皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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HORNETさん |
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| 平均点: 6.33点 | 書評数: 1208件 |
| No.748 | 7点 | 九度目の十八歳を迎えた君と- 浅倉秋成 | 2020/09/26 18:28 |
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| まもなく30歳を迎える会社勤務の男・間瀬は、ある朝駅のプラットフォームの向かいに高校の同級生・二和美咲の姿を見た。信じられないことに、彼女は18歳の姿のままで、高校へと通学する途中だった。学生時代、二和に淡い恋心を抱き、玉砕していた間瀬は、信じられない二和の姿にその真相を探ろうと動き出す。
謎を解くべく高校時代の同級生の話を聞いて回る間瀬の行動が、いつの間にか「現実に落ち着いた同級生たちの、魂の解放」行脚になっているところが面白い。二和が18歳にとどまり続ける真の理由を探ることが主のミステリになっているのだが、その真相は正直やや陳腐に感じた。しかし、30近い社会人が、甘酸っぱい青春時代を振り返っていくその過程に、多くの読者が共感したり、切なさを感じたりするのではないだろうか。私自身もその一人で、楽しく読み進めることができた。 |
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| No.747 | 7点 | サーチライトと誘蛾灯- 櫻田智也 | 2020/09/13 18:48 |
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| 昆虫好きのおとぼけ青年・魞沢泉(えりさわ せん)が探偵役の短編集。
どこかかみ合わないユーモラスな会話でテンポよく展開しながら、しっかりとしたミステリ。あとがきによると作者は泡坂妻夫の亜愛一郎をこよなく愛しているそうで、それを意識したとのこと。 短いストーリーの中にも無理なく、さり気なく手がかりが散りばめられ、しっかりとした解決編になっていると思う。私としては、表題作(第10回ミステリーズ!新人賞)と、「火事と標本」がよかった。 |
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| No.746 | 6点 | 筋読み- 田村和大 | 2020/09/13 18:39 |
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| 第16回「このミス」優秀賞受賞作。
警視庁捜査一課の飯綱は、都内で起きた30代女性の殺人事件の捜査本部にいた。事件は自首してきた男の犯行として起訴されようとしていたが、飯綱はそれに反発し、捜査本部を外された。そして、管理官の命によりある交通事故の捜査に充てられる。その交通事故は、車からドアを開けて飛び出してきた男が対向車にはねられるものの、同じ車から降りてきた者たちがその男を再び車に乗せて走り去ったという不可解なものだった。車の行方を追う飯綱だったが、そんな折に殺人事件の捜査本部から信じられない連絡が。それは、自首してきた殺人事件の被疑者と、車ではねられて連れ去られた男とのDNA型が一致したという、ありえない事実だった。 筋読みの飯綱、「ヨミヅナ」が二つの事件のつながりを明らかにすべく活躍する。十分に面白かったが、警察小説としては平均水準かな。DNA型の一致という最大の謎と、真犯人の解明(事件の真相解明)という二つの命題がある中で、展開としては後者が主眼で、前者のDNAの謎は冒頭にぶち上げられた割にはあまり重要視されていなかった印象。 |
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| No.745 | 7点 | 我が家の問題- 奥田英朗 | 2020/09/13 18:18 |
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| 家族、とりわけ「夫婦」を題材にした、コミカルかつハートウォーミングな短編集。小粒ながら作者らしい巧みな語り口で、読んでいて非常に楽しい。
ラスト2編、「里帰り」と「妻とマラソン」なんかはホントによかったなぁ。「絵里のエイプリル」だけ深層が分からないままで、ちょっともどかしいけど、これも奥田氏の技巧なのかな(解説によると) 家庭生活や妻の問題を取り上げる話は、昨今はブラックな内容になるものが多い中、ハッピーエンドで統一されている本短編集は非常に読後感が良かった。 |
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| No.744 | 6点 | この謎が解けるか?鮎川哲也からの挑戦状1- 鮎川哲也 | 2020/09/06 19:28 |
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| 昭和の時代にテレビで放映された犯人当て番組の台本(?)を書籍化したもの。昭和の「推理小説」的な興趣、当時のテレビの雰囲気が楽しめた。
短時間のテレビ視聴者向けのため、藤原宰太郎の推理クイズ本のような謎の質・レベルであり、その点で評価を高くすることはできないが、上に記したような感覚で、鮎川哲也の軌跡や時代を楽しむ娯楽として評価させてもらった。 もちろん、自身で推理を巡らす行為自体も楽しかった。 |
