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メルカトルさん
平均点: 6.04点 書評数: 1828件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.1228 6点 怪盗は探偵のはじまり- てにをは 2020/12/04 22:51
父から怪盗ガ・ルーの名を受け継いだ高校生の渡瀬葉介は、ヨーロッパの至宝『アルトの鮮血』を盗みに入った美術館で、ブロンドの髪を三つ編みにした、青い瞳の少年に出会う。少年は探偵だと名乗り、その場に残された死体についてたずねるが、身に覚えのない葉介は風のように消え去るのだった。しかし、翌日何事もなく登校した学校で、転校生だという昨夜の少年、墨堂・ユリエル・綾虎に再会する!!
『BOOK』データベースより。

中編『アルトの鮮血』と長編『植物園黒魔術事件』から成るてにをはの新シリーズ?と言って良いのかどうか。『アルトの鮮血』は事件そのものよりも、どちらかと言うと登場人物、特に語り手の高校生兼怪盗の渡瀬葉介と転校生で探偵墨堂綾虎の人となりの紹介の意味合いが強い作品です。ロジックや伏線はほとんどなく、後出しの感は否めません。まあ軽い作風で読み易さは評価できると思います。そして、その後何と二人は○○を始めてしまいます、詳細は『植物園・・・』を参照という訳です。

その『植物園黒魔術事件』は作中でも書かれている通り、フーよりもホワイに特化した作品となっています。青春小説風の学内の描写を挟みながら、事件は謎めいた道具立てが揃って、まさに何故そのような状況が生まれたのかが強調されており、摩訶不思議な雰囲気を纏っています。しかし、犯人の目処は誰が見ても容易に付く事でしょう。問題はホワイダニットですが、これはそれなりに意表を突かれるものであり、ああなるほどと首肯せざるを得ない納得感はあります。
そして最後にオマケの様に付いている『エピローグの手触り』は青春の爽やかさを取り戻して、好感度を上げることに成功していますね。後味が良く、各登場人物に救いがあり結局落ち着くところに落ち着いて、一件落着ってな感じがとても好印象です。

No.1227 6点 ぼぎわんが、来る- 澤村伊智 2020/12/02 23:05
幸せな新婚生活をおくっていた田原秀樹の会社に、とある来訪者があった。取り次いだ後輩の伝言に戦慄する。それは生誕を目前にした娘・知紗の名前であった。原因不明の噛み傷を負った後輩は、入院先で憔悴してゆく。その後も秀樹の周囲に不審な電話やメールが届く。一連の怪異は、今は亡き祖父が恐れていた“ぼぎわん”という化け物の仕業なのか?愛する家族を守るため秀樹は伝手をたどり、比嘉真琴という女性霊媒師に出会う。真琴は田原家に通いはじめるが、迫り来る存在が極めて凶暴なものだと知る。はたして“ぼぎわん”の魔の手から、逃れることはできるのか…。第22回日本ホラー小説大賞大賞受賞作。
『BOOK』データベースより。

王道を往くホラーですね。一章ごとに語り手が変わるプロットはなかなか巧緻で、思わず引き込まれます。しかし、あまり怖くはないです、まあ個人の感想ですが。徐々に迫ってくる正体不明の怪物にどう対峙するのかが読みどころです、それと同時にその怪物が一体何に由来するのか、どこから来たのかが語られ物語が上手く組み立てられています。

田原家を魔の手から守ろうとする真琴と野崎が正に命懸けでぼぎわんに立ち向かう姿が描かれる二章は、一章とは物事の見方が逆転して構成の妙を見せつけます。この辺りは新人とは思えない手腕を発揮していると思います。
そして真打、同じ霊媒で真琴の姉である琴子の登場シーンには痺れます。その格好良さには惚れ惚れしますね。その後のぼぎわんと琴子、野崎の対決はファンタジーの様なアクションシーンがふんだんに盛り込まれており、物語のクライマックスを迎えます。しかし、その描写がやや物足りなかったのは残念です。もっと上手く盛り上げられたはず、この作者なら出来たはずでしょう。
蛇足ですが、大いに意外だったのが解説を千街晶之が書いている事です。ホラー作品の解説を千街が?と驚きましたが、『ずうのめ人形』がミステリ寄りの作品だったことが関係しているようです。

