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蟷螂の斧さん
平均点: 6.09点 書評数: 1668件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.928 5点 飛ばなかった男- マーゴット・ベネット 2016/06/07 18:08
回想シーンが長すぎて・・・。結局、物語の前後を逆にしただけのようなもの。

No.927 5点 朱の絶筆- 鮎川哲也 2016/06/06 10:51
裏表紙より~『人気作家・篠崎豪輔が殺された。軽井沢の彼の山荘に元編集者、挿絵画家、作家志望者、ホステスら関係者が集まっている時だった。絶大な支持を笠に着て周囲の者には傲岸不遜な彼だったゆえ、誰にも殺害の動機は考えられた。だが、警察は容疑者すら絞れない。混迷のなか、さらに殺人は続き…。そこへ名探偵・星影龍三!鋭利な推理で不可解な事件の真相に迫る。』~
物語の流れ、第1の殺人のトリックなどは評価7点ぐらいと思います。読者への挑戦があるので気合を入れて読んだのですが、前半のミスリード?ミスディレクション?にはがっかりでした(苦笑)。まったく効果(影響力)なし!、これが大きなマイナスポイントとなってしまいした。第2以降の殺人のトリックは見るべきものがないし、伏線も弱いというより後出しの感が強かった。犯人を知っているとの発言だけで毒殺されてしまうのは、チョット酷過ぎやしませんか?。

No.926 5点 神様が殺してくれる- 森博嗣 2016/06/03 18:15
「BOOK」データベースより~『パリで往年の大女優が絞殺された。両手首を縛られ現場で拘束されていた重要参考人リオン・シャレットは「神様が殺した」と警察で証言。彼は同時にその神の名前として僕の名を挙げた。僕に身に覚えはまったくない。リオンはかつて大学の寮の僕のルームメイトで、当時から多くの人をその美しさで幻惑した。僕は卒業以来2年半、一度も会っていない。容疑者の特定はおろか、なんの手がかりもないまま、やがて起こった第2の殺人。ミラノで有名ピアニストが絞殺された。またもや現場には皆睡したリオンがいた。インターポール(国際刑事警察機構)に勤務する僕は、現地の警察と連携しながら、独自に捜査を始める―。』~
本格ものとして期待して手に取りましたが、いい意味で裏切られました。著者がこの種の作品を!?という意味です。登場人物同士で、その程度のことは判るだろうというような疑問符がつく点もありますが、おおむね楽しめました。

No.925 6点 甦える旋律- フレデリック・ダール 2016/06/02 06:53
裏表紙より~『ヴァイオリンを胸に抱いて、ぼくの車に身を投げた女・・・その衝撃で過去の記憶をなくした彼女にぼくは恋をし、彼女の記憶が甦えるために色々なことを試みた。だが彼女の過去の断片が判ったとき、それは恐ろしい話だった。二人は逃げる。誰から?どこへ?-フランス推理小説大賞を受賞した長篇ラブ・サスペンス。』~
ラブ・サスペンスということで、ウィリアム・アイリッシュ氏の作品群に近いイメージです。二人は愛し合うようになるのですが、男は過去を知りたい気持ちと、悪い過去なら知らない方がいいと思う気持ちで揺れ動きます。しかし女性の記憶が徐々によみがえってくるという心理サスペンスものです。顛末はある意味で国民性の差を感じましたね。
余談ですが、あるサイトで「フランスミステリベスト100」と「作家別ランキング(上位30人)」を発表しています。ちなみに本作は63位、作家別は24位です。

No.924 7点 夜歩く- 横溝正史 2016/05/31 06:08
題名「夜歩く」はディクスン・カー氏の作品名(1930)と同じだったので、氏を意識した内容か?と思いきや全く関係ありませんでした。それよりクリスティー氏を意識した作品だったのでビックリ!(笑)。首なしの真相とアリバイトリックは秀逸でした。

No.923 8点 黒い蘭の追憶- カーリーン・トンプスン 2016/05/28 10:00
裏表紙(略)より~『誘拐された少女ヘイリーは、必死の捜査にもかかわらず、惨殺体となって発見された。事件が迷宮入りして十九年後、ヘイリーの母親キャロラインの周囲では事件の関係者が次々と殺されていく。誘拐犯がふたたび戻ってきたのか、それとも……? 息詰まるようなサスペンスで全米書評子から絶賛をあびた大型新人のデビュー作。』~
読者からみた容疑者候補が次々と殺されたり、銃撃により怪我をしたりする。登場人物から容疑者は徐々に絞られてくるのだが動機が全く分からない。この辺までの展開は新人らしからぬものがあります。そしてラストでのどんでん返し。Good(笑)。本邦であまり評判にならなかったのは、主人公とその元夫の人物造形が感情移入できるような人物でなかったからかも?・・・。本作は「100冊の徹夜本 海外ミステリーの掘り出し物」(佐藤圭氏)から選んで読んでみた1冊で、本当に掘り出し物といった感じでした。

