皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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kanamoriさん |
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平均点: 5.89点 | 書評数: 2426件 |
No.326 | 7点 | 密室殺人大百科〈上〉魔を呼ぶ密室- アンソロジー(国内編集者) | 2010/05/19 21:20 |
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平成の密室アンソロジーとしては本書が質量ともに突出した内容で、新本格以降の作家の書き下ろし作品を中心としながらも、隠れた旧作の発掘もあり、充実した作品集だと思います。
新作のなかでは、芦辺拓「疾駆するジョーカー」、二階堂黎人「泥具根博士の悪夢」、柄刀一「時の結ぶ密室」が面白かった。 旧作では狩久の逆密室もの中編「虎よ、虎よ、爛爛と」が、目玉作品といえると思います。 |
No.325 | 7点 | 鮎川哲也の密室探求- アンソロジー(国内編集者) | 2010/05/19 21:02 |
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昭和52年初版の密室ミステリのアンソロジー。
中島河太郎や渡辺剣次のアンソロジーにて名作が収集された後だけに、重複を避ける意味でハンデがあったと思いますが、まだまだ傑作が残っていました。 個人的ベスト3は、大阪圭吉「灯台鬼」、豊田寿秋「草原の果て」、山沢晴雄「扉」で決まり。 異色なところでは、大谷羊太郎+鮎川哲也の共作犯人当て「密室の妖光」や新人の泡坂妻夫「右腕山上空」などがあり嬉しいかぎりです。「密室探求」の第2集も編まれています。 |
No.324 | 7点 | 続・13の密室- アンソロジー(国内編集者) | 2010/05/19 20:47 |
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「13の密室」に続く密室アンソロジーの第2弾。この作品集も前作に並ぶ名作がそろっています。
個人的ベスト3は迷いますが、大阪圭吉「抗鬼」、杉山平一「赤いネクタイ」、高木彬光「妖婦の宿」です。 ほかに、乱歩の「何者」、楠田匡介「妖女の足音」、土屋隆夫「「罪深き死」の構図」なんかが印象に残ります。 |
No.323 | 7点 | 13の密室- アンソロジー(国内編集者) | 2010/05/19 20:36 |
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国内密室ミステリの名作がずらっと並ぶ珠玉のアンソロジーで昭和50年初版。編者は渡辺剣次。
乱歩から中井英夫まで、どの作品も現在では簡単に読めると思いますが、なかなかのラインナップです。 あえてベスト3を選ぶと、小栗虫太郎「完全犯罪」、鮎川哲也「赤い密室」、中井英夫「聖父子」でしょうか。 大阪圭吉、天城一、飛鳥高、大坪砂男、高木彬光、陳舜臣など、どれも遜色ない逸品ぞろいです。 |
No.322 | 6点 | 密室殺人傑作選- アンソロジー(国内編集者) | 2010/05/19 20:18 |
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昭和49年初版で、おそらく国内初の密室ミステリ・アンソロジーだと思います。編者は中島河太郎。
鷲尾三郎、天城一、楠田匡介、戸板康二、土屋隆夫などの作品は、当時こういった形でしか読めなかったでしょうが、今では各作家の短編集が出ていて隔世の感があります。 山村正夫「降霊術」、藤村正太「妻恋岬」などは現在でもレアなところでしょうか。 |
No.321 | 6点 | 密室殺人コレクション- アンソロジー(国内編集者) | 2010/05/19 19:10 |
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密室ミステリのアンソロジー。本邦初訳作品を中心に編まれている点が評価できます。
目玉は数年前に「赤い右手」が独特の叙述文章でちょっと評判になったJ・T・ロジャーズの中編「つなわたりの密室」。トリックは普通ですが、熱気を感じる文体は健在です。 ほかに、豪州のディクスン・カーことアフォードの「消失の密室」、ジョセフ・カミングス「カスタネット、カナリヤ、それと殺人」などが収録されていますが、出来は微妙です。 唯一の既読作品、ロバート・アーサー「ガラスの橋」が個人的ベストです。 |
No.320 | 7点 | 密室大集合- アンソロジー(海外編集者) | 2010/05/19 18:49 |
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密室ミステリのアンソロジー。
