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レッドキングさん
平均点: 5.25点 書評数: 817件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.357 8点 マツリカ・マトリョシカ- 相沢沙呼 2020/07/08 22:20
9点はつけられないが、困ったことに・・8点未満に下げる欠点が見つからない・・・。

No.356 3点 - エラリイ・クイーン 2020/07/06 20:28
殺された女の書き残したダイイングメッセージは「顔:face」だった。トリックはアガサ・クリスティーの十八番のあれだが、「不連続殺人事件」ラストの犯人セリフが連想・・あんな風にカッコよくないが・・された。
で、肝心のダイイングメッセージ種明かしだが・・・面白くない。
※クイーンにビートルズが出て来るとは思わなかった。息子の方はともかく親爺の警視って何歳設定なんだ?

No.355 6点 マツリカ・マハリタ- 相沢沙呼 2020/07/05 19:41
廃墟ビルに一人暮らす謎の美女:マツリカシリーズ第二弾。ヒロインの非現実度=メルヘン度はさらに高まり・・高まり過ぎて、逆に、前作でワトスン役少年を包んでいた不思議なオーラの方はすっかり溶けてしまい・・不思議事象解明のミステリ度は前作より高いにしても・・小説としては、うーん劣化かな・・と思わせておいて、最終編で見事なメルヘンに盛り上げ(不覚にも感動した)、さらにそれを長編ミステリへと収束させた。見事。

No.354 5点 マツリカ・マジョルカ- 相沢沙呼 2020/07/05 19:40
廃墟ビルに一人で暮らす謎の美少女安楽椅子探偵と、ワトスン役のシスコンうじうじ少年。不思議事象解釈の4連作短編が、最後に少年の姉を巡る長編ミステリに収束する。女高生マジシャンシリーズよりも、ヒロインの非現実性=メルヘン性が高いのが魅力的なのと、よりメンヘラ重度のワトスン役男子高校生が、最後に主役へと転身するミステリ展開が鮮やかなので、点数オマケ加算。

No.353 7点 仮面劇場の殺人- ジョン・ディクスン・カー 2020/07/03 20:46
劇場の鍵のかかったボックス席で、背中に矢を射られて殺された女。「密室」ではない。舞台に向かって大きく「窓」が開いていたのだから。殺害状況とアリバイの二つの「不可能性」解決がテーマの作品。
※これ、もちっとで「くたばれ健康法」とんでもトリックになれた(かな?) ただ、あのやり方で本当に背中から刺し殺せるのか?(ま、よいとしよう)
※同様な「半密室」不可能トリックを扱った「第三の銃弾」に比べて、トリック自体は見劣りするが、「第三の銃弾」が余剰部分を極力削った作品だったのに対して、こちらは約2倍の分量の、トリックテーマ外の「物語」たっぷりの作品で、そこが魅力的なので点数はオマケ加算。

No.352 7点 第三の銃弾<完全版>- カーター・ディクスン 2020/07/01 18:18
「密室状態」の室内に射殺された被害者と銃弾を発射した容疑者の二人。だが、被害者を殺した弾丸は、容疑者が撃った銃Aの銃弾aでも、室内で発見された別の銃Bの銃弾bでもなく、第三の銃弾cであり、銃Cは室内のどこにも無かった。トリックテーマ以外の余剰部分を極力そぎ落とした無駄のない長編ミステリ。
おそろしく手の込んだ、無意味で非現実的な「密室のための密室」「トリックのためのトリック」・・・素晴らしい!

No.351 4点 邪悪の家- アガサ・クリスティー 2020/06/29 00:28
探偵の現前で起きたヒロインの殺人未遂と人違い殺人。彼女には狙われるべき財産も、生じるべき感情的軋轢も乏しかった。探偵の丁寧な覚書付きフーダニットミステリ。容疑者はA~I、そこにJを加え、さらにKが・・
※1932年頃の中産階級「淑女」にとって、コカインだの麻薬パーティーだのって、結構普通の「文化」だったのね。