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| No.743 | 4点 | ビッグ4- アガサ・クリスティー | 2020/09/06 19:16 |
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| 本サイトでも分かるように、クリスティ作品ではすこぶる評価が低い。世界的な巨悪組織との戦いというスケールの大きな活劇は、目の前で起きた事件を精緻に推理していくという読者が期待するモノとは大きくかけ離れているからだろう。ましてや、ポアロシリーズであればなおさら。
事件はたくさん起きて、殺人もたくさんあるのだが、一つ一つの事件の推理が一足飛びの大味で、悪の組織「ビッグ4」との壮大な裏のかきあいの活劇に軸足が置かれている。クリスティもこういうのを書くのだなぁという興味深さは逆にあったが、ファンの評価が低くなりがちなのもうなずける。 そんないろんな意味を含めて、一読の価値はあったかな。 |
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| No.742 | 8点 | 迷惑なんだけど?- カール・ハイアセン | 2020/08/30 21:14 |
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| ハニー・サンタナは息子のフライと暮らす妙齢のシングルマザー。ある日、夕食の団欒時に迷惑なセールス電話がかかってきたが、迷惑さを隠そうともしないハニーの態度にコールセンターの男は罵声を浴びせて切る。正義が侵されることに異常な怒りを感じる癖のあるハニーは、電話をかけてきたコールセンターの男・ボイドを探し当て、手の込んだ復讐を企てる―
一人の女性が、ある男に一杯食わせるために策略を巡らせるという設定は「復讐はお好き?」と通じるものが。そして見栄とプライドだけは高いが、中身はからっきしのクズ男と、それをあしらう女をコミカルに描くハイアセンの真骨頂が存分に出ていた。 次がどうなるのか、ハラハラする展開の中でも笑いが止まらない。メチャ面白い。 |
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| No.741 | 5点 | 首の鎖- 宮西真冬 | 2020/08/30 20:54 |
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| 題材も内容もそこそこ読ませるのだが、いかんせん主人公・瞳子のうじうじした煮え切らなさ、お相手の顕の主体性のなさ、不倫相手でもと担任・神田の助平さにいらいらしっぱなし。ストレスたまった。
瞳子の不遇の元凶である両親には結局何の鉄槌も下されず、その意味でもモヤモヤ感が残ったままのラストとなった。 同氏の他作もダークな側面はあるが、ラストには救いがある感じだったので、ダーク一辺倒の本作はちょっと不満だった。 |
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| No.740 | 8点 | 復讐はお好き?- カール・ハイアセン | 2020/08/29 14:16 |
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| ジョーイ・ペローネは、結婚記念として行った豪華客船の旅の中で、夫・チャズに海に突き落とされた。夫・チャズは「くず」だった。
奇跡的に一命をとりとめたジョーイは、助かったことを隠したまま、屑のチャズに復讐を誓う。 ジョーイが海に落下するシーンで物語が始まり、その後もテンポの良い展開がずっと続き、550ページの間ずっと飽きさせない。ジョーイのきっぷのよさや俗っぽい物言いも好感がもて、一方でダメ男・チャズのくずっぷりも笑えてしまう。 チャズを精神的に追い詰めるためのあの手この手のジョーイたちの作戦と、下手な推理で状況を読み誤り、勝手に自滅していくチャズとのズレ感が絶妙で、よく仕組まれていて面白いと感じた。 |
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| No.739 | 5点 | 修羅の家- 我孫子武丸 | 2020/08/29 14:02 |
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| 借金やらなんやらで何人もの人間の弱みを握り、それらの人たちを「家族」と呼んで一つ屋根の下に暮らさせ、その上に女帝のように君臨して支配する異常な女、逃れられない奴隷たち。
いくら弱みを握られているとはいえ、日中普通に外に出されるような状態で、このような拘束を維持できるだろうか…。一人の青年が、「家族」として隷属させられている同級生の女性を救おうとするところから展開に光が見えてくるが、最後の終わり方はなんだか尻切れトンボの感がした。 |
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| No.738 | 7点 | 教室が、ひとりになるまで- 浅倉秋成 | 2020/08/29 13:49 |
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| 私立北楓高校で、1カ月の間に2年生の生徒3人が続けて自殺した。不幸な偶然かと思いきや、3人の遺書には「私は教室で大きな声を出しすぎました。調律される必要があります。」という同じ言葉が書かれていたという。学校に不穏な空気が流れる中、2年生の垣内友弘のもとに一通の手紙が。そこには「北楓高校には代々、4つの特殊能力が受け継がれており、その一つ『嘘を見抜く能力』を今回、友弘に引き継ぐことにした」との内容が。信じられない内容だったが、翌日それが本当であることを体感する。では、他の3つの能力を受け継いだのは誰なのか?連続自殺はその能力を使った「殺人」なのか?同級生に探りを入れながら、事件の真相に迫ろうとする―
