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[ 青春ミステリ ]
名探偵たちがさよならを告げても
藤つかさ 出版月: 2025年04月 平均: 6.50点 書評数: 2件

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KADOKAWA
2025年04月

No.2 7点 人並由真 2025/06/28 02:07
(ネタバレなし)
 建築業界の大物で「怪物」と呼ばれた現在90歳の資産家・三条友道が設立し、今は車椅子生活の彼が現役で理事長を務める私立「比企学園」。20歳代半ばの青年・辻玲人は、少し前に重病で逝去した恩師・久宝寺肇の遺志を受ける形で、同校の国語教師兼司書の職に就いた。兼業作家でもあった久宝寺は、しばらく休止していた人気ミステリ「左近瑞穂」シリーズの再開を企図していた節があり、担当の編集者・煙ケ谷武司はその遺された創作メモの発掘を求めていた。だがそんななか、校内でとある人物が変死する。

 結論から言うと、かなり面白かった。
 後半~終盤にかけての幹となるサプライズは、こちらが油断していた部分をつかれた感じだが(だからしっかり注意している人なら気に留めるかもしれない)、反転の仕掛けとしては十分に効果を上げている。

 ロジックが屁理屈めいている部分はやや弱点だが、主要人物がとったとある行動についての意外性は、海外古典の名作短編ミステリの驚きを思わせる、非常に人間の心の機微に通じたもので、ココが個人的に本作の一番のお気に入りポイント。

 読後にAmazonのレビューを初めて覗くと、現状、おおむね好評ななかでひとりだけクソミソな方がおり(完全にネタバレしてるので、今の段階で本作を未読な人は見ないように)、その意見そのものには60~70%くらい、まあ成程なあ……という感じ。そういう情報は確かにどっかで聞こえて……いや、ギリギリなのか?

 いずれにしろ、脇の甘いところはあるかもしれないが、個人的には十分に楽しめた。
 メルカトルさんのレビューを読んで興味が湧いて、初読みの作家だが、ほかの作品も少しずつ手にとってみたい。

No.1 6点 メルカトル 2025/05/03 22:10
教師の傍ら執筆活動を続け、ミステリ作家として一世を風靡した久宝寺肇(きゅうほうじはじめ)が癌で亡くなった。恩師である久宝寺の死と時を同じくして母校に国語教師として赴任した辻玲人(つじれいと)は、彼の遺稿を入手する。それは不可能状況での殺人を描く短編ミステリのプロットで、解決編のない状態だった。「探偵」になるのが夢だという女子生徒・あずさと協力して、遺稿の続きを探す玲人。しかし校内で女子生徒の死体が発見され、その死の状況は遺稿プロットとまるで同じだった。
Amazon内容紹介より。

Amazonのレビューでは4人とも★5つだって。凄いですね、この人達の読解力は。あくまで個人の感想ですが、どうもこの作者の文章は未熟な感じがして非常に読みづらかったです。言い回しがくどかったり、妙な表現が散見されたり、とにかく一々引っ掛かってなかなか先に進めませんでした。
遺稿と言っても単なるプロットで暗号の様なもので、陰惨な事件の筋が描かれているものだとかと勘違いしていたのが間違いでした。そこからもう本作に対する願望の様なものは薄れて、漠然と読み進めるもストーリー自体に面白味がないので、余計にダラダラ感が加速します。

解決編からはまずまず面白かったです。事件そのものに魅力はありませんが、素材自体は悪くないのでもう少し上手く料理すれば秀作になった可能性は捨てきれません。
しかし何しろ文体が私には合わなかったので、とても残念でした。他の実力を伴った作家が書けば多分もっと評価は上がったと思います。まあ私の頭が弱いのでこの点数になっただけで、普通の読者なら更なる高得点を得られたかも知れませんね。全ては私が悪いんです。どなたかに読んで頂き、どのような評価をされるのか恐る恐る見てみたいです。


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藤つかさ
2025年04月
名探偵たちがさよならを告げても
平均:6.50 / 書評数:2