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まさむねさん
平均点: 5.86点 書評数: 1195件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.355 5点 ココロ・ファインダ- 相沢沙呼 2013/01/12 23:33
 写真部の女子高生4人をそれぞれの主人公に据えた連作短編。各短編にミステリが織り込まれているものの(第3話のモノは結構好みですが…),「青春小説」としての側面の方が強く出ていた感じですね。
 この作者は,デビュー作「午前零時のサンドリヨン」以降,高校生の心理,特にコンプレックスをテーマにしています。本作も同様であり,「またか?」という思いが無かったといえば嘘になるのですが,多視点でもあり,これまでとは多少違ったテイストも感じたので,まぁ,悪い印象は残らなかったですかね。でも,そろそろこのテーマとは違った作品も読んでみたいなぁ。

No.354 7点 キングを探せ- 法月綸太郎 2013/01/11 22:17
 4人による交換殺人。序盤は犯人側視点での倒叙形式です。次第に法月親子の視点の比重が増していって…という流れ。捻りも効いており,さすがと思わせる精緻なプロットです。(おそらく)敢えて重厚感を抱かせず,端正なタッチ&分量にした点も,私はプラスに評価します。
 法月親子の長編は「生首に~」以来だと思うのですが,私はこちらの作品の方が好み。

No.353 6点 夜の蝉- 北村薫 2013/01/07 21:14
 前作に比して,「私」とその周辺人物にスポットライトを強く当てています。(その分,円紫師匠の出番は少なかったかな?)「私」の成長譚としても楽しめました。
 「ミステリ」というよりも,純粋な「小説」として読ませてくれます。特に,人間の悪意の描き方が深くて秀逸。勿論,ミステリとしての味付けがあるからこそ,際立つのでしょうが。
 私としては,前作「空飛ぶ馬」よりもこちらの方が好みかな。

No.352 4点 高原のフーダニット- 有栖川有栖 2013/01/06 16:01
①オノコロ島ラプソディ
 思いっきり羽目を外した作品。非常にバカらしいトリックなのですが,最終的にはその伏線(?)にニヤリとさせられたので,まぁ良しとしましょう。
②ミステリ夢十夜
 掌編10連発。メタ的掌編と言えるのもありますが,結局は何をしたかったのか疑問。
③高原のフーダニット
 最も「らしい」作品なのでしょうが,犯人特定のロジックには,個人的に異議アリ。いくら何でもアレでは見えないと思うなぁ…。

No.351 5点 玩具店の英雄 座間味くんの推理- 石持浅海 2013/01/03 21:59
 座間味くんシリーズの短編集。
 過去の「事件」について食事をしながら雑談⇒不自然な点について座間味くんが推理⇒事件の様相がガラッと変わってくる… という一連のスタイルは前作同様です。雑談者としては,前作の座間味くん,大迫警視正に加え,科警研所属の女性エリート津久井さんが新たに登場。彼女が事件の「語り部」となります。
 座間味くんの語るロジックはなかなか楽しめたのですが,同じパターンが続きますと先が読めますし,正直ちょっと食傷気味に…。ちなみに,作者お得意の食事&酒のシーンは好きです。

No.350 6点 体育館の殺人- 青崎有吾 2012/12/31 17:12
 「エラリー・クイーンを彷彿とさせる論理展開+抜群のリーダビリティ」という触れ込みの,鮎川哲也賞受賞作。
 選評にもあるとおり,突っ込みたくなる穴はありますねぇ。ハウ(密室)についても分かり易すぎるかなぁ…と。
 しかし,一本の傘からのロジック展開に拘り,真っ向勝負に挑んだ心意気は買います。鮎川哲也賞史上初の平成生まれだそうで,今後の更なる飛翔に期待します。
 ちなみに,タイトルについては,様々なご意見がありましょうが,内容とは確かにリンクしているし,まぁスルーしておきましょう。次作は「図書館」あたりでどうでしょうか(笑)。
 来年も良い読書ができますように。皆様良いお年を。

No.349 6点 ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件- 七尾与史 2012/12/24 22:33
 サクサクっと進行させつつの,終盤の捻りはなかなか良かったですね。単なるキャラ小説かと勝手に思い込んでいたことが功を奏した(?)のか,個人的には,結構ベタなネタながらも想定以上に楽しめましたよ。
 ちなみに,主人公の性癖と「ドS」とは全く異質のものであります。さらに,そもそも彼女がドS気質であるのかも怪しい。確かに,タイトルには相当の違和感があります。