友弘以外の3つの能力がどんな能力なのか、そして誰がもっているのか、さらには3人を自殺に追い込んだのは誰か、と、謎が幾重にも重なっており、それを一つずつ解きほぐしていくストーリーは展開に退屈さがなく、非常に面白かった。 特殊能力の内容も、主人公の「嘘を見抜く力」のように、強大過ぎない加減で、それが謎解きによく作用していたと思う。 |
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| No.737 | 6点 | 友達未遂- 宮西真冬 | 2020/08/16 16:12 |
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| 星華高校は女子は女子らしくという教えで規律に厳しい、全寮制の女子校。一之瀬茜は親に逃げられ、預けられた祖父母にも疎んじられて半ば追い出される形で入学させられた。星華高校には同室の3年生が新入生の面倒見役としてペアになる伝統があり、茜の面倒見役「マザー」は、学校で誰もが一目置くマドンナ、緑川桜子だった―
暗い家庭事情を抱える茜だったが、桜子をはじめとする同室の女子3人もそれぞれに親との確執、郷里への蔑み、学校への恨みなどそれぞれに闇を抱えていた。その中で互いに疑心を抱えたり、手を取り合ったりしながら、それぞれの道を見出していく青春群像劇。物語の展開に沿ってキャラクターが変わりすぎるきらいはあったが、最終的によいまとまりかたでもあったので、読後感は良。 |
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| No.736 | 5点 | 誰かが見ている- 宮西真冬 | 2020/08/16 15:48 |
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| 幼稚園児の我が子を愛せず、ブログで理想の親子像を騙ることで鬱憤を晴らしている主婦、年下の夫が結婚したとたん求めてこないことに寂しさと不安を募らせるキャリアウーマン、嫌な上司の理不尽な振る舞いに不満を溜め、結婚退職を日々夢見る保育士―さまざまな心の闇を抱えた女性たちの行為が交錯していく。
最近よく見るようになった「常に他者との優越ばかり気にし、鬱々と不満を積もらせている女性」もの。読み進めている間は真梨幸子のイヤミスを彷彿とさせた。 ただ本作はダークに振り切って救いのない終わりになることはなく、最後はハッピーエンド。そこに作者のスタンスが表れていた。 一般市民の日常を舞台として、その中に潜む邪気を描くこうした作品はサクサク読めるし、前述のように読後感もよいのでまぁよかった。 |
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| No.735 | 7点 | まるで天使のような- マーガレット・ミラー | 2020/08/16 09:40 |
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| サスペンスというより私立探偵もの。
とあるきっかけから小さな町で5年前に起きた事件の真相を探ることになった私立探偵クイン。そこでは、パトリック・オゴーマンという男の失踪と、地味な女性による銀行での横領事件という2つの事件が立て続けに起こっていた。クインは調べを進めるうちに、2件の事件は関連しているのではないかと推察をはじめる。 新興宗教団体の修道士やシスターたちの名前が仰々しくて少し煩わしいが、クインが奔走して少しずつ様相が解き明かされていく過程は退屈せず、読み応えがあった。 幸い自分は、「最後の〇〇」というような本作の宣伝文句を見ずに読んでいたので、ラストは純粋に驚くことができた(笑) |
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| No.734 | 6点 | 嘘をつく器 死の曜変天目- 一色さゆり | 2020/08/16 09:18 |
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| 早瀬町子は一大決心をし、会社勤めを辞めて陶芸家・西村世外の窯元に弟子入りした。人間国宝の候補と目される世外だったが、同じく陶芸の道に進んだ次男・久作を後継にすることには迷いがあるようだった。そんなある日、世外は何者かに殺されてしまう。町子は美大の先輩で保存科学の専門家・馬酔木を頼り、世外とともに葬られた真相を追う。
美術・芸術を題材としたミステリを得意とする作者、今回の舞台は陶芸界。幻の名器「曜変天目」をキーパーツとしながら、背景に新興宗教や陶芸界のライバル、後継ぎ問題などを絡ませ、一本筋ではない展開になっている。 本筋は世外殺しの真犯人を追うフーダニット形式で、ミステリとしてもしっかりした作りになっていた。 |
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| No.733 | 5点 | がん消滅の罠 完全寛解の謎- 岩木一麻 | 2020/08/10 19:27 |
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| 診断で間違いなく転移していたがん患者が、きれいさっぱり寛解するという謎。医療ミステリとしてこの上ない不可能状況で、大賞選者たちが絶賛するトリックに期待して読み進めた。
