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まさむねさん
平均点: 5.86点 書評数: 1154件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.21 6点 ハッピーエンドにさよならを- 歌野晶午 2024/02/28 23:32
 11篇からなる短編集。出来栄えは作品によってマチマチな印象。タイトルどおり、どの短編もハッピーエンドとは無縁ですが、社会問題を絡めつつ考えさせられる短編も複数ございました。
①おねえちゃん:悲しい話ですなぁ。
②サクラチル:ストンと落とされた。
③天国の兄に一筆啓上:凡作と言わざるを得ない掌編。
④消された15番:正直、ピンとこなかった。
⑤死面:過去の真相の想定はつくが、ラストの一ひねりは作者らしい。
⑥防疫:最後の言葉が効いている。
⑦玉川上死:ミステリ的な側面は最も強いが、序盤で想定ができる面も。
⑧殺人休暇:ラストの1行がいい。自分も読中そう思った。
⑨永遠の契り:バッドエンドとはいえ、思わず笑ってしまった掌編。
⑩In the lap of the mother:この掌編も苦笑い。パチンコは怖い。
⑪尊厳、死:人の尊厳とは。なかなか深い。

No.20 6点 間宵の母- 歌野晶午 2021/11/26 21:23
 何の事前情報もなく手にしたのですが、いやはや、何とも言えない後味を残す作品でした。心が疲れている時に読まなくてよかった。
 連作短編の最終話における伏線回収(と言っていいのか?)は、ストーリー的に複雑な心境になりながらも、なるほどと思わせられた部分もありましたね。
 しかし、全体的には、作者が時折繰り出す、ブラック歌野色に染まっています。人を選ぶ作品ですね。

No.19 7点 Dの殺人事件、まことに恐ろしきは- 歌野晶午 2021/06/14 21:33
 短編集。各短編とも、乱歩作品の現代版アレンジとして練られているし、高レベルにあると思います。作者らしさも随所に感じることができます。
 ベストは表題作で、まさに最新鋭の?本格短編。締め方も作者らしい。「スマホと旅する男」の雰囲気も、乱歩作品のオマージュとして良質。「陰獣幻戯」の終盤でのたたみかけ具合も個人的には好きです。

No.18 7点 安達ヶ原の鬼密室- 歌野晶午 2020/11/28 11:05
 時期も舞台も異なる4つの事件?を一つの紐で結びつけた作品。見せ方を変えたり、他の要素も組み合わせることで、なるほど、面白く仕上るものですね。ある意味で、贅沢な作品と言えるのかも。(逆の評価もあり得るか。)マトリョーシカ的な構成も良かった。
 ちなみに、本編とも言うべき戦時中の事件については、最も大がかりではあるのだけれども、大人の登場人物にとっては、痕跡から分かる、少なくとも不信感は抱くような気がしますね。何かは残っていたはず。見過ごすかな?

No.17 7点 死体を買う男- 歌野晶午 2019/10/31 22:22
 作中作を効果的に使った作品で、私はすこぶる楽しく読むことができました。
 まずは、作中作の乱歩調の筆致がイイ。江戸川乱歩と萩原朔太郎の探偵譚も面白い。そして、それを活かした多層的な工夫が何とも心憎い。確かに、個々のトリックや仕掛けは地味というか、ありがちな部分もありますが、その組み合わせ方、読者への見せ方については、さすが歌野センセイ!と感じましたね。

No.16 7点 家守- 歌野晶午 2017/04/16 23:36
 捻りの効いた作品が揃った、高水準の短編集だと思います。
①人形師の家で:ギリシャ神話から始まる、多層的な構成が一本の線で結ばれる様が美しい。
②家守:バカミス+構成の妙。
③埴生の家:裏の裏は…的な発想が実に面白く、秀逸。
④鄙:様々な意味での“密室モノ”。横溝を想起させる雰囲気で余韻も印象的。
⑤転居先不明:正直、この作品だけは消極的な評価。

