皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
ミステリ初心者さん |
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平均点: 6.18点 | 書評数: 397件 |
No.13 | 6点 | ブードゥー・チャイルド- 歌野晶午 | 2023/05/26 20:22 |
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ネタバレをしております。
圧倒的な文章のうまさ…というか、読みやすい文章を書くことで(個人的に)定評のある歌野晶午さんの高評価作品! この作品も圧倒的な読みやすさですいすい読めました。そこそこのページ数があるにもかかわらず、読了までさほど時間がかかりませんでした。 本格色が強い作品を書くミステリ作家と思っておりますが、本作は他の歌野作品にくらべやや変わり種というか、本格推理小説というより2時間ドラマのような趣がありました。犯人当てやアリバイトリックや不可能犯罪とは違ったような。 とはいえ、前世を覚えている少年の謎や、それに関連した事件は魅力たっぷりで、ミステリの楽しさを存分に味わえました。 一方で、第一の事件で残されていた絵の真相についてはやや肩透かしを食らった感じでしたw また、ジュリアンの出生が明らかになった時、ボンクラの私も流石に真相に近いものを予想しました(逆に言うと、それまで全く思いつきませんでしたがw)。これは真相を予想するのに必須な知識であり、読者に提示されてなくてはならないデータだと思いますが、これを知るとネタがバレがちですねw 裏返せばフェアということでしょうね。 総じて、非常に読みやすく、かつ読後感も悪くない作品でした。このタイプであれば、最後にドカンと驚きの展開がもうひとひねり欲しくなってしまいますねw ただ、驚きが多すぎると、現実性が犠牲になったり、読者の予想が困難になりがちで、うまく作品として落とし込むなら本作のような塩梅がいいのかもしれません。 ちょっと辛めかもしれませんが6点とします! |
No.12 | 7点 | 安達ヶ原の鬼密室- 歌野晶午 | 2021/12/27 19:21 |
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ネタバレをしています。
歌野さんの作品は、一貫して文章が読みやすいです。この本も、読了までにさほど時間がかかりませんでした。 1つの長編の扱いかと思いますが、4つの事件(物語)に共通のトリック?が用いられており、1つ解けると大体が芋づる式に解けてゆきます(笑)。連作短編(中編)の趣がありました。 推理小説的要素について。 絵本風のナノレンジャーの話から始まります。この話は、最後の最後で種明かしされますが、それまでに3つの事件が解決さえれたあとなので、ナノレンジャー自体は伏線として使われている気がします。 ところで、髭のおにいさんは、どうやって井戸から水を出すのでしょうかね? サイフォンの原理?は、たしかより低い位置にしか水を運べませんよね? ポンプなどを使うのでしょうかね。 次に、メキシコ海岸の切り裂き魔の事件が始まります。タイトルとあまりにかけ離れた場面設定に面食らいました(笑)。 これも最後らへんに解決編があります。実は、まったくわかりませんでした(笑)。アメリカのハリケーンは、それほどまでに強力なのですね。 アメリカでは台風に人名をつけることを利用した叙述トリックが使われております。面白い試みですが、この話全体的には、ちょっと長すぎた印象があります。 158ページまでいくと、安達ケ原の鬼密室がはじまります。 戦中の日本の時代の物語であり、主人公が少年で、奇妙な館の奇妙な老婆がいて、少年が鬼を何度か目撃し、現地の子供は鬼の唄を歌い、老婆が客を殺す伝説?があり、アメリカ兵が迷い込んできたり…。非常にいろいろな妄想を掻き立てられる要素が多く存在し、わくわくしながら読みました。雰囲気が三津田信三さんの刀城言耶シリーズのようで最高でした。 密室殺人事件が起こった際に、私は中庭がプール化することに気づいたのですが、伏線は多かったため、フェアだからだと思います。河瀬が気づかないのはちょっと疑問ですが、河瀬は鬼や霊魂の存在を強く信じているからですかね。 ただ、細かい部分では不満があります。事故死が多いんですよね…。