この作品集も、カー、クイーン、ロースン、ホック(編者自身!)がお約束のように収録されていますが、ほかにも逸品があってなかなか楽しめました。 ヤッフェ「皇帝のキノコの秘密」は作者15歳の時に出したデビュー連作短編の中の1作で、ブロンクスのママと並ぶシリーズ探偵の不可能犯罪課ドーン刑事もの。このシリーズは論創社ぐらいから出版してもらいたいものです。 デ・ラ・トーレの「三重の密室」、アシモフのSFミステリ「真鍮色の密室」、ブルテンのストラング先生ものなどが目を引きますが、一番の収穫はヒュー・ペンティコーストの「子供たちが消えた日」です。スクールバスの消失を扱っていて、不可能性と小説の完成度で優れていて個人的ベストです。 |
No.319 | 5点 | これが密室だ!- アンソロジー(海外編集者) | 2010/05/18 20:35 |
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密室がテーマのアンソロジー。
あまり有名でない作家の作品が多く収録されていて、それなりに意義のあるアンソロジーだと思います。しかし、ホック、カーなどはいまさら感がありますが。 出来はともかく、マックス・アフォード、ジョセフ・カミングス、ヘイク・タルボットなどが読めたのは収穫。 |
No.318 | 6点 | 密室殺人傑作選- アンソロジー(海外編集者) | 2010/05/18 20:16 |
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密室がテーマのアンソロジーですが、広義の密室も含まれていてバラエティに富んでいるとは思います。しかし、巨匠のクイーン、カー、チェスタトンやホックの作品は他で読めるのでいらなかったですね。ほかにもクレイトン・ロースンやトマス・フラナガンも含め7作品が既読でした。
クレイグ・ライスは不可能性よりもホワイダニットものでイマイチの内容、ジョゼフ・カミングズの「海児魂」が特異な設定が面白く一番印象に残りました。 |
No.317 | 7点 | SFミステリ傑作選- アンソロジー(国内編集者) | 2010/05/18 18:43 |
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30年前に編まれた講談社文庫のアンソロジーで、当時のSFミステリ・シーンが俯瞰できる作品集だと思います。編者は風見潤氏。
アシモフは「鋼鉄都市」などに出てきたイライジャ刑事ものの「ミラー・イメージ」、ランドル・ギャレットはダーシー卿登場の不可能犯罪もの「重力の問題」。 ほかに、エドワード・ホック、アンソニー・バウチャー、J・G・バラードなどが収録されていますが、個人的ベストはキース・ローマーの「明日より永遠に」です。冷凍催眠で100年後に覚醒した男が変貌した世界の謎を解いていく話で、一種独特の雰囲気のある物語に惹かれました。 |
No.316 | 6点 | 白夜の密室 ペテルブルグ1901年- 海渡英祐 | 2010/05/17 21:48 |
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明治末期のロシア駐在武官・広瀬武夫を主人公にした歴史ミステリ。
日本人が異国の地で密室殺人事件に遭遇するという設定は、「伯林」に続く二匹目のドジョウを狙ったものでしょう。 残念ながら密室トリックのほうは大した出来ではないですが、日露関係とかの当時の国際情勢の詳しい記述や、広瀬と貴族の娘アリアズナの恋愛関係など、歴史ネタとして面白く読めました。 司馬遼太郎は一冊も読んだことはありませんが、「坂の上の雲」などが好きな人には、さらにお薦め。 |
No.315 | 6点 | 陽の翳る街- 仁木悦子 | 2010/05/17 21:27 |
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世田谷のある商店街の住民4人でなる推理小説研究会<モザイクの会>が巻き込まれる殺人事件、著者最後の長編ミステリ。
殺人被害者の失われた過去の謎が核で、商店街の多くの住民たちを描きながら、意外な人間関係の繋がりで最後にきれいにまとめています。 いつもながらのハートウォーミングなミステリで、読後感はいいです。 |
No.314 | 7点 | 内部の真実- 日影丈吉 | 2010/05/17 20:55 |
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太平洋戦争末期の日本統治下の台湾を時代背景とした長編ミステリ。
民家の密室状況の中庭で見つかった軍人射殺事件の捜査を、主人公で同僚軍曹の手記の形で描かれる第1部が本書全体の9割を占めます。 現場に残された拳銃と銃弾を巡って次から次へと推論がなされ、容疑者が三転四転する展開はコアな本格編という感じで、当時の台湾の情景描写も合わさって読み応えがありました。 第2部で、残された手記を基に明かされる真相は意表を突きますが、王蘭の花に関するあるエピソードの謎が残っているように思えます。これは幻想と理解すべきなのか、それとも読解力不足なのか、悩ましい。 |
