海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

蟷螂の斧さん
平均点: 6.10点 書評数: 1697件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.357 4点 花散る頃の殺人- 乃南アサ 2013/01/20 17:39
「凍える牙」(直木賞)の女性刑事・音道貴子を主人公にした短編集(6編)。貴子がストーカーに狙われる「あなたの匂い」。ビジネスホテルで無理心中した老夫婦の、つらい過去を辿る「花散る頃の殺人」ほか。家族や自分の将来に不安を抱きながら、捜査(ひったくり、援助交際、家庭内暴力など)に追われる貴子の日常が描かれている。「あなたに不利な証拠として」(アメリカ版女性警官の日常)と比較してしまうと、評価は低くなってしまいます。

No.356 5点 口唇紋- 太田蘭三 2013/01/19 21:04
銀行で強盗事件が発生。犯人がガラスドアにぶつかり、その時残した「口唇紋」を手がかりに捜査が続きます。一方、誘拐事件が発生。そして二つの事件が繋がりを見せてゆく・・・。テンポのよい会話とともに物語は進行します。誘拐事件は、ありがちな結末でした。以上「太田蘭三ワールド(自然描写と心地よさ)」でした。ご冥福を(2012.10没)。

No.355 5点 南アルプス殺人峡谷- 太田蘭三 2013/01/19 21:01
死体の所持品の中にあった「毛ばり」(釣用)は年代物で、特注品。これを追うことが、事件解決の道へと繋がります。釣に関する小道具の使い方がうまいですね。

No.354 5点 餓鬼岳の殺意- 太田蘭三 2013/01/19 21:00
裏表紙より「恋人のアキが婚約、釣部渓三郎との別れを告げる。二人の北アルプスへのお別れ山行を襲う猛吹雪。ピッケルを胸に突き刺された男の死体に遭遇。多摩川、南八ヶ岳で起こる新たな殺人。一本の線を鋭く見抜く」。キワドイお色気シーンの描写もありますが、全体にほんわかムードが漂います。謎は、後頭部に傷のある死体の周辺には、凶器、足跡がないというもの。主人公が釣が趣味なので、方法はすぐ想像がつき、わかり易いものでしたね。

No.353 5点 奥多摩殺人渓谷- 太田蘭三 2013/01/19 20:56
2012年10月、83歳で逝去されたことを知り、書棚より取り出し、弔意の意味で書評。釣部渓三郎(釣が趣味の中年レジャーライター)とその恋人(ふたまわりも年下)のコンビ・シリーズです。主人公は、中年男性の憧れのような人物。ミステリーというより、テレビ番組を見るような気軽な読み物ですね。山岳描写や、二人の関係は楽しめました。謎は、死体のそばの籠ビクに、近隣では釣れないはずのアマゴが入っていたというものでした。

No.352 6点 あなたに不利な証拠として- ローリー・リン・ドラモンド 2013/01/18 21:16
警察小説として位置付けられているようですが、謎解きのミステリーでも、サスペンスものでもありませんでした。5人の女性警察官の心の葛藤を描いた連作短編集(10編)です。うち「傷跡」は、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀短篇賞を受賞。2007年版「このミス」第1位ですが、ミステリーを期待して読むと肩透かしとなるでしょう。純文学として読んだ方があっているかも。いかにもアメリカらしい作品でした。

No.351 6点 もっとすごい!!『このミステリーがすごい!』 - 事典・ガイド 2013/01/18 18:21
1988~2008のベストオブベスト(「このミス~」の各年20位以内の作品を対象に国内77名、海外73名の選者(プロ?)によるアンケート結果)。不思議なことは、この間の年間第1位作品(国内20作品)のうち11作品が、ベストオブベストの40位以内に入っていないことです。特に2003年以降1作品もありません。「半落ち」「葉桜の季節~」「生首に~」「~Xの献身」等です。選者の数と一人6作品までの投票の結果の影響でしょうか?。よくわかりません。ちなみにベスト10に入った作品に6作品中4作品を投票した人は3人、0作品の人は15人でした。なお、77名の選者のうち、自分の好みに近い人は1名と大学ミステリー研究会の一部だけでした。やはり、好みはかなり分かれるものですね。

