皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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蟷螂の斧さん |
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平均点: 6.10点 | 書評数: 1679件 |
No.259 | 5点 | 虹果て村の秘密- 有栖川有栖 | 2012/08/10 19:16 |
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(ミステリーランド)「なぜ、現場を密室にする必要性があったのか?」 この謎をいろいろ検証し、真相に迫てゆく~このロジックの面白さを子供向けに解り易く描いています。ミステリー入門のお手本としてお薦めの作品だと思います。 |
No.258 | 7点 | 交換殺人には向かない夜- 東川篤哉 | 2012/08/09 22:08 |
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ドタバタにも違和感を感じることもなくなり、ツボにはまるギャグもあったり、だいぶ作風には慣れてきました。惜しくは、解決編が長いということです。叙述にはすっかり騙されましたが、もっと明確な伏線を提示してあれば、読者は解決編で細かく解説してもらわなくても済むのでは?と思う次第です。伏線の提示の仕方により、読後の印象はかなり違ってくるのではないのでしょうか・・・。 |
No.257 | 8点 | レオナルドの沈黙- 飛鳥部勝則 | 2012/08/09 13:01 |
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遠隔殺人?、異常な現場(さかさま)の謎から始まり、途中、探偵小説作法13箇条や読者への挑戦もあったりして、なかなか凝っている作品だと思います。真相はまず解らないと思いますが、解決編では、しっかりした伏線があったこと(フェア)を証明しています。「題名の由来」ならびに「世界の反転」(さかさまがテーマ)の講釈は画家でもある著者ならではのものかもしれません。終章で若干言い訳じみたものがありますが、海外有名作品のオチとは違いますよということでOKだと思います。 |
No.256 | 7点 | 怪盗グリフィン、絶体絶命- 法月綸太郎 | 2012/08/06 20:34 |
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(ミステリーランド)大人も充分楽しめた。著者らしくない国際謀略小説となっています。ミステリーランドなので、お色気がないのは致し方ないところです。第一部のゴッホの贋作にまつわる事件(それだけでも面白い)はとっかかりに過ぎず、第二部へと移行します。第二部では、裏の裏をかくという心理作戦が見事です。子供には理解できるかな?と若干心配もしました。 |
No.255 | 6点 | ほうかご探偵隊- 倉知淳 | 2012/08/06 14:30 |
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(ミステリーランド)本シリーズは子供向けであっても「毒があっていい」という編集方針らしい。しかし、著者の作風からそれは感じられず、やさしい感じのミステリーとなっています。本格要素はバッチリ入っていますし、ラストは二転三転していますので、ミステリーランドのお手本のような作品です。 |
No.254 | 4点 | くらのかみ- 小野不由美 | 2012/08/05 21:53 |
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(ミステリーランド)英文タイトルは座敷童子なので、こちらを主題にしてほしかったと思います。四人ゲームが五人になったことについて、子供たちの疑心暗鬼(誰が増えたのか?)がもっと前面に出れば面白かったのですが・・・毒草事件などに主題が移ってしまい、ややピントがずれてしまったような気がしています。「かつて子どもであったあなたと少年少女のための-ミステリーランド」前者にとっては、若干物足りないといったところです。 |
No.253 | 5点 | カーの復讐- 二階堂黎人 | 2012/08/02 18:12 |
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(ミステリーランド)題名はJDカーとは関係なく、古代エジプトの精霊「カー」のこと。主人公はルパン。前書きで「この本の原書(1911年)をフランスの古本屋で見つけ、それを少年少女用に翻訳した」とあります。後書きはお楽しみ。あらすじは、ルパンが古代エジプトの呪いと対決するものです。ミイラ男がある家族に復讐を果たそうとします。やがて密室での殺害が起き、その真相を怪盗ルパンが解き明かすというものです。密室の謎は「ホルスの眼」がキーワードとして登場します。最後は怪盗らしく、黄金の在りかも見つけます。夏休みの時期なので、幼少に戻り、図書館で「ミステリーランド」ものを数冊借りました。 |
No.252 | 8点 | 検察側の証人- アガサ・クリスティー | 2012/08/01 19:25 |
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1925年の作品を戯曲としたものらしいので、その時代を考慮すれば、法廷での細かい点はスルーしても良いと思います。非常によくできた短編(中編?)であると思います。この作品をモチーフにした作品を何点か読んでいるので、本筋(落ち)はなんとなく予想はできましたが、結末でのどんでん返しは、予想外で素直に参りましたと言いたいです。 |
No.251 | 6点 | 美奈の殺人- 太田忠司 | 2012/07/30 14:43 |
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「僕の殺人」(一人六役)に続く、ひと夏の青春ミステリー。夕暮れの海辺で、僕は美奈に出会う。その出会いが僕の17歳の夏を狂わせてゆく・・・。美奈に翻弄される主人公がうまく表現されていると思います。ブラックな結末ですが、作風(「僕の殺人」も同様)としてやさしさが感じられます。個人的にはブラックが好みなので、やさしさがない方が返って良かったのですが・・・。 |
No.250 | 8点 | 二人の妻をもつ男- パトリック・クェンティン | 2012/07/28 15:20 |
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主人公の心の葛藤がうまく伝わってきて感情移入できました。登場人物も少ないし、性格描写もわかりやく書かれており読みやすい。トラント警部が切れ者なのか、またはサラリーマン的な性格なのかよく解らない点が魅力的で、非常に効果があったと思います。 |
