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まさむねさん
平均点: 5.89点 書評数: 1330件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.270 6点 プリズム- 貫井徳郎 2012/02/13 20:39
 自己矛盾する2つの印象を受けました。
 まず,第1点。前章で犯人(と目された)人物が次章の語り手となり,新情報も加えて独自の推論を組み立てるスタイルは,やはり面白い。最終的には循環させつつ,読者に委ねる構成もニクイ。人それぞれ,無限の楽しみ方があると思いますね。
 その一方,純粋に「正答が知りたい!」と感じてしまったのも事実。作者の狙いは十分に認識しつつも,やはり,どうしても…ねぇ。これが2点目の印象。何ともワガママな読者ですみませんねぇ。
 ちなみに,タイトルは「被害者」・「容疑者」・「関係者」の多面性を端的に表していて,秀逸です。

No.269 5点 Rのつく月には気をつけよう- 石持浅海 2012/02/11 11:28
 大学時代からの3人の飲み仲間。最近は,誰かがゲストを連れてきて,一緒においしい酒と肴を囲もうという趣向。そこでゲストの語る恋愛話が突然ミステリー風味を帯びたり…っていう,まぁ,軽い安楽椅子モノですね。最終盤の一捻りは…微妙かなぁ…。
 ミステリとしての側面よりも,酒と肴のシーンが楽しめましたね。我慢できずに,牡蠣を大人食いしちゃいました!

No.268 7点 烏丸ルヴォワール- 円居挽 2012/02/10 22:58
 ルヴォワール・シリーズ第2弾。
 前作「丸太町~」を読んでから手にされることをオススメします。と,言いますのも,前作の重要ネタの一部が惜しげもなく(?),冒頭で示されるからです。
 で,この作品ですが,前作と比べて,事件そのものはシンプル(まぁ,設定として「真相」にはあまり意味は無いのですが…)。そして法廷ミステリとしての側面も,前作からすると弱めかな。
 しかし,「龍師」たちの前哨戦を含めた「騙し合い」は前作以上とも言え,なかなか楽しめます。どんでん返しの連射も健在。よくあるラノベと思ったら大間違いです。
 しかし,最重要ポイントは何と言ってもラスト。唸りました。見事にやられました。脱帽です。


(ネタバレ?)
 第1章があっただけになぁ…。「又鴉の計」ねぇ…。悔しい!

No.267 6点 夏の王国で目覚めない- 彩坂美月 2012/02/06 22:56
 青春小説のイメージが強いかもしれませんが,実は(?)本格ミステリ度合いも高い作品です。もっとミステリ好きに読まれてもいいような気がしますね。
 とは言え,各々のトリックや後半の反転については,概ね察しがつきますし,リーダビリティも決して高いとは言えません。(残念なことに,青春小説的要素は,私にとって「蛇足」としか映りませんでした…)
 その一方で,現実と仮想を混然とさせつつ,心理的クローズドサークルとでも言うべき状況を作り出した「架空遊戯」なる設定の妙,さらに,様々な仕掛けを用意した「志」は,評価すべきと思います。次回作も追いかけてみたくなりました。

No.266 6点 花の鎖- 湊かなえ 2012/02/03 21:53
 3人の女性に関する物語が平行して語られていくスタイル。
 各物語に登場する,花(コマクサ・コスモス・りんどうetc…)や食べ物(きんつば・からあげetc…)等のキーワードを踏まえつつ,3人に係わる「K」と名乗る人物,そして3人の「共通項」を見出せるか…ってことなのでしょうが,多くの読者は,最終章前に容易に正答に辿り着くでしょうねぇ。もっと巧妙な手法でも良かったような気もしますが,これまでの湊作品とは異なる雰囲気を醸し出しており,それはそれで楽しめましたよ。

No.265 7点 マリアビートル- 伊坂幸太郎 2012/01/31 22:26
 東北新幹線の車内で巻き起こる,殺し屋たち(極悪中学生も混じっているけど)の協奏曲。舞台が舞台だけに,空間的・時間的制約から生じるサスペンス要素も相まって,次々にページをめくらされましたねぇ。「いい人系アウトロー」を主人公に据えると,この作者は強いなぁ。
 最後に個人的な望みを述べれば,極悪中学生の行く末(?)について,もっと生々しく描いて欲しかった。だって相当ムカムカする奴だったんだもの。

No.264 3点 六とん2- 蘇部健一 2012/01/28 22:55
 アホバカ・トリック自体は,嫌いではないのです。仕事で思い悩んだ際などには「劇薬」の効果も期待できますし。(勿論,単にストレスが増大するだけという危険性も。だから「劇薬」ですね。)
 で,この短編集ですが,前作「六枚のとんかつ」を引き継いだ劇薬系アホバカ作品もあるにはあるのですが,ファンタジー系の作品(ある意味で驚愕!)を含め,上品にしようとしている雰囲気が垣間見えます。正直,中途半端感は否めません。突き抜けるようなアホバカ作品だけを読みたかったのだけれど。

No.263 7点 雪密室- 法月綸太郎 2012/01/26 23:14
 まさにタイトルどおりの内容。オーソドックスかつストレートな本格ミステリと言えます。私は楽しめましたよ。「読者への挑戦」は大好物だし,伏線もキッチリ。法月親子の描き方をはじめ,雰囲気も悪くなかったと思いますねぇ。
 確かに,トリックとしては微妙な点もあります。しかし,私としては,判明した瞬間「嗚呼!その可能性に気付かなかった!不覚だ!」って気持ちの方が強かったので,まぁいいかなぁ…と。
 こういう端正な本格モノへの個人的な想いにより,1点加点!

