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まさむねさん
平均点: 5.87点 書評数: 1228件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.108 4点 ミステリアス学園- 鯨統一郎 2010/12/06 21:45
皆様の書評のとおり,これはミステリ入門書として読むべきですね。
そう割り切れば,確かにためになったし,楽しめました。本格ミステリ度MAPなどは,なかなかの興味深さです。
しかし…最終章は如何なものでしょうか。苦痛に感じてしまったのは,私だけではないはず…。
この分,マイナスさせていただきます。

No.107 7点 ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ!- 深水黎一郎 2010/12/05 11:21
なるほど。確かに「読者が犯人」を成立させましたね。
フェア・アンフェアを含め,結構な荒業を駆使していると思いますが,端麗な文章の影響もあるのか,不思議と不快感はなかったです。むしろ,叙述のうまさ,そして確かに「成立させた」ことに感動した次第。
好き・嫌いは別として一読の価値はあるかも。
しかし,このタイトルは酷い。センスの欠片も感じられない。もっと売れててもいいのになぁ。

No.106 5点 六枚のとんかつ- 蘇部健一 2010/12/01 22:40
怖いもの見たさで読んでみた。
評判どおり,「凄み(?)」を痛感せざるを得ない短編が多かったが(「しおかぜ⑰号~」などは凄すぎてとてもコメントできない…),個人的には許容範囲内の短編もあった(表題作など)。
それだけに,どこまでがギャグなのか掴みきれず,何と捉えればよいやら…。
まぁ,記憶に残る短編集であることは間違いない。人に薦めるかは別として。

No.105 6点 館島- 東川篤哉 2010/11/29 21:27
まあ,ある意味で「館モノ」の王道かもしれませんが,何ともスケールのでかいトリックでしたね。
場合によっては,相当の批判も想定されるところですが,島に突きつけられた事情や時代背景を織り込むことによって,上手く批判をかわしてるなぁと(少なくとも私は)納得しました。
題名も良いですね。氏の作品にしては珍しい題名では?と思いつつ読み始めましたが,読み終えた後には「なるほど…」と。
でもなぁ。最初の殺人の「動機」はちょっと…。
本格をコミカルに描こうとする試みは否定しないけれども,仮に動機を「ギャグ」で逃げ切ろうとしたのであれば反則っぽい。
それ以外は,個人的には本格ミステリとして「アリ」な作品だと思います。(表現手法の好き嫌いはあるでしょうが…)

No.104 8点 ハサミ男- 殊能将之 2010/11/23 12:35
何の前知識もなく読みました。
いきなり序盤から叙述系の臭いがプンプン。極めて典型的な叙述トリック二重奏でしたね。
…とか書きながら,実は,騙されてました。典型的なヤツなのに…悔しい。でも楽しかった。
作品のクオリティは,相当に高いと思いますね。
伏線も練られているし,表現も巧い。(ミートパイ食いたくなったし)

すごく好きな作品ですが,以下が気になったので気持ち減点。
目黒西署が最後の最後に見落とすのかなぁ…。最後の現場の状況からすれば,かなり不自然な「思い込み」と思うが。
それと,医者との会話(言い換えればサイコ的要素)ってそんなに大切な要素だったのかな?ミスリードにそんなには資していないような気も…。

No.103 6点 密室に向かって撃て!- 東川篤哉 2010/11/20 22:11
氏の作品を読むのは,「交換殺人には~」・「もう誘拐なんて~」に次いで3作品目。
まずは,烏賊川市シリーズは順に読むべきだったなぁと反省した次第。(一般的にそりゃあそうか。)
で,思ったよりも本格の状況を作ってましたね。根幹はしっかりとしていて,安心感はあります。
犯人の意外性が少ない等,細かい点は色々(血は気付くんじゃないかなぁ…とか)ありましたが,まあ,ストレスなく読み進められたし,作者の「狙い」は成功してるような気がします。
ちなみに,既読2作品と比べて,ギャグが薄かったような気が…。個人的にはもっとガンガン攻めて欲しかったなぁ。

