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斎藤警部さん
平均点: 6.69点 書評数: 1357件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.217 7点 魔術はささやく- 宮部みゆき 2015/08/04 06:27
詳細はおぼろげだが、素晴らしく愉しい物語だった事と、だいたいの雰囲気は憶えている。 そんな幸せな作品だ。 たびたび「龍は眠る」と記憶がごっちゃになってしまう。

No.216 7点 龍は眠る- 宮部みゆき 2015/08/04 06:26
詳細は忘れたが、素晴らしく愉しい物語だった事と、だいたいの雰囲気は憶えている。 そんな幸せな作品だ。 たびたび「魔術はささやく」と記憶がごっちゃになってしまう。

No.215 7点 用心棒日月抄- 藤沢周平 2015/08/03 16:06
連作短編集。 とは言え大きな一つの物語がその外側にある事は頭から示されている。 一つ一つの話に仄かなミステリーの香りが漂い、通して読むと背後にどうも、最初に示されたストーリーとはまた別の、共通の何事かが潜んでいる気配。 果たしてその行き着く結末は。。

江戸にて浪人生活の若き侍、青江。 彼は経緯有って国許の許婚、由亀の父親を斬り、仇討ちの刺客がひっきり無しに送られて来ると言う厳しい状況。 彼はその度ごと刺客を斃すが、もしも由亀本人が江戸に現れる事があったらその時はおとなしく仇を討たれようとの覚悟を決めている。
その日を暮らす糧のため、老獪な仲介人を通じ主として単発の用心棒仕事をこなす日々。 そのうち妙に吉良家と浅野家浪人達の対立に巻き込まれているらしい仕事が多いことに気付き。。 用心棒仲間の所帯持ち好巨漢細谷や、途中参戦の魅力的な女忍者佐知など(そして前述の仲介屋も!)脇役陣の働きぶりもすこぶる充実。 
全体で見るとなかなかに複重層的なストーリー展開ですが、一つ一つの短篇も読んでいてとてもスリルを孕んで愉しく、そしてそして最後のお話は。。

「用心棒日月抄」シリーズには続篇がいくつかあります(って言うこと自体、この一冊をミステリーの一単位として捉えると大きなネタバレなんだけど)。 やはりこれを最初にお読みになってはいかがかと。

No.214 8点 東京空港殺人事件- 森村誠一 2015/08/03 12:02
力作感漲る長篇です。 冒頭で、何処かで起きた航空機遭難事故避難者達の苦境を描写し、過去から現在に連なる因縁をこれ見よがしに暗示。 現在の羽田沖では同社の航空機が残骸となって見つかり、更にその数ヵ月後、羽田沖事故の調査を進めていた同航空会社重役が空港ホテルの(ご丁寧にも二重の)密室内で死体となり発見されます。 
露骨に「高層の死角」を連想させる殺人ぶりではありますが、社会派本格推理の歴史に欠かせない一冊である事に間違い無し。 森村氏渾身の剛速球を是非、受け止めてください。

No.213 7点 新幹線殺人事件- 森村誠一 2015/08/03 11:47
芸能界への偏見爆発! そりゃ社長連中は他業種に較べてもワルい輩が多そうだが(偏見済みません)、実際に動いてる芸能人達を包括的にそこまでボロクソに言わなくても。。「彼らは実際何の芸も無いくせに」とか言ったそばから「声色遣いの演技ならお手の物であろう」って、芸があるのか無いのかどっちやねん!!
ここまでトンチンカンな言葉の無茶攻めされると、平素より作品内でオブラートに包まずボロクソ言われている彼の大っ嫌いなサラリーマン社会も権力界も実は彼が貶すほど本当は悪くないんじゃないか、って一筋の希望が見えて来るような気さえします。

閑話休題。 そりゃ安っペラい所もちょぃとあるけど、まだ若くてギラギラした良さがあり、捜査途上こそが愉しいアリバイ系本格推理(社会派とは言い難い)として充実の一作だと思うぞよ。

No.212 7点 殺人鬼- 綾辻行人 2015/07/30 21:53
このアヤ子も嫌いじゃないよ。ホラーじゃなくて、叙述ミステリとして読んじゃったよ。ヘヘイヘイ。

No.211 8点 人形館の殺人- 綾辻行人 2015/07/30 21:52
こういうアヤ子も嫌いじゃないよ。「館」でこれをやったってちっとも構わないよ。あまりに見え見えのモノローグですぐ気付いちゃったけど、最後までドキドキハラハラだったよ。 キヨシの登場シーンは見ていて痛々しかったよ。

No.210 9点 イニシエーションラブ- 乾くるみ 2015/07/30 21:47
(ネタバレ無しに挑戦してみましたが。。 )

