皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
まさむねさん |
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平均点: 5.87点 | 書評数: 1228件 |
No.208 | 7点 | 隻眼の少女- 麻耶雄嵩 | 2011/09/12 19:22 |
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皆様の書評のとおり,横溝・三津田氏を思い起こさせる舞台設定。雰囲気は十分です。
しかし,第一部では何ともいえないモヤモヤ感を抱いたのも事実。全体で見ればなるほどねぇ・・・といったところでしょうか。いかにも,作者らしい作品ですね。 |
No.207 | 8点 | 卍の殺人- 今邑彩 | 2011/09/10 22:11 |
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個人的には,なかなかの収穫。本格モノとして,もっと広く読まれていてもいいような気がしますね。
一方で,トリック自体に目新しく点はなく,犯人当てについても,読みなれている方にとっては比較的容易かもしれません。「綺麗に纏まっているけれど,ありがちな作品」と言われれば,うーん,否定はできないかも。 しかし,自分なりの推理が展開できた作品であったこと,さらに建物のみならず,人物関係もシンメトリーとした設定に引き込まれましたので,加点しちゃいました。(甘すぎるかなぁ・・・?) |
No.206 | 5点 | 鬼- 今邑彩 | 2011/09/07 22:10 |
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ホラー風味の短編集。
途中で察しのつく作品も多く,もう一捻りほしいかな…っていう印象も受けましたが,まぁ非常に読みやすいし,まずまずではないでしょうか。(同じ短編集だったら「つきまとわれて」の方が好みですけども。) 個人的には,最も拍子抜けしつつ,一方で読後に最も考えさせられた表題作「鬼」が印象に残ったかな。それと「セイレーン」でしょうか。 |
No.205 | 7点 | 真夏の方程式- 東野圭吾 | 2011/09/06 20:52 |
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「容疑者X~」と比較してしまうのは,内容的にも止むを得ないところでしょう。そして,プロットの精巧さにおいて,「容疑者X~」に軍配が上がってしまうのも止むを得ないところだと思います。
とはいえ,評価したい点も多くありました。何といっても,恭平少年の存在が大きい。また,科学と経済と環境との関係も,まさにこの時期を的確に反映していて意義深いと考えます。作品ごとに確実に人間味が増している湯川氏も見所の一つでしょう。 あくまでも個人的評価ですが,探偵役の好き嫌いで言えば,加賀>湯川。しかし,同時期の作品で評価すれば「真夏の方程式」>「麒麟の翼」ですね。 |
No.204 | 6点 | 学ばない探偵たちの学園- 東川篤哉 | 2011/09/03 20:49 |
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2つの密室殺人。きっちり本格してます。
個人的に好きなのは2つ目の密室。いかにもこの作者らしい。伏線もニクイ。1つ目の密室は…まぁいいか。 なお,作者のギャグについて,私は大いに支持してます! |
No.203 | 7点 | ジークフリートの剣- 深水黎一郎 | 2011/09/02 22:14 |
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まずは,作者の豊富な知識,教養に驚かさました。この点だけでも,読む価値があるかもしれません。
物語としては,序盤から中盤まで比較的淡々と進みます。そして終盤に犯罪が発覚して急発進。個人的には,急発進以降の「展開」が短すぎるかなぁ・・・という印象もありますが,一方で,それがラストに活きているような気もします。ラストは文句なしに秀逸! |
No.202 | 7点 | アルバトロスは羽ばたかない- 七河迦南 | 2011/08/27 22:50 |
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児童養護施設「七海学園」の子どもたちが通う高校の文化祭当日に,校舎屋上からの転落事件が発生。単なる事故だったのか,その謎を追う「冬の章」が作品のメインなのですが,その合間合間に,春から晩秋までにかけて起こった,学園の子どもと春菜保育士を取り巻く4つの事件が挟み込まれている構成です。4つの事件の中に「冬の章」の手掛かりというか,伏線が用意されている訳ですね。
