いロマンスにもの悲しくなった。 島田荘司って童話みたいなモチーフのお話が毎度上手くて引き込まれる。 |
No.25 | 8点 | 死者が飲む水- 島田荘司 | 2025/06/29 09:17 |
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トランクに詰められたバラバラ死体という猟奇的な幕開けだが、牛越警部の地道な捜査がメイン。官僚の天下り問題はこの頃から既に… 鮎川哲也『黒いトランク』が元ネタだろうけど、こちらも島荘流の流石のトリック。個人的にはトリックだけでなく、犯人の造形も強く記憶に残るものでした。白く舞い散る雪と犯人の中に燃えていた憎悪の対比がなかなかに印象的。 |
No.24 | 7点 | 殺人ダイヤルを捜せ- 島田荘司 | 2025/06/29 09:12 |
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これまたノンシリーズ。 この頃の島荘は女性一人称サスペンスものにハマってたのかな?「毒を売る女」や「幽体離脱殺人事件」と同様に虚言癖の奇女を描かせるとなぜこうも面白いのか。 ダイヤルには馴染みがないが、今でもブツさえあれば実現可能なの?時代を感じる。 |
No.23 | 6点 | 高山殺人行1/2の女- 島田荘司 | 2025/06/29 09:11 |
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初期の吉敷シリーズの様なタイトルなのに実はノンシリーズのサスペンス。 トラベルミステリーの時刻表系は退屈だが、正真正銘のドライブミステリーなので、話の展開もスポーツカー並みの疾走感があって心地良い。1980年代はいろんなジャンルに挑戦してるなあ |
No.22 | 7点 | 眩暈- 島田荘司 | 2025/06/29 09:01 |
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『占星術殺人事件』を読んだのでどうせならと『眩暈』も読んだが、こちらは初読時の感慨を偲ぶこともなく、淡々と読み進めた。手記の魅力もその真相も占星術には叶わないから尚更かな。中盤くらいにピークが来るので結構退屈。 教授と御手洗の精神分析や生物・遺伝学談義は興味深く読めた。 |
No.21 | 7点 | 水晶のピラミッド- 島田荘司 | 2025/06/29 08:58 |
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この頃の島荘は叙述が過剰気味なのがかったるいですが、謎の創出と演出がに関しては一流ですね、5000年間も謎に包まれたピラミッドの前には密室も天上溺死という異様な状況も霞む。
ピラミッド○○○説は作中でも示されているように無理がありましたが、密室の方にはガス置換で応用可能なんじゃないでしょうかね 先人が誰かやっていそうですが |
No.20 | 7点 | 暗闇坂の人喰いの木- 島田荘司 | 2024/06/01 22:17 |
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嗚呼…島荘より優れたトリックを生み出す作家は此の世に存在しないのだナ…そんな作家に早くも出会ってしまったワタシは不幸者なんだナ…
と『暗闇坂の人喰いの木』を初めて読んだ時は嘆いたものです。しかし同著者のアレや他の著者のアレを読んでから、再読するとまあまあ…いやしかし本作、そこ以外はもう死ぬほど面白い。冒頭から猟奇殺人に死体消失、にわとりが奏でるメロディ、巨人の家、そして人を喰う木。島田荘司は魅力的で神秘的な事象を生み出すと言う才能では群を抜いています。動機も『占星術』『斜め屋敷』よりも表層的でなく深い情念からくるものですし、トリックでは大きく劣っていてもこちらの方が好きだったりします。 レオナとか言う奴を思い出すため&書評残すために再読したけど、かなり時間かかった。671ページ8h44min読了。 |
No.19 | 8点 | 涙流れるままに- 島田荘司 | 2023/09/03 19:39 |
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吉敷竹史シリーズ第15弾
15作品も読んでられねーよって方は『北の夕鶴2/3の殺人』→『羽衣伝説の記憶』→『飛鳥のガラスの靴』と読んでから『涙流れるままに』を読むと満足度が上がると思います。 あと読んでないの自分だけかもだが、横溝正史の『八つ墓村』も読んでおくと良いかも。横溝代表5作(?)のうち唯一未読だったので近々読むのが楽しみになった。 |
No.18 | 6点 | 飛鳥のガラスの靴- 島田荘司 | 2023/08/29 22:11 |
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吉敷竹史シリーズ第14弾 宗肖之助氏による解説にはシリーズの第十作にあたると書かれているがこれ如何に?