「いや、死人出てんじゃん!?」と反論しそうになった私は、甘かった。。。。 と思って念のため読み返してみたら、否やっぱり一人死んでました(まさか○○がグルになってとは考え難い)、ま読みが甘かったな。 終結近く、つい”うっかり”してしまった”悪人”(犯人??)も甘かった。 それにピンと来ない主人公(?)もどこまで甘いんだか。。とは言えその主人公(?)は読者と同じ視点にいないんだから仕方無いか。
でもね、実は死人は出てませんでした、ってするのも充分アリだと思うんだけど(そうすりゃ"悪人"の悪どさがより光るだろ)、タバコや便秘の伏線を活かすためには必要だった、って事かな。。

考えてみたら、SIDE-Bで急にミステリの話題が途絶えるのが最大の伏線だったのかな。。そこに作者の「本作はれっきとしたミステリ小説です!」という主張が陰画の形で隠れているのかも。

仕掛けに気付いてから、最後どうやって一切をバラすのかとわくわくドキドキしながら読んでいたら、、予想外の、一切の無駄を削ぎ落とした”第三者”の最低限の一言でそう来るのか。。 真相が分かってはいても、その想像外のバラし方に、読後しばらく心臓バクバクだったよ。 読了後、物語の意味が一変するのは喧伝されている通りだけど、変わるだけでなく物語の深みが少しずつ深くなって行きあわや溺れそうになるあの感じが好き。 決して底の浅い小説ではないと思います。

で、例の衝撃の一言だけど、”その人”じゃなくって、その人の”親兄弟”に言わせるって手もあったかもよ。 私が作者だったら父親の口から何気なく言わせてみたい。その方がきっと、よりガツーン!と来る。(でもそれだと、この独特の真相じわじわ感が弱まっちまうか。。)

さて、タイトル、けっこう深い意味があったんですね。 作中でこの言葉を口にした登場人物にいちばん好感が持てます。

本作が果たして「ミステリなのか?」と形而上的に悩んでしまう方がいらっしゃるなら、これは「日常の謎」に強烈な叙述トリックをカマしたミステリ小説、と解釈すればよろしいのではないでしょうか。
それにしても、長々と語らずにいられない作品。まだまだ色んな角度から言い足りない!(渋い所では連城の件とか。。)



【最後に致命的ネタバレ】

そもそも叙述ミステリそのものですよね、二股って。


No.209 5点 昼なき男- 島田一男 2015/07/29 14:06
二昔前、島田一男と言えばこれが代表作と目されていた記憶があるのですが。。存外、ミステリ要素は極薄。長い捕虜生活から、復興しかける日本に戻って来た男の使命は暗殺。本もいいが昔の映画で観たい犯罪アクション。
いつぞやのサマソニに持ってって、ビーチステージで寝転んで読んだものさ。

No.208 3点 影なき男- ダシール・ハメット 2015/07/29 12:27
萌えなかった。。のめり込めず。夫妻の会話が愉しいわけでもなく。
彼の作品は短篇がいいな。 でもこれラジオドラマで聴いたら面白いのかも。

No.207 4点 赤い収穫- ダシール・ハメット 2015/07/29 12:24
うむ、どうもいまひとつ、わくわく出来ないね。
ミステリ興味が薄いのは構わんが、小説として面白くない、いゃ私にゎ微妙に合わない。 映画で観たらきっと愉快だろう。
しかし、再読に食指が動く事も確か。これが名作オーラというものか。

ところで「Personville」を「Poisonville」と呼ぶ洒落は、日本で言や「鎌倉幕府」を「キャバクラ幕府」と言うようなもの? まさか。

No.206 7点 消え失せた密画- エーリヒ・ケストナー 2015/07/29 11:10
昔の創元さんでは帆船マーク(怪奇と冒険)でしたが。。これほどしっかりミステリとして構築された作品とは思いませんでしたよ! その濃密なユーモアは現代でも面白おかしく滑稽で、何度もプッと噴き出させていただきました。 主人公はいい年こいて家出した肉屋のおやじ(!) 小さな小さな美術品を巡り、おかしな窃盗団との騙し合い争奪戦と幾ばくかの淡い恋愛要素に旅情(何しろ国境またいで家出してる)まで絡めて、カラフルな物語はサプライズ&ハッピーエンディングまで可愛らしく緩むこと無く進みます。それにしても、ソーセージが実に旨そう。

No.205 7点 世界短編傑作集4- アンソロジー(国内編集者) 2015/07/28 18:43
フィルポッツの「三死人」は抒情性と文学性を備えた美しくもトリッキーな本格推理として忘れ得ぬ逸品。 まるで「戻り川心中」のよう。 私にとってのイーデンと言えば「赤毛」よりもこちら。
この抒情ミステリをアーネストとダシールの元祖ハードボイルド二巨頭が挟むという何とも文芸の薫り漂う出だし、とは対象的に後半は、後味の悪さや、如何に人を喰ってやるか、を俗っぽく追及したような作品が目立つ。もちろんそちらも悪くない。

No.204 6点 世界短編傑作集1- アンソロジー(国内編集者) 2015/07/27 21:35
大昔に読んだもの。当時から既に大昔の作品達でした。
美しさと悲劇性で印象に残るのが、アンナ・カサリン・グリーンの「医師とその妻と時計」。こういう萌芽期の匂いがするミステリ文芸は好きだ。 
他も、古式ゆかしい魅力の作品や、有名トリックのオリジナル作などいっぱい。