4つの事件(短編)自体もなかなかの出来栄えなのですが,やはり何といっても,作品の「全体構成」を評価したいですね。終盤の反転は,全体構成の賜物。綺麗で巧妙です。 |
No.201 | 5点 | 鍵のかかった部屋- 貴志祐介 | 2011/08/22 23:00 |
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密室ハウダニットに特化した中短編4本!作者も好きですよね~密室が。
個人的には,表題にもなっている「鍵のかかった部屋」がベストかな。微妙な作品もありましたが,そこはご愛嬌ってところでしょうか。密室好きの方はどうぞ。そうでない方は,途中でつらくなるかも。 ちなみに,防犯探偵シリーズ…らしいです。というのも,恥ずかしながら防犯探偵・榎本も弁護士・純子さんも,ワタクシにとっては初対面。特に問題なく読めましたけど。 |
No.200 | 6点 | 麒麟の翼- 東野圭吾 | 2011/08/22 22:53 |
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「赤い指」あたりから続く,加賀恭一郎シリーズのキーワード(「家族」)が,これまた色濃く反映されてますね。加賀刑事の着目点や推理の推移を楽しもうと思えば,悪くないと思います。松宮の成長とか,金森登紀子看護婦の再登場,さらには彼女に頭が上がらない加賀刑事のシーンなど,シリーズファンにとっての見所もありますしね。
ただ,謎解きとしては楽しめないでしょうねぇ。読者への証拠の提示もないですしね。ちなみに,私の根拠レスな真犯人予測は見事にハズレました…。 |
No.199 | 6点 | つきまとわれて- 今邑彩 | 2011/08/17 23:05 |
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反転モノ好きの私としては,結構楽しめました。非常に読みやすいですしね。
特に「つきまとわれて」と「六月の花嫁」がおすすめです。それと最終話の「生霊」。登場人物を他の短編にも登場させて繋げる手法が綺麗に展開されてます。 この作者の短編集は初読だったのですが,他の短編集も読みたくなりました。 |
No.198 | 5点 | ブラジル蝶の謎- 有栖川有栖 | 2011/08/16 22:19 |
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何とも芸のない書評で恐縮ですが,「可もなく不可もなく」というのが率直な印象。後々まで記憶に残りそうな話は無かったですね。
その中でも,時期的には,どうしても最終話の「蝶々がはばたく」のトリックに目が行きます。確かに成り立つし,ほどよい余韻も具備している,ますまずの作品ですが,今年の3月11日以降に読むと,複雑な気持ちになりますね。 |
No.197 | 5点 | 死ねばいいのに- 京極夏彦 | 2011/08/10 23:57 |
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ミステリ面だけに着目すればフーダニット+ホワイダニットなのでしょうが,読中は,そんなことは気にせず,主人公と被害者を取り巻く人達の人生感を堪能(?)することができましたね。
ただ,犯人及び被害者の感情については,結構な違和感も。終盤にちょっとした反転があるのは良いのですが,やや中途半端な印象も・・。 |
No.196 | 5点 | ガラスの麒麟- 加納朋子 | 2011/08/05 22:48 |
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連作短編の特長をうまく活かしている作品ではありますね。「ななつのこ」といい,作者はホントに連作短編が上手いなぁ。
でも,正直いって登場人物(被害者と神野先生)に感情移入ができず(おっさんだからか?),最終章も中途半端な印象が否めず,解決もロジカルとは言い難かったので,この程度の採点になりますかねぇ。個人的に評価が難しい作品です。 |
No.195 | 8点 | パラレルワールド・ラブストーリー- 東野圭吾 | 2011/08/01 22:48 |
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久しぶりに,読後の余韻に浸れた作品。
交互に語られていく現在と過去。混乱する記憶。一体何が真実なのか…と疑心暗鬼になりながら,次第に「なぜ,彼はそうなったのか」というホワイダニット的な面でも惹きつけられました。でもやっぱり真実との境目が(読者にとっても)危ういところがミソ。目を離せません。 これらの謎が終盤で明らかにされたとき,切なさとともに,一種の安堵感(語弊がある?)が。個人的には,「記憶」に残るであろう作品。改編されない限りにおいて,ですけど。 ちなみに,実は「パラレルワールド」ではなく,そして「ラブストーリー」でもないような…って読後にほくそ笑んだのは私だけ? |