No.1226 8点 ベーシックインカム- 井上真偽 2020/11/30 22:27
日本語を学ぶため、幼稚園で働くエレナ。暴力をふるう男の子の、ある“言葉”が気になって―「言の葉の子ら」(日本推理作家協会賞短編部門候補作)。豪雪地帯に取り残された家族。春が来て救出されるが、父親だけが奇妙な遺体となっていた「存在しないゼロ」。妻が突然失踪した。夫は理由を探るため、妻がハマっていたVRの怪談の世界に飛び込む「もう一度、君と」。視覚障害を持つ娘が、人工視覚手術の被験者に選ばれた。紫外線まで見えるようになった彼女が知る「真実」とは…「目に見えない愛情」。全国民に最低限の生活ができるお金を支給する政策・ベーシックインカム。お金目的の犯罪は減ると主張する教授の預金通帳が盗まれる「ベーシックインカム」。
『BOOK』データベースより。

これはカテゴライズが難しい短編集ですね。確かに体裁はSFかも知れませんが、根底には本格ミステリの魂が宿っていると思いますので、私はジャンルを本格ミステリに一票投じます。それにしても井上真偽はこの作品集で一皮剥けたと思います。全ての短編の作風が異なり、変幻自在の筆運びを披露しています。素晴らしいですね。どれもこれも途中で突然異世界に放り込まれたような感覚に陥り、これまで経験したことのなかったような驚きがあります。

四話目までは『小説すばる』に掲載されたもので、最終話が書下ろしです。この書下ろしの表題作の出来がまた良いんですよ。最初に違和感を覚え、あ、なるほどそういうことかと、まあよくあるタイプのアレだなと思いました。しかし、そこからの話の膨らませ方の手際がよく、それまでの作品を上手く利用してここまでの本格ミステリに仕上げた手腕は褒められるべきだと思います。名探偵ジャパンさんが書かれているように『このミス』や『本格ミステリベスト10』にランクインしていなかったのが不思議なくらいです。
一方でSFファンが読んだら物足らないのかなとは思います。しかし本格ミステリファンにとっては決して読んで損のない作品集だと私は考えています。

No.1225 7点 世界でいちばん醜い子供- 浦賀和宏 2020/11/29 22:15
幸せだった純菜を、孤独な日々へと突き落とした“彼”との別れ。繋がりを失い、塞ぎ込んでいた彼女のもとへ一通の手紙が届けられる。その差出人こそ、2年前に巻き込まれた呪わしき轢き逃げ事件の関係者だった!恨み続けた犯人への手掛かりを掴んだ純菜は復讐を誓うが、同時に彼女の命は何者かの存在によって脅かされる。松浦純菜、絶体絶命の大ピンチ。
『BOOK』データベースより。

松浦純菜・八木剛士シリーズの番外編的な作品だと思っていたら、大間違いでした。まず純菜の一人称で語られるのが意外な点です。しかも八木は語られるだけで登場しません。終始「彼」という表現で出てきます。けれどそれで物足りない感覚は一切ありません。そこは純菜の内面が存分に描かれていることで十分補填されているからだと思います。そして多分彼女の身体の秘密が初めて語られた貴重な作品でもあります。私の中ではもっと早く、と言うか順番通り読みたかったなという思いはありますが、今回遅まきながら読んで心から良かったと思える一作でした。

正直、この話は純菜が八木を差し置いてロックバンド・メグローズのボーカルといちゃつく恋愛物だと勘違いしていました。ところがこれは立派な青春ミステリであり、本格ミステリだと断言して間違いないことに今更気づきました。評価は分かれるものと思われますが、個人的には大満足です。純菜の過去に何があったのか、本人の口から語られるとあって、流石に生々しさと彼女のやや歪んだ人間性なども垣間見られ、浦賀ファンとしては大きな収穫だったと言っても過言ではありませんでした。

