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[ 警察小説 ] 花散る頃の殺人 女刑事 音道貴子シリーズ |
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乃南アサ | 出版月: 1999年01月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 2件 |
新潮社 1999年01月 |
新潮社 2001年07月 |
No.2 | 6点 | E-BANKER | 2017/03/12 13:47 |
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直木賞受賞作「凍える牙」(1996)で初登場した女性刑事・音道貴子を主役とする連作短篇集。
1999年発表の作品集一作目。 ①「あなたの匂い」=初っ端から貴子自身がゴミ漁りストーカーに狙われる事件が描かれる。男性目線からすると「ゴミくらい・・・」と思うんだけど、ゴミを狙われるなんて心底嫌だという女性心理が不思議な感覚。近所のオバさんに職業がバレてウザいという感覚は結構分かるような・・・ ②「冬の軋み」=“オヤジ狩り”(何だか懐かしい単語だ!)に遭い、瀕死の重傷を負ったサラリーマン。その家族を調べていくうちに、最近管内を荒らしている連続ひったくり犯の影が・・・。こんなの読んでると、子供を持つのが嫌になってくるよね。 ③「花散る頃の殺人」=場末のビジネスホテルで心中した老夫婦。ふたりの跡を追っていくうちに、老夫婦の知られざる過去が浮かび上がる・・・。これも「親子」がキーワードになる。 ④「長夜」=貴子の親友が登場する一編。この親友、元同僚(当然元警官)にしてニューハーフということで・・・。ふたりのやり取り&掛け合いが読みどころ。自殺する染色家の生き方も何だか切ない・・・ ⑤「茶碗酒」=本編のみ「凍える牙」で貴子とコンビを組んだ滝沢刑事が主人公となる(貴子もちょこっと登場するけど・・・)。大晦日の夜の警察署の一場面を切り取った作品なのだが、しみじみして味わい深い。 ⑥「雛の夜」=女子高生の援交(これも懐かしい言葉だな)がテーマとなる最終譚。女子高生に触れて、自身の年齢を感じる貴子に何だか萌える。 以上6編。 「葉村晶」のつぎは「音道貴子」である。 ジャンル分けすれば、「葉村」はハードボイルド、「音道」は警察小説、となるのだろうが、ふたりともいい年して独身、しかも男のニオイの欠片もないっていう共通点を持つ。 物語の端々に自身の加齢について自虐的な表現が出てくるのも一緒。 それだけ一定の年齢に達した女性は厳しくも難しい・・・んだろうな。 でも決して彼女たちは後ろを向かない。並みの男なんかよりも、よっぽど男らしいかも。 かくいう私なんて、男のくせにどうもみみっちい考えに支配されがちだもんな・・・ これじゃ、女が強くなるわけだね、世の中。 本作、ミステリーとしては小品だけど、音道貴子のキャラクターだけでも読む価値ありだと思う。 (でも個人的ベストは唯一主役が彼女ではない⑤だったりする。男ってアホだよね) |
No.1 | 4点 | 蟷螂の斧 | 2013/01/20 17:39 |
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「凍える牙」(直木賞)の女性刑事・音道貴子を主人公にした短編集(6編)。貴子がストーカーに狙われる「あなたの匂い」。ビジネスホテルで無理心中した老夫婦の、つらい過去を辿る「花散る頃の殺人」ほか。家族や自分の将来に不安を抱きながら、捜査(ひったくり、援助交際、家庭内暴力など)に追われる貴子の日常が描かれている。「あなたに不利な証拠として」(アメリカ版女性警官の日常)と比較してしまうと、評価は低くなってしまいます。 |