No.922 5点 切り裂く男- ウィリアム・J・コグリン 2016/05/24 18:03
(タイトル・男14冊目)裏表紙(略)より~『殺人者が戻ってきた・・・ルッソー警部補は確信した。その女の死体は首から下の皮を剥がれ、腹部は縦に切り裂かれて内臓が掻き出されていた。そして全身の骨という骨が折られていた。それは数年前に犯行を重ねた、エドワード・ティーグとそっくり同じ手口であった。彼は心神喪失を認められて無罪となっていた。法が野放しにしたのだ。』~
(昔、父親と一緒に猟に出かけ、早朝の霧のなかで獲物を待ちうけていたときと同じ気分だった。)というような猟と対比させたシリアルキラーの心理が挿入されており、結構不気味な感じがしました。シリアルキラーものとして、何か特長のある作品とは思いませんが、まあ、心神喪失で無罪となる事へ疑問(社会派的なメッセージ)がこめられていることは感じました。

No.921 5点 蝮のような女- フレデリック・ダール 2016/05/20 08:16
(タイトル・女31冊目)「BOOK」データベースより~『南仏の豪邸に棲む美しい姉と車椅子の妹。一夜のアバンチュールの謎を追って、禁断の館に足を踏み入れた男はたちまち“魔性”の虜に。毒された三角関係は、やがて意想外の破局へ…。 』~

200ページほどの中編です。内容は短編向きと思われるブラック・ユーモア系でした。もう少し男の心情(疑心暗鬼)が伝わってくればなあ・・・と思いました。しかし、あとがきによると著者の特徴は「心理描写のディテールにある」ということなので、あと2,3冊は読んでみようかとは思います。

No.920 6点 消されかけた男- ブライアン・フリーマントル 2016/05/17 19:07
(タイトル・男13冊目)2012版東西ベストではランク外となっています。なんとなく頷けます。スパイ物としての緊張感やスピード感に物足りなさを感じました。ラストの展開がサプライズという作品。

No.919 5点 誰かが泣いている- デイヴィッド・マーティン 2016/05/14 17:45
裏表紙より~『ピューリッツアー賞を受賞し視聴者の信頼も厚いニュース・キャスターのジョン・ライアン。ある日、彼は幼児虐待のニュースを読みながら涙を抑えることができず、結局番組を降番。その直後ライアンは、自宅前で黒人女性から奇怪なメッセージを手渡される。だが女性は彼の目前でタクシーに飛び込み自殺。衝撃をうけるライアンは、真相を掴もうと田舎町ハメルンへ向かう。そして、そこには18人もの赤ちゃんの殺害を噂される謎の小児科医キンデルがいた…。』~

主人公をはじめエキセントリックな人物ばかりで、ついて行くのが大変でした。グロテスクな描写やクレイジーな行動が大筋を占め、読後ドッと疲れが・・・(苦笑)。赤ちゃん殺害(噂)の真相は、ショッキングなものです。この点は高評価なのですが、物語の構成、リーダビリティにやや難があるような気がします。前作「嘘、そして沈黙」が好過ぎたのかも。

No.918 8点 嘘、そして沈黙- デイヴィッド・マーティン 2016/05/13 08:12
裏表紙より~『ワシントン郊外の邸宅で、実業家ジョナサン・ガエイタンが血まみれの死体で発見され、自殺と断定された。しかし、捜査にあたったキャメル刑事は、実業家の妻メアリーに秘密の匂いをかぎとった。彼女は前夜、邸宅に侵入した男の存在を隠しているのだ。その殺人狂の男フィリップは近くのモーテルに身をひそめ、次々と陰惨な殺人を引き起こし、事件は意外な展開を見せてゆく―。「『サイコ』『羊たちの沈黙』の伝統を受け継ぎ、新時代を築く傑作!」と絶賛されるD・マーティンのサイコ・スリラー問題作。』~
サイコ・キラー系なのでグロテスクな描写はありますが、素直に面白いと言える作品でした。人物造形(刑事、被害者?の妻、殺人鬼)は緻密でうまいと思います。殺人鬼については、少し頭が弱くドジなところがあるというところが若干の救いか・・・。ユーモア、ペーソスを取り混ぜ、自殺か殺人かという謎で引っ張て行きます。真相はこれに近いものは数作品ありますが、厳密な意味では初物でした。伏線はあるのですが、当然判りませんでした(苦笑)。ラストで題名(原題・邦題とも)の意味がわかります。エピローグでの粋な計らいが、人間ドラマ的な印象を与えてくれました。