No.1224 5点 僕の小規模な自殺- 入間人間 2020/11/28 22:48
しがない大学生の俺のもとに、未来からの使者が来た。ただしその姿はニワトリだったが。そのニワトリが言う。『三年後に彼女は死ぬ』と。「彼女」とは、熊谷藍のことで、俺のすべてだ。その彼女が、死ぬだって…?だが机をつついてコケコケうるさいそいつはこうも言う、『未来を変えろ』と。どちらも真に受けた俺は、病魔に犯されて死んでしまうという彼女のために、三年間を捧げる決意をする。そして俺は、彼女の前に立ちこう言った。まずはランニングと食事制限だ!
『BOOK』データベースより。

懲りずに入間人間。『花咲太郎は閃かない』で懲りたはずなのに、何故か読みたくなる入間です。これは例えてみれば知る人ぞ知る『笑う犬の生活』の小須田部長の最終話にニュアンスが似ている気がします。スケールは大きいですが、結局人間ドラマに終始している辺りがですね。シチュエーションは若干違いますが、方向性に共通点があります。ただそれぞれの立ち位置は真逆ですが。

『小規模な自殺』というタイトルは即ち人類の滅亡を意味しており、その中に主人公の「俺」が含まれている訳です。その代わり彼女はただ一人助かるのです。その彼女が病死(しかも未知のウイルスによる!)しないようにまずはひ弱な身体を鍛えることから始まり、動物に成り代わった未来の人類を敵に回し、戦う俺。
まあそれなりに面白いと思いますが、どうにも彼女に魅力が感じられないので、説得力が足りないですねえ。彼女一人の為に全人類が滅んで良いのか、という重い命題にさして思い悩むこともなく、俺は彼女を選びます。果たしてそれでいいのか、と考えるのが普通の感覚でしょう、しかし、主人公のように人類全体の重みがピンと来ないのは私も同様です。だからと言って目の前の彼女を選択しても良いのか、これは悩むでしょうね。でもこれはあくまでラノベなので、そこまでシリアスにはなり切れないのです。
Amazonで評価が高いのは多分入間人間のファンがレビューを書いている為と思われます。大体こんな小説、一般読者は読みませんからね。

No.1223 5点 落下する花- 太田忠司 2020/11/27 22:44
月読―それは、人が亡くなると現れる“月導”に込められた死者の最期の思いを読み取る特殊能力者だ。投身自殺した女子大生の月導に残されていた殺人の告白。それは若者たちの錯綜する思いが招いた悲劇だった―。表題作など4篇収録。月読・朔夜一心が活躍する傑作ファンタジック・ミステリー。
『BOOK』データベースより。

太田忠司はどれも突き抜けたものがないと言うか、低刺激というか、とにかくインパクトに欠ける印象が強いのですが、本作もそれは同様で、読んだ先から内容を忘れていくような作品でした。パラレルワールドでは人間界に於いて、人が亡くなった時に必ず「月導」が例えば溶けない氷とか大人用の箸と子供用の箸が捻じれたものとか言った具合に、様々な形で現れ、その意味合いを読む「月読」によって、その人の最期の想いを知ることが出来るという設定。この風変わりなSF的発想により、月読である朔夜が探偵役を務めますが、それは事故であったり自殺であったり殺人であったり様々な事件です。

シリーズ第一作も購入済みですが、この調子ではあまり期待できないかも知れませんね。どの短編ももう一捻りあるともっと面白い作品に様変わりしたのではないかと思うと、少々残念ではあります。人間も描けていないので、探偵役と言えども決して好ましい個性を有しているとは言い難く、ちょっとがっかりです。ただ、特異な設定のおかげで朔夜が難なく事件に関与できるので、その辺りは上手くクリア出来ていますね。

