皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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まさむねさん |
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| 平均点: 5.89点 | 書評数: 1294件 |
| No.1294 | 6点 | コメンテーター- 奥田英朗 | 2026/02/11 18:30 |
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| 久方ぶりの伊良部シリーズ。「町長選挙」から17年ですか。
伊良部センセのキャラは相変わらず。実は優秀な精神科医、とも言えます。マユミ看護士の存在も大きい。心が軽やかになる短編集。 ①コメンテーター:伊良部とマユミが人気者に。 ②ラジオ体操第2:この患者の気持ちはよく分かる。このタイトルは何故…と思っていたらラストで登場。 ③うっかり億万長者:この患者の気持ちはよく分からない…いや、分からないでもないような気も。 ④ピアノ・レッスン:同様の症状の方、近くにいました。伊良部センセに診てもらいたい。 ⑤パレード:自分は経験がないけれど、結構多いんだろうなぁ…。 |
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| No.1293 | 6点 | 刹那の夏- 七河迦南 | 2026/02/08 17:51 |
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| 5編で構成される短編集。幾分かの光を感じないではないけど、全体としては重苦しく、好みじゃない方もいそう。個人的には、先が気になって次々にページをめくらされました。でも、作者のコトバ遊びにはあまり惹かれないなぁ…。
①刹那の夏:最も長尺で、本作中のマイベスト。甘酸っぱい青春小説からの転換。 ②魔法のエプロン:予測はついた。切なすぎるが、ラストはこれで良かったと思いたい。 ③千夜行:歪みが生み出す複雑さ。 ④わたしとわたしの妹:これはキツイ。何らかの救いがあることを祈りたい。 ⑤地の涯て:傷を負った者たちの…。短編映画にできそう。 |
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| No.1292 | 7点 | 死体の汁を啜れ- 白井智之 | 2026/02/01 16:12 |
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| 牟黒市(殺人事件発生率が異様に高い)を舞台にした連作短編集。色々な死体が登場し、グロくないとは口が裂けても言えないけれど、コミカルな雰囲気もあって思ったほど大丈夫?かも。
各短編はバラエティに富んでいます。文字が読めなくなったミステリ作家、深夜ラジオファンのヤクザ、詐欺師まがいの女子高生に隠ぺい好きな女刑事…と登場人物のキャラも立っていて、飽きさせません。 8短編中のベストは「死体の中の死体」で、真相にも驚かされましたが、重層的な仕掛けと伏線の回収が実にお見事。長編にも仕立て上げられそうな内容です。 「血を抜かれた死体」、「折り畳まれた死体」も含め、全体として非常に質の高い短編集だと思います。 |
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| No.1291 | 6点 | 殺し屋の営業術- 野宮有 | 2026/01/27 21:59 |
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| 第71回江戸川乱歩賞受賞作。
殺し屋の営業という設定に、まずは惹かれます。展開は軽快かつスピーディ。ダークさとコミカルさの配分も好みです。終盤に向かって加速していき、ピークとなる周防商会・鴎木美紅との駆け引きも良。 質の高いエンタメ作品で、映像化にも向いていそうです。 |
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| No.1290 | 7点 | 名探偵たちがさよならを告げても - 藤つかさ | 2026/01/25 17:51 |
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| 中盤までは、正直まどろっこしく感じる部分もあったのですが、解決篇以降は一気に持っていかれました。密室の謎は、真相を知れば成程なのですが、ストーリーとの絡ませ方に感心。各々の登場人物の「立たせ方」にも好印象。よく練られた青春本格ミステリと評価します。 | |||
| No.1289 | 6点 | 少年時代- 深水黎一郎 | 2026/01/18 21:54 |
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| 青春連作小説。作者の出身地(山形)や出身高校をモデルにしていると思われます(作者が柔道部に所属していたのかは分からないけど)。昭和の香りが漂いまくっており、懐かしさを感じる方も多いのではないでしょうか。特に第3章の高校生パート。真面目なバカたち、好きです。
3つの章の位置づけというか、物語の全体構成は想定内であるし、「いかにも」な面もあるのだけれど、青春小説として大いに楽しませていただきました。昭和の青春を描くって、もはや希少なのかもしれないなぁ…という寂しさも感じながら。 |
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| No.1288 | 6点 | お梅は次こそ呪いたい- 藤崎翔 | 2026/01/15 23:31 |
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| 戦国時代、大名一族を呪いで滅亡にまで追い込んだ日本人形「お梅」。五百年を経た令和の世に、その封印が解かれたものの、呪えば呪うほど、幸せをもたらす結果になる…というシリーズ続編。
浮遊の術を入手するなど、お梅自身は前作から「ぱわああっぷ」したものの、呪いを遂げられないパターンは一緒。マンネリに陥りがちな設定ではありますが、各編の登場人物を意外な形で繋げたり、様々な仕掛けを施したりして、読ませようとする努力は買います。 ちなみに、谷原章介さんを勝手に想定し、イメージ的に何か可哀そうって思ったのは私だけ? |
