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kanamoriさん
平均点: 5.89点 書評数: 2460件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.980 7点 大統領の晩餐- 小林信彦 2010/08/10 19:57
怪人オヨヨ大統領シリーズ第5弾。
前作の「密使」では影の黒幕だった大統領が、宿命のライヴァル・鬼面警部&旦那刑事と因縁の対決(笑)。
例によって、パロデイ&ナンセンス・ギャグに料理道のウンチク満載の陰謀ミステリです。今回は配下のでこぼこコンビのドタバタ劇で笑わせてくれます。

No.979 8点 大統領の密使- 小林信彦 2010/08/10 18:51
怪人オヨヨ大統領シリーズの第4弾。
一応、巻き込まれ型の謀略系ミステリの恰好をとっていますが、パロデイとナンセンス・ギャグに溢れたハチャメチャな娯楽小説。
とは言っても、プロット全体に先駆的な仕掛けが施されており、「SRの会」が選んだその年のミステリ第1位作品でもあります。
さすがに、時代を風刺したパロデイは現在では意味不明なものも多いのが残念。主人公の深夜ラジオ人気DJ・今似見手郎といっても誰のパロデイか分からない。神出鬼没の「青木の奥さん」は、たぶん亜愛一郎シリーズの謎の老婦人の元ネタでしょう。

No.978 5点 スリープ- 乾くるみ 2010/08/10 18:18
「リピート」は過去への時間移動でしたが、今回は、天才的女子中学生が冷凍催眠によって30年後の未来で覚醒するというSF設定の「物語」。「夏への扉」風のプロットでソッチ系のSFを思わせますが、実はアッチ系のSFだったという仕掛けのミステリでした。
時間移動のシステムなど理系方面の説明が難解で読み飛ばしましたが、一応伏線でもあったとわかります。

No.977 6点 三人の名探偵のための事件- レオ・ブルース 2010/08/10 18:00
ビーフ巡査部長シリーズ第1作。
ピーター・ウィムジイ卿、エルキュール・ポアロ、ブラウン神父をパロッた3人の名探偵が密室殺人に挑むという内容。
多分にバークリーを意識したように思えるプロットですが、それほど弾けた展開を見せてくれる訳ではありませんし、パロデイとしても中途半端な印象です。
ただ、多重解決もののパズラーとしては、まずまず面白かった。

No.976 6点 騙し絵の檻- ジル・マゴーン 2010/08/09 21:39
タイトル通り秀逸なプロットによって事件の構図をミスリードするタイプのミステリ。
主人公が、殺人の冤罪を晴らすべく16年前の事件関係者を訪ね歩く物語と、その過去の事件の詳細が交互に描かれています。
終盤になって容疑者全員が犯人であり得ないことが判明しますが、ある視点の転換によって一気に真相が見えてくる結末はなかなか鮮やかです。

No.975 5点 ペンギンは知っていた- スチュアート・パーマー 2010/08/09 21:03
オールド・ミスの女教師・ウィザーズが探偵役を務めるシリーズ第1作。
シリーズ長編は14冊あるも邦訳は本書のみのようで全貌は覗えないが、本書はコージー風ながら伏線がきっちり張られたオーソドックスな本格ミステリ。
ただ、同時代のエラリー・クイーンと比べるとロジックは比較的単純でパズラーとしての歯ごたえがあまりなかった。

No.974 6点 他言は無用- リチャード・ハル 2010/08/09 20:36
英国風ブラック・ユーモアが漂う軽ミステリ。
上流階級の社交クラブを舞台に、会員の不慮の毒死事件と脅迫状をめぐる騒動を軽妙なタッチで描いています。
米国風のドタバタではなく、なにげない言動や行動にニヤリとさせる上質のユーモアが持ち味で、個人的には「伯母殺人事件」より楽しめました。

No.973 6点 絞首人の手伝い- ヘイク・タルボット 2010/08/09 20:06
長編は2作しか書いていないが、オカルト趣向と不可能トリックでマニア受けをする作家です。
なんといっても発端の怪奇趣向の謎の提示が魅力的で、本書も死後2時間で腐敗する死体とか不可能性は巨匠のカーに劣らないと思います。ただ、大風呂敷を広げた謎に対して、トリックの真相がちゃちで小粒になっているのは「魔の淵」と同様で、若干拍子抜けの感もあります。

No.972 5点 殺人は広告する- ドロシー・L・セイヤーズ 2010/08/09 18:47
ピーター・ウィムジイ卿シリーズの第8作です(ネタバレになるのかな)。
シリーズ作の初期数冊は読んでいないのですが、本書はコージー風というか通俗ミステリ臭を前面に出した異色作でした。都会的で軽めの作風はOKですが、ミステリ趣向の面であまり読みどころがない作品という印象です。

No.971 7点 カリブ諸島の手がかり- T・S・ストリブリング 2010/08/09 18:27
心理学者ポジオリ教授シリーズの連作短編集。
西インド諸島の島々を舞台に、教授が遭遇する5つの事件が収録されていますが、ちょっと不思議なテイストの作品集です。
カリブ諸島の風習、宗教、人種などは興味深く読めますが、はたして、これが名探偵もののミステリといえるのかという感じを持ちながら、最後の「ペナレスへの道」で吃驚仰天。
かなり衝撃的な結末で、印象に残る問題作と言っていいでしょう。