No.203 7点 黄昏の囁き- 綾辻行人 2015/07/27 17:49
色彩的記憶に残る、美しい作品。 雰囲気に呑み込まれました。
過去の出来事を、少しずつ再構築しながら。。 眞犯人のみならず、結末の意外性が光ります。
日本のサスペンスはこれだな。

No.202 8点 迷路館の殺人- 綾辻行人 2015/07/27 17:45
館、第三弾もやっぱり面白いです。 複雑構造の謎物語が意外にもスッキリ解決される様子に身をゆだねるのは気持ちが良いものです。

(以下ネタバレ有り)
「作中作中競作」のアイディアが魅力的ですね! まず「作中作中作」の企みを、上滑りすること無く具現化させているのが一番。そして「作中競作」の興味深さはえも言われず、もちろんその「作中競作」で目を引いておいて実はもう一つ外に「作」があったという結末に持ち込む綺麗なミスディレクション。そしてその「最外作」視点で語られる「真ん中の作」を書いた理由。。 いくつかの叙述トリック(さてそれはどの「作」にある?)も見事にやってくれますね。。

ところで最後に、まるで「作品」についてのコメントじゃなくて恐縮ですが、このまえ実家に帰ったら、昔置いてったこの本を父が読んでいてびっくりしましたよ。普段ミステリと縁遠い人が、よりによって。。 これ読んだ結果、脳が活性化して健康で長生きしてくれたらいいな。

No.201 8点 孤島の鬼- 江戸川乱歩 2015/07/27 17:20
我が変態人生永遠のバイブル。。 とは惜しくもなり得なかった本書ですが、流石に必読中の必読と言える内容を誇る一冊です。 本格ミステリらしい前半と幻想/怪奇/冒険小説風後半とで随分と様相が変わってしまう構成も大きな魅力。 冒頭に述される「妻の惨たらしい傷跡」の正体は。。まさかの逆転の発想、まさかの伏線!! 私はこの傷跡が「どうやって出来たか」を考えると、たしか何かのミステリ小説の「心理的物理トリック」に、これと一脈通じるものがあったよなあ、とうっすら思うんだけど、どうにも思い出せない。。
しかし、当時は伏せ字で済んだ本作も、現在なら発禁どころか出版不可ではなかろうか、少なくとも日本(語)では。。。。

(これよりネタバレの匂いがします)
それにしてもこの物語の主人公の立ち位置は不思議ですよね。「探偵役は誰か?」が途中までなかなか見えづらい物語だけど、「この主人公は果たしてワトソン役なのか?」「まさか実はこいつが眞犯人なのか?」なんて疑問も浮かんでは消え。。  
パット・マガーに「ワトソン役を捜せ!」なんて趣向の作品、無いんでしたっけ? とふと思ってみたり。

No.200 5点 六死人- S=A・ステーマン 2015/07/27 15:31
時代に先んじた企画性は感心ですが、滑り出しの雰囲気も悪くありませんが、
中盤からのサスペンス薄く、何より結末の意外性が欠けている。。。のではないかな。
旧い作品を読んだ感慨はあり、さほど酷い点数付ける程でもありません。

No.199 5点 殺人四重奏- ミシェル・ルブラン 2015/07/24 18:55
(ネタバレの一種でしょうか)

構成は面白いけど、その割に仰天するような筋運びや結末は無い。とは言え。。この軽さも悪くない。
悪いふうに映画界焼けしたバカな人たちばっかり出て来る(それも年長になるほどどんどんバカになる)なあ、嗚呼嘆かわしや、、と思って読んでたら中でもいちばん救いのありそうな若者が最後のオチで、まさかの。。
ま洒落てるっちゃ洒落てるね。 目論んだ完全犯罪は如何にして挫かれたか、というお話でしたがそれだけでもなく。。
そうそう、叙述トリックの人にとっては貴重なヒントがそこかしこに隠れている小説かも知れないね。この作品じゃそういうのは使ってないけど、「ここで、ナニをそうしないで、こっちの方でこうしちゃったら、あら立派な叙述トリックになるでないの!?」みたいにインスパイアされる人もいるんじゃないかしら、って思ったんだ。何しろ構成が構成だから。

No.198 7点 新参者- 東野圭吾 2015/07/23 19:02
「日常の謎」の連作短篇群、かと思うと前の話と次の話が連関していたりする、かと思っていると最後に。。 こりゃちょいとヤラレました。

泣ける場面も結構登場、爽やかで深みのある一冊。 君に、読んで欲しいんだ。。(誰だよ)

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斎藤警部さん
ひとこと
昔の創元推理文庫「本格」のマークだった「?おじさん」の横顔ですけど、あれどっちかつうと「本格」より「ハードボイルド」の探偵のイメージでないですか?
好きな作家
鮎川 清張 島荘 東野 クリスチアナ 京太郎 風太郎 連城
採点傾向
平均点: 6.69点   採点数: 1357件
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