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| No.1287 | 6点 | 七日間の身代金- 岡嶋二人 | 2026/01/11 21:02 |
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| 「人さらいの岡嶋」らしいタイトルで、確かに誘拐モノではあるのだけれど、小島と地下室の密室モノとしても惹かれる展開でグイグイと読まされました。かなり危険性のある犯行とは思いますが…。それと、千秋と要之介のラブコメ的要素が個人的には余計だったかなぁ…という気も。 | |||
| No.1286 | 5点 | 天久鷹央の推理カルテⅢ 密室のパラノイア- 知念実希人 | 2026/01/07 21:20 |
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| シリーズ第三弾。短編2本の後に中編が続く構成です。
①閃光の中へ:自殺を誘発する「呪いの動画」の謎 ②拒絶する肌:極度の男性恐怖症。身体症状も現れて… ③密室で溺れる男:水道もない密室での「溺死」? 謎自体はなかなかに魅力的。でも真相解明後は「へー、そういうこともあるのね」という感想に集約されちゃう。まぁ、仕方ない面はあるのだろうけど。鷹央と小鳥遊のやり取りは楽しかったです。 |
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| No.1285 | 7点 | 我孫子武丸犯人当て全集- 我孫子武丸 | 2026/01/05 21:42 |
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| 犯人当て(一部「動機当て」もアリ)の短編5本を収録。無用な記述を排除し、「解ける」問題に設定していることが、まずはイイ(だからといって「解けた」訳ではないのですが)。特殊設定モノもあったりして、バラエティにも富んでいます。「問題編」と「解答編」の後に、作者自身の解説が収録されていることもポイントで、個人的には相当に楽しく読ませていただきました。マイ・ベストは、推理の幅も広く、サスペンス的な要素も多い「漂流者」ですね。
ちなみに、収録作のうち「記憶のアリバイ」については、「探偵Xからの挑戦状!Season2」で既読だったはずなのに、全く記憶に残っておりませんでした。なんてお得な読者なのだろう。というか、記憶力なさすぎですかねぇ。 |
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| No.1284 | 5点 | 酒亭DARKNESS- 恩田陸 | 2026/01/04 20:05 |
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| 全国各地の呑み屋を舞台にしたホラー短編集。作者もあとがきの中で「居酒屋ホラー」と語っています。
恐怖を全面的に押し出しているというよりも、ちょっと不思議なお話も多い印象。スキマ読書として活用させていただいたのだけれど、通しで読み続けたらどう感じたかな…という気も。 |
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| No.1283 | 7点 | 暴走正義- 下村敦史 | 2026/01/02 17:30 |
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| 前作「逆転正義」よりも、テーマを強く押し出している印象で、深く考えさせられます。「正義」ってのは難しいものですねぇ。「これが正義だ」と考えること自体はある意味で大切なのかもしれないけど、視野狭窄に陥ったり、自分の正義と異なる意見を徹底的に排除したりすることって、あり得ますよねぇ。SNSとかで発信できて便利になったけど、逆に面倒な世の中になったなぁ…とあらためてため息をつくワタクシでございました。
①暴露系:もはや社会問題を超えている感のあるSNSに関する問題。何とかならんものか。 ②報道加害:週刊誌報道の課題。一種の爽快感とともに確かに残る苦み。 ③エスカレート:ストーカーに対する警察捜査のあり方。内容としては…怖いな。 ④誤認逮捕:同種の事例、確かに前にあったよね。短編の構成としても良。 ⑤再犯:性犯罪の再犯がある地域で増えている…。再犯防止のあり方を考えさせられつつ。とある〝動機〟は果たしてあり得るのか?とも。 ⑥死刑反対:死刑制度のあり方。反転は抜きにして考えさせられました。 ちなみに、各短編の中に「逆転正義」の登場人物が登場しているらしいのですが、全然分かりませんでした(作者が「遊び心のサービス」として冒頭で紹介していました)。登場人物名までは覚えていないですねぇ。 |
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| No.1282 | 7点 | 最後のあいさつ- 阿津川辰海 | 2025/12/28 22:58 |
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| 人気ドラマ「左右田警部補」のファイナルシーズン最終回直前、主演を務める雪宗衛の妻が密室状態の中で殺害される。密室の「中」にいた雪宗は、自供もあって逮捕され、最終回「最後のあいさつ」はお蔵入りに。しかしその後、雪宗は自ら推理を披露し、無罪を勝ち取る。30年後、新たな殺人事件が発生して…。
現在と過去の事は勿論のこと、それらを取り囲み、つないでいく複数の謎も魅力的でグイグイ読まされました。作家・風見創のドキュメンタリー調での進行も良。精緻に組み立てられています。 ちなみに、今年の映画と言えば「国宝」。役者の業というテーマは通底する部分があります。その描き方には個人的に思うところもあるのですが、力作であることは間違いなく、作者の新たな一面を見た気もしました。 |
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| No.1281 | 7点 | 神の光- 北山猛邦 | 2025/12/24 21:52 |
