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レッドキングさん
平均点: 5.25点 書評数: 825件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.15 5点 蠟人形館の殺人- ジョン・ディクスン・カー 2020/01/29 18:17
バンコランシリーズ第四弾。ミステリには「蝋人形館」「お化け屋敷」「廃墟」「ゲテモノ展示館」等のケレン味は欠かせない。かといってタイトル自体に「蝋人形館」「爬虫類館」謳っちゃうとねえ、ちと鼻白んじゃうかなと。話は面白いんだから、これに不可能犯罪が一つでもあったら満足できたかな。

No.14 5点 絞首台の謎- ジョン・ディクスン・カー 2020/01/14 08:54
天才ディクスン・カーの記念すべき長編第二弾! アンリ・バンコランいいなあ。惜しいことに滑稽味には欠けるが。

No.13 7点 夜歩く- ジョン・ディクスン・カー 2020/01/14 08:47
わがジョン・ディクスン・カーの記念すべき長編デビュー。当然に点数にはオマケが付く。
「真の恐怖は~滑稽とは無縁でなく・・」カーの方法論は既にこの作で確立していた。

No.12 6点 髑髏城- ジョン・ディクスン・カー 2019/12/19 23:54
怪探偵対決・・かたや「サリーちゃんパパ」魔王風貌アンリ・バンコラン、こなたナチと言うよりファシスト党隠れ幹部風ジークムント・フォン・アルンハイム男爵(実にいいなあ、この名前)
ライン河岸に聳えるドクロまんまの古城、髑髏城。伝説の魔術師の怪死、奇怪な名優の焼殺事件。隠し扉に抜け道、怪しさ満載の容疑者たち。ホラーとドタバタ、ロマンスとマザーグース童謡のごった煮。映画絵画超えて蝋人形館紙芝居レベルの高さにまで達したケレン味。これこそジョン・ディクスン・カーの・・・と言うよりミステリ本来の醍醐味。
惜しいことに、カーにとって最も大事な不可能犯罪がないけど大目に見ちゃう。

No.11 3点 死者はよみがえる- ジョン・ディクスン・カー 2019/10/26 15:37
思いもよらない真犯人、見返せば意味のある見取り図、登場人物全てが互いに互いを疑い合う状況・・「こういう状況を何と言ったらいいのか」「わしなら推理小説と呼ぶね」・・・この「落とし」だけのためにこれ書いたんだろな、カーさん。

No.10 6点 死時計- ジョン・ディクスン・カー 2019/09/28 07:43
古い時計の、狂い、よじれ、ねじけて噛み合わない歯車の様な登場人物達。誰もかれもが怪しく描かれる中で、「うさん臭さ過ぎる」キャラの一群が物語早々に容疑者リストから「お払い箱」になった後に、「いかにも容疑者らしい」キャラ群が残されるが、最後にカラクリ時計の「カラクリ返し」が待っていた。
これもカーのトリックとしては「スカ」な部類(〇〇道だの隠し〇〇〇だの、それ自体ペケだろう)の作品だが、面白かったんで点数はオマケ付き。

No.9 8点 囁く影- ジョン・ディクスン・カー 2019/09/03 09:22
オカルトとドタバタを両翼に、不可能犯罪トリック解明をエンジンにして飛翔するカーのミステリの中で、この作品はオカルトのみドタバタ抜きの片翼飛行で疾走する。そして切なく歪んだ心情とサスペンスが、ハウ・フーを超えて「いったい何が起こっているのだろう」のホワットダニットを噴き上げて行く。
ところでこの作のフェル博士にはいつもの魅力がないが、なんせ片翼のドタバタ自体がないのだからやむを得ず、ヒロインの魔力がそれを補ってあまりある。「あなたは彼女を愛してなどいないのよ・・幻想の女・・あなたの頭が創り出した夢の女よ・・ねえ、聞いて・・」「あの人が、どんな女だってかまわない。僕は、あの人のところに行く。」
嗚呼、「幻の女」「愚かなる男」

No.8 6点 魔女の隠れ家- ジョン・ディクスン・カー 2019/08/25 06:13
旧家継承のオカルト風秘儀に絡めた連続殺人。キャラ的に一番怪しい人物には鉄壁のアリバイが・・・。アリバイトリックは見事だが、「密室」「不可能犯罪」ではないのが残念。自決し損ねた犯人の情けなさがよい。
※ところでフェル博士って妻帯者だったのね。忘れてた。

