皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
Kingscorssさん |
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平均点: 6.42点 | 書評数: 96件 |
No.36 | 3点 | 黒い仏- 殊能将之 | 2020/08/28 22:55 |
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殊能将之さんの超ファンです。個人的には7点なんですが、普通に考えればどうしても低くせざるを得ない… 理由は超有名なバカミスだからなんです。そのバカミスの中でも栄誉ある”壁本”(読んだあと壁に投げつけたくなる本)なんです。
石動戯作シリーズ第二段の今作。前作『美濃牛』は重厚な本格ミステリーでした。今回もその流れを組んでます。”途 中 ま で は” 途中でえっ?っていうシーンが出てきて、そこでもうこの流れはバカミス収束すると想像できます。が、結末はその想像を遥かにぶっとんだトリック。 あ り え な い ! 読んだ人の半分は読了後、壁にこの本を投げつけたい衝動に駆られることでしょう。。。(でも本自体には罪がないから投げないで!) 途中までかなり本格チックに行ってたのに何故こういうことをしてしまうのか!氏の技量なら絶対本格ミステリーのまま終わることもできたはずなのに何故! 答えは殊能将之さんだから。しょうがないんです。。。このバカトリックをするためにあそこまで仏像のこと、時代背景等を研究されたりして誠心誠意、洗礼された文章、構成で持って行って、最後こういうありえないことをしてしまう。。。 個人的にはバカミス大好きなので面白かったんですが、真面目に読んだ人にはかなり衝撃的な梯子外しをしてしまうのでご注意を。あくまでバカミスとわかった上で読んで下さい。歴史に残るバカミスです。 |
No.35 | 7点 | 美濃牛- 殊能将之 | 2020/08/28 22:39 |
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殊能将之さんのファンなので点数は甘めです!
デビュー作のハサミ男とは違い、本作は横溝正史テイストでじっくり読ませる重厚な作りの本格ミステリー。探偵役の石動戯作が初登場でここからシリーズ化します。 あらすじをざっと書くと、岐阜の山奥で趣味?で養牛業を営み、飛騨牛ブランドを目指すもなかなか認定されなず、猟奇的な見立て殺人に巻き込まれていく一族。飛騨牛になれない美濃地方の牛は美濃牛と揶揄され、この地方の伝承話を見立てて次々に殺人が行われる。。。 どうです?ちょっと読みたくなりません?美濃牛とミノタウルスを掛けてる辺りセンスバツグンだと思います。金田一耕助シリーズをかなり意識した作りになってます。 ここからは個人的感想を。全体的には超面白いんです。ただ、ところどころ残念なところも… かなり長い話なので、冗長で無駄な部分が多々あり、石動戯作がちょっとユルい系のキャラなのでテンポが乱れます。まぁあの緩さが石動戯作の魅力なんですが。最後の結末にほんのちょっとファンタジー(非現実)要素入るのでそこはあまり好きじゃなかったです。あと俳句に興味が無いのでその下りはあまり好きくなかった… 他の書評見てもあまり評価の高い人はいないので残念なんですが、もう少し評価されてもいい作品だと思います。とにかく殊能将之さんはセンスが独特な著者だと思うので是非読んでみてください! |
No.34 | 8点 | ハサミ男- 殊能将之 | 2020/08/28 13:20 |
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殊能将之さん、めちゃくちゃ好きなんです。。。唯一著作を全部読了してる著者なんです。もう氏の新作を読めないと思うと悲しすぎる。。。(ノД`)シクシク
さて、メフィスト賞受賞の氏のデビュー作で出世作でもあり、一番の人気作でもあり、代表作である今作。核心的な内容は書けないので感想をいくつか。 いや、もう素晴らしい。この手の叙述ミステリーの代表格で、必ず名前の上がる作品。もうプロット自体がすばらしい。文章もデビュー作とは思えない文体で、ひたすら読んでて引き込まれます。未読の人はレビューとか絶対見ずに必ず読んでください!!! ファンなので個人的には10点あげたいんですが、冷静に分析するといくつか構成上の不備も。。。個人的に気になったのは自殺のシーンの繰り返し(自殺方法が毎回違うのだが)が毎回パターンになってて読んでて飽きてくるのと、最後の真相のシーンがちょっとわかりにくいかなぁーと。 既に色んなミステリーを読まれていると、あまり面白さを感じないかもしれません。今作発表時はサイコパス主人公もこの叙述もわりと目新しかったんですが、20年以上も経過した昨今では似たような設定、トリック、プロットは巷に溢れており、必ずどこかで目にしているはずです。しかし、未読の人は是非、殊能将之さんのセンスに触れてください! あ、あと実写映画化した関係者の皆さん、猛省してください! ヽ(`Д´)ノプンプン |