No.917 6点 ブラジルから来た少年- アイラ・レヴィン 2016/05/10 12:13
アイデアはいいと思います。ただし、謎や題名の意味が中盤で判ってしまい、もったいなかったですね。もっと引っ張れば、もっと楽しめたのに・・・。裏に流れるテーマは「ローズマリーの赤ちゃん」と同じなのかも。○○の赤ちゃんと本作の少年たち。

No.916 5点 裁くのは誰か?- ビル・プロンジーニ 2016/05/08 13:52
米大統領選に因んで・・・。内容については、基本的に否定派ですが、サスペンスものなので容認(苦笑)。それらしきオチの後に更にとの二重落ちは楽しめました。本書評によれば森博嗣氏が本作(1977年、翻訳1992年)を絶賛しているとのことですが、氏が1999年に発表した作品で本モチーフを用いていたということで納得。

No.915 6点 クリーピー- 前川裕 2016/05/06 13:42
裏表紙より~『大学で犯罪心理学を教える高倉は、妻と二人、一戸建てに暮らす。ある日、刑事・野上から一家失踪事件の分析を依頼されたのを契機として、周囲で事件が頻発する。野上の失踪、学生同士のトラブル、出火した向かいの家の焼死体。だがそれらも、本当の恐怖の発端でしかなかった。「奇妙な隣人」への疑惑と不安が押し寄せる、第15回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。」~
題名の「ぞっと身の毛がよだつような;気味の悪い」というようなサスペンスものとは言えません。ホラー、サスペンス、推理ものの要素をいろいろと欲張りすぎたため、全体的に薄味になってしまい物語の構成自体も中途半端な感じとなってまいました。しかし、高評価の理由は、ホラー・サスペンス系と見せかけて、読者の期待を裏切る?結構本格的要素のある真相を用意しているところです。まあ、本格ものとして身構えて読めばわかるのかも(苦笑)。

No.914 6点 目は嘘をつく- ジェイン・スタントン・ヒッチコック 2016/05/04 13:30
裏表紙より~『わたしは騙し絵画家。人の目を欺く幻影を生みだすのが仕事だ。そのわたしのもとへ、美術品収集家として名高い大富豪の老婦人がやってきた。屋敷の舞踏室に、壁画を描いてほしいのだという。しかし、屋敷でわたしを待っていたのは、十五年前に起きて迷宮入りした殺人事件の、今も消えぬ暗い影だった…読後に強烈な印象を残す、心理サスペンスの新しい傑作。』~
娘の殺人事件については、老婦人は決して話そうとしない。隠された真相は?とは別にもう一つの物語が・・・。ということで結末は予想とは大分違っていました。著者によれば、「これはミステリでも何でもない。テーマは”錯覚(イリュージョン)”だ」ということです。毛色の変わった心理サスペンスでした。

No.913 6点 呪われた女- カトリーヌ・アルレー 2016/04/29 12:40
(タイトル・女30)裏表紙より~『マリカはおびえていた。愛人の妻だった女、超心理学の大家マルトが、死してなお、彼女の生命をおびやかしているというのだ。次々に起こる超常現象は、マリカばかりでなく、その友人たちの目にも明らかだった。水泳の達者な彼女が突然溺れかけたかと思うと、知るはずもないラテン語を口にする。マリカは確かに呪われている! パリ高級住宅街を舞台にアルレーが描く傑作サスペンス。』~
前半はオカルトっぽい話であまり興味を引かれなかったのですが、殺人事件が起こる後半からはサスペンスフルで読みごたえがありました。悪女を描かせると、さすがアルレー!うまい。ラストはアルレー氏らしくないかも。