読んでいく中で医療的な説明もされているので、がんについての知識が深まりその点は興味深かった。が、明かされる真相がそうした医療的なことを超越していること(つまり、素人でもわかるような単純さで足元を掬われること)を期待していたので、結局医療的な内容のトリックだったことで「ふーん…」というようなリアクションにとどまってしまった。面白くはあったけど。 蛇足だが、本サイトでもこの作品しか上がっていないのだが、この作者はこのあとも執筆・作品発表を続けているのだろうか? |
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| No.732 | 5点 | カウントダウン- 真梨幸子 | 2020/08/10 18:57 |
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| 海老名亜希子は「お掃除コンシェルジュ」として各所で活躍し、今や年収7千万円を超える売れっ子。しかし本人は、実の妹に旦那を寝取られたり、会社勤め時代の気に入らない女が海外でセレブとして活躍していたりという境遇にストレスばかりがたまる日々。そんな彼女が、がんで余命半年という宣告を受けた。頼りにしている百貨店外商の薬王寺涼子とともに、半年の終活に向かおうとする亜希子だったが…
一人語りで暴走していく女性を主人公に、周りがシッチャカメッチャカになっていくという典型的な真梨幸子作品。人の嫉妬心や見苦しさを赤裸々にかつコミカルに描いているところで面白く読み進められるが、いかんせんあまりにも展開がマンガ的大技(近しい人間が簡単に、次々に世の中の認知を得る成功を得るなど…)。 ラストにそれなりに毒を仕込んではいるが、作品の形自体がテンプレート化されてきてしまっている感がある。 |
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| No.731 | 5点 | ふたたび嗤う淑女- 中山七里 | 2020/08/10 09:58 |
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| 前作の蒲生美智留に変わり、今回は美智留そっくりに整形した野々宮恭子が暗躍する連作短編。FX、出版詐欺、地面師などさまざまな手段で標的を陥れる様が描かれ、ラストには氏らしいどんでん返しも用意されている。
一つ一つの話はそれなりに面白いのだが、全体的には前作同様のパターンをなぞっている感じで新鮮さはなかったし、やや小粒になった感もあった。 ラストのどんでん返しは、これも物語当初から往々にして予想できるもので、「ああ、やっぱり」と感じた時点で私にはどんでん返しにはならなかった。 なんか、各短編のつなぎ方とか、全体的な展開の仕方が真梨幸子のイヤミスに雰囲気が似ていたなぁ。 |
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| No.730 | 5点 | 眠りの神- 犬塚理人 | 2020/08/10 09:40 |
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| 安楽死を望む患者への自殺幇助が認められているスイス。絵里香・シュタイナーは、ボランティアの自殺幇助団体で活動するハーフ。ある時、日本で自殺幇助が疑われる事件が連続して起き、その陰に、以前絵里香の団体に所属していた日本人医師の姿が見え隠れする。真相を確かめるため日本へ渡航した絵里香は、事件を調べるうちにますます日本人医師への疑いを濃くする。
設定も展開もよく考えられれているとは思うのだが、何となく平板でパンチのない話に感じた。これまでも各所で取り上げたり作品化されたりしている安楽死問題の域を特に超えておらず、「これまで同様」という印象に落ち着いた。真犯人も意外性をねらっているのだが、要所要所に挿入されている日記の文体の変化で予想ができてしまい、分かったときには「やっぱり」という思いだった。 |
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| No.729 | 4点 | 街への鍵- ルース・レンデル | 2020/08/07 20:48 |
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| うーん…訳者の問題かもしれないけど…
主人公・メアリの他に、ヤク中のホブ、犬の散歩屋のビーン、そして訳ありホームレスのローマン、という計4人の物語がそれぞれに描かれていくうちに、やがてそれぞれがつながりだして結末でスパーク…という手法はレンデルのある意味王道パターンであり、いつもの調子で前半は非常に面白く読めていたのだが… 描写にこだわるあまりか、それとも描写を冗長にして真相の手がかりを紛れ込ませることが目的か、とにかくいろんなことがあいまいなままで進む中盤が長くて、正直次第に読むのに疲れてきた。その上、最後まで婉曲的な描写に終始して「明言」をしないため(これが訳者の問題かもしれないといった要因)、結局真相がわかりにくい!ホームレス連続殺人の真犯人は結局誰だったのか?ビーン殺害を指示した犯人は誰だったのか?私なりに理解はしているつもりだが、自信がないほどだ。 「わが目の悪魔」からレンデルのサスペンスに魅せられて、好んで読み出したが、もっとストレートで分かりやすい方がよいかな。 |
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