個人的には、殺意を持った犯人がトリックを使って殺人するほうが好きです。 途中、現代の話になり、そこでまた一つ事件が起こります。その解決で全体の"水によって運ばれる"という要素がばらされているので、細かい部分以外では実質の解決編といえるかもしれません。それ以外にはあまり印象に残りませんでした(笑)。 総じて、なかなか凝っている、良い作品だと思いました。安達ケ原の鬼密室パートが特によかったです。館もの・密室もの・パニックホラーとしても悪くなかったと思いました。 蛇足ですが、この作品で年間50冊読破達成しました(多分)!! 私は読むのが遅いうえ、筋トレ熱が上がってきているので、過去2年よりきつかったです(笑)。 |
No.11 | 5点 | ガラス張りの誘拐- 歌野晶午 | 2020/02/10 19:18 |
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歌野さんの作品はいつも相性が良く、読みやすさを感じていました。しかし、なぜだかわかりませんが、今回はやや読みづらかったです。理由はわかりません(笑)。 第二、第三の事件が第一の事件よりも早く書かれているという珍しい(?)構成でした。"どうやってやったのか?"や”誰が犯人(偽の告白文や誘拐事件の)なのか?”を問うよりも、”なぜこんなことをしたのか?”という動機面が一番大きな謎になっていると私は感じました。最後に書かれた第一では、これまでの不明な部分や犯人の動機と過去が明らかになります。 私は、第二の事件で現れる松浦梨花があやしく思い、露骨に疑っておりました(登場人物が少ないんであたりまえですが笑)。にも拘わらず、最後まで動機を察することができませんでした。動機には納得しました。 ガチガチの本格というわけではない作品なので、点をつけるのが難しかったですが、ちょっと辛めの5にしました。 |
No.10 | 6点 | 白い家の殺人- 歌野晶午 | 2019/11/20 20:48 |
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ネタバレをしています。
一族が館にあつまり、連続殺人が起こっていく。半クローズドサークル状態であり、しかもすぐに殺人があるので、非常にテンポが良くすぐに読了しました。 3つ殺人が起きます。それぞれ"密室"、"毒殺"、"足跡消失"系の謎であり、とてもボリュームがあります!! 第一の殺人について。逆さづりという奇妙な状態の死体に、初っ端からわくわくが止まりません。私は、なんとなく真相に近いものを思い浮かべましたが、やはり偶然の密室は好みではありません。偶然を使わないと、密室にした理由を説明しないといけない義務が発生しますが…(笑)。 第二の殺人について。第一よりわかりやすい偶然が発生するため、これもなんとなく真相に近いものを予想できました。しかし、犯人にとっての、不利有利関わらずアクシデントが絡むものは好みではありません(笑)。 第三の殺人について。屋上からつるしたことしかわかりませんでした。大がかりな仕掛けですが、面白かったです。本当に成功できるのかはよくわかりませんが…。 犯人の殺人に至るまでもよく書かれていて、横溝作品のようです。ただ、静香殺しの動機は納得できません…。 共犯、偶然があり、好みではありませんが、本格色が強く厚みのあるいい作品でした。 |
No.9 | 4点 | 密室殺人ゲーム・マニアックス- 歌野晶午 | 2019/02/06 20:37 |
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ネタバレをしています。また、前作、前々作のネタバレも少ししています。
非常に読みやすく、すいすい読み進みました。シリーズ恒例の特殊な設定も踏襲されています。 このシリーズは結構好きなのですが、この作品は好みではありませんでした。前作までは、各キャラクターの出題が短編集のように楽しめる上に長編としてもなにか大仕掛けがあるような感じでしたが、今作はそのどちらも楽しめませんでした。 解説をみると、この作品は外伝的作品で、4作目が本編&最終作らしいです。それに期待しています。 |
No.8 | 6点 | 世界の終わり、あるいは始まり- 歌野晶午 | 2019/01/18 20:05 |
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ネタバレをしています。