No.249 | 6点 | ブラックスワン- 山田正紀 | 2012/07/26 21:01 |
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18年前に行方不明になった女性の焼死事件が発生。自殺、他殺?の謎から始まる。そして、18年前「白鳥の湖」をいっしょに観ることになった学生仲間(男4女3)の手記から、なぜ女性が行方不明になったかが徐々に明らかに・・・。ブラックスワンの死が、青春の崩壊を暗示させているあたりはうまいと思います。そして折原一氏ばりのラスト。(あとがき・・・折原氏との時刻表トリックの話がミステリーを書くきっかけになったらしい。) |
No.248 | 5点 | 神様ゲーム- 麻耶雄嵩 | 2012/07/25 19:11 |
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芳雄の推理のまま終われば、高評価で、かつ、納得できたのですが、神様の天誅が下るだんで、急に意味不明になってしまいました。奇をてらっただけとしか思えないし、動機が全く理解できませんでした。このような作風には、どうもついてゆけないといったところです。 |
No.247 | 6点 | 倫敦時計の謎- 太田忠司 | 2012/07/25 12:27 |
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ロンドンオリンピックもまもなく開幕なので・・・。モチーフは泡坂妻夫氏作品(1977)と同様な気がします。構図は良くできているし、面白いとは思うのですが、犯人の設定自体が好みではないので・・・評価が難しいですね。 |
No.246 | 7点 | 女囮捜査官 5 味姦- 山田正紀 | 2012/07/23 10:39 |
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本作のメイントリック3つのうち、2つ(トンネルでの密室・DNA鑑定)はあまり一般受けはしないと思います。このシリーズでは、トリックが盛り沢山ありましたが、どうもそれをメインとはしていないような気がしてきました。おとり捜査官という女の性(結構エロティックな表現あり)を主体に、警察内部の葛藤、そして最終回の謀略小説的な要素に+トリックといった感じがします。シリーズは、触・視・聴・嗅・味を副題とし、ミステリーの要素(密室・見立て・アリバイ・多重人格・サイコスリラー等々)がてんこ盛りで楽しめました。最終回は、何故、特被部(女おとり捜査官)を設立したかという謎がどんでん返しで明らかにされます。 |
No.245 | 5点 | 女囮捜査官 4 嗅姦- 山田正紀 | 2012/07/21 10:38 |
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見立て殺人のほか、てんこ盛り(詰め込み過ぎ?)でややピントがずれてしまったように感じました。見立て殺人一本の方がインパクトがあったような気がします。そうすれば犯人の心境や異常性、並びに意外な真相が際立ったような気がします。 |
No.244 | 8点 | 007/ゴールドフィンガー- イアン・フレミング | 2012/07/19 15:50 |
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007シリーズの映画化第3作目(1964)、本の方は7作目(1959)。スパイ小説の古典ですが、スリル・スピード感(賭博対決、ゴルフ対決、飛行機内対決など)があり楽しめた。映画とは違いボンドの内面の弱さが垣間見れて面白い。愛車アストンマーチンのカーナビ追跡システム搭載(本では発信音波追跡)は、当時絵空事と思ったものですが、そのカーナビが実用化されるなんて夢のようです。解説(ハヤカワ・ミステリ)は若竹七海氏でシリーズ中本書が一番とのこと。直近読んだ山田正紀氏(おとり捜査官)は映画では本作が一番とありました。ちなみに7のつく日にIMAGICA BSでシリーズ放映中です。 |
No.243 | 7点 | 女囮捜査官 3 聴姦- 山田正紀 | 2012/07/17 21:43 |
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誘拐+二重人格と、それぞれ別の物語として、成り立っているようですが最後はひとつに纏ってきます。なかなか見事な構成だし、誘拐犯の計画も凝っていると思います。おとり捜査官・北見志穂の孤軍奮闘の物語といえると思います。 |
No.242 | 7点 | 僕の殺人- 太田忠司 | 2012/07/16 10:30 |
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一人六役という物語の構成、人物の配置など、すごく計算されていて高評価なのですが、ややインパクトに欠けた印象ですね。ラストはどんでん返しのままで終わらせ、その後の行方は読者におまかせ・・・の方がインパクトが強いような気がしました。作者のやさしさが、にじみ出ているラストではあるのですが・・・。 (ネタばれ)「僕」が伯父に似ているというミスリードが2か所くらいあったと思いますが、やや反則?気味のような気がしています。ストレートな表現でなく、匂わす表現であればもっと効果的であったと思います。 |
No.241 | 6点 | 聖女の救済- 東野圭吾 | 2012/07/14 11:05 |
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トリックは、湯川の言葉通り「理論的に考えられても、現実的にはありえない。」ということでしょう。アイデアは面白いと思いましたが、やはり現実味がないので、感心することはありませんでした。ストーリーテリングはうまいといつもながら感心します。内海薫は、テレビと違い切れ者の感じがし好印象でした。 |
No.240 | 6点 | 007/ロシアから愛をこめて- イアン・フレミング | 2012/07/12 22:33 |
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007シリーズの映画化第2作目(邦題は「007/危機一発」)、本の方は5作目。原作者イアン・フレミング氏はこの作品が映画化されたあと逝去。映画はボンド=ショーン・コネリー氏の7作品(1作品はシリーズと別の映画)+αしか観ていないのですが、この作品が最高傑作であると思います。ダニエラ・ビアンキさんの色気に圧倒されました。映画は原作に+αがあり、派手な感じがしますが、本作はスパイ同士の恋愛を中心に描かれています。ラストは映画とは全く違うものでした。採点は甘めで・・・。 |