No.262 6点 メルカトルかく語りき- 麻耶雄嵩 2012/01/25 21:55
 収録5短編とも,基本設定はWHOに力点をおいた王道路線なのです。そしてロジックも十分に展開されるのです。しかし,読者として解決の爽快感を得ることはできません。いや,「解決」とは何か,その定義なくして軽々に語るべきではないのかもしれませんが…。
 個人的には非常に複雑な読後感でした。「裏爽快感」とでも呼ぶべきか…。これは好き嫌いがハッキリと分かれそうです。

No.261 5点 羽衣伝説の記憶- 島田荘司 2012/01/21 16:17
 先日「北の夕鶴~」を読み,吉敷と通子の「その後」が気になったため,早速手にした次第でございます。
 正直,中盤までは「あれれ?もしかして期待ハズレ?」などと感じてしまいましたが,2人の再会以降の終盤は,ちょっとした謎解き要素もあり,2人の進展(?)もありで,盛り返してくれました。
 ただし,シリーズファン限定の面白さという側面も否定できないため,広くお勧めすることは難しいかも。

No.260 5点 北の夕鶴2/3の殺人- 島田荘司 2012/01/19 22:12
 ラブロマンス的要素,サスペンス的要素にバカミス的要素も加わり,何とも不思議な読後感でした。(ちなみに,私にとって「バカミス」とは,決して否定的意味合いではございませんので,念のため申し添えます。)
 ラブロマンス的要素は,今後の2人の関係に興味を持てたし(早速「羽衣伝説~」を入手),まぁ良かったかなぁと。
 一方,サスペンス的要素は,私にはちょっと冗長に感じてしまいましたねぇ。相当にまどろっこしいぞ吉敷刑事。犯人もトリックに自信があるのなら,敢えて夜討ちをかけなくてもさ…なんて言ってたら小説が成り立たないか。
 最後に,バカミス的要素は楽しめましたよ(現場見取図で概ね察しはつきましたが…)。鎧武者の偶然性などご都合主義が過ぎるとか,実現可能性云々とか,敢えて申し上げますまい。この大技自体に意義がある!

No.259 4点 ペルシャ猫の謎- 有栖川有栖 2012/01/17 19:12
 大変失礼ながら,表題作「ペルシャ猫の謎」に関する,作者自身のあとがきを引用させていただきます。
「こんな結末を読まされた読者がどんな気分になるのか、私には判らない。恐ろしいことだ。」
 ええ,本当に恐ろしいことです。問題作であると事前に認識して読むべき作品でしょうなぁ。
 
 一方,森下刑事にスポットを当てた短編「赤い帽子」は,嫌いではなかったです。火村・アリスが登場せず,純粋な「刑事モノ」だったことに新鮮味を感じたのかも。ちなみに,この作品の初出誌は大阪府警の機関誌とのこと。なるほど,だからか…と納得しつつ,依頼した大阪府警,さらには受諾した作者ともに,懐の深さを感じましたよ。こんなこともあるのですねぇ。

No.258 6点 赤い糸の呻き- 西澤保彦 2012/01/15 18:37
 5編からなるノンシリーズ短編集。個人的には,これまで「西澤作品は肌に合わない」と思い込んでいましたが,ちょっと反省。まずまず楽しめました。
 ベストは,エレベーターという密室を扱った表題作でしょうか。動機は相当に疑問ですが,複数の仕掛けが施されているため,まぁいいか…と。読者挑戦モノの「お弁当ぐるぐる」・都筑道夫氏のパスティーシュ「墓標の庭」もまずまず。他の2作品は正直微妙な点も(特に動機なのですがね)…。
 とはいえ,短編ごとに異なる探偵役の設定(キャラもいい),そして妄想推理と論理の絶妙なバランスはやっぱり楽しかったですよ。総合的にこの点数で。

No.257 7点 チェインギャングは忘れない- 横関大 2012/01/12 00:13
 これはイイ。
 「再会」(乱歩賞受賞作),「グッバイ・ヒーロー」と順に読み,この作家の筆力に注目していましたが,間違いではなかった。
 序盤からテンポのよい展開。効果的な視点転換を含めて,グイグイ読ませます。このサイト閲覧者にとっては,読中「楽しいけれど,これってミステリー?」という疑念(?)を持たれるかもしれませんが,構わず読み進めるべし。ミステリーとしての仕掛けもしっかりと用意されていますよ。(好き嫌いはあるでしょうが…。)読後感も良です。時期的にも,このような作品があってもいい,というか,あってしかるべき。
 この作者のこれまでの作品を読むと,「売れる作家」たる要素は多いと思います。乱歩賞出身だし,是非とも東野さんを目指して欲しいですね。個人的に,引き続き要注目の作家さんです。

