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まさむねさん
平均点: 5.86点 書評数: 1195件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.915 5点 黄色館の秘密- 折原一 2020/10/13 22:59
 黒星警部シリーズ第3弾。
 結論としては、かなり馬鹿馬鹿しい。でも嫌いじゃない・・・ってことになるかな。本格ド直球の設定でこの結末。これがシリーズの持ち味なのだと割り切って、楽しむことにしましょうか。
 ちなみに、竹内刑事のご紹介のシーンはどうなのだろう。これ、必要?
 それと、2つ目の密室の真相についてはどうなのだろう。雑すぎない?
 いずれも「まぁ、いいか」って思わせられていることが、「嫌いじゃない」という所感に繋がっているということで、ご理解ください。

No.914 5点 君に読ませたいミステリがあるんだ- 東川篤哉 2020/10/04 23:22
 「鯉ヶ窪学園シリーズ」ということで、懐かしさとともに手にしたのですが、まぁ、舞台が同じということだけで、少し残念。逆に、シリーズ作を読んでいなくても支障はないということになりますね。
 各短編は小粒。特筆するとすれば「作者が作中作を用いることは珍しいなぁ、初めてかもなぁ…」というくらいか。連作短編としての仕掛けについても、「ああ、そう」といった印象に留まりました。使い方も中途半端で、作品全体に効果的に作用しているとは言い難いかな。とは言え、楽しくは読ませてもらいました。

No.913 5点 その旅お供します 日本の名所で謎めぐり - 綾見洋介 2020/09/27 22:13
 「旅・謎・酒・人好きなら読まなきゃ損!」という帯に魅かれ、手にした次第です。デビュー作(前作)「小さいそれがいるところ 根室本線・狩勝の事件録」が個人的に悪くなかったことも影響したかな。
 ちなみに、帯にあった「旅・謎・酒・人」。私は全部好きなのだけれども、登場するお酒はカクテルのみでした…。自分は日本酒・焼酎派で、旅すれば地元のいずれかの酒を嗜むことにしているので、カクテルではちょっと…いや本筋とは関係ないか。
 内容としては、神楽坂のバー「トラベラー」の常連たる歴史学者が、バーで知り合った客の旅に同行し、客が抱えていた謎を解決する…という流れの連作短編。ベストは二話目(舞台:奈良)で、伏線を含めて嫌いじゃない。でも、ミステリとしては総じて軽めなので、肩透かしに感じる方も多いかも。

No.912 5点 こうして誰もいなくなった- 有栖川有栖 2020/09/22 21:47
 掌編から中編まで、ノンシリーズの14作品を収録。「有栖川小説の見本市」との謳い文句については、そういった面を否定するつもりはないのだけれども、有栖川ファンとしては、いやいや、本物(これまでの発表作品)と比べて「見本」が見劣り過ぎでは…という気もいたします。
 ベストは表題作の中編だと思うのですが、好き嫌いは分かれそう。そもそもラジオ朗読用として書かれた複数の短編については、活字となってどうかは措いておくとして、確かにラジオで聴いたとすれば、雰囲気も倍増して楽しめそうでしたね。

No.911 6点 静かな炎天- 若竹七海 2020/09/21 11:04
 6編から成る、葉村晶シリーズの短編集。それぞれの短編で葉村の活躍が楽しめます。メインの事件(?)の調査の進展、広がり、転換など、安定的な面白さがありますね。
 一方で、短編の途中で2~3日空いてしまうと、登場人物名や人間関係が分からなくなっちゃたりも。まぁ、自分のせいなのだけれども、本作の収録短編については、通しで一気に読んだ方がより楽しめると思います。それだけ、各短編が「濃い」ということなのかな。

No.910 6点 さよならの手口- 若竹七海 2020/09/12 21:40
 葉村晶シリーズの長編。前作「悪いうさぎ」から13年ぶりで、彼女も40代という設定。何か親近感が湧きます。
 ミステリ専門古書店でのバイト生活の中、白骨死体を発見。そして負傷のため入院。退院後に探偵稼業を復活することに。探偵小説の定番である「失踪人捜し」がメインの流れとはいえ、これと並走するストーリーや謎も次々に絡んで、なかなかに贅沢。結果的には、暗澹とした内容なのですが、軽快かつユーモラスな葉村の語り口もあって、グイグイ引っ張られましたね。葉村は今回もたくさん怪我をして、可哀想だけど。