No.33 | 4点 | 丸太町ルヴォワール- 円居挽 | 2020/08/28 12:36 |
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どんでん返しが有名なこの作品。読了後に感じたのは、ただただ疲れた倦怠感。
今作の評価の大部分は最後のどんでん返しの連発をすごいと思うかどうかと、キャラクターに感情移入できるかだと思います。著者は畳み掛けるようなどんでん返しの連発で、読者を驚きと混乱の渦に誘うのを狙っているんだと思いますが、個人的にはしつこすぎて最後の方はもう早く終わってくれと願うばかり。街中でしつこく勧誘してくるチャラ男のごとくウザかったです。そのどんでん返しですが、手垢の付きまくった叙述ばかりで、わかっても特に驚くようなものでもなく、何回も繰り返されると出来の悪いマジックを何度も見せられてるように、ひたすら演者が飽きて早く終わってくれるのを願いながら待つしかありません。 キャラクター達も、誰も彼もかなり狙ったもので、受け入れられないと出てくるたびにその部分を飛ばしたくなり、彼らが発する気取ったセリフを読むたびに疲れます。 また、全体に文体がにライトノベル調で読んでて辛かったです。ライトノベル風の設定や文章、個人的に苦手なんです… 京都を舞台に行われる架空の裁判儀式上で、ある殺人事件を題材にガチンコ議論対決というプロットがちょっと新鮮だとおもったんですが、よく考えたらこれ、カプコンが出してるゲーム『逆転裁判』の舞台を京都にしただけなんじゃ… 本作を面白く感じる人は、ライトノベルが好き、深夜アニメ好き、どんでん返しのジェットコースターを苦に感じない、カプコンが出してるゲーム『逆転裁判』シリーズが好きな方たち。。。だと思います。プロット、構成、トリック、基本的なところはどれもしっかりしているので好きな方が多いのも頷けます。 個人的には今作は全然合わなかったんですが、それだけで批評を書くと失礼に当たると思うので、時間があるときに続編も全部読んでみたいとおもいます。 |
No.32 | 8点 | しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術- 泡坂妻夫 | 2020/08/26 23:21 |
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これはすごい!歴史上唯一無二のトリックではないだろうか?真似しようとして思いついても実際やろうとは絶対に思わない。なぜなら死ぬほどの手間と労力がかかるからだ。
この本の醍醐味は最後まで読まないと味わえない。道中のミステリー部分はさほど目新しいものでもなく、”ページ数が短い事も手伝って”ふーん…可もなく不可もなくかな程度であっという間に読了してしまう。最後も特に大どんでん返しでもない。ただ親切にも仕掛けを教えてもらえるだけである。けど、最初はなんのことか理解できない。しばらくして、え?もしかしてそういうこと?と、確認すると。。。 ( ゚д゚)ウワァァァああああああああああああああああ!!!!! となる。気持ち悪い。トリックがエグすぎて本当に気持ち悪い。ある意味知りたくなかったほど気持ち悪い。例えは悪いが、よくある?会社でお茶を部下のOLに頼んでたけど、実は嫌われてて雑巾の絞り汁をこっそり入れられてたのをそのOLが退職した後で知ったときのような衝撃だ。この仕掛に全く気づかず最後まで読んでしまった自分がなんと間抜けなこと… 天国で泡坂妻夫さんはさぞニヤニヤしてることでしょう。 もう一度言わせてください。小説としては失礼ですがそこまで面白味もないんです。本当、普通のミステリー小説。ただ、最後まで読んでこの仕掛けを知ったときのあの感情(感嘆か嫌悪かは置いといて)を是非味わってください。マジシャンでもあられた泡坂妻夫さんしかできない唯一無二の仕掛けです。 もし、もう一つの仕掛けの方も施された限定100冊の特別版とかあるなら10点でした。流石にそこまでは無理だったか… 残念… |