『奇想、天を動かす』から始まった吉敷と主任との対立は深まるばかりです… 無事、犯人を突き止めるが、主任にギャフンと言わせるわけでもないので読者の溜飲は下がらん。が、あえてそうしているのでしょうね。根強く残る男性中心主義から徐々に性差が緩和される昭和から平成への移り変わり。その構造が犯罪動機を生み、悲劇をもたらすこともしばしば。日本という特殊な島国が内包するあらゆる問題について考えさせられる一冊です。 |
No.17 | 6点 | ら抜き言葉殺人事件- 島田荘司 | 2023/08/27 18:56 |
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吉敷竹史シリーズ第13弾
このシリーズの中で異彩を放っていて気になっていたタイトルでした。 「ら抜き言葉」を下品で軽薄で無教養で最低の言葉だとみなす「ら抜き言葉」撲滅論者vsら抜き言葉を使ってしまった人気作家の2人によるしょうもないバトルが繰り広げられます。ヒジョ〜に読んでいて楽しかったです。 |
No.16 | 7点 | 羽衣伝説の記憶- 島田荘司 | 2023/08/26 19:00 |
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吉敷竹史シリーズ第12弾 (どうやら『展望塔の殺人』も吉敷竹史シリーズに入るらしいので、過去のシリーズ第○弾と書いたのが1つずつズレている笑)
【ネタバレあります】 『北の夕鶴』以降シリーズ9作品を跨いで5年ぶりの登場となった加納通子。いやもう待望でしたよ。最近読み始めた私なんぞは10日ぶりの再会でしたが、シリーズ読者は待ち焦がれていたことでしょう。 そして、10日前に読んだ『北の夕鶴』の展開を結構忘れている私の記憶力に絶望しましたよ。 本編はミステリーが本当にオマケで、吉敷竹史と加納通子の5年ぶりの再会がメイン。『北の夕鶴』ではラブストーリーと事件がややミスマッチな感じがしましたが、こちらは程良い謎、程良い解決でした。麻衣子さん恐るべしです。 |
No.15 | 8点 | 奇想、天を動かす- 島田荘司 | 2023/08/24 17:55 |
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吉敷竹史シリーズ第10弾
【ネタバレあります】 今まで密室殺人、死者の亡霊、人間消失、列車消失と数々の不可能状況を演出してきた作者はシリーズ10作目で「もうこれ流石にオカルトに頼らないと解決不可能だろ」ってレベルの謎を提示してきます。 特に"トイレからの人間消失"の不可能っぷりには蟻の這い出る隙間もありません。あるけど。 しかし、ここまでされるとハードルが上がりすぎて、この世の法則を捻じ曲げてしまう程のトリックを期待してしまいました(タイトル的にもね)。解決編は驚く部分もありましたが、やはり即席の殺人なのもあって少々チープな真相も… あらゆる不可能状況は連動していて、一つの真相で全てが解けるタイプの方が私は好みなんだなぁとふと思いました。そういった観点では『北の夕鶴』の方が好きかな〜とか… 社会派との兼ね合いも難しいところだとは思いますので贅沢な要望ですが(笑) 遊郭の情景描写や社会的背景の蘊蓄、『冤罪』や『日本人の罪』をテーマにした社会派要素、最後の吉敷竹史の信念など島荘ベストに上げる方がいるのも不思議ではありません。しかし、これに満点をつけるのは自分自信を騙しているような気がするのでこの点数で |
No.14 | 6点 | 幽体離脱殺人事件- 島田荘司 | 2023/08/22 05:56 |
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吉敷竹史シリーズ第9弾
関西弁の女が強烈すぎて電話シーンだけで既に面白かった。『毒を売る女』でひたすら梅毒を移そうと奮闘するヤベー奴がいたけどあいつより印象に残った。 「女の親友同士は結婚する相手に、その男っぷりも経済状態もあまり差がついてはいけないということだ。相手と同程度の男と一緒にならなくてはいけない。」 そうなんですか世の女性の皆さん |
No.13 | 5点 | 夜は千の鈴を鳴らす- 島田荘司 | 2023/08/21 04:57 |
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吉敷竹史シリーズ第8弾
この作品『異邦の騎士』と同時期なのか・・・『斜め屋敷』〜『異邦の騎士』の間に吉敷竹史シリーズが7作品も出てるなんて当時はゴリゴリの本格モノはやはり嫌われていたんでしょうかねぇ… 今作トリックはわかってしまったけど、小説として楽しめましたよ |
No.12 | 6点 | 灰の迷宮- 島田荘司 | 2023/08/20 11:58 |
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吉敷竹史シリーズ第7弾
【ネタバレがあります】 こういうフーダニットでもハウダニットでもなく"独立した個々の不可解な事象に関連性を見出して一つの連続的な真実を導き出す"系のミステリ(名称あるのか?)が読んでる途中は1番モヤモヤします。そのモヤモヤに対して解決編で得られるカタルシスは少し足りなかった。そして、吉敷竹史の思考回路は少し飛躍しすぎというか御手洗潔に片足突っ込んで来てる気がしますね… ピタゴラスイッチとかアレとか諸々。 偶然要素は多いですが、良くできてるとは思いますし、最後の電話はウルッときましたよ。まあ満足です。 いや、満足じゃねぇ。『北の夕鶴』で登場した元妻の通子はいつ登場するんや。あんな良いキャラを使い捨てはやめてくれ〜シマソ〜と思いつつ続きも読みます。 |