No.102 6点 もう誘拐なんてしない- 東川篤哉 2010/11/19 21:30
中盤までは,ドタバタコメディ舞台を見ているようで,それはそれで楽しめた。氏のギャグセンスは決して嫌いではない。むしろ「癖になる」予感すら。
で,終盤は一転して犯人探しがメイン。トリックは,まぁ作品全体からすると,隠し味くらいの位置づけか。
トリックというよりも,ユーモアミステリとして全編から醸し出される雰囲気を楽しむべき作品かもしれませんね。

No.101 5点 クール・キャンデー- 若竹七海 2010/11/14 20:28
ページ数も限定されている(のであろう)中,綺麗に織り込みましたねぇ…という印象。
個人的には,最後の1行に衝撃を感じませんでした。
途中,何故「そっち」の方はノー追求なのだろう…って考えてしまったので,何となく察しが…。「そっち」についてあそこまで完全に放りっぱなしにするんですから,匂いがプンプンと…。(主人公の件は気付かなかったケド…)
感情移入できる登場人物がいなかったことも,ちょっと残念。

No.100 9点 すべてがFになる- 森博嗣 2010/11/13 16:19
今まで「理系ミステリ」ってイメージだけで氏の作品を避けていたのですが,ひどく損をしていたことを思い知らされました。
緻密なパズルを見せ付けられた感じ。
登場人物のキャラにも魅かれる。
登場人物に「語らせてる」内容も(共感できるかはともかくとして)好印象。
高評価になっちゃいますね。

No.99 8点 少女- 湊かなえ 2010/11/13 10:57
あまり評価は高くないようですが…私は好きですね。
何を基準に選ぶかによるけど,「告白」よりもこちらを人に勧めるかも。

終盤の因果の連鎖はなかなかだし,友情とか親子の愛情を噛ましているところも悪くない。
で,「因果応報、地獄に堕ちろ!」って台詞が効いてるなぁ。
軽快に読み終えた後に気付く猛毒。何気ないブラック度の高さ。
やっぱり悪くはないですね。(小説として)

なお,机の上にこの本を置いていたら,家族が物凄く怪訝そうな顔をして表紙&題名を眺めていました。
「いや,これは「告白」を書いた作者の小説であって,決して…」
うーん。やっぱりブラック度は高かった。
この個人的な印象の強さを含め,批判覚悟で8点献上。

No.98 6点 贖罪- 湊かなえ 2010/10/31 21:03
本当は出版順に読みたかったのだが,図書館予約の関係で,「少女」よりも先読せざるを得なかった。(「告白」は読了)
で,この作品。各章ごとに違う視点での独白というスタイルは「告白」と同じ。グイグイ読まされた感も同じ。
特に第1章(紗英パート)と第2章(真紀パート)は良い。その後はちょっとだれ気味な面もあったが,全体的に湊ブラックを感じることはできた。どうせならば,ラストまで完全ブラックでも良かったような気もするが…。

No.97 6点 廃墟に乞う- 佐々木譲 2010/10/30 21:52
過去の事件で精神的に傷を負い,休職している刑事が主人公の連作短編集。直木賞受賞作。
ミステリ性は極めて薄いが,まぁ良い読書時間ではあったのかなぁ…そんな印象。
氏の連作短編であれば,「制服捜査」の方が良作かも。

No.96 6点 セカンド・ラブ- 乾くるみ 2010/10/23 21:16
分かりやすすぎる「餌」がぶら下がっているため,その裏に何があるのか想像しながら読み進めたものの,ラスト4行には確かにしてやられた。
読了後,数秒考え込んで「!」となるあたりは,イニシエーション・ラブと同様。
ただし,イニ・ラブが多彩で綿密な伏線を用意しているのに対して,この作品の「最大の肝」に対する伏線は果たして…?
この2作品,雰囲気は似ているが,ラストの衝撃に向かってのアプローチはかなり異なる。
また,イニ・ラブが「十分にあり得る話」だった(ソコが良かった!)のに対して,この作品には多少の無理も感じた。最終的に解せない点もある。
楽しめはしたが,総合評価としてはイニ・ラブの方が断然上位。