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| 消失モノの短編5本。各編工夫を凝らし、飽きさせません。グイグイ読まされました。③あたりから幻想性が増していく点は、作者らしいと言えるけれども、好き嫌いは分かれるかもしれません。
①一九四一年のモーゼル:第二次大戦中のレニングラード。芸術的宝飾が施された部屋が邸宅もろとも一夜にして消えた。ハウよりホワイが印象的な洒落た作品。 ②神の光:カジノのある砂漠の街が一夜にして消えた。その「手法」については、人によっては想定できるかも。 ③未完成月光:山小屋が一夜にして消えた。ハウはともかく、ポオをモチーフにした幻想性は個人的に好み。 ④藤色の鶴:平安時代から連綿と続く物語。色々と消えます。 ⑤シンクロニシティ・セレナーデ:「館が消失する夢」を複数の人間が繰り返し見る。幻想小説と捉えるか否か。 |
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| No.1280 | 7点 | 失われた貌- 櫻田智也 | 2025/12/20 14:32 |
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| 作者初の長編。それが警察小説というのが、個人的にはちょっと意外でしたね。
丁寧に作り込まれていますし、警察小説としての面白さは十分と評価するものですが、この作品、何か損をしているような気がします。 まず、「本物の『伏線回収』と『どんでん返し』をお見せしましょう!」という謳い文句が煽りすぎ。さらに、年末のミステリランキング3冠でさらにハードルが上がりすぎ。 いずれも作者に非はなく、特に後者は(あくまでも個人的な見解ですが)今期はこれといった注目作があまりにも少なかったことによる「単なる結果」であると受け止めています。前述のとおり、一般的にはしっかりと練られた読ませる作品だと思うのですが。 |
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| No.1279 | 5点 | クジャクを愛した容疑者- 大倉崇裕 | 2025/12/11 22:19 |
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| 警視庁総務部総務課「動物管理係」の活躍を描く、シリーズ第4弾。3つの中編(長めの短編?)が収録されていて、今回登場する動物は、ピラニアとクジャクとハリネズミ。
正直、どの作品もミステリとしては平凡で、特筆すべき点はございません。でも薄巡査と元捜査一課の鬼刑事・須藤警部補の鉄板コンビに、本作から芦辺巡査部長が加わり、結構イイ感じのチームに仕上がっています。その好ましさに1点プラスしてこの採点ということで。 |
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| No.1278 | 6点 | 朝からブルマンの男- 水見はがね | 2025/12/04 22:28 |
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| 大学ミステリ研究会の先輩・後輩(ともに女性)コンビが出会う謎を扱った短編集。謎の提示は魅力的なのですが、正直肩透かし感のある短編も。気軽に読める書きぶりは嫌いじゃないです。
①朝からブルマンの男:第1回創元ミステリ短編賞受賞作。週3回、喫茶店の開店に合わせて来店し、1杯2,000円のブルーマウンテンを頼む男。でもコーヒー好きには見えない…。シンプルだけど意外性もあり、本短編集のベスト。 ②学生寮の幽霊:学生寮の空き部屋に幽霊の目撃情報。密室のはずだが…凡庸。 ③ウミガメのごはん :単身赴任の父が帰ってくる金曜日のご飯だけなぜか不味い。謎は面白いけど、真相はまぁ…ね。 ④受験の朝のドッペルゲンガー:短いながらも複数の反転や工夫に好感。でも「汚れ」とか「洗う」とか使えばよかったのに。 ⑤きみはリービッヒ:ダイヤの盗難?事件。重要な証拠が後出しという点はマイナス。 |
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| No.1277 | 7点 | 凜の弦音- 我孫子武丸 | 2025/11/26 22:33 |
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| 弓道に打ち込む女子高生・篠崎凜の成長を描く連作短編。
殺人事件も起きるのですが、ミステリ度が高いとは言えません。でも主人公のひたむきさと素直さは、読んでいてとても気持ちがよく、心が洗われるような気さえしました。きっと立派な人間になるだろうなぁ。眩しいなぁ…。中田君もいい味出してるよね…ということでこの採点。 |
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| No.1276 | 6点 | 罪人の選択- 貴志祐介 | 2025/11/22 18:18 |
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| 4編が収録されたノン・シリーズの中短編集。うち3つはSFで、通底する何かを感じましたね。
①夜の記憶:本格デビューの9年も前の作品だそうで。書きたいことは分かるけど…。 ②呪文:異星を舞台にしながらも、「諸悪根源神」を含めて、非常に考えさせられる内容。 ③罪人の選択:唯一の非SF.。「AかBのいずれかに毒が入っている」パターンの進化系。 ④赤い雨:正体不明の微生物「チミドロ」に蹂躙された地球が舞台で、まずはその設定が見事。微かではあるものの、力強さと希望を感じさせるラストも印象的。 |
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| No.1275 | 6点 | ブラディ・ローズ- 今邑彩 | 2025/11/11 21:18 |
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| 脅迫状の差出人や二番目の妻の墜落死の謎に加え、誰もが何かを隠していそうな不穏な空気間に包まれながら物語は進みます。読中、しつこさを感じた面も正直あったのだけれど、終盤の展開でチャラ、というか納得。薔薇をモチーフにした点もいい。いかにも今邑さんらしい作品と言えるのではないでしょうか。 | |||