No.15 5点 舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵- 歌野晶午 2015/12/13 22:46
 14歳になった舞田ひとみ。今回は探偵役なのだけれども、相変わらずすっ呆けた言動が楽しい。でも、ミステリとしては緩いなぁ。イマイチな短編もあったなぁ。(そもそも暗号モノが好きではないのでね。)

No.14 5点 舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵- 歌野晶午 2015/12/05 18:05
 ノベルス版の「著者のことば」で、「本書を一言であらわすなら、『ゆるミス』、『やわらか本格』―まあそんなところです。」とありますが、まさにそんな感じ。人はガンガン死ぬのですが、何故かほのぼのとしています。これは舞田ひとみ(11歳)のキャラによるところ大なのですが、予想に反して探偵役ではないのですねぇ。勝手に女子版コナンかと思っていたのですが…。出番も叔父の歳三氏の方が圧倒的に多いですね。
 作者にしては変化級が少なく,ストレート中心のピッチングといった印象ですが,水準級には楽しめたかな。

No.13 7点 ずっとあなたが好きでした- 歌野晶午 2014/12/28 22:37
 恋愛小説短編集。って言いながら歌野氏だからなぁ…と念頭に置きながら読み進めますと,やっぱり表題作や「舞姫」のような捻りの効いた作品もありつつ,あれ?純粋な恋愛小説もあるし,ははぁ,今回はこういった雑多感を楽しむ趣向なのかねぇ…などと結構中だるみを感じた頃に…ねぇ。
 スラスラ読ませつつも結構な分厚さ。ソコも狙いなのでしょうが,なるほどねぇ。ははぁ,なるほどねぇ。

No.12 5点 魔王城殺人事件- 歌野晶午 2012/10/09 22:11
 トリック自体は,敢えて云々言うまでもないレベルなのですが,ミステリーランドの趣旨を勘案すれば非常に「正しい」作品であり,好感を持ちました。(注:私がこれまで読んだミステリーランド作品は麻耶氏の「神様ゲーム」のみであるため,何をもって「正しい」とすべきなのかは,自分でもよく分かりませんが…。)
 多くの皆様のおっしゃるとおり,なるほど,ミステリーランドは様々に楽しめますねぇ。どんどんノベルス化・文庫化されているようですし,今後,積極的に読んでいくことになりそうです。

No.11 6点 春から夏、やがて冬- 歌野晶午 2012/07/26 22:36
 タイトルから,どうしても「葉桜~」を念頭に読んでしまいますねぇ(私だけ?)。結果,ソッチ系ではなく,反転レベルも期待ほどではなかったものの,残念感は抱きませんでした。淡々とした書きぶり,そして悲しさと切なさと優しさが入り混じった読後感は記憶に残りそうです。この作品の本質は,反転ではなく,その後の余韻にあるような気がしますね。(好き嫌いはありそうですが…。)

No.10 7点 放浪探偵と七つの殺人- 歌野晶午 2012/02/27 22:23
 読者挑戦形式の本格短編7連発。そして解答編は袋とじ(ノベルス版の場合)。読者挑戦モノ好きの私としては,この構成自体で「プラス1点」って感じです。
 で,中味も良かった。凡作と言えるのは1話のみ。個人的なベストは,傑作と評価したい「有罪としての不在」。(問題編のみで完璧な「正答」に辿り着ける方は皆無のような気もするが…)次点が「水難の夜」でしょうか。総合的にレベルが高い短編集だと思います。
 えっ?「結局,お前は何問解けたのだ」ですって?痛いところを突きますねぇ。すみません,1問だけでした。しかも,その1問は前述で「凡作」と評した,分かり易すぎるもの。でも,「分からなかったからこそ,楽しめた」って側面もあるわけですしね!(開き直り)

No.9 6点 正月十一日、鏡殺し- 歌野晶午 2011/11/08 21:57
 7話からなる短編集。
 第1話の「盗聴」はノーマルなミステリーですが,次第にブラック度が上昇し,最終話「正月十一日、鏡殺し」に至っては,これ以上ない程真っ黒に。物凄い後味でした…。
 とはいえ,「裏本格」は堪能させていただきました。個人的には「記憶の囚人」の見せ方に感心しましたね。出だしは「はぁ?」って感じなのですけれどもね。