No.256 6点 グッバイ・ヒーロー- 横関大 2012/01/09 21:09
 乱歩賞受賞第一作ですね。
 音楽を愛するピザ配達人「亮太」と、立てこもり事件で出会った「おっさん」が織り成す,謎と絆の物語。
 特筆すべきは,リーダビリティの高さ。素晴らしい。本格色はないものの,断続的反転はなかなか楽しめました。ハードボイルド的趣向も効いています。読後感も良し。(ちなみに某作家のタッチに似ているような気も・・)
 乱歩賞受賞作(「再会」)で個人的に注目していましたが,受賞第一作は期待以上の出来栄え。早速,次回作も読んでみます。

No.255 6点 水の柩- 道尾秀介 2012/01/08 16:00
 自分が「普通」で退屈なことを嘆く少年は,イジメを受け「普通」を欲する少女や長年の秘密を抱える家族のために何ができるのか?

 道尾ファンとしては,どうしても作者の「騙しの技巧」に期待してしまいます。本作品は,騙しの要素が皆無とは言えませんが,決してそれがメインではなく,限りなく文学作品寄り。よって,ミステリ的側面のみを期待している方にとっては肩透しでしょう。
 私も「道尾ミステリ」に期待して本作品を手に取ったわけです(事前調査なしで読みましたので…)。で,その結果文学寄りだったと。しかし,なかなか沁みる読後感でして,がっかりはしませんでしたね。情景描写なども美しいですし,作者の奥深さは感じました。道尾ミステリの楽しみは,次回作以降に取って置きましょう。

No.254 5点 名探偵水乃サトルの大冒険- 二階堂黎人 2012/01/06 21:27
サクサク読めてしまう,軽い短編集。作品ごとに短評を。
①ビールの家の冒険:私が犯人なら,そんな面倒なことはしないなぁ。
②ヘルマフロディトス:私が犯人なら,日記を燃やすなぁ。その不合理性を「精神的に子供」で済ませていいものか?
③『本陣殺人事件』の殺人:本家への新解釈は確かに興味深かったけれども,私が犯人なら,倣う必要性を感じない。
④空より来たる怪物:これぞバカミス。嫌いではない。

 総合的には,犯人の心理を度外視しすぎで,トリックのためのトリックって印象。一方で,「それを言っちゃあ…」と自分に突っ込んだりも。まぁ,作者は敢えてやっているのでしょうし。
 ちなみに,水乃サトルは,軽い短編集に丁度いいキャラですねぇ。ギリギリこの点数かなぁ。

No.253 6点 ロートケプシェン、こっちにおいで- 相沢沙呼 2012/01/01 16:51
 高校生マジシャン・酉乃初&純な高校生・須川の事件簿第2弾。「午前零時のサンドリヨン」の続編って位置づけですので,前作を読んでからの方が楽しめると思います。
 構成としては,日常の謎解明ゾーンと,某少女の独白ゾーンを,連作短編中に交互に積み上げながら加速していく感じ。両ゾーンに巡らされた伏線も巧妙で,思いっきりやられましたねぇ。爽快にやられましたです。
 なお,作品中の一短編は,アンソロジー「放課後探偵団」が初出。単独で読んだ際にも十分に楽しめたのですが,連作短編の一部として読むと,また違う味わいがありましたよ。
 ちなみに,「ロートケプシェン」とは,ドイツ語で「赤ずきんちゃん」という意味。

No.252 6点 きみにしか聞こえない- 乙一 2011/12/31 11:56
 個人的には手を出しづらい「角川スニーカー文庫」ですが,結論から言えば,3短編ともなかなかの収穫。「青臭さ」が妙に心地よかった。
 この激動の年の読書を締めくくるにふさわしい作品でしたね。

No.251 3点 11 eleven - 津原泰水 2011/12/30 09:07
 なぜ手にしたのかと言えば,「このミスで評価されていたから」。主体性のない選書で申し訳ございません。
 で,読後の感想としては「難しすぎてよく分からない」。咀嚼できたのか,自分でもよく分からん。さらに,これってミステリーなの?それもよく分からない。
 それもこれも,多分私の読解力が不足しているからなのでしょう。重ね重ね申し訳ございません。
 一方,記憶にはガツンと残りましたね。理性ではなく,感性で読めということか。うーん,私には合わない。
 最後に,個人的には,読了するのに一定の精神力を消費しましたので,ココロに余裕のある時に読まれることをお勧めします。

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まさむねさん
ひとこと
ミステリとしての特別な知識なく乱読していますので、私の書評はあまりアテにしないでくださいね。
好きな作家
道尾秀介・東野圭吾・東川篤哉
採点傾向
平均点: 5.89点   採点数: 1330件
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