皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
バードさん |
|
---|---|
平均点: 6.14点 | 書評数: 324件 |
No.13 | 6点 | 眩暈- 島田荘司 | 2024/11/10 21:58 |
---|---|---|---|
(ネタバレあり)
本作の一番の見所は序盤の精神病患者が書いたかのような文章が紐解かれていく点。良くも悪くも島田さんらしい無茶苦茶さは多々あるが、物語として面白かったので悪く言うつもりはない。ただし階数が一階多い事に誰も気づかない点はええ・・・、と思った。 また、各所あらすじでは『占星術』の名前を出していることが多いが、単にファンを釣る以上の意味は無かったのはちと残念。 今回6点としているが実際は6.5点くらいの感覚。あと150ページ短くまとまっていたら7点にしていたかな。『暗闇坂』に一歩及ばずだが、『水晶』よりは面白かった。 |
No.12 | 6点 | 漱石と倫敦ミイラ殺人事件- 島田荘司 | 2022/04/23 08:15 |
---|---|---|---|
一事件を二人(漱石とワトソン)が別個に語るので、そこの間にある齟齬を利用した叙述トリックでもあるのかと期待したが、そうではなく単にホームズ二次創作に漱石視点を組み込んだだけだった。
このように、こちらが勝手な期待をしすぎていたせいでやや肩透かしとも感じたが、一方で読み物としては中々にレベルが高く、本家ホームズの設定と夏目漱石に関する史実を上手く組み合わせて面白みのある物語を紡いでいる。 またページ数も多くないのでサクッと読める点もgoodで、悪い意味での二次創作感もほとんど無かった。 グダグダな要介護のホームズを読者が求めるかっこいい様で書いているワトソンの筆力は個人的に必見の笑い所。 |
No.11 | 6点 | 嘘でもいいから誘拐事件- 島田荘司 | 2020/12/02 06:35 |
---|---|---|---|
島荘小説の中ではお笑い路線な本書。
基本的には面白かったが、本当は真面目な人が頑張って悪ふざけしているかのようなぎこちなさも感じた。それでつまらなくはなかったので、別に良いのだけど。 ただ、本書はあくまで息抜き作であって島田さんはやはりシリアスな本格あってこそと改めて認識。恐らく、ユーモア方面で売り出していたら、今のような売れっ子作家にはならなかったんじゃないかな。 <個別の書評> ・表題作(7点) メインの仕掛けは実現性や分かりやすさの点から、短編での仕掛けとしていい塩梅。メインの謎が早めに提示されるので、ストレス無しにサクサク読める良短編。(後半の展開(鬼=○○)は予想通りだったが。) ・嘘でもいいから温泉ツアー(5点) 悪ノリ度は表題作よりも高いが、肝心のストーリーが微妙。 ぐだぐだな温泉の撮影描写やら、終盤で唐突に警官の婆さんが登場するやら、全体の流れがちぐはぐすぎる。それこそ、三太郎作の台本みたいだった。(寧ろこれは狙い通り?) 一方、三太郎への報復計画が語られるオチは好き。そりゃあれだけやりたい放題やってるキャラは多少痛い目にあってもらわないとね。 |
No.10 | 5点 | 北の夕鶴2/3の殺人- 島田荘司 | 2020/02/22 14:36 |
---|---|---|---|
吉敷シリーズ3冊目。
島田さんはロープを使った物体輸送トリック好きなのかな?同作者の短編集、『御手洗潔の挨拶』、にもほぼ同じネタがあったので本作は途中でトリックの見当がついた。大がかりだが、力業すぎて綺麗なトリックと思えなかった。 ただ本作の印象と違い、同じトリックでも短編集の方では悪くないと感じた。トリックにも親和性の高い作風、低い作風があるのだなあと痛感。(結局は魅せ方ってことなんですかね?) 勝手に予想しておいて天邪鬼かもしれないが、本作のようにびっくりトリックが売りの作品で予想した答えが正解じゃ面白みが無い。私の想像を超える真相を見たかった。 ストーリーや雰囲気は6点だが、上記のようにメイントリックで肩透かしをくらったので1点減点。 |
No.9 | 7点 | 御手洗潔の挨拶- 島田荘司 | 2019/02/22 05:27 |
---|---|---|---|
(再読シリーズ 1)
御手洗ファンならほとんどの人が楽しめるのではないかしら。自分は楽しめた。 御手洗のキャラが強いので、短編でも満足感がある。 「数字錠」 6点 : 御手洗が優しくて4話の中で、ストーリーは一番好き好き。ただし数字の組が10!個という嘘に警部も石岡君もだまされるというのは二人とも頭悪過ぎない? 「失踪する死者」 7点 : 斜め屋敷に通じるむちゃくちゃな物理トリックさね。あちらは納得できなかったが、こちらはありかな(笑)。(この差がなんなのかは自分でも良く分からん) 「紫電改研究保存会」 6点 : あまり言うことがない。 「ギリシャの犬」 7点 : 暗号が解けるとは思えないけど、ある程度納得できるからOK。たこ焼き屋盗難も最後にきちんと絡めてて良し。 |
No.8 | 6点 | 出雲伝説7/8の殺人- 島田荘司 | 2014/08/07 17:46 |
---|---|---|---|
しばらくミステリから離れていたのでリハビリとしてこの本をチョイスした。結論から言ってしまえばリハビリとして調度よかった、難しい謎過ぎずまたかといって複雑すぎないいい塩梅だったと思う。
