皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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kanamoriさん |
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| 平均点: 5.89点 | 書評数: 2460件 |
| No.880 | 7点 | 危険な童話- 土屋隆夫 | 2010/07/30 18:42 |
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| 現実的な殺人捜査や容疑者取り調べの描写の合間に挿入された童話が意味深で、読者を物語に引き込む効果を挙げています。
作中のユニークなトリックですが、この小説のミステリとしての核心が何か解らないまま読んでいて、終盤に変形の××ネタとわかったときは、結構感心した覚えがあります。 今読むと、ちょっと無理筋なところも目立ちますが、文芸的テイストと本格ミステリ趣向が融け合った秀作だと思います。 |
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| No.879 | 7点 | ゴメスの名はゴメス- 結城昌治 | 2010/07/30 18:42 |
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| ベトナム戦争前夜・60年代初頭のサイゴンを時代背景とした国産スパイ小説の嚆矢といえる作品。
商社員として赴任した主人公が前任者の失踪に絡む謀略に巻き込まれる・・・スパイものといっても全編にわたって荒唐無稽さのないリアリズムに貫かれており、一人称で語られる内容は迫真性充分で、ミステリ的趣向もあります。 タイトルに繋がるダイイングメッセージ風のエピソードは、作者らしいスマートさを感じる。 |
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| No.878 | 8点 | 飢餓海峡- 水上勉 | 2010/07/29 21:02 |
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| この大作は、「虚無への供物」と同じく青函連絡船・洞爺丸事故が創作の契機のようです。ただし、時代を遡って昭和22年を事件の発端にしていますが。
過去に強盗殺人を犯し隠蔽工作をし名前を変えて暮らす男と、恩人の男をかばう元娼婦、執拗に男を追及する捜査陣、と抒情的な文章で壮大な人間ドラマを堪能できます。若干、物語の進行に冗長さを感じる点もありますが、読み応え十分の名作と言えるでしょう。 |
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| No.877 | 7点 | 11枚のとらんぷ- 泡坂妻夫 | 2010/07/29 20:34 |
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| 著者初の長編ミステリですが、読了時、ああこの作家は長編が書けない人だなと思いました。
長編の中に、11編の奇術ネタの短編ミステリが入っていて、ばらつきはありますが面白いネタが多かった。こちらの構想が先にあって、無理やり長編に組み込んだ印象で、そのため死体の周りに散乱する奇術の小道具の理由付けなどちょっと苦しい。 |
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| No.876 | 7点 | ゼロの焦点- 松本清張 | 2010/07/29 20:34 |
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| 「東西ミステリーベスト100」国内編の15位は、清張2作目の登場。
夫の謎の失踪と妻の捜索行、さらには最後のクライマックス・シーンなど、プロットは多くの社会派サスペンスの追随作品を産み、もはや陳腐となってしまいましたし、犯行の動機も時代を感じます。 しかし、抒情的筆致による北陸の陰鬱な情景や主人公の心情描写は初期作品の中でも出色の出来だと思います。 |
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| No.875 | 8点 | 陰獣- 江戸川乱歩 | 2010/07/29 18:37 |
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| ともに乱歩自身をモデルにしたと思われる<変格探偵作家>大江春泥と、主人公で<本格探偵作家>の寒川とを対峙させる構図の中で、作者のこだわりの××トリックが最大限に生かされています。
物語自体、旧前の耽美的作風でありながら、プロットは理知的探偵小説そのもので、作者の二面性が結実した傑作だと思います。 |
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| No.874 | 6点 | 二銭銅貨- 江戸川乱歩 | 2010/07/29 18:37 |
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| 「東西ミステリーベスト100」には乱歩の短編がいくつか選ばれています。
13位の本書は、最初に書いた探偵小説という歴史的意義がありますが、暗号ミステリで最後にオチがある小ぶりの作品。 「心理試験」が25位で、スリリングな展開で完成度の高い好みの逸品。49位の「押絵と旅する男」は幻想ミステリで、55位の中編「パノラマ島綺談」は通俗ミステリ風の綺譚というように、作風がバラエテイに富んでいる点はさすがだと思います。 |
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| No.873 | 8点 | 大誘拐- 天藤真 | 2010/07/29 18:37 |
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| カイガイ出版という聞きなれない版元だったと思いますが、文庫本しか買わなかった学生時代に、おそらく初めて買った単行本で、読了時に”買って大正解!”と思った。
天藤真の初読本ですが、作者の登場人物に向ける優しさや独特のユーモアのテイストが最大限に発揮されています。 ミステリ的には「意外な被害者」もののクライム・コメデイといえると思いますが、ジャンルの枠内に収まらないエンタテイメント小説の傑作でしょう。 |
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| No.872 | 7点 | 刺青殺人事件- 高木彬光 | 2010/07/29 18:37 |
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| 現在の読者だと、硬質な文体とか大袈裟に読者を煽る表現が鼻につくかもしれませんが、純粋な密室ものの本格ミステリとしてよく出来ていると思います。
心理的密室のトリックが一番のキモだと思いますが、機械的密室のカラクリも当時はそれなりに面白いと思いました。 |
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| No.871 | 9点 | 戻り川心中- 連城三紀彦 | 2010/07/29 18:36 |
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| 「東西ミステリーベスト100」国内部門の第9位になってようやく発表時リアルタイムで読んだ作品が登場。
いわゆる”花葬シリーズ”といわれた主に大正・昭和前期を時代背景にしたミステリ作品集で、美麗な文章に隠された騙し絵の世界を堪能しました。 探偵小説誌・幻影城で第1作「藤の香」を読んで以来、追い続けたシリーズなので思い入れのある作品集です。 |