No.909 6点 きみのために青く光る- 似鳥鶏 2020/08/31 22:30
 心の不安に根ざして発症する「青藍病」。能力が発動すると身体が青く光る(ただし他人には見えない)から名付けられたのでしょうが、その具体の能力は人によって様々。生物を殺せる能力とか、死期が近い方を判別する能力、これらは一定想定しやすいのだけども、個人的には、動物から攻撃されてしまう能力がツボでしたね。それは能力と言えるのだろうか、というか、迷惑で嫌すぎる。一方で、年収が分かる能力は何気に欲しかったりして。
 全体としては嫌いではない内容でした。ラブストーリーとしての色が濃く、結果として「いかにも」といった展開ではあるのだけれども、伏線も含めて、そこに至る過程は楽しく読ませていただきました。文庫化に際して「青藍病治療マニュアル」から改題。確かに、改題後の方がしっくりきますね。
 ちなみに、青藍病を研究している「静先生」が各短編に共通して登場するものの、各短編の繋がりが強い訳ではありません。先生の詳細も謎のままだし、続編があってもよい流れのような気がするのですが・・・。続編はないのかな?

No.908 5点 ミステリー作家の休日- 小泉喜美子 2020/08/23 23:35
 単行本未収得の2短編を加えた、光文社文庫版を読了。
 ミステリーとしては、表題作がベストか。個人的には「青い錦絵」や「パリの扇」などの妖しさが印象に残りそう。「紅い血の谷間」の切なさも悪くはない。一方で、全体的に結末が見えやすく、あくまでも雰囲気で読ませられている、といった面は否定できないかな。読みやすいし、嫌いではないけど。

No.907 5点 琴乃木山荘の不思議事件簿- 大倉崇裕 2020/08/20 23:40
 標高2200mにある山小屋「琴乃木山荘」を舞台にした短編集。「山と渓谷」に掲載された短編が大半で、山や自然に対する愛情を感じることができます。こんな山荘でアルバイトしながら過ごせたら心が洗われるだろうなぁ、何より、今は下界と違って熱帯夜ではないのだろうなぁ…と羨ましくはなりました。
 ちなみに、ミステリとしてはかなり緩めの内容。連作短編としての転換はあると思いきや…期待外れだったかな。オマケしてこの採点といったところ。

No.906 5点 猿島館の殺人~モンキー・パズル~- 折原一 2020/08/15 23:07
 黒星警部シリーズの第2弾。
 うーん、どうなのだろう。読中は、オーソドックスかと思っていたのですがねぇ。「○○じゃが仕方がねえな」を楽しめるか(許せるか?)否か。ちなみに密室の真相は、正直いただけない。
 個人的には、脱力感の後に「たまにはコッチ系もいいか…」という気になったので、この採点で。

No.905 5点 ルパンの娘- 横関大 2020/08/14 17:59
 泥棒一家の娘と警察一家の息子との結婚騒動。これに殺人事件も絡みます。現に連続ドラマ化されているのですが、確かに、ドラマ化or映画化に適したストーリーではあります。主演・深田恭子も違和感ないですね。ドラマは観ていないのですが。
 展開も早く、リーダビリティも高いので、読書としては楽しめたかな。この作家さんの作品は何冊か読んでいますが、物語の紡ぎ方が達者です。その反面、印象に残りにくいような気もしていたのですが、この作品で広くアピールできたのでは。

No.904 6点 いけない- 道尾秀介 2020/08/11 11:22
 「『ここ分かった!? 』と読み終えたら感想戦したくなること必至の、体験型ミステリー小説」、らしい。
 確かにそうかもしれない。どこで、どうやって気付くか…ってのはあるけど。あまり1編ごとに深追いしないで、最後まで読みきった方が楽しめるのかも。いや、人によるか。
 とてつもない大技がある訳ではないのだけれども、趣向自体はいかにもこの作者らしく、印象に残りそうです。語弊があるかもしれないけど、作者の「遊び心」をどう受け取るか…ということなのかな。

No.903 7点 眼の気流- 松本清張 2020/08/04 22:33
 やっぱり清張短編はいいですねぇ。作者の女性不信が端々に表れている気がするのですが、単なる不信では言い切れない深みを感じます。④がベストで、②が続くか。
①「眼の気流」 序盤からグイグイ引っ張られます。後半は急ぎまとめた印象も。
②「暗線」 語り手が馳せる想いと、最後の心情の変化が印象深い。短い作品の中に複数の人生を感じさせる手腕。
③「結婚式」 男の幸せって何だろう。
④「たづたづし」 これも印象深い。絶妙な後味を残す好短編。真実はどうだったのか非常に気になる。
⑤「影」 現在の二人が作中で直接接触しない深さ、その余韻。

