皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
E-BANKERさん |
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平均点: 6.01点 | 書評数: 1812件 |
No.14 | 5点 | 被告A- 折原一 | 2010/04/08 20:20 |
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早川書房刊ですが、ノンシリーズの一作。
構成はまぁいつもの「折原ワールド」で、2人の視点が如何にも関係ありげに交互に書かれ、ラストで「実は・・・」という展開。 作品のプロットは、東野圭吾のある有名作品と同種のものですが、出来映えはあちらが数段上のように感じます。 今回は割りと登場人物がマトモな分だけつまらない印象になってしまい、やっぱり氏の作品には「異常な」とか「狂った」人物が出てきた方が、迫力というか面白みが増すような気がしてなりません。 オチもよく分からないしなぁ・・・ |
No.13 | 5点 | 模倣密室- 折原一 | 2010/02/24 21:51 |
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黒星警部シリーズ。
「七つの棺」に続く、「密室」を主題にした短編集。 収録作は、「北斗星の密室」「つなわたりの密室」「本陣殺人計画」「交換密室」「トロイの密室」「邪な館、1/3の密室」「模倣密室」の全7作。 はっきりいって、「これがお勧め」というほどの作品はありません。 黒星警部のキャラと、部下の竹内刑事や虹子とのドタバタなやり取りが好きという方以外はスルーしても良い作品です。 でも、なんか読んじゃうんだよなぁ・・・ |
No.12 | 4点 | 丹波家の殺人- 折原一 | 2010/01/27 21:36 |
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黒星警部シリーズ。
これはまさにイマイチですねぇ。黒星警部シリーズ中でも面白くない部類でしょう。 巻頭、思わせぶりに家系図が挿んであり、さもドロドロした一家連続殺人事件を想起させますが、まともなトリックは1つもありません。(あえて言えば、いわゆる足跡のない殺人でのトリックですが・・・) ラストもドンデン返しというほどではないので、あまり気合を入れて読んでいると、肩透かしを食うかもしれません。 動機もなぁ・・・弱いよなぁ・・・ |
No.11 | 6点 | 叔母殺人事件 偽りの館- 折原一 | 2009/12/30 22:43 |
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まさに「ザ・折原」とでも言うべき作品。
主人公視点の「地の文」(現在)と、日記(過去)部分が交互に書かれ、徐々に2つがシンクロしていきます。 オチについては、収まるべきところに収まったという感じで、良く言えば「正統派叙述トリック」ですし、悪く言うなら「ワンパターン、二番煎じ」というところでしょう。 個人的には、ここ最近の氏の作品の中ではまとまっていて、ある程度”読める”作品なのではないかと思いました。 少なくとも、”姉妹品?”の「叔父殺人事件」よりは数段良い出来なのは間違いありません。 |
No.10 | 4点 | 行方不明者- 折原一 | 2009/12/05 23:11 |
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「~者」シリーズ。
よく続いてます。本シリーズ。 ですが、前作「沈黙者」くらいから明らかにパワーダウン気味なのが否めません。 ラスト前で「僕」の正体が明かされますが、それまでに何の材料も与えられてなかった名前であり、「だれ?」という感じです。 氏の作品は、「狂気」とか「訳のわからなさ」という”味”が強ければこそだと思いますが、ちょっと今回は薄味すぎです。 オチもとってつけた感が残りました。 |
No.9 | 5点 | 沈黙者- 折原一 | 2009/11/11 22:29 |
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「~者」シリーズ。
しかし、このシリーズもよく続いてますね。 ただ、やはりシリーズも重ねるごとにパワーダウンしている感は否めません。 本作での叙述トリックは、まさにラストに明かされる一点のみです。たしかにうまい具合にミスリードはしていると思いますが、これだけのことに前半の長い「手記(日記?)」部分は果たして必要なのか?と感じざるを得ません。 あとは、何か緊張感が足りないような・・・氏の良作は、やはり独特の緊張感を維持して「驚きのラスト」という展開でないとダメでしょう。 |
No.8 | 6点 | 失踪者- 折原一 | 2009/10/27 16:59 |
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「~者」シリーズ。
前作「冤罪者」よりは落ちます。また、作品の舞台が前作までの高円寺周辺から、氏の作品ではお馴染みの場所、埼玉県北部(久喜~白岡)に変わります。 しかし長いですねぇ。最終章の途中までは正直「どうなってるの?」と感じながら読まされます。(それが作者の狙いでしょうけど・・・) 要は、「昔の少年Aと現在の少年A」、「ユダとユダの息子」について読者が混同するように巧妙にミスリードされてるわけですよね。 今回、再読したらその辺の狙いがよく分かりました。 |
No.7 | 8点 | 沈黙の教室- 折原一 | 2009/10/12 15:09 |
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良くも悪くも折原氏らしい作品ですし、ある意味「折原ミステリー」の到達点といっていい作品でしょう。(日本推理作家協会賞受賞作ですし)
氏の作品には、手記とか日記とかいった小道具が作品のスパイスになっていますが、本作の「恐怖新聞」は一連の小道具類では最も効果的になっていると思います。そして、黒板に書かれた「粛清!」の文字・・・ 読者を数々の?に巻き込みながら、クライマックスへの盛り上げ方も良い出来ですし、オチも氏にしてはきれいに収まっているんじゃないでしょうか。 ただ、例によって非常に長いので途中萎えそうになりますが・・・ |
No.6 | 8点 | 冤罪者- 折原一 | 2009/09/26 00:06 |
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「~者」シリーズ第2作。シリーズ中では一番面白いと思います。
普通に読んでいれば絶対に騙されるでしょう。とにかく、途中から登場人物が入り乱れてきて、正直何が何だか分からなくなってきます。いったいどうなっているんだぁ・・・と思っているところへ、最後にどんでん返しがやって来て、なるほどねぇ・・・というラストです。折原作品としてはまとまった解決方法になっているでしょう。 ただ、ちょっと長いのが玉に瑕。途中、萎えそうになります。 |
No.5 | 7点 | 誘拐者- 折原一 | 2009/09/23 20:53 |
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「~者」シリーズの第1段。(番外編ともいえますが)
新生児誘拐事件に端を発して、狂気に支配された2人の女の鬼気迫る姿がストーリーに何とも言えない緊張感をもたらしています。 話の視点(語り手)が次々変わっていくのは折原氏の十八番的展開ですし、最後の「やっぱりな」という感想もいつもどおりですが、本作は特に殺し屋・佐久間玉枝の描写が秀逸です。最後の年表(?)も分かりやすくて良いと思いました。 |
No.4 | 7点 | 天井裏の散歩者 幸福荘殺人日記- 折原一 | 2009/09/19 21:36 |
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連作短編集(?)