No.970 6点 不変の神の事件- ルーファス・キング 2010/08/09 17:44
傑作とまでは言えないですが、ドタバタ風の逃亡サスペンスから最後にサプライズを仕掛けた本格ミステリで面白かった。
妻を自殺に追い込んだ脅迫者を殺してしまった夫と家族たち、彼らを追う捜査陣という通俗的ながら場面転換を多用したテンポのいい構成で、最後にワン・アイデアで驚かせてくれます。
戦前に、いくつか本格編を書いているようで、ちょっと気になる作家ではあります。

No.969 7点 検死審問ふたたび- パーシヴァル・ワイルド 2010/08/08 20:57
前作の構成をそのまま踏襲したプロットですが、陪審員のイングリスが主役級の活躍?をして審問をかきまわすさまが最高に面白く、まったく二番煎じの感はない。
引っ越してきたばかりの作家の焼死事件が今回の審問対象で、例によって関係者の証言がとんでもない方向に逸れていって、審問が長引けば日当が増えるスローカム検死官の思惑が見え隠れするのも笑えます。
これで伏線を張り巡らしたりっぱな本格ミステリに仕上がっているから不思議だ。

No.968 7点 八点鐘- モーリス・ルブラン 2010/08/08 20:21
アルセーヌ・ルパンものの第3短編集。
レニーヌ公爵ことルパンが恋する女性のために8つの冒険を繰り広げるが、本格ミステリ作品集といっていいほどトリックが満載されています。
「テレーヌとジェルメーヌ」の密室トリックは後にヴァン・ダインやカーの作品にも応用されたもの。そのほか、アブナー伯父シリーズや乱歩の短編とほとんどトリックが被っている意外な殺人手段ものなど楽しめる。

No.967 7点 第二の銃声- アントニイ・バークリー 2010/08/08 18:55
国書刊行会の世界探偵小説全集で出て評判を呼び、一気にバークリー未訳本の翻訳ラッシュに火をつけた作品。
パーティの余興中の殺人で容疑者になった友人からの依頼で迷探偵シェリンガムが乗り出すというストーリー。
なんといっても友人のピンカートンの特異な造形が面白く、真相が分かってから再読すると、彼のいろいろな言動が皮肉なユーモアで真相を内包していたことが分かります。メインの仕掛けも、その手段をとる理由が某有名作品と比べて必然性がある点は評価できると思います。

No.966 6点 こわされた少年- D・M・ディヴァイン 2010/08/08 18:20
普通の本格パズラーであれば、後半になって事件が動き出すあたりから小説が始まってもおかしくないのですが、冒頭の少年の失踪から、学校及び家庭の人間関係、事件の背景の説明などで小説の半分を費やすというゆったりとした展開は、ディヴァインの作風を知らないとちょっとついていくのがきつそうです。
二人目の被害者が少年の姉に言った「あなたは彼に似ていない」という伏線は面白いのですが、提示方法が巧くなく効果をあげていないのがちょっと惜しい。
トリックをほとんど使わず、ミスディレクションのみで意外な犯人の設定ということで、作者の特徴の出た作品だと思います。

No.965 6点 はだかの太陽- アイザック・アシモフ 2010/08/08 14:04
「鋼鉄都市」に続く地球人刑事イライジャとロボットコンビによるSFミステリ第2弾。
今回は、ロボットが大多数を占める別惑星が舞台になっていて、密室からの凶器の消失という不可能トリックを扱っています。特殊世界の本格ミステリという点では前作と同じですが、真相はやや意外性に欠け、前作より出来は落ちる気がします。
ただ、惑星ソラリアに関する趣向はSF作家の本領が発揮されていて読ませます。

No.964 7点 死者の中から- ボアロー&ナルスジャック 2010/08/08 13:45
この作品もボア&ナルの心理サスペンス・ミステリの傑作だと思います。
死んだはずの女性の出現というのは「悪魔のような女」を踏襲したかのようですが、その意味合いは全然違います。高所恐怖症の男という主人公の心情描写が丁寧に描かれていて、それが第2部で主人公が陥る悪夢の状況を際立てているように思います。
文庫は絶版のようですが、簡単に読めない状況はもったいない逸品です。

No.963 7点 悪魔のような女- ボアロー&ナルスジャック 2010/08/08 13:20
ボア&ナル・コンビの合作ミステリ第1作で、サスペンスミステリの教科書のような作品。
逆にいえば、今では愛人と結託した妻殺しのプロットは定型すぎて、謎解きミステリとしては仕掛けがほぼ見えています。タイトルもある意味ネタバレ気味ですが、心理サスペンスの古典名作には間違いありません。

No.962 3点 ゴールド1 密室- ハーバート・レズニコウ 2010/08/08 13:00
80年代に出たコテコテの密室ミステリということで、珍品ではありますが、文章の酷さ(翻訳の問題もある)で読み終えるのが非常に苦痛でした。
密室の中の被害者と重要容疑者というシチュエーションは、多分に「ユダの窓」を意識した状況ながら、トリックはいささか平凡。
探偵役の人物造形も酷い。

No.961 6点 衣裳戸棚の女- ピーター・アントニイ 2010/08/08 12:49
素人探偵ヴェリティものの本格ミステリ第1作。
さすがに、”戦後最高の密室ミステリ”という惹句は大袈裟ですが、誰もが考えつかなかったバカミス的解決法がユニークではあります。軽妙なユーモアと味のある人物造形でサラッと読めます。

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