No.31 | 8点 | アクロイド殺し- アガサ・クリスティー | 2020/08/26 16:05 |
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言わずとしれたアガサ・クリスティーの傑作中の傑作。
内容に関しては少しも書けないのでただただ読んでとしか言いようがない。 書評的には衝撃的なラストを活かすために淡々とした語り口で事件が進むのであまり面白さを感じにくいのがマイナス。ただ、それはもう仕方がない。あのネタを活かすためなのだから。 今なおフェア、アンフェアの議論が絶えないのは別の視点でいえば名作の証拠。99.9%の作品は世に出て1年以内に語られることはなくなるのですが、この作品は人類が滅ぶまでミステリーファンの間で語られることでしょう。 この空前絶後の結末は一部の人には壁本となるかもしれませんし、昨今ではこのネタをパクったトリックやプロットが溢れているので目新しさを感じない方もいるでしょうが、この手の騙しの原点というべき古典なので是非、是非読んでほしいです。 |
No.30 | 10点 | そして誰もいなくなった- アガサ・クリスティー | 2020/08/26 01:39 |
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説明不要の傑作中の傑作。今なお同じ設定や同じトリックがパクられまくり(リスペクトと言う名のもとに)使われまくられる超超有名な作品。古典中の古典。
内容は説明不要。未読の人はとにかく読んでください。この作品含めて、もしアガサ・クリスティーの作品に使われるトリックやプロットにパテントがあるなら世の中のミステリーの半分は特許違反でなくなるんじゃないでしょうか。 もし初読みして、どっかで見たことあるトリック、あの作品やあのドラマと似てるから面白くなかったという人たち、いやいや、全てが二番煎じでパクリですから。 個人的に残念なのが内容ではなくて、人種差別問題のせいで島の名前や人形の名前が何回か変更になってること。最初はニガーでもちろん即アウト。その次はインディアン島、インディアン人形に変更され、これも差別でアウト。現在は兵隊島、兵隊人形になってます。なのでハヤカワ文庫の清水俊二訳をおすすめします。 いや、もう未読の人は必読です。アガサ・クリスティー古典四天王(他はアクロイド殺し、ABC殺人事件、オリエント急行殺人事件)のこれを読まないとミステリーは語れません! |
No.29 | 6点 | 魔眼の匣の殺人- 今村昌弘 | 2020/08/26 01:12 |
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デビュー作である前作のプレッシャーがある中で出した続編の二作目。うまく雰囲気等の流れを引き継ぎ、シリーズとしての方向性(斑目機関を背景に超常現象を絡めた本格ミステリー)も決定づけた今作。
あっぱれな出来だと思います。しかし、やはり前作ほどのインパクトがない分トーンダウン。ただ、シリーズの根底の超常現象を絡めたミステリーとしては発想力が卓越しており、今回も素晴らしい構成だと思います。次回以降もなんの超常現象が絡んでくるのか楽しみです。 個人的に残念だったところはラノベっぽいやりとり(好きな人には悪いが…)部分が増えたところ、本格ミステリーにありがちなミッシングリンクで結ばれてた関係者たち全員が偶然一箇所に集まってしまって閉じ込められるという安易な設定や、たくさんある偶然&アクシデントに対して瞬間的にトリックを天才的考察でひらめいて即実行できる行動力バリバリで機転がききまくる犯人、お決まりのベタな叙述等に多少興ざめしましたが、最後のどんでん返し的終わり方は良かったです。 高評価されてる人ばかりの中で言うのは恥ずかしいですが、最後のやつがなかったら割と駄作だったと思います。最後のやつの説明で犯人のリアリティのなかった犯行動機にもすこし現実味が湧きましたし。 何にせよ次回作も期待大です。 |
No.28 | 7点 | 屍人荘の殺人- 今村昌弘 | 2020/08/26 00:56 |
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デビュー作とは思えない素晴らしい出来。あの奇抜な設定は漫画とか映画ですでにたくさん似たようなものがあるので目新しいとは思わなかったが、ミステリー小説でやるのはかなり珍しいので新鮮。(有名なあの作品とは趣旨が違うし)