No.350 5点 魔術師- ジェフリー・ディーヴァー 2013/01/18 18:19
ミステリーというより、エンタメ系になるのでしょうか。本物のマジシャン登場で、やや興ざめの感もありましたが、ストーリー展開は面白かったと思います。

No.349 7点 死化粧する女- 甲賀三郎 2013/01/16 22:45
(タイトル・女⑦)犯行現場に、短時間のうちに夫々思惑のある6人の人物が登場する。現場では、それぞれの人物は鉢合わせはしていない。このプロットは良くできており、また伏線や意外性もあり面白いと思いました。昭和11年の作品ですが、古さは感じません。(ただし、旧かなづかい、円タク=タクシーなどありますが・・・)古い作品でも良いものがあるんだなあと感心しました。

No.348 4点 仮面の女- 阿刀田高 2013/01/14 19:16
(タイトル・女⑥・再読)10篇のブラック・ユーモア集。表題作は。「女性はいろいな顔を持っている。恋人の前、知人の前、他人の前で様様な役を演じている。仮面の下に隠された女の小さな秘密とは?」・・・彼女は、確か近視のはずであるが、夫はそれを知らないらしい。ということは、○○を行ったことなど知る由もない・・・。全篇を通じ、切れ味は今一つでした。

No.347 6点 ウィチャリー家の女- ロス・マクドナルド 2013/01/14 17:55
(ネタバレあり)


(タイトル・女⑤)本格系ハードボイルドという印象です。ハードボイルド系は、どうも苦手なのでなかなか高評価を付けることができません。気になったのは、主要登場人物の年齢が良くわからないというか、高齢(50~60代)のイメージしか湧かなかったことです。娘が21歳なので、両親は40~50代と想像はできるはずなのですが・・・。このイメージの差(自分の勘違い)のため、真相が明らかになった時点で、「かなり無理があるのでは?」との意識が強く働きました。実際は母親が39または40歳と判りますが、それにしても同じことですが・・・。「かなり無理」→「ちょっと無理?」

No.346 8点 幻の女- ウィリアム・アイリッシュ 2013/01/13 20:18
(東西ベスト・再読・タイトル・女④)タイトルに「女」のつくものは、書評分で①さらわれたい女②倒錯の死角~201号室の女③完全犯罪の女、「男」は①七回死んだ男②ハサミ男③脳男④連続殺人鬼カエル男⑤死体を買う男⑥二人の妻をもつ男。自分のなかで、それをシリーズ化して読んでみようと思いつき、第一弾としてこの有名作品の再読となりました。本作では、幻の女の正体が誰であるかは問題とはなっていないのでしょう。当時としては、意外性はかなりあったと思いますし、現在でもサスペンスフルな展開・文章は高い評価を与えられると思います。

No.345 5点 電脳山荘殺人事件- 天樹征丸 2013/01/11 22:06
法月綸太郎氏絶賛とのことで拝読。舞台設定(雪の山荘、復讐劇、ハンドルネームの使用など)は、好みのものですし、トリックも楽しめました。ただし、トリックの解明(推理)は、犯人が言うように「想像、思いつき」のもので、論理的に納得できるものではありませんでした。決定的な証拠も?(いかがなものか)という感じです。設定が面白いものだっただけに、もったいないような気がします。

No.344 5点 Aサイズ殺人事件- 阿刀田高 2013/01/10 11:56
(再読)ブラック・ユーモア(短編)を得意とする氏には、珍しい連作の短編推理小説です。通勤時間の合間に手軽に読めるので、氏の作品はかなり読破してきたのですが、最近は、やはり長編ミステリーに嗜好が変わってきているので、物足りなさは否定できませんでした。表題の「Aサイズ殺人事件(旧題・Aカップの女)」は本格っぽい味わいがありました。