No.350 3点 最後の女- エラリイ・クイーン 2020/06/25 18:21
撲殺された大富豪のダイイングメッセージは「ホーム」(あほらしいが個人的に大受けした。ホー〇!) 容疑者は三人の元妻・・歌手、女優、看護婦・・二人の美女と一人の地味女。莫大な遺産の遺書を巡る殺人と見せかけて、意外なフー・ホワイダニット真相の結末は・・。書かれたの1970年か。このテーマ、60年代以前のピューリタニズム米国では書けなかったろうな。
※ところで、あのネタ、チャイコフスキーは有名だがベートーヴェンての初耳だぞ。

No.349 5点 帝王死す- エラリイ・クイーン 2020/06/23 18:54
なんと予告密室殺人。「密室」出すとポイント高いよ。二部屋の完璧な密室。一部屋には自称犯人と凶器の銃、別の部屋に撃たれた男と気絶した妻、いったい銃はどうやって移動し・・・でも種明かしには何の外連味もなく、「アメリカ銃の秘密」「孤島の鬼」の方がマシな位のレベルのトリックで・・・クイーンにカーを期待してもなあ。

No.348 6点 多々良島ふたたび ウルトラ怪獣アンソロジー- アンソロジー(出版社編) 2020/06/22 17:26
「タタラじま!」「怪獣無法地帯!」 その二単語あるだけで満足

No.347 6点 ホロー荘の殺人- アガサ・クリスティー 2020/06/19 21:56
ハンサムで仕事もできる開業医。不器用で地味な妻と、魅力的な二人の・・才能ある美術家と有名女優の・・二人の「愛人」。読者の誰もが予想する通りに医者が射殺され、傍らには拳銃を手にして茫然自失の妻。人間関係トリックでなければ、キャラ一捻りトリック・・プロット上、一番疑わしい立場の人物を一旦裏に隠すアガサ・クリスティー常套のトリック・・だが、今回は他の容疑者達もそれぞれのキャラが奥深く反転される。
「絶望とは、冷たい孤独の中に自分を閉じ込めること・・」
「私、何処へ行けばいいんでしょう? 何をすればいいんでしょう?」「さあ、お帰りなさい。あなたは生きている人の所へ行くのです・・」  不覚にも「感動」してしまった。

No.346 4点 死が最後にやってくる- アガサ・クリスティー 2020/06/16 21:06
なんと四千年(400年でなく)昔の古代エジプトが舞台。そこまで昔むかし大昔なら、もうSFレベルの異次元コード設定もありだろうに、そこはアガサ・クリスティー、遺産相続も絡んだ家族連続殺人ミステリに仕上げてる。「被害者候補=憎まれ役」濃度の高い順に家族が殺されて行き、犯人は現代「古典」ミステリの極めて分かりやすい王道だった。

No.345 5点 ロートケプシェン、こっちにおいで- 相沢沙呼 2020/06/14 01:04
女子高生マジシャンシリーズ第二弾。前作同様に「日常の謎」短編集が、最終話で長編ミステリに収束する。今回は各短編の頭に別人物の一人称叙述が連なり、当然、叙述トリックに備えたが、主語トリックに見事引っ掛かった。
読むに耐えないセンチメンタリズムの過剰さは、前作を大きく上回っているが・・・

No.344 5点 午前零時のサンドリヨン- 相沢沙呼 2020/06/14 01:04
女子高生マジシャンが探偵役の「日常の謎」短編集。第二話で「ん?青春説教もの?」と若干危惧させるが、第三話で苦い味わいに盛り返し、最終話で一本の長編ミステリへ収束する。ただ、あのワトスン役男子高校生のキャラは・・ま、目をつぶろうかな・・いくら未熟な少年とは言え、あんな感傷垂れ流しはちと耐えがたいのだが。

No.343 6点 愛と悔恨のカーニバル- 打海文三 2020/06/10 06:15
「アーバンリサーチ社」シリーズ第五弾。ヒロインの少女探偵が11歳の時に出会った初恋の美少年。再会は二人が19歳の時だった。極度に凄惨な猟奇殺人のハードボイルドバイオレンスにして、13歳違いの美しい姉弟の秘密を巡るホワイダニットミステリ。
「女は不安にかられて女になる・・赤いランドセル、スカート、可愛らしい下着。男も不安から男になる・・会議室で居酒屋でフットボール場で、男達は「肛門性交やりまくってる」、だが男が本当に望んでいるのは、お袋とやること、イヤ、お袋に犯されること・・・」 姉弟相姦の果てにあった究極のエロチシズムは、破滅的にして美味なる死への陶酔だった。