No.348 4点 沈没ホテルとカオスすぎる仲間たち- 七尾与史 2012/12/21 23:18
 「日本社会から脱落したバックパッカーの皆様の生態」という側面を除けば,かなり平凡な作品という印象は拭えません。「新しさがあり,感動がある。」とカバーの裏に書いてあったのだけれども…そうかなぁ?
 ちなみに「はい!コレ伏線(orミスディレクション)です!」って声高に叫びすぎかなぁ…と。一応フーダニットってコトなのでしょうが…。

No.347 6点 ビブリア古書堂の事件手帖3- 三上延 2012/12/19 21:54
 どんどん安定感が増している印象です。安心感をもって読書できるシリーズがあるということは,何とも幸せなことだなぁ…と感じ入っています。
 「栞子さんの家族の秘密」については,結構引っ張るなぁ…というもどかしさと,簡単に秘密の開示がなされシリーズ終了ってのも困る…という,相反した心情を持っています。それも,このシリーズにハマっている証拠か。早く次作を読みたいですね。

No.346 8点 とむらい機関車- 大阪圭吉 2012/12/16 11:12
(創元推理文庫版)
 戦前の探偵小説作家の中で,本格度の高さ,手法の先駆性という意味においては,やはり大阪圭吉氏は外せない…旨の薦めを目にし,かつ,個人的には唯一読んだことのある短編「デパートの絞刑吏」が良かった記憶もあったため,何気なく手にした次第。
 結論から言えば,「坑鬼」と表題作がずば抜けて面白かったですね。
 「坑鬼」は,極めて完成度の高い本格中編。海底炭鉱という,現代では想像しにくい舞台ながらも,最後まで読めば,決して「時代が違うお話」とは思えない辺りが相当に趣深いです。今だからこそ読むべし。傑作。
 また,表題作も記憶に残ります。「豚の連続轢死事件」「鉄道会社を退職した理由」という謎が魅力的ですし,ラストの反転も見事。「日常の謎系」の原型とすら言いたくなるプロットです。
 他にも,倒叙形式の「雪解」,ホワイが魅力の「気狂い機関車」など,多種多彩。若くして戦地に散ってしまわれたことが,本当に惜しく,悔しい。

No.345 6点 ビブリア古書堂の事件手帖2- 三上延 2012/12/15 21:14
 有意義な読書時間を頂戴いたしました。キャラの魅力,古書の薀蓄,温かな雰囲気などなど,確かに売れる要素が多いですねぇ。読者層も幅広いのではないでしょうか。早速続編も読むことになりそうです。

No.344 5点 魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?- 東川篤哉 2012/12/10 23:35
 魔法使いと本格ミステリという突っ込みどころ満載の設定(笑)を,逆に上手く使ってまとめていますねぇ。そこは流石人気作家。
 ただし,ネタとしてもギャグとしても小粒だったという印象。(1時間ドラマには,キャラ設定を含めて丁度良い塩梅かもしれません。むしろ狙っているのか?)
 個人的には,烏賊川市シリーズか鯉ヶ窪学園シリーズの方が好みかな。

No.343 3点 ケルベロスの肖像- 海堂尊 2012/12/08 11:22
 「バチスタ・シリーズついに完結!」という謳い文句の割には,何とも微妙な内容。これまでの作品で散らかしまくっていた種を,無難に(無理やり?)押し込めた感じでしょうか。
 したがって,バチスタ・シリーズはもとより,さらに広い範囲の桜宮シリーズ(特に「螺鈿迷宮」と「ブラックペアン1988」)を読んでいないと,ちょっと意味不明に感じるものと思われます。なお,ミステリ的要素を期待してはいけません。
 個人的には,これまでの作品に対する「懐かしさ」は感じたものの,本作品自体はかなり散漫であり,駄作と言わざるを得ません。
注:シリーズファンなら楽しめる作品なのかも。私は,シリーズの初期は結構楽しんで読んでいたのですが,途中でどうしても作者の作風が肌に合わなくなったものですから…。