No.912 4点 ウルフェン- ホイットリー・ストリーバー 2016/04/25 16:10
裏表紙より~『ニューヨークの下町ブルックリンで二人の警官が惨殺死体で発見された。拳銃を抜く間もなく息絶えた二人の喉は鋭い牙で引き裂かれ、そのまわりには無数の獣の肢跡が。だが、その肢跡は犬のものでも、狼のものでもなかった。犯人捜査にあたったニューヨーク市警の古参刑事ジョージ・ウィルソンと、女性パートナーのベッキィ・ネフはやがて恐るべき真実をつきとめた・・・・・・・大都市ニューヨークを舞台に、斬新なアイデアで描き出す、かつてない恐怖とサスペンスの世界!』~
”徹夜本”からの一冊。前半は警察小説風で読ませるのですが、基本はホラー系で趣味に合致せず。残念。

No.911 6点 悪夢の五日間- フレドリック・ブラウン 2016/04/24 16:52
裏表紙より~『けんかしたままになっている妻のエレンがいない。そしてタイプライターにはさんであったのは、二万五千ドルの身代金請求書!つい最近の誘拐事件では、人質の人妻が殺されているのだ。ロイド・ジョンソンは二万五千ドルの金策に必死になって駆け回った。そして期限の五日目、低い、ゆっくりした男の声が電話に出た・・・・・・。悪夢の五日間をなまなましく描く、鬼才ブラウンの誘拐スリラー劇!』~
”徹夜本”から選んだ一冊。フーダニットよりも主人公の金策の様子を楽しむような作風です。最後の一行では、ホロッとしてニヤリとさせていただきました。

No.910 6点 ハーメルンの誘拐魔- 中山七里 2016/04/23 18:55
~「病院からの帰り道、母親が目を離した隙に15歳の少女・香苗が消えた。現場には「ハーメルンの笛吹き男」の絵葉書が残されていた。警視庁捜査一課の犬養が捜査に乗り出し、香苗が子宮頚がんワクチン接種の副作用によって記憶障害に陥っていたことが判明する。」~
ワクチン禍に警鐘を鳴らす社会派ミステリーです。物語の展開上やむを得ない面はあるのですが、やはり誘拐ものなので、もう少し緊迫感が欲しかったですね。社会性問題を重視している作品なので、刑事・明日香の言動は、女性の立場や母性の心理を代表していることは理解できます。しかし、ミステリー的には失敗のような気がしました。まあ、真相は著者らしいと言えば著者らしいのかも。

No.909 5点 食べられた男- 阿刀田高 2016/04/21 20:17
(再読)落語風からSF風までバラエティに富んだショートショート42編。ベストは「時間外労働」・・・「職場に午前4時に着かなければならない。車を飛ばし、信号無視をした途端、男が飛び出してきた。刑務所から脱走した死刑囚の男らしい。死刑囚をひき殺しても罪にならないでしょうと警官に言うのだが・・・」。表題作は”食の奇譚”として「新婚のS君は、妻に食べられる夢を見るという。そういえばS君に変化が・・・」
”食の奇譚”ランク付け
①「おとなしい凶器」(『あなたに似た人』)ロアルド・ダール氏
②「爪」(『マネキンさん今晩は』)コーネル・ウールリッチ氏
③『特別料理』スタンリイ・エリン氏
④『二壜の調味料』ロード・ダンセイニ氏
⑤「恋人を食べた話」(『お・それ・みを』)水谷準氏
⑥「親愛なるエス君へ」(『瓦斯灯』)連城三紀彦氏
⑦「特別料理」(『眼球綺譚』)綾辻行人氏
⑧「豚」(『キス・キス』)ロアルド・ダール氏
⑨「わたし食べる人」(『冷蔵庫より愛をこめて』)阿刀田高氏
⑩『食べられた男』阿刀田高氏
⑪「閏の花嫁」(『煙の殺意』)泡坂妻夫氏
⑫「新鮮なニグ・ジュギペ・グァのソテー。キウイソース掛け」(『異形家の食卓』)田中啓文氏 
という結果、もう満腹です。

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蟷螂の斧さん
ひとこと
ミステリーは、作家中心では読んでおらず、話題作や、ネットでのお勧め作品を読んでいます。(2013.6追加~本サイトを非常に参考とさせてもらっています。現在は、読後、類似なトリック・モチーフの作品を探した...
好きな作家
ミステリー以外で「石川達三」、短編で「阿刀田高」、思想家で「荘子」
採点傾向
平均点: 6.09点   採点数: 1668件
採点の多い作家(TOP10)
アガサ・クリスティー(53)
折原一(48)
中山七里(34)
松本清張(28)
アンソロジー(国内編集者)(22)
歌野晶午(20)
東野圭吾(20)
西村京太郎(20)
島田荘司(20)
阿刀田高(18)