No.343 5点 夢判断- 阿刀田高 2013/01/10 11:54
(再読)図書館がしばらくの間休みなので、好きな作家で、本サイトに登録してある本作を書棚より引っ張り出してみました。氏のデビュー作「冷蔵庫~」に強烈な印象が残っていますので、本作はやや毒気が薄い感じがします。収録の「ベター・ハーフ」が歌野晶午氏の某有名作品のモチーフを先取りしていることがわかり、新たな発見をした思いがします。やはり、短編は印象が薄いですね。

No.342 5点 僧正殺人事件- S・S・ヴァン・ダイン 2013/01/09 14:02
(東西ベスト・再読)見立てによる連続殺人(このあたりは、かすかに覚えていました・・・)が起こるのですが、謎らしき謎もなく展開がゆるいので、ページがなかなか進みませんでした。1985年9位、2012年18位と人気はあるようですが、本格を期待すると?マークがつきますね。

No.341 8点 異人たちの館- 折原一 2013/01/04 12:45
著者の自薦ベスト3の一冊ということで、叙述の折原らしさが発揮されていて楽しめました。リーダビリティもあり、代表作のひとつになると思います。「モノローグ」が何回も挿入されていますが、その扱い方(特に時間軸)が秀逸でした。

No.340 9点 マジックミラー- 有栖川有栖 2013/01/02 11:21
著者のイメージは、ロジック>トリックですが、本作はトリック主体、それも2本立てで好みにピッタリ合いました。時刻表トリックは、日本独自のものらしい~時間が正確ゆえ成り立つ。だから、列車・飛行機が遅れたらどうするの?というような愚問は無しで良いのでしょう(笑)。切符の指紋によるアリバイ崩しの壁は秀逸でした。また、首なし死体のトリックのモチーフ(本作品1990)は、その後の「…捜査官(1998)」(Y氏)、「超有名作品(2005)」(H氏)の先例となっていると思いますので+2点です。さらに先例があった場合は10点ですね(笑)。

No.339 5点 007/サンダーボール作戦- イアン・フレミング 2012/12/30 21:21
今年は、映画シリーズ「007ドクター・ノオ」(第1作、1962年公開)から50周年にあたる。初代ボンド役・ショーン・コネリーは6作の主演で終了。ファンとして、007にちなみ7作の主演を望んだもでしたが、1983年「ネバーセイ・ネバーアゲイン」(シリーズとは別)で復帰、念願が叶いました。シリーズ4作目の「サンダーボール作戦」と原作は同じでした。本の方は、映画と違い地味です。物語としてのスケールは大きいのですが、筋はやや単調に感じられました。

No.338 7点 黙の部屋- 折原一 2012/12/29 09:23
一風変わった絵画ミステリーです。実在の画家・石田黙を追う編集者と、地下室に監禁され絵を描いている男を中心に物語は展開します。「一風変わった」というのは、実存の20数点の絵(シュール)の写真が挿入されており、監禁された男の独白がその絵の解説にもなっている点です。著者の石田黙氏への熱い思いが伝わってきます。絵画好きの人なら楽しめると思います。叙述があるとわかっていながら読んでいるのですが、また今回も見事に騙されてしまいました(笑)。

キーワードから探す
蟷螂の斧さん
ひとこと
ミステリーは、作家中心では読んでおらず、話題作や、ネットでのお勧め作品を読んでいます。(2013.6追加~本サイトを非常に参考とさせてもらっています。現在は、読後、類似なトリック・モチーフの作品を探した...
好きな作家
ミステリー以外で「石川達三」、短編で「阿刀田高」、思想家で「荘子」
採点傾向
平均点: 6.10点   採点数: 1697件
採点の多い作家(TOP10)
アガサ・クリスティー(53)
折原一(48)
中山七里(34)
松本清張(28)
アンソロジー(国内編集者)(26)
阿刀田高(22)
歌野晶午(21)
東野圭吾(20)
西村京太郎(20)
島田荘司(20)