叙述トリック云々というより、単純に読み物として面白い作品。こういう作品は、あら探しをあれこれするよりも、単純に展開を楽しんでしまいます。 読んでいくうちに、どんどん不思議感は広がっていくんですが、ちょっと最後のオチはいただけなかったですね。「それかよ!」という感じ。 でも、初期作品は最近の作品にない明るさやマヌケさがあって好きです。 |
No.3 | 4点 | グッドバイ 叔父殺人事件- 折原一 | 2009/08/30 17:35 |
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「叔母殺人事件」に続いて発表された作品。
前作(叔母)とはあまり関連性なく、いつもの折原ワールド。 ~叔父が死んだ。ネットで呼び集められた男女4人がワゴン車内で集団自殺を図った。その中に「僕」の叔父・四郎がいた。リーダー格の女性だけが命をとり止めたが、意識不明。叔父の普段の言動から偽装殺人を疑う叔母の厳命で関係者を調べ始めた「僕」に黒い影が忍び寄る・・・~ まぁ、いつもの折原作品ですよ。 紹介文を見れば分かります。 インターネットの自殺サイトというのが、この頃話題になっていたため、本作のプロットとして借用されてますが、それ以外の大筋はいつもの叙述トリックです。 であれば、問題は終盤またはラストの反転&サプライズにどれくらいのパワーが備わっているか、になりますが・・・ ひとこと「中途半端」! 特に、今回は今までの焼き直しという感じがしてなりません。 叙述トリックとはいえ、そうそう量産できるものではないでしょうから、まぁどの作品も高レベルということは至難の業なのでしょう。 そういう目で見れば、まずまず、普通レベルというの好意的な評価もできなくはないですが・・・ (そろそろ黒星警部シリーズでも読みたいなぁー) |
No.2 | 8点 | 倒錯のロンド- 折原一 | 2009/08/24 22:02 |
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「叙述の折原」を世に出した記念すべき作品。
乱歩賞は逃しましたが、島田荘司氏が絶賛したのもよく分かる(気がする)。 ~推理小説新人賞盗作事件をめぐる驚愕の真相。精魂こめて執筆し、受賞間違いなしと自負した応募作が盗まれた! 巧妙な仕掛けと衝撃の結末で読者に挑む~ 「盗作」事件に関わる登場人物たちが徐々に「倒錯」していくプロット・・・ いわゆる本格的な「叙述トリック」に始めて接した作品だったため、最初は「訳が分からない・・・」という感覚になりましたが、頭を整理して理解すると、作者の狙いや技巧に唸らされましたねぇ・・・ 「倒錯」シリーズは物語の舞台や登場人物が同じフィールドで書かれており、お馴染みのキャラや新手のキャラが絡み合いながら、妙な方向に進んでいくというのも面白さの1つでしょう。 とにかく、頭を真っ白にして是非1度読んで欲しい「快作」です。 (本作を読んで、私が折原に嵌ったのは間違いない。) |
No.1 | 7点 | 倒錯の死角−201号室の女−- 折原一 | 2009/07/30 22:39 |
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「倒錯」シリーズの第1作。
作者の「叙述トリック」を世間に認知させたという意味では、本作と「倒錯のロンド」が双璧でしょう。 覗く男と覗かれる女が織り成すエンドレスストーリー。そこに、女の不倫相手や空き巣の常習犯の男が複雑に絡み合い、摩訶不思議な世界が出現する・・・ 個人的には、「倒錯のロンド」で初めて折原の叙述トリックに触れ、「これは面白い!」と感じ、次に手にしたのが本作。これで、ますます折原ワールドに嵌っていくことになった記念すべき作品・・・ まぁ、ある人物に関する仕掛けについては、「○○的に無理があるだろう!」という突っ込みはもちろん感じるのですが、そもそも狂人たちが織り成す物語のわけですから、それもありでしょう。 とにかく、折原作品の中でも、指折りの面白さだと思いますし、ここに出てくるキャラ(清水とか大沢とか田宮とか)は、後の作品にもたびたび登場してきます ので、是非ご一読して独特の世界に浸って欲しいと思います。 (「倒錯シリーズ」の主な舞台は北区東十条、「~者シリーズ」なら埼玉県の久喜市周辺、という具合に、シリーズごとに場所を明確に変えているが面白い趣向) |