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| No.870 | 8点 | 黒いトランク- 鮎川哲也 | 2010/07/28 21:19 |
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| 鮎川哲也名義では最初の長編ミステリ。
時刻表ミステリ(アリバイ崩し)ものとしては、屈指の傑作だと思います。派手さはないものの、鬼貫の前に次々と立ちふさがる巧緻な真犯人の犯罪計画の壁を突き崩して行く様は、パズラーの醍醐味を満喫できました。 容疑者や被害者など関係者を鬼貫の旧知の人物に設定しておきながら、人間ドラマにしないのは、いかにも鮎川らしい。 |
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| No.869 | 8点 | 本陣殺人事件- 横溝正史 | 2010/07/28 20:51 |
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| 短めの長編なので、読み応えという点では作者の他の傑作群に劣るかも知れませんが、初めて読んだ横溝作品ということもあって印象に残る本格編です。
春陽文庫版で読んだが、事件現場の離れ周辺の見取図が添えられていて、トリック解明のシーンでは、ぞくぞくする興奮に包まれたことを憶えています。細かい点では、三本指の男のミスディレクションも当時は感心できました。 |
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| No.868 | 4点 | ドグラ・マグラ- 夢野久作 | 2010/07/28 20:34 |
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| 「黒死館」と並んでミステリ界の奇書と称される本書ですが、文体は平易で、読みにくいとは思わないが、内容の理解不能度は「黒死館」を遥かに凌いでいます。
解説を読むまで、作者の意図したものが全く解らなかった。 |
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| No.867 | 6点 | 黒死館殺人事件- 小栗虫太郎 | 2010/07/28 20:23 |
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| 「東西ミステリーベスト100」国内部門の第5位は奇書といわれる古典本格ミステリ。
この晦渋な文体のミステリを読了するのは難儀ですが、法水探偵の広範囲な分野に渡る衒学的蘊蓄解析の部分を読み飛ばせば、単純なプロットでステロタイプな犯人像を設定したオーソドックスなコード型本格だと解る。 しかし、そういった読み方は作者の創作意図にまったく相反するもので、「黒死館」を読解したとは言えないのでしょうね。 |
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| No.866 | 6点 | 不連続殺人事件- 坂口安吾 | 2010/07/28 17:38 |
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| 作者が”犯人当て”を意識しすぎたために、こちゃごちゃと登場人物をいたずらに増やしたので、せっかくのトリックの鮮やかさが埋没してしまった感じがします。
その辺が、同じトリックを使ったクリステイのプロット創りの巧みさに遠く及ばない点で、本格好きのアマチュア作品と言えるかと思います。 |
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| No.865 | 5点 | 点と線- 松本清張 | 2010/07/28 17:37 |
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| 清張作品の本質の一つは、濃厚な人間ドラマ的な部分にあると思っているので、刑事の捜査過程に軸足のある本書は異色作に近い作品だと思います。
アリバイ・トリックの手段については、時代性を考えればとくに不満はありませんが、東京駅の空白の4分間に関してアイデアが評価される点がいまだにピンときません。 |
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| No.864 | 8点 | 獄門島- 横溝正史 | 2010/07/28 17:37 |
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| 「東西ミステリーベスト100」国内編のラインナップを現在眺めてみた印象は、海外編以上に保守的だということです。国内だと色々なしがらみに左右されるということもあるのでしょうか。おそらく、現在同様のアンケートを実施すれば、半数以上の作品がランク外になるように思います。
国内部門の第1位になった本書は、横溝作品の中で個人的フェイバリットではありませんが、俳句の見立て連続殺人というテーマと絶妙なミスディレクションで記憶に残る名作だと思います。 作者の”見立て殺人”は、もう歌舞伎などの古典芸能と同じ様式美の世界ですから、必然性の有無など関係ありません(笑)。 |
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| No.863 | 6点 | ラスト・コヨーテ- マイクル・コナリー | 2010/07/28 17:37 |
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| シリーズ初期の傑作と称されることが多いこの第4作ですが、個人的には”創りすぎ”との感もあります。
主題は、娼婦であった実母の惨殺事件の謎で、この30年以上前の未解決事件を、上司への暴力行為で強制休職中のハリー・ボッシュが追い続けるというストーリーで、ボッシュ自身に関わる過去の総決算的な意味合いがあります。 一応の解決を見て、残り100ページ余りで語られるどんでん返し的真相はたしかに意外ではあるのですが、大昔の事件の証拠が次々出て来るところは、ご都合主義と思えてきます。 |
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| No.862 | 5点 | 丘の上の赤い屋根- 青井夏海 | 2010/07/28 17:37 |
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| 東京近郊の地方都市にある小さなラジオ局を中心に、多彩な人間模様を描いたいハートフルでノスタルジックな物語。
ミステリ的な趣向はほとんどありませんが、主人公格の男女2人の新住民の生き方にからめて、色々な人々の人生の断面をみせてくれる。脇筋のエピソードを予定調和的にまとめないのは、作者のこだわりを感じる。 |
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| No.861 | 7点 | 11の物語- パトリシア・ハイスミス | 2010/07/27 19:09 |
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| 女性作家には意地の悪い、毒気を含んだ小説を書く人が多いように思える。
クリスチアナ・ブランドも毒のある本格短編を書くが、ハイスミスの毒は”奇妙な味”で、独特なテイストを感じます。 この短編集はバラエティに富んでいて、作者を知るには恰好の作品集だと思います。 |
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