鮎川賞を受賞しただけあって設定以外は奇抜なことはせず、本格ミステリーとしてキチンと機能しており、物語の構成を含めても完成度はかなり高い。 あえて言うなら少しラノベっぽい文章の言い回しの部分が個人的に嫌いなのと、トリックやプロットの根底がベタすぎてその辺は全く新しさがないこと、犯人の動機があそこまでの犯罪を犯すに値しない現実味のなさ等が気になりました。特に犯人の動機。あんな動機で人殺しまくるなら自分だったら今まで100人ぐらい殺してますよ…(~_~;) 何にせよ安心して楽しめる作品なので必読です。ちなみに実写化映画も拝見しましたがあっちは1点で。全く原作愛がなく、設定も変えまくりでどうしようもないダメ映画でした… 容易にお金のため何でもクソ実写化しちゃう日本映画界の未来はまだまだ暗い。 |
No.27 | 6点 | 神様ゲーム- 麻耶雄嵩 | 2020/08/24 16:54 |
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不思議な読後感。結局神様の正体はなんなのと煮え切らない。
結末も2通り考えられるので読者に委ねるということでしょうか。 読みやすく、ページも短く、サクッと読めるのでおすすめです。可もなく不可もなくといった内容ですが、とても不思議な感覚でした。 続編は未読なので、はたして神様の正体は判明するのか楽しみです。 |
No.26 | 6点 | 翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件- 麻耶雄嵩 | 2020/08/24 16:46 |
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出だしから重厚な本格テイストでワクワクしながら読むも、最後の真相やトリックに興醒め。
もちろんバカミスにもよく分類されるこれらのぶっ飛んだ設定が好きな人も多いかと思いますが、せっかく正統派本格テイストで来てたのをわざわざああいう形で壊さなくてもと思ってしまった。また文章もデビュー作なのでところどころ稚拙、または無理に格調を意識してあって読みにくい。 ただ、処女作でこの完成度のものを書き上げた才能は疑う余地のない素晴らしいもの。構成自体もしっかりしていて、日本ミステリー史を語る上で外せない作品だと思うので必読です。初読みのインパクトはかなりすごいと思います。好き嫌いは置いといて。 |
No.25 | 5点 | 死の命題- 門前典之 | 2020/08/23 20:55 |
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屍の命題(2010年新装版)の方を拝読。
バカミスに分類されがちな本作、そのとおりの結末なんですが、自分の中ではバカミスと言うよりは出来の悪い本格ミステリーという感じ。 確かに謎は興味を引くものでしたが、その結末や真相がちょっとありえないもの。うーん、なんというか偶然を2つ以上使うと最早ミステリーとして一気に白けてしまう気がするんです。 その他、気になったのは、最初の殺人までがかなり長くて冗長なのと、探偵がこんな偶然の重なりまくった真相をたったアレだけの材料で完璧に推理するのがありえなかったです。あと全体的にミステリーが薄味に感じました。 プロットは特に文句もないんですが、各人物の行動がプロットを成立させるために強引な行動をさせてしまうのにちょっと興醒めしました。 例)毒盛られたとすぐ気づいたのに、毒を吐こうとか治療しようとか思わずに超重労働の〇〇しちゃうとか。毒で苦しいのにそんな事できないと思うんです… 最初に読者への挑戦があり、まともに推理しようとするとバカを見るので真面目に読まずにバカミスとして読めばそれなりに面白いんじゃないでしょうか。割とぶっ飛んだ結末、ミステリー・リーグの叢書なので、そういうのが好きな人にもおすすめです。 ただ、自分はバカミスが好きな方ですが、これは合わなかったです。 |
No.24 | 7点 | 六枚のとんかつ- 蘇部健一 | 2020/08/22 23:13 |
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これは嫌われてもしょうがない。でも好き…