No.1222 6点 人間の尊厳と八〇〇メートル- 深水黎一郎 2020/11/25 23:09
「俺と八〇〇メートル競走しないかい」―ふと立ち寄った酒場で、見知らぬ男から持ちかけられた異様な“賭け”の意外な結末。一読忘れがたい余韻をもたらす、日本推理作家協会賞受賞の表題作ほか、極北の国々を旅する日本人青年が、おもちゃ屋と博物館で遭遇した二つの美しい謎物語を綴る「北欧二題」など、バラエティ豊かな5篇を収録。本格の気鋭による初短篇集が待望の文庫化。
『BOOK』データベースより。

かなり出来不出来の差が激しい短編集だと思います。何と言っても表題作が最高ですね。量子力学の蘊蓄からの人間の尊厳を賭けた戦いが始まるかと思いきや・・・その論理展開には思わず頷きそうになりました。ところがそこへ思わぬ伏兵が現れて、邪魔するなよとか勝手に思っていましたが、その人物がストーリーの結末に一役買うというなかなか粋な一篇です。二段落としのオチが待っていて、思わぬラストに。これだけなら8点献上しましたが、均してこの点数に落ち着きました。

他に個人的に好きなのは『特別警戒態勢』『完全犯罪あるいは善人の見えない牙』はそれぞれ7点。甘いかもしれませんが好みの問題なので。面白さよりも意外性を優先して。残りの『北欧二題』『蜜月旅行』が5点。前者はお洒落さは買うけれど面白みに欠ける為。後者はミステリとして評価するとどうしても弱いと言わざるを得ない為。勿論読解力のなさには定評のある私なので、その辺はご理解頂きたいですね。あくまで個人の感想ですので。

No.1221 6点 湘南人肉医- 大石圭 2020/11/24 22:47
湘南で整形外科医として働く小鳥田優児は、神の手と噂されるほどの名医だった。数々の難手術を成功させ、多くの女性を見違えるほどの美人に変貌させていた。しかし、彼は小さな頃から人肉に対して憧れを持っていた。そして、ある日、手術で吸引した女性の臀部の脂肪を自宅に持ち帰り、食べてしまう。それは麻酔が施されていたため、苦く、おいしいものではなかったが、人の肉を食べるという禁を破ったことに対して、優児は強いエクスタシーを感じた…。
『BOOK』データベースより。

エロ多めグロ控えめです。タイトル通り美容整形外科医小鳥田が、あの手この手で女を次々と誘き出し、自宅で車の中で殺害浴室にて解体、食べられる部位は全て食べ、残りは捨てる模様を描いています。料理方法も生やステーキ、焼き肉、ハンバーグなど様々で、女の冷凍した生首をテーブルに乗せ、それを眺めながらもりもり食します。なぜ彼がそのような行為に至ったかという切っ掛けから、過去の回想を含んで詳細に描かれており、その筆致は内容とは反比例し美麗なものとなっていると思います。
所謂サイコホラーと言えますが、小鳥田は人肉という特殊な希求や行為以外はごく普通の人間として扱われています。性格的にも破綻はなく、異常な欲求さえなければ単なる名医なのです。カニバリズムと言うより、女の肉を美味しく食しそれを嚥下することにより女と一体になれるという性的興奮を楽しむのが小鳥田の嗜好です。それは私的には何となく理解できる気もします、そういう自分が少し怖かったりして。

警察の動きがなく容疑者扱いもされない為、いったい話がどう転んでいくのかが掴めず最後までどのような結末を迎えるのかが想像できず、オチも読めません。ですから、最初から最後まで興味を持って読むことができましたし、途中でダレることもなく楽しめました。グロくはありませんが、エロ描写はなかなかのものなので、苦手な方は避けたほうが無難でしょう。ツッコミどころは多め。