No.95 5点 トリック・シアター- 遠藤武文 2010/10/18 19:46
前作(プリズン・トリック)同様,評価が微妙ですね。(前作を読んだ上で,この作品に触れた方が楽しめると思います。)
提示される謎はなかなかに魅力的ですし,前作における欠点を修正しようとする姿勢も買うのですが…
でもやっぱり,詰め込みすぎじゃないかなぁ。もっとシンプルでもいいと思うんですよね。
また,相変わらず(一部の者を除いて)人物表現が拙いような気がしてしまいました…映像として浮かんでこないというか…。
その薄い人物表現の中で人間性のコアな部分をも描こうとするから,分かりにくくなるのかも?(単に私の読解力不足なら,大変申し訳ございません)。

って何だかんだ言って,前作同様,魅力は否定できないんですよね。
続編があるような結末だったし,今度こそ次回作に期待かな。

No.94 7点 警察庁から来た男- 佐々木譲 2010/10/16 21:11
「笑う警官」に続く道警シリーズ第2弾。
津久井・佐伯・小島・新宮など主要な登場人物は前作とほぼ同じ。これに「警察庁から来た男」が加わり,またもやグッジョブかましてくれる。皆,かっちょいい。
警察小説好きであれば,純粋に楽しめると思う。個人的には前作の「笑う~」よりも,こちらの方がスピーディーで好み。

No.93 5点 切り裂きジャック・百年の孤独- 島田荘司 2010/10/14 20:23
1888年ロンドン編における切り裂きジャック事件の新解釈は,文句なしに面白かった。
でも,その百年後,1988年ベルリン編は,ロンドン編とのリンクというよりも,「こじ付け」の感が拭えなかったなぁ。
勿論,両者並行で語ることで,味わい深くなっているので,ロンドン編・ベルリン編を分けること自体が筋違いなのでしょうが,敢えて分けるとすれば,雰囲気を含めてロンドン編に軍配。

No.92 5点 フィッシュストーリー- 伊坂幸太郎 2010/10/09 11:47
4編からなる短編集。ミステリ性は低い。
なお,それぞれの短編間の関連性はない。
①動物園のエンジン
 意図は分からないでもないが,正直,青臭い。
②サクリファイス
 中盤までの雰囲気は嫌いではない。ただし,後半は失速気味。
③フィッシュストーリー
 氏のコトバを借りれば,「だから?」という感じ。それ以上の感想は抱かなかった。
④ポテチ
 これは佳作。ベタ過ぎる展開ではあるが,響いた。

率直に言えば,④がなければマイナス2点だったかも…。
まあ,④も人によって好みが分かれそうだけれども。

No.91 5点 チルドレン- 伊坂幸太郎 2010/10/06 18:55
まず,想像よりもミステリ的な側面があったことが意外であった。(きっと作者の狙いはソコではないのだろうし,相当に分かりやすいミステリ性だったけれども。)

最後にもう一捻りほしかったなぁ・・・でも普通には楽しめる連作短編集だったという印象。

ちなみに,氏の登場人物が奏でる「コトバ」って,個人的にはあまり好みではない。むしろ,上から目線に辟易することも多い。これって私だけなのかなぁ。

No.90 6点 ある閉ざされた雪の山荘で- 東野圭吾 2010/10/06 18:33
現実には閉ざされていない中での「クローズドサークル」。
なるほど。面白いですね。
現実か芝居か分からない,微妙な展開。
なるほど。巧いですね。

<以下,未読の方注意>
オチは,まあ,なるほどって感じですが(決して嫌いではないけど),例の女性にとってちょっと無理がありすぎるような気がしますね。4日間ですよ。求道者かよ・・・ってことでこの点数。

No.89 5点 夏と花火と私の死体- 乙一 2010/10/04 18:33
確かに,書かれた当時の作者の年齢を聞けば,驚かざるを得ません。(描写力などは,年輩の作家よりも巧く感じたりも!)
ただ,作品自体を冷静に見れば,標準レベルのような気もします。
表題の「死体の一人称」は結構斬新で面白かったけど…
逆に「優子」は,結末が想像できてイマイチでしたね。
総合して,この評価でしょうか。(ハードルを上げ過ぎて読んでしまった面もありますが…)

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まさむねさん
ひとこと
ミステリとしての特別な知識なく乱読していますので、私の書評はあまりアテにしないでくださいね。
好きな作家
道尾秀介・東野圭吾・東川篤哉
採点傾向
平均点: 5.87点   採点数: 1228件
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