No.902 6点 犬神館の殺人- 月原渉 2020/07/28 23:40
 ツユリシズカシリーズの第三弾。
 三年前の三重密室と現在の三重密室の二重奏。密室を構成しているのは「鍵箱」と呼ばれる棺桶のような装置。「鍵箱」の中に人間が固定され、施錠される。戸が開けられると、鍵箱の中のギロチンが首を…。「人を殺してまで密室に踏み込もうとする者はいない」という発想ですね。「ほほう」って思いますよねぇ。(私だけか?)
 なお、他の評者の方も書いておられましたが、交互に語られる「三年前」と「現在」の書き分けがイマイチで読みにくい。シズカ以外の登場人物の描き方も薄いため、どっちのパートを読んでいるのか、結構混乱します。工夫できる余地は大いにあったと思いますね。それと、最終的に、三年前と現在をリンクさせた効果がそれほど大きくないような気も…。
 とは言え、このシリーズを通して、個人的には嫌いではないです。全体の「作り物感」がイイ(現実味とか考えてはいけないのだな、と自分を納得させられますし)。そして何よりも、ド直球を投げ込み続けようとする作者の気概が天晴。続けてほしいです。

No.901 6点 記録された殺人- 岡嶋二人 2020/07/25 16:49
 ノンシリーズの短編集ですね。とても読みやすく、好きなタイプの短編集なのですが、一方で、岡嶋二人だけに、もう一歩の踏み込みを求めてしまう自分がいたりもします。いや、水準以上に面白いのですけれどね。
 ベストは、テンポも抜群な表題作でしょうか。「遅れて来た年賀状」も、構図がシンプルなだけに、むしろ印象に残りそうです。

No.900 7点 黒い画集- 松本清張 2020/07/18 22:24
 読みごたえのある、松本清張らしい中短編集。
①「遭難」 緊迫感のある良作。(9点)
②「証言」 「人間の嘘には~」のラスト1行がイイ。(6点)
③「天城越え」 老刑事の執念をもってしても動機は…(8点)
④「寒流」 こんな上司は嫌だ。でも最後はちょっとすっきりしたかも。(6点)
⑤「凶器」 ネタは早めに判ってしまうけれど、ラスト1行は印象的。(6点)
⑥「紐」 個人的にはこの中短編集のベスト。最後まで繰り返す反転が心憎い。(9点)
⑦「坂道の家」 堕ちていく男って哀しいなぁ。「一応ミステリーにしてみました」という、やっつけ感も残るかな。(5点)

No.899 5点 山女日記- 湊かなえ 2020/07/05 20:50
 大人の女性たちの山登り小説短編集…ですかね。どの短編の主人公も悩みを抱えているものの、すべて前向きな結末で、いつもの湊テイストとはちょっと違う感じ。湊さんの山を愛する心が伝わってくるようです。
 読後感も含めて好印象なのですが、ミステリーとは言い難いので、このサイトでの採点はこの辺りにしておきましょう。

No.898 7点 刀と傘 明治京洛推理帖- 伊吹亜門 2020/06/27 21:28
 明治維新の京都を舞台とした連作短編。
 ベストは第12回ミステリーズ!新人賞を受賞した「監獄舎の殺人」。斬首を目前に控えた罪人が何故毒殺されたのか、がポイント。法月氏の「死刑囚パズル」を思い起こしますねぇ。ラストの捻りも印象的です。
 佐賀の乱で有名な江藤新平と、この作品のための架空の人物・鹿野師光との関係性、時代小説としての一面…などなど、短編集全体としても様々な読みどころがあって、好きなタイプの作品でしたね。

No.897 5点 プラスマイナスゼロ- 若竹七海 2020/06/15 23:26
 作者のコージー・ミステリ、「葉崎市シリーズ」の第5弾だそうです。神奈川県の架空の町を舞台にしたこのシリーズ、私は「クール・キャンデー」以外は未読だったのですが、特に問題は無かった(のだと思います)。
 毒が無いわけではないのだけれども、作者の他作品に比べれば薄目。女子高生3人による青春ミステリとしての色合いもあって、文庫版での終盤2短編には、結構ホロっとさせられましたね。

No.896 6点 猫丸先輩の空論 超絶仮想事件簿- 倉知淳 2020/06/13 16:25
 タイトルどおり、まさに「空論」って感じの短編集。猫丸先輩シリーズらしく、スルスルと楽しく読んだのですが、「普通、そこまではしないだろう…」とか、「いやいや、途中で気付くだろう…」とかの突っ込みどころも。それと、繰り返しが多く、間延びしてる印象を受けた短編もあったかな。

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まさむねさん
ひとこと
ミステリとしての特別な知識なく乱読していますので、私の書評はあまりアテにしないでくださいね。
好きな作家
道尾秀介・東野圭吾・東川篤哉
採点傾向
平均点: 5.86点   採点数: 1195件
採点の多い作家(TOP10)
東野圭吾(56)
有栖川有栖(43)
東川篤哉(41)
森博嗣(37)
道尾秀介(27)
島田荘司(26)
伊坂幸太郎(26)
米澤穂信(23)
歌野晶午(21)
西村京太郎(20)