これまでに読んだことのないタイプの小説でした。いろいろな展開や、意外な結末があり、濃い作品でした。はっきりとはしないラストだったのですが、主人公の想像によって色んな結末が見れたため、これもありかと思います。 同作者の、"密室殺人ゲーム"シリーズとは、ある意味真逆な作品でした(私の勝手な感想)。 以下、苦手だった部分。 主人公が想像をめぐらす前の部分が、やや長いと思いました。 中盤まで、読むのに苦労しました。いろいろなことを想ってしまい、読むのが苦痛でした。 |
No.7 | 6点 | そして名探偵は生まれた- 歌野晶午 | 2019/01/13 14:45 |
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ネタバレをしています。
"館という名の楽園で"は過去に書評した事があり、端折ります。 ・そして名探偵が生まれた。 密室物ですが、それ自体は面白くありませんでした(笑)。話として面白く、アンチミステリ?的なお約束を裏切った展開は、ある意味、麻耶作品みたいでした(あまり知りませんが)。 影浦のキャラが面白く、殺されてしまったのが残念でした。師匠を継いだ助手が名探偵となる熱い展開だったのですが、やったのが助手なのはさらに残念;; ・生存者、一名 孤島サバイバルのサスペンス要素のおかげで、一気に読み終えました。話としても面白かったです。 しかし、"生存者が一人で、男性"であることが、途中で明かされる→しかし、島にはどこにもいない→胎児だった・・・という発想の作品は、他の作者の作品でも使われており、ある点でそのトリックに気づいてしまいました。その使い方は、他作品のほうが良いと思います。 爆破テロをして罪悪感を感じないようなクズ共が悲惨な目にあうのは、後味が悪くならなくてよいのですが、永友の胎児が死んでしまうことだけ心が痛みますね。 ・夏の雪、冬のサンバ キノシタがショーグンでないことは、なんとなく察しました(笑) 日本史のことはあまりよく知らない私なのですが、木下といえば藤吉郎ですよね。たしか、将軍になれなかったような気がします。 百万が"円"でないのも、なんとなく察しました。 後のことはわかりませんでした! まさか、卵が伏線だったのですね。 |
No.6 | 6点 | 館という名の楽園で- 歌野晶午 | 2018/12/28 19:23 |
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ネタバレをしています。
150ページ前後ながら、楽しめました。個人的には、推理小説としてでなく、通常の小説としての面白さも感じました。 メイントリック自体はすぐに思いつきましたが、いかに大広間が円形で模様など方角を混乱させる仕組みであろうと、簡単に騙せるものではないと思ってしまいました。つぎに、大広間が回転するのでは?とか考えましたが、動いたら揺れなどで簡単にわかってしまいますね。 役の人数を増やし、殺人数も増やし、こてこての密室(作中の昔話にはありましたが)なんかあったら、さらに私好みの館ものだったんですがw |
No.5 | 7点 | 密室殺人ゲーム2.0- 歌野晶午 | 2018/10/05 19:19 |
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ネタバレをしています。
長い停電のときに読んだためか(多分関係ない)やたら面白く感じました。 前作もそうでしたが、ザンギャ君の殺人が面白かったです。被害者の娘が脈を確かめるところまでいったので、結構きわどいと思いますがw 次に、コロンボの問題も面白かったです。普段、密室殺人と見せかけての自殺は嫌いな私ですが、設定が生きていてよかったです。ただ、殺す対象を顔写真付きで予告や、コロンボの受け答えが一方通行(コロンボのキャラがミスリード?)なことから、自殺であることがうすうす予想できてしまいました。土嚢がどうとか、細かい点は一切わかりませんが。 頭狂人のアリバイトリックは、なぜか前作も今作も気づいてしまいまた。なんとなく映像を使わせたこと、被害者をコントロールできる立場の人間が犯人であることなど。 aXe?の問題は、自分にはよくわかりませんでしたw 教授の癒し系問題の発展型問題を頭狂人が出していましたが、どっかでみたことあるな~と思ったら、近いものを同作者が書いていましたね。 そういえば、前作頭狂人は自爆して死んだぽいですが、他人を巻き込んでしまっていますね。直接爆弾を取り除こうとしたのでしょうか? あと、前作教授は死んでいない…?ので、最後のページは教授なのでしょうか?? |