No.194 | 5点 | ロシア紅茶の謎- 有栖川有栖 | 2011/07/30 21:33 |
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表題にもなっている「ロシア紅茶の謎」と「赤い稲妻」は,まぁ楽しめたかなぁ。
で,残りの作品は,小粒でピリリと辛くもない印象。「八角形の罠」は,舞台だったらそれなりに面白いのかもしれないし,「動物園の暗号」の着目点も個人的には好きですけどね・・・。 |
No.193 | 7点 | 再会- 横関大 | 2011/07/25 21:46 |
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前年の江戸川乱歩賞受賞作。
端的な文章でグイグイ引き込まれました。プロットも,決して目新しい点はないのですが,丁寧に練られています。登場人物間の視点転換も気にならない,というかむしろ効果的に働いている印象。老練な作家が書いたとすら思わせる巧さが垣間見えます。 ご都合主義的な側面や,過去の事件において真犯人がとった行動には理にかなっていない面があるのではないか…という疑問もありましたが,まぁいいか,と思わせるストーリー運び。 このレベルの作品を今後コンスタントに発表されることを期待します。(買うと思います。) ちなみに,前年度の受賞作「プリズン・トリック」とは,確かに様々な点で正反対の位置にある作品です。結構幅広いぞ,乱歩賞。 |
No.192 | 5点 | 冷たい密室と博士たち- 森博嗣 | 2011/07/24 13:19 |
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「オーソドックスな密室もの」という印象。本格作品としてきっちりしているのですが,特筆すべき点も見当たらないというか・・・。
それと,多くの方が指摘していますが,某女性が殺される理由の説明には,確かに納得し難いですねぇ。プロットの本筋はいじらずに工夫できたような気がします。 でも,読後に損したと思わせる作品ではないです。いたって平均的。 |
No.191 | 6点 | 心臓と左手 座間味くんの推理- 石持浅海 | 2011/07/22 22:16 |
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作者の代表作のひとつ「月の扉」の探偵役・座間味クンが再登場する短編集。
「月の扉」で知り合うこととなった大迫警視と座間味クンは,時折酒を酌み交わす仲に。その席で,大迫警視が組織としては解決した(ことになっている)事件について語るのですが,座間味クンの推理でガラッと事件の姿が変わってしまうという,まぁ,安楽椅子モノですね。 決して真相究明に特化している訳ではなく,大岡裁き系も,リドルストーリー調もあるのがミソ。小気味よいロジカルな展開でストレスを感じずに読めましたね。短編集としてなかなか高水準だと思います。(「月と扉」の後日談だけは期待はずれでしたが・・・) ちなみに,推理とは全く関係ないですが,この2人の酒を酌み交わす情景(海鮮鍋やら石垣牛やら一夜干しやら鶏料理やら炉端焼きやら…)が浮かび,羨ましくてしょうがなかったです。特にアジの一夜干し!そして日本酒! |
No.190 | 6点 | 月の扉- 石持浅海 | 2011/07/16 22:09 |
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当時各種ランキングで高評価だった作品。特殊な閉鎖空間におけるロジカルな推理とくれば,まさに作者の真骨頂。確かにその点は楽しめましたね。
しかし,動機がイマイチ(あくまでも個人的見解)という,もう一つの作者の特徴も如実に表れています。「石嶺師匠」の凄さは良く分からないけど,登場人物のみならず作者までもが彼に頼りっぱなしでしたねぇ。 |
No.189 | 5点 | 弥勒の掌- 我孫子武丸 | 2011/07/16 22:04 |
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氏の作品だけに,ひねくれて読んでしまったせいもあると思うのですが,結末にはそれほどの驚きを感じませんでした。
いや,私のようなひねくれ者を惑わす怪しげな展開も良かったし,概ね騙されたし,決して悪い作品ではないのですよ。 ただ,思ったよりも(?)正攻法でしたね。もっと騙されているかと思ってました。「これで終わっちゃっていいの?」というか・・・後味もかなり悪いしなぁ・・・この点数くらいにしておきましょう。 |