バカミスとは本来こういうものを言うと思うんですよ。最初のガッツ石松が笑えないなら最後まで楽しめないと思います。自分はガッツ石松がどストライクでした。たしかにそう聞こえる時がある。 地図のミスリードとか形見ただけで一瞬でトリックわかりましたが楽しめました。最後の九州の地図で終わるのがまた良い。その他のトリックも素晴らしいバカさで、さすがメフィスト賞受賞作です。 全体的に当たり前ですがコメディー調で、バカバカしい落語家の噺を聞く感じでとても楽しめました。…が、やはりマイナス面は文脈が稚拙(文庫版はかなり修正されてる)なのと、あまり面白くない短編もあり、中だるみしてしまうことでしょうか。 真面目にミステリーに向き合ってる人には完全に不向きでしょうね… ちなみに読んだのは文庫版の方です。単行本は文脈含めてかなりひどいみたいなので… |
No.23 | 5点 | 双蛇密室- 早坂吝 | 2020/08/22 12:57 |
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エロバカ本格ミステリーここに極まるという感じの出来だと思いますが、個人的に真相が気持ち悪すぎてちょっとドン引きしました。
構成、真相、すべてがありえないですが、ぶっ飛んでるので好きな人にはたまらないでしょう。自分もこのシリーズは割と好きなバカミスなんですが、今回はちょっと合わなかったです。 |
No.22 | 7点 | 誰も僕を裁けない- 早坂吝 | 2020/08/22 12:53 |
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前作のぶっとんだ設定はなかったこと?にされて新しく本格チックになったバカミス、上木らいちシリーズ。
バカミス部分がかなり減って好き嫌いが分かれそうですが、個人的には面白かったです。法律部分が稚拙、トリックが不完全等指摘する方がいますが、専門家でもない限りはそこまで気にならないかと。だって本格のトリックってどれもバカミスみたいなものじゃないですか。 時間のマジック、館マジック、法律の抜け道を融合させた見事な仕掛けだったと思います。文庫本で読んだので、単行本よりいろいろ加筆修正の分面白く感じたかもしれません。 それにしても前作の謎設定がなかったことになってよかった… あのままだとこのシリーズ終わりでした。 |
No.21 | 4点 | 虹の歯ブラシ 上木らいち発散- 早坂吝 | 2020/08/22 12:45 |
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前作からバカミスを進化させようとした野心作。
発想、構成自体はかなり冒険されていると思います。着眼点や構成自体は素晴らしいと思うんです。虹色の7色をお客の歯ブラシに見立てた短編7つで最後の話に収束されてく感じとか。 ただ、個人的にこの展開はちょっとないかなと思いました… 最後の方の展開が投げやりに感じてしまい、あんまりこういう方面には持っていってほしくなかったです。これ許すともう何でもありになって以降のシリーズを楽しむ気になりません。かなりぶっ飛んだ結末なので好きな方にはかなり好きな作品ではないかと思うんですが。。。 |
No.20 | 7点 | ○○○○○○○○殺人事件- 早坂吝 | 2020/08/22 12:36 |
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この作品は賛否わかれるので点数は当てにならないと思います。合うか合わないか。単行本、文庫本の両方読んだ感想です。最初に書きますが文庫本の方を激しく推薦します。
自分はバカミスがかなり好きで、この本もバカミスと知って読んだのでかなり楽しめました。タイトル当てもとくに当ててやろうと思って読んでたわけでもなく、バカミスを楽しもうと思って読んでいたので最後の1行には”おおぉ!”となり、トリックも馬鹿すぎて好感が持て、叙述部分にももちろん騙され、この愛すべきメフィスト賞受賞のバカミスの傑作をかなり堪能しました。 単行本を読んだときは主人公の喋り方がかなり鼻につき嫌だったんですが、文庫本ではその部分と全体的な文脈等がかなり修正されています。前半の冗長で退屈な話もスピーディーになり、新エピソードも追加され、文庫版のほうがかなりおすすめです。単行本だけを読んであまり面白く感じていなかった方も再読で文庫本読んでみてほしいなぁと感じました。 殊能将之さんのハサミ男(無理やり映像化しないで!)等と同じく絶対に映像化不可能(トリックを隠せない+倫理的な面で不可能)な叙述作品で、とにかく叙述部分がぶっ飛んでて面白かったです。好き嫌い分かれるエロ部分もちゃんと推理の枠に組み込んであって構成が見た目によらずかなりしっかりしていて読み応えがあります。 バカミス、エロミスが嫌いな方、苦手な方だとかなり評価が低くなると思いますが、おバカを堪能できる人ならかなり楽しめるんじゃないかと。 |