No.7 6点 連続殺人事件- ジョン・ディクスン・カー 2019/08/17 17:59
鬱然たる塔つきの古城に三つの密室事件。もっとゴシックでオカルト風味な話になってもよいのに、展開は抱腹絶倒コメディ。フェル博士はじめ登場人物ことごとくが面白い。「他殺に見せかけた自殺」「自殺に見せかけた他殺」をめぐる解釈の行く末は、二つの密室「機械」トリックの解明で、そこだけ評価しても「まあまあ」といった感想になってしまうが、フェルの犯人に対するこの決着の仕方が大好きだ。

No.6 5点 帽子収集狂事件- ジョン・ディクスン・カー 2019/07/30 18:58
原タイトルは「マッドハッターミステリー」。マッドハッター!おお あの「きちがい帽子屋」か! で、「アリス」「あわてんぼうウサギ」「セイウチ親爺(当然フィル博士)」と、いかにもあの登場人物達になぞらえたキャラが出てきて、これに「首をお刎ね!」の「ハートの女王」なんかがそろってたら、まんま「不思議の国のアリス殺人事件」だった。
自作自演犯罪や過失の隠蔽、不倫、思いつめた金銭欲求といった複数者のちっちゃな行為の偶然の重なりが「霧の倫敦の不可能殺人」を演出してしまう。
ところで乱歩、なぜこれ「世界推理小説ベスト10」だかに入れたんだろう。これに、被害者が最後に目撃された場所と死体が発見された場所の「移動不可能性」でも描かれてて、あの場所移動トリックが絡めてあったとかならばともかく、これではカーの代表作というには、ちともの足りない。
想像するに、「ポーの世界最初のミステリー原稿」ネタが、乱歩の心の琴線に触れたのではないかと・・・。

No.5 5点 緑のカプセルの謎- ジョン・ディクスン・カー 2019/03/11 11:29
なるほど、毒殺の本質は虚栄心か。虚栄心から、ケレンミたっぷりの心理実験劇を演じる虚をつかれて、毒殺されちまう男ってのが、またエスプリ効いてて。
そういえばわが国でも「ヒ素カレー事件」って毒殺事件あったな。確かにアレもいろいろ「虚栄心」の臭いがした。

No.4 6点 皇帝のかぎ煙草入れ- ジョン・ディクスン・カー 2019/02/04 12:19
トリックもオカルトもなしのカー流「幻の女」風サスペンス。目と頭が認識した「個物」と「一般名詞」のずれと操作。タイプの違う二人の「ろくでなし」男と印象操作されやすい女。探偵とヒロインのラブロマンスのオマケ付き。

No.3 7点 曲った蝶番- ジョン・ディクスン・カー 2019/02/02 14:08
トリック自体は少年マンガレベルだろうが、登場人物ことごとくのフリークさがよい。特に主犯共犯の一見クールな異常さが素晴らしい。内容から言って「悪魔の人形」「金髪の魔女」とか妥当だろうに、このタイトル。オカルト趣味とトリックよりも、屈折した情念のドラマ重視の暗示とみた。

No.2 7点 火刑法廷- ジョン・ディクスン・カー 2018/05/30 17:53
カーの代表作と言われるが トリックにおいては「三つの棺」より数段落ちると思われ

No.1 10点 三つの棺- ジョン・ディクスン・カー 2018/05/21 22:37
あえて過大評価しよう。これぞ、トリックたるべきものがあってほしい姿。

追記:あらまほしきトリック。不可能現象「A」と不可能現象「B」が提示され、この二つを誤連動させることで不可能現象「C」を錯視させるようなトリック。

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レッドキングさん
ひとこと
ミステリは戦前の乱歩の様に 子供が親に隠れてコッソリ読むような、恥ずかしい存在でありたい。 ミステリ書きという驚異的な作業に神経を減らし 結果報われることの無いミステリ作家たちに心から崇敬を捧げます。 ...
好きな作家
ジョン・ディクスン・カー  PD・ジェイムズ  トマスH・クック  沼田まほかる
採点傾向
平均点: 5.25点   採点数: 825件
採点の多い作家(TOP10)
アガサ・クリスティー(88)
ジョン・ディクスン・カー(55)
エラリイ・クイーン(51)
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