No.342 6点 ロビンソンの家- 打海文三 2020/06/10 06:11
17歳の若者が、幼少期に自分を捨て自殺した母親を追想する青春ロマンにして、母親:「順子さん」の謎を巡るホワットダニットミステリ。かつて、若者の祖母が己の夢を満たすために建てた不思議の家「ロビンソン」。そこで出会った脱俗的な叔父と従姉との奇妙なひと夏の甘い生活。そして、一年後に明らかになる「事件」の真相。
羨ましいぐらいに脱俗的なのは良いが、登場人物全員の話す言葉の悉くが「詩的」「哲学的」かつ「ロジカル」で、ここまで会話レベルの抽象性を首尾一貫させてしまうと、小説的リアリティが犠牲を被らざるを得ない。

No.341 6点 虐殺器官- 伊藤計劃 2020/06/06 15:47
近未来SFにして、世界各地に凄惨な虐殺戦争を巻き起こす謎の人物ジョン・ポールのホワイダニットミステリ。自分の手は汚すことなく、地域一帯に殺戮を生じさせる人物へのフーダニット興味は早々と解消してしまい、一番肝心なハウダニットは信じられないような「大言壮語」で終わる。ミステリとしては致命的、SFとしても大いに物足りない。※本来3点・・・ただ、ジョン・ポールの「WHY」、大いに身に染みたので、大いに点数おまけ加算。

No.340 5点 ハンニバル- トマス・ハリス 2020/06/01 18:42
ドクターレクター・・・深夜の古城で、瞳に赤い妖光を光らせ、バッハ変奏曲を古楽器で演奏する、優雅で高貴で超俗の食人鬼。愛するものは高級酒と豪華な珍味、かぐわしき香りにFBI捜査官クラリス・スターリング・・・人間離れした悪魔レクターを主人公にしたサスペンスロマン。だが、その悪魔もまた、痛ましき幼少期トラウマを引きずった、文学=精神分析上の対象・・すなわちホワイダニットミステリの対象である「人間」だった。殴り殺したくなる位の憎まれ役のFBI幹部に対する、レクターとクラリスの「処刑」場面がすばら・・もとい、すさまじい。

No.339 7点 しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術- 泡坂妻夫 2020/05/24 20:44
「イニシエーションラブ」も、「え? おおお!」だったが、これも話が終わって・・それ自体では3~4点かな・・頁を戻して、「え?・・うわあ!」だった。
こんな驚嘆すべき作業にも、これぽっちのオマケ点数加算で済まされてしまう作家に心底敬意を捧げたい。

No.338 6点 フロスト気質- R・D・ウィングフィールド 2020/05/24 08:06
勘と見込み捜査の警部フロストシリーズ第四弾。回を重ねるごとに頁数が増え、少年誘拐事件に連続幼児刺傷事件、少女誘拐強盗事件や連続窃盗事件も重なり、さらに余計な腐乱殺害死体まで出て来る多重エピソード並列が実に手際よく展開する。最後には冷静狡猾なボスキャラ・・小モリアーティの様な・・ボスキャラも出てきて、ただただ勘の人フロストとの虚々実々対決がサスペンスレベルに盛り上がる。憎まれ役の上司マレット・・責任は部下に押付け功績は自分で頂戴する・・署長マレットとの掛合い漫才はそろそろパターンが見えて来たかな、相変わらず面白いんだけどね。

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レッドキングさん
ひとこと
ミステリは戦前の乱歩の様に 子供が親に隠れてコッソリ読むような、恥ずかしい存在でありたい。 ミステリ書きという驚異的な作業に神経を減らし 結果報われることの無いミステリ作家たちに心から崇敬を捧げます。 ...
好きな作家
ジョン・ディクスン・カー  PD・ジェイムズ  トマスH・クック  沼田まほかる
採点傾向
平均点: 5.25点   採点数: 817件
採点の多い作家(TOP10)
アガサ・クリスティー(88)
ジョン・ディクスン・カー(55)
エラリイ・クイーン(51)
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