しかし派手な事件の始まりに対してトリックは地味目というか良くも悪くも及第点といった感じ。出雲の言い伝えの部分に関しては深追いしすぎず小説への取り入れ方としては良かった。(最近の御手洗シリーズなどでは余計な話にページをさきすぎてる気がするので。) |
No.7 | 7点 | 寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁- 島田荘司 | 2014/03/07 22:04 |
---|---|---|---|
初吉敷シリーズ、御手洗シリーズを読むのは一端休みでしばらくはこのシリーズを読みたくなった。
ガチガチのアリバイものではなく時刻表とにらめっこしなくてよいので時刻表アレルギーの人でも読めると思われる良作、トリックはシンプルながらも上手いと思う。 ただ一つある部分で納得いかないというかアンフェアと感じる部分があったので一点減点して7点。あと最後、結局警察の罠だったわけだが九条千鶴子が実は生きていて更に凄いトリックを使っていたという場合も読んでみたい気もした。 |
No.6 | 6点 | 水晶のピラミッド- 島田荘司 | 2013/12/25 14:45 |
---|---|---|---|
事件が始まってからは一気に読ませられた。糸をとおす隙間さえないドアや空中回廊の高さなどでピラミッド側から水攻めしたんだろうな~、とは思っていたがまさかピラミッドが〇〇〇とくるとは想像もしてなかった。
まぁ結局斜め屋敷も真っ青なそんなトンデモトリックは使われてなかったのだが、真の謎解きも含めて事件発生~解決までは楽しめた。(ただ今回は真相を途中で当てさせる気は全く無いようだが。) ただ全体を通して長い、特に前半の300ページくらいは本当に必要だったのか?という感じ。ギザの昔話はともかくタイタニックは真剣に退屈だった、結局怪物のミスリード(それもそんなに上手いやり方じゃない)にしかなってないことを踏まえると長すぎた。それらを考慮すると前半3~4点、後半7点くらいで間をとって6点くらいという印象。御手洗というシリーズ補正もかけてこの点数、ミステリとしては評価に困る作品だった。 |
No.5 | 8点 | 死者が飲む水- 島田荘司 | 2013/11/07 00:38 |
---|---|---|---|
御手洗シリーズを含む2つのシリーズに出てくる普段はわき役の男が奮闘したアリバイトリック、鮎川さんの「黒いトランク」がモデルなのは明らかだがこちらを先に読んだ。
自信満々の推理をするも犯人に論破されかけるあたりが御手洗のような超人キャラとの差で言葉につまりながらもなんとか解決に近づいていく様子は読者も探偵役と一体感を覚えられた。探偵役のキャラが凡人タイプなので雰囲気は渋いがそういった味以外にも実はアリバイトリックが堅実でかつ島田さんのオリジナル要素も組み込まれていてアリバイものとしてはかなりの良作といった印象。 |
No.4 | 7点 | 暗闇坂の人喰いの木- 島田荘司 | 2013/07/24 07:48 |
---|---|---|---|
いくつかある謎の中で一番すっきりできたのは巨人の家の説明だった、あの発想はすごいと思った。
物語の中盤くらいから(刑事がでてきたあたり)は御手洗節も堪能できて大楠木による魔的な雰囲気も悪くなかった。 ただ殺害の方法や動機はだいぶ無理矢理な気がしたのとちょっと話が冗長と感じてしまった。 |
No.3 | 8点 | 異邦の騎士- 島田荘司 | 2013/07/14 14:12 |
---|---|---|---|
初期の御手洗シリーズ占星術、斜め屋敷、異邦の騎士の中で1番面白かった。トリックの鮮やかさ、大胆さでは占星術に及ぶことはないが読み物としてはこちらのほうがよくできていると思う。
普段純愛要素などミステリにおいてどうでもよいというスタンスの自分でさえ読了後は美しい話と思えた。 御手洗はいいやつだな、ただ自分みたいな人間じゃ全く興味も示してくれなさそう。 |
No.2 | 4点 | 斜め屋敷の犯罪- 島田荘司 | 2013/06/28 07:55 |
---|---|---|---|
占星術殺人事件に続いて読んだ御手洗作品、事前に調べた限りわりと高評価でそれに大好物な奇抜な館での連続殺人ものだったので期待して読み出した。
基本的にバカミスも好きで「こんなトリック無理だろ!」と突っ込むのはよくないとはわかっているがそれでもいいたい、あんな殺し方無理だろ! 島田さんの御手洗シリーズはすきだが、この作品はだめだった・・・。 |
No.1 | 8点 | 占星術殺人事件- 島田荘司 | 2013/05/09 00:05 |
---|---|---|---|
犯人とメイントリックが挑戦状の前で当てられた数少ない作品なので読んだあととても気分がよかった。
トリックあての難易度としては簡単すぎず難しすぎずでとてもいいバランスだと思えたし、それにとても本格らしいぶっとんだトリックだと感じた。 ただ最初の手記はとにかく読みにくく退屈でいざ話が始まってもわりと無駄話も多かった気がしてそこはやや残念だった。 だから周りの評価はとても高いが自分としてはこれくらい。(まあ8点つけてる時点でかなり楽しんでますけども。) |