No.4 | 4点 | 動く家の殺人- 歌野晶午 | 2017/12/09 02:41 |
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ネタバレをしています。
かなり読みやすく、自分にしてはわりと早く終わりました。 タイトルや冒頭の探偵の死、偽探偵のありそうな推理など、ミスリードが多くあります。だましてやるぞ!という意気込みを感じました。 私は、探偵の死(うそ臭い)から探偵が偽者ということを予想して、"探偵犯人物"か"探偵の推理が間違うorうそをつく"のような展開を予想しました。物語を読むと、探偵犯人物ではなさそうだったので、偽推理と決め付けていました。偽推理・真相ともにまったく当たりませんでしたがw(恭子犯人もあるのではないかと思っていました) 以下、気に入らない点 結局、他人に殺させた自殺のような真相ですが、タイトルの"殺人"はかなり際どい。ギリギリアンフェアと思いました。犯人が劇中の登場人物を殺人するという解釈…? ただどのみち結果自殺ものなので好みではありませんでした。真相を当てることも難しい。 |
No.3 | 5点 | 密室殺人ゲーム王手飛車取り- 歌野晶午 | 2017/12/03 23:26 |
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ネタバレがあります。
設定が凝っていて(?)かなり読みやすかったです。登場人物のキャラ付けや、しゃべり方の違いで、今誰が発言しているのかなどがわかりやすい。私のような、文章を読む力が乏しい人間にはありがたい。一晩で読んでしまいました。歌野さんの本と相性がよいようで、もっと読んでみたくなりました。 さらに、各登場人物の出題した問題が一つ一つの短編としても楽しめました。ザンギャ君の問題が一番の好みでした。コロンボもよかったですね。 こういう設定だと、"各登場人物が知らぬ間に会っていた"とか、"知らぬ間に殺していた"という展開はありがちで、あまり驚きはありませんでした。コロンボがいなくなった時点で、殺されたんだな→頭狂人は妹なんだなというのも予想できた展開で、驚きは少なかったです。頭狂人の特徴が男性的であり、男性と勘違いしてしまう叙述トリックのような趣がありますが、そのトリックは他にもっとよい小説があります。女性であることをにおわす伏線も少なかったように思えます。ですがさすがに教授がギャルとは予想外でした。 ザンギャ君のみせた、生首の下にドライアイスを設置して叫び声をあげさせるトリックは面白かったのです。しかしあれは実際できるものなのでしょうか?? |
No.2 | 5点 | 死体を買う男- 歌野晶午 | 2017/09/21 17:22 |
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ネタバレをしています。
作中作の中の作品は、時代背景や文の感じがとても読みやく、まったくストレス無く読み終えました。 双子トリックをミスリードに使っていて(私の勝手な感想)、双子といえば入れ替わる…厚化粧をした女性に化けた時点で入れ替わっているかと思いきや、父親と入れ替わるための女装とは! 一番気に入っている点です。そもそも、双子に化粧はいらないし、乱歩の"醜い"感想が違和感がありましたが。 ただ、作中作にありがちな、作中犯人が現実での犯人とリンクする点はありきたりだと感じました。どちらが直、均だという話も、事前に入れ替わったあとで…というのも、特に興味がなかったです(予想してませんでしたが)。乱歩の自殺をとめた際の裏投げが、とてもよい複線になっており、その点はかなりよかったです。 |
No.1 | 6点 | 長い家の殺人- 歌野晶午 | 2012/07/28 12:09 |
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面白かったです。ただ、ミステリファンなら、地図を見ただけである程度予想できるような気がします。それに、少しだけ強引なトリックかなと思ったりします。
斜めの屋敷より、長い家のほうが全然面白い |