No.342 7点 ビブリア古書堂の事件手帖- 三上延 2012/12/02 18:30
 店長の栞子さん,アルバイトの五浦クンその他登場人物も魅力的で,非常に読み心地のよい連作短編ですね。売れるのも素直に頷けます。…と言うか,こういう作品が売れるってこと自体で,何かいい気分になれるなぁ。そのうち続編も読んでみます。

No.341 5点 午後からはワニ日和- 似鳥鶏 2012/11/29 22:46
 動物園を舞台としたミステリ。目次のタイトルから勝手に短編集又は連作短編だと思い込んでいたのですが,途中で長編と気付いてびっくり。
 なかなか興味深い舞台ですし(久しぶりに動物園に行って,飼育員さんも含めて観察してみたくなった!),雰囲気としてはこれまでの学園モノよりも好印象。個々のキャラも個性的で,ユーモアも嫌味に感じなかったため,読み心地は良かったです。
 しかし,ミステリ長編としては,フー・ハウ・ホワイいずれをとってもちょっと弱いか。ガッツリ読みたい方には不向きかもしれません。一方で動物好きの方は,きっと私よりも楽しめるでしょう。

No.340 5点 びっくり館の殺人- 綾辻行人 2012/11/25 21:50
 「ミステリーランド版の館シリーズ」ってことになるのでしょうが,内容的には「館シリーズ」にこだわる必要は無かったような気も…。でも,例えば小学生の頃に本書を読んで,その流れで十角館…っていう子もいそうですし,未来のミステリ界にとっても,まぁ,アリということで自分を納得させました。
 しかし,こういう作品は評価が難しいなぁ…。純粋にジュブナイルとして見ればもっと高評価でも良いのですが,一方で「もう一捻り欲しい感」が残ったのも事実ですし…。悩んだ末にこの点数で。

No.339 4点 林真紅郎と五つの謎- 乾くるみ 2012/11/21 23:41
 タイトルどおり,5編から成る短編集。林真紅郎(シンクロー)さんが「シンクロ推理」という設定自体で「なんだかなぁ…」って感じなのですが,収録作品の出来栄えもまさにそんな感じ。
 唯一「過去からきた暗号」は,暗号嫌いの私でも楽しめた佳作。この作品に限って「シンクロ推理」が不発で,それが効果的な捻りに繋がっています。何とも皮肉なものですねぇ。この作品に免じて…という気持ちもあるのですが,やや厳し目にこの採点とします。

No.338 5点 10分間ミステリー- アンソロジー(出版社編) 2012/11/18 11:28
 「このミス」大賞の創設10周年を記念した,同賞出身作家によるショート・ショート集。29作家の作品が掲載されていますが,ショート・ショートはごまかしが利かないだけに,出来栄えには相当の差を感じましたねぇ。これは,作者間の力の入れようの差なのか,ズバリ力量の差なのか…。
 マイベスト5(というか,悪くなかった作品)を挙げるとすれば,友井羊氏・乾緑郎氏・佐藤青南氏・ハセベバクシンオー氏・喜多喜久氏の各作品か。
 スキマ読書には便利だったのでこの点数に。

No.337 6点 盗まれて- 今邑彩 2012/11/13 23:47
 今邑さんの短編は「つかみ」がウマイ,というのが個人的な印象でしたが,まさにその印象どおりの短編集。読みやすさも手伝って,途中で止められなくなるのですねぇ。決して大技が炸裂する訳ではなく,何となく先が見える展開ではあるのですが,終盤の捻り又は余韻のある結末は好きですね。マイベストは,あの分量での連続反転が綺麗だった「情けは人の…」でしょうか。

No.336 8点 天啓の殺意- 中町信 2012/11/11 22:30
 氏の長編6作目である「散歩する死者」(1982年初版)を全面改稿し,改題のうえで文庫化されたものだそうです。
 前半の端正さから一転する後半部分が読みどころ。ちょっとゴチャゴチャして混乱しつつの不思議な爽快感。個人的には嫌いではないです。敢えて多くを語らず「いろんな意味で,面白かった」とだけ述べさせていただきましょう。

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まさむねさん
ひとこと
ミステリとしての特別な知識なく乱読していますので、私の書評はあまりアテにしないでくださいね。
好きな作家
道尾秀介・東野圭吾・東川篤哉
採点傾向
平均点: 5.86点   採点数: 1195件
採点の多い作家(TOP10)
東野圭吾(56)
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東川篤哉(41)
森博嗣(37)
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