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[ 警察小説 ]
未練
女刑事 音道貴子シリーズ
乃南アサ 出版月: 2001年08月 平均: 7.50点 書評数: 2件

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新潮社
2001年08月

新潮社
2005年02月

No.2 8点 take5 2017/03/25 11:08
『凍える牙』は名作でしたが、乃南アサは短編も素晴らしいです。
主観ですがミステリーではないと思います。
しかし主人公のサイドストーリー集という枠に留まらない考えさせられる作品ばかりなので、こちらのサイトで紹介して頂けて良かったです。
登場人物とシンクロして自戒の念を呼び起こすのは読者としても辛いのですが、
読書の意義は、暇つぶしだけではないと信じています。
そして主人公を始めとする人物の真っ直ぐの美しさや真っ直ぐ故の苦悩に触れる事が意義そのものと思いますので、
ミステリーサイトなのに高評価をつけました。

No.1 7点 E-BANKER 2017/03/21 21:31
音道貴子シリーズの短篇集第二弾。
2000年発表。

①「未練」=仕事終わりに貴子が足繁く通う吉祥寺の路地裏のカレー店。寡黙な店主に対して「こいつは俺の女房を殺した!」と詰め寄る剣呑な男・・・。“未練”とは男が女に対して抱く感情の割合の方が多いと思う。やっぱり男の方がみみっちいんだよねぇ。でもこんなおしいカレー屋が近所にあれば通うだろうな・・・(関係ないけど)
②「立川古物商殺人事件」=いかにもミステリー作品っぽいタイトルだが、中身は刑事たちが靴底をすり減らして歩き倒す捜査行が描かれている。捜査線上に浮かんだ重要容疑者は結局・・・。今回貴子とコンビを組んだ島村刑事にはある特徴があった! しかも嫌な特徴が!!
③「山背吹く」=宮城・松島で旅館を営む友人を訪ねた貴子。どうやら仕事で大きな傷を負ったらしいのだが・・・。背景がよく分からんと思ってたら、時系列ではこの短編集の前の長編「鎖」のストーリーを引き摺っている様子。休暇先でも幼児を人質にした立て篭り事件に遭遇することで、貴子の刑事魂は復活することになる。
④「聖夜まで」=これは本作の白眉というか、実にいたたまれなくなるような事件が描かれる。これは・・・もう修羅場以外の何者でもない。最近こんな事件も増えているけど、自分の身に起こったらと思うと、怖くてしようがない。女性にとってみれば、ここに出てくる夫なんてどうしようもないように映るんだろうな・・・。
⑤「よいお年を」=一転して、年の瀬の母と娘(貴子と母親)の姿が描かれる一編。やっぱり、親娘って似るんだよねと思わされる。そりゃそうだ!
⑥「殺人者」=タイトルは物騒だけど中身はどちらかというとホンワカする。第一短編集では「凍える牙」で貴子とコンビを組んだ滝沢刑事の大晦日が描かれたが、今回は②の島村刑事の大晦日が描かれる。いろいろあるけど、刑事ってやっぱ大変だわ!

以上6編。
音道貴子である。最近どうにも気になる存在の音道貴子。
三十路を越え、女としての幸せと刑事としての職務の狭間で何かと悩ましい音道貴子である。
そんな彼女の捜査行が描かれる作品集。

彼女の目を通して描かれる同僚や犯人、市井の人々の姿にいろいろと考えさせられる場面も多い。
でも、好きだな、こういう女性。何事にも真面目で自分に嘘がつけない・・・でもこういう女性が幸せになるとは限らない。
それが人の世なんだろうね・・・ってどんな書評だ?
(ベストはダントツで④。同じ親としては考えさせられることが多すぎる・・・)


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