No.313 | 5点 | 傷ついた野獣- 伴野朗 | 2010/05/16 22:42 |
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東北のある地方都市を舞台に新聞記者を主人公にしたミステリ連作短編集、「野獣の罠」に続く第2弾。
主人公は一匹狼的なはみ出し記者という設定ですが、ハードボイルドというほど尖がっているわけではなく、ちょっと個性に乏しい感じを受けます。 収録作では、「予定稿解除」が結末に意外性がありまずまずですが、いずれの作品もミステリ度は薄めでした。 |
No.312 | 5点 | 神南署安積班- 今野敏 | 2010/05/16 22:28 |
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東京ベイエリア分署・安積班シリーズの連作短編集。
とはいうものの、一旦安積班の面々が渋谷と原宿に挟まれた神南署に引越していた時期の作品集。何故か交通機動隊の速水もいっしょに異動しています(笑)。 署が変わっても内容は従来通りで、パターン化された刑事たちの活躍が楽しめました。 なかでは、須田刑事の個性が最大限に炸裂する「ツキ」が爆笑必至です。 |
No.311 | 7点 | 異郷の帆- 多岐川恭 | 2010/05/16 21:46 |
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江戸時代末期の長崎出島を舞台背景にした時代ミステリ。
オランダ語通詞の青年を主人公とした、密室状況の出島内の殺人と消えた凶器の謎を核とする本格ミステリですが、転びキリシタンなどを絡めた青春小説の趣もあります。 当時のエキゾチックな出島の情景が瑞々しい文体で描かれていて、非常に読み心地のいいミステリでした。 |
No.310 | 5点 | 高校殺人事件- 松本清張 | 2010/05/16 18:44 |
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高校生向け学習雑誌に「赤い月」のタイトルで掲載されたジュブナイル系ミステリ。
東京郊外の高校裏の沼で男子高校生が惨殺された事件を級友グループが解決に乗り出すというストーリーですが、高校生の一人称で語られる文章が重厚で格調高いのが笑える。ジュブナイルなのに、清張節はそのままでした。 |
No.309 | 6点 | 女王陛下のアルバイト探偵(アイ)- 大沢在昌 | 2010/05/16 18:28 |
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不良中年私立探偵とその息子の高校生・冴木隆が主役を張る軽ハードボイルド、シリーズの第3弾(長編としては第1弾)。
「このミス」88年版国内部門第15位、9点獲得(笑)。 六本木を中心としたアクションものだったのが、スケールが段々大きく国際的陰謀ものになってきて、今回は東南アジア某国の女王の護衛がお仕事。 お気軽で破天荒なアクションもので、サクサク読めるので楽しめました。 |
No.308 | 8点 | ベルリン飛行指令- 佐々木譲 | 2010/05/16 18:05 |
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第二次大戦秘話三部作の第1作。
シリーズいずれも海軍省書記官・山脇の目線で描かれている傑作冒険小説です。世評では第2作の評価が高いと思いますが、最初に読んだ本作が印象に残っています。 ナチス・ドイツまでのゼロ戦の長距離飛行作戦が主題ですが、今作の主役・日米混血のパイロット安藤のストイックで正義感が強い時代遅れの男という人物造形が魅力的です。 日本を飛び立った後の冒険譚より、むしろ計画段階における山脇や安藤そして彼の妹などが絡む多彩な人間ドラマが面白かった。 |
No.307 | 6点 | ダイナマイト円舞曲(ワルツ)- 小泉喜美子 | 2010/05/15 17:02 |
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地中海の架空の王国を舞台にした陰謀ミステリ。デビュー作から10年後に出版された長編第2作です。
国王の9番目の王妃と留学先で知り合いだった主人公女性の一人称で物語が綴られていきますが、一種メルヘンチックな雰囲気を醸し出しながら、サスペンス溢れる陰謀譚が描かれています。 王国の秘密とか不可解な出来事の真相はあまり独創的とは言えないですし、衝撃度はデビュー作ほどのものではありませんが、社会派全盛の時代に、このような洒落たミステリを書くこと自体非凡なセンスを感じました。 |