No.19 | 5点 | 武家屋敷の殺人- 小島正樹 | 2020/08/22 11:13 |
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やりすぎミステリーと言われているだけあって、本当に何でも詰め込みすぎ。単行本の方で読みました。
正直言うと、最後の解決編みたいなものまでは謎が多すぎて息苦しいが、どう着地するのか結構ワクワクしながら読んでいた。しかし、解決編が何度も二転三転する挙げ句、最後の最後の大どんでん返しの真実が出たときには、もうお腹いっぱいで驚かなくなってしまっている。そこに行くまでにたくさん料理(解答)を出されすぎて、最後のメインディッシュ(真実)が美味しく感じないのだ。 ミステリーの謎も、ほとんどが推理の土台になる登場人物の証言が嘘ばかり。推理する根本が成り立たず、読者には絶対正解を導けない。あの証言も嘘、この証言も嘘でしたのオンパレードでアンフェアと言っていいでしょう。しかし、探偵役の那珂邦彦は少し聞いただけで全てが完全にわかってしまう、ありえない推理力の持ち主。 そして、その探偵役とワトソン役の二人のキャラが全く共感できない。探偵はぶっきらぼうでなんに対しても投げやりすぎ。ワトソン役は弁護士なのに主語が”わし”、言葉の語尾は”〜っす”と読者から嫌悪感を誘う喋り方。その証拠に文庫本では標準語に変更されているようです。やはり不評だったのでしょう… 内容の方も、トリックは本格を意識した作りで賛否両論あるかと思いますが、もちろん現実世界では絶対やらないようなトリックでした。あと、詰め込み過ぎ以外に、ミスリードも兼ねていたとは思いますが明らかな余分なパート(断片1〜4)や、著者の趣味のカヤックを無理やり入れただけ感が目立ち、それらがバランスを悪くしてると感じました。 総評としては、たくさんの方が感じているとおり、何でもかんでも詰め込み過ぎでそれがかなりマイナスになっていると思います。文庫化の際に大分改修されているらしいのでまた機会があったら再読してみたいと思います。 |
No.18 | 7点 | イニシエーションラブ- 乾くるみ | 2020/08/21 23:46 |
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恋愛小説が全くダメななので、最後の一行に行くまでは2点。最後の一行で全てが変わると知っててもコロっと騙されたので10点。間とって7点ぐらいで…
いや、もう本当に最後の一行までは、ミステリー読んでるはずなのに全くミステリーじゃないし、なんて時間の無駄なんだろうと自問自答しながら嫌々読んでたんですが、最後やられました。素直に完敗です。 たしかにもう一度最初から読みたくなります。あんなに苦痛だったのに。 確かにちょっとフェアじゃない気もしますが、構成的には見事だったというほかありません。80年台の時代背景もうまく書ききってると思います。 日本のミステリー史に必ず残るであろうトリックなので、恋愛小説が苦手な人でも、是非めげずに最後まで読んでほしいですね。 |
No.17 | 5点 | カササギの計略- 才羽楽 | 2020/08/21 23:30 |
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普通の恋愛ラノベにミステリー要素を足しただけという感じ。ラノベっぽいから読む気は全くなかったけど、人からおすすめされたので読んでみました。
恋愛小説もライトノベルも超苦手なので、最後のどんでん返しネタまでは全くおもしろくなかったです。ただし、この手の小説をキチンと評価できる人ならもう少し点数が上がるはず。 一言でいえば、新海誠チックな恋愛アニメを活字にした感じといえばわかりやすいだろうか。まぁ映像でやるには難しいネタなので、この小説がアニメ化するのは無理かもですが。 ホワイトどんでん返し!と銘打った最後のネタは、どこかで見たトリック&展開でしたが、個人的にはよくできていたと思います。ただ、そこに行くまでの準備、過程、理由に納得できない部分が多数あったのは事実。プロット有りきで、後付けで話を作った感がするのが残念なところ。あと、主人公含めた出てくるキャラクターの殆どにあまり共感できなかったです。 個人的にこの手の恋愛小説は超苦手なのでこの点数です。イニシエーション・ラブ同様、最後のネタに行くまでは読んでて苦痛でした。恋愛小説&ラノベOKな人ならもっと楽しめるんじゃないでしょうか… |