No.8 5点 密室殺人ゲーム・マニアックス- 歌野晶午 2011/10/15 16:39
 シリーズ第三弾の全体構成としては,「アリ」だと思いますね。
 しかし,個々のトリックは拍子抜け。ちょっと辛い。作者の言いたいことも分かりますけどねぇ。4点と5点の中間ってことで,四捨五入。

No.7 6点 ガラス張りの誘拐- 歌野晶午 2010/09/24 19:45
「病名、やさしさ。」
1ページ目にナイスなフレーズが。(人によってはダメかもしれないが。)
そして,このフレーズ、結構この作品全体にわたる共通項だったりする。
この辺り、私は嫌いではない。
ただし,やっぱり「動機」と「結果」との違和感はぬぐえない。嗚呼もったいない!根底のテーマが悪くないだけに。
この作品+「さらわれたい女」は,確実に「葉桜~」に通じていると思うので,気持ち加点します。

No.6 6点 さらわれたい女- 歌野晶午 2010/09/22 20:20
無理に奇をてらうことなく,正攻法で書かれた誘拐ミステリ(まあ「誘拐ミステリ」って言って良いのか,やや躊躇する面もあるが)。
特筆すべきトリックがあるわけではないが,軽快な語り口&展開で,純粋に楽しめると思う。
こういう,大掛かりではないけども安定感あるミステリは,結構好み。
なお,この作品,結構「葉桜~」に活かされているような気がする。

No.5 5点 女王様と私- 歌野晶午 2010/07/27 20:11
「叙述と見せかけ,実は…」等々,オチのパターンを想像しつつ,それ以上の驚愕を期待していたのですが,そう来ましたか,はあ,そうですか・・・ってのが,読後の感想。
やや脱力気味。
しかし,さてさてオチはどうなのかな~という好奇心をラストまで切らすことなく読了したことは事実だから,5点で。
読後感は相当微妙だったけど。

No.4 5点 密室殺人ゲーム2.0- 歌野晶午 2010/07/17 14:38
続編だけに,前作ほどの斬新さは感じない。(当たり前か)
Q3とQ4は結構面白かったですが,他の作品は・・・
無駄に長い印象を受けたのも事実。
総合的にこの採点で。

No.3 5点 そして名探偵は生まれた- 歌野晶午 2010/03/01 23:07
4つの中短編。作品ごとに差がありすぎ(?)と感じたため,採点は控えめになりました。
よかった順に書評を。(一部ネタバレあり)
①「生存者、一名」
 スリルもあり,「なるほど」と思わせる箇所もあり,超良作。中編でここまで表現できるのは素晴らしいのヒトコト。読後の余韻の中,「題名」について考えざるを得ないあたり,さすが歌野さん。
②「館という名の楽園で」
 結構前段階で「館」トリックが概ね分かってしまう方が多いのでは… 中編で「館モノ」にアタックした意気込みと,ラストの仕掛け(?)は買います。
③「夏の雪、冬のサンバ」
 トリックにかなり無理があると思いますが(傾きすぎ!),国際色豊かな点は悪くないかな?(まあミスリードの一部ですが)
④「そして名探偵は生まれた」
 作者の「ねらい」はどこにあったのか、ややつかみかねますね。中途半端な印象が…。

No.2 8点 葉桜の季節に君を想うということ- 歌野晶午 2010/02/22 21:52
例の叙述トリックのインパクトが強く(きれいに騙されました…),そこだけに目がいきがちですが,それ以外にも「歌野らしさ」が散りばめられており,楽しめました。
テーマも奥深いものがあり,非常によいですね。読み終えたあとに,改めてタイトルを噛み締めざるを得ないところもにくい。
サクッと読んで,サラッと騙され,ググッと考えさせられた,そんな印象です。

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まさむねさん
ひとこと
ミステリとしての特別な知識なく乱読していますので、私の書評はあまりアテにしないでくださいね。
好きな作家
道尾秀介・東野圭吾・東川篤哉
採点傾向
平均点: 5.86点   採点数: 1154件
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