No.1220 7点 狂乱家族日記 壱さつめ- 日日日 2020/11/22 22:55
「その醜くも穢れきった指先で凶華様のたおやかな御腕を掴むという冒涜行為を今すぐやめろこのユダ的背徳者」ある日、凰火が出会ったのは、罵詈雑言をまき散らすネコミミ、シッポつきの可憐な少女だった。食べ物を掠め取り、大勢の警官に追われるこの人外少女・凶華は一体何者? そして――凰火を襲う最悪の運命とは!? 超常現象対策一課行動部隊長・乱崎凰火と奇天烈な「家族」との馬鹿馬鹿しくも温かい愛と絆と狂乱の物語!! 
Amazon内容紹介より。

作家日日日(あきら 注 文字検索するとちゃんと出てきます)はやはり本物なのか。本シリーズは番外編併せて24作でやっと完結しています。それだけ人気があったのかは分かりませんが、取り敢えずコンプリートを目指しています。アニメ化もされていますし、本作を読む限りこの人の書く文章とは相性が良さそうなので、まあ何とかなるでしょう。これは最早文字で読む漫画(褒めています)です。随所で笑えるし、いじめ(またか)なんかもヘッチャラ、敵も味方も救ってしまう凶華の無茶苦茶な作戦など読みどころ満載です。

今回含めおそらく今後も、家族愛を描いたものとなっていくであろうと想像されますが、かりそめ家族或いは即席家族の中で果たして誰がクロなのかという命題はそっちのけで、様々な事件が起こりそうな予感がします。
もうキャラが立っているとか云う次元を超えて、それぞれが個性の塊で性格描写もきっちりなされていますし、ラノベもこんなのばっかりだと楽しいなと思いますね、ええ。

No.1219 4点 ただ、それだけでよかったんです- 松村涼哉 2020/11/21 22:32
ある中学校で一人の男子生徒Kが自殺した。『菅原拓は悪魔です』という遺書を残して―。自殺の背景には、菅原拓によるKたち四人への壮絶なイジメがあったという。だが、菅原拓はスクールカースト最下位の地味な生徒で、Kは人気者の天才少年。また、イジメの目撃者が誰一人いないことなど、多くの謎が残された。なぜ、Kは自殺しなければならなかったのか。「革命は進む。どうか嘲笑して見てほしい。情けなくてちっぽけな僕の革命の物語を―」悪魔と呼ばれた少年・菅原拓が語り始めるとき、誰も予想できなかった、驚愕の真実が浮かび上がる。第22回電撃小説大賞受賞
『BOOK』データベースより。

そもそも物語の根底にある人間力テストが理解できません。そんな物が現代日本に実際に存在したとしたら、即人権問題に繋がりますよね。父兄がまず大騒ぎ、ネット、マスコミで叩かれて直ぐに取りやめになるでしょう。中学校の生徒をランク付けするなど噴飯ものですね。そんな設定に眉を顰めざるを得ません。それを除けば、もうこういった類の話には食傷気味でして、あまりに定型的過ぎてどうにも感心出来ません。
それと安直に「革命」の言葉を使っていますが、それだけの事で果たして革命になり得るのかなと思いますよ。電撃小説大賞受賞作だから、ラノベなのでしょうが、その割には出来損ないのミステリもどきみたいな印象を受けますが。内容は重めで暗く陰湿で青春らしさの欠片もありません。

これを評して驚愕の事実とかどんでん返しとか言うのは、大きな間違いです。完全に予定調和の世界でしょう。もうそろそろいじめ問題を軽く取り扱うのは止めにしませんか。必然性があれば別ですが、不用意に触れると怪我をしますし、あまりにありふれ過ぎていてうんざりです。
ただ一つ、誰がどんな役目を果たしているのか、には注目すべきものがあると思いました。

No.1218 6点 庵堂三兄弟の聖職- 真藤順丈 2020/11/20 22:29
死者の弔いのため、遺体を解体し様々な製品を創り出す「遺工」を家業とする庵堂家。父の七回忌を機に、当代の遺工師である長男・正太郎のもと久々に三兄弟が集まる。再会を喜ぶ正太郎だが、次男の久就は都会生活に倦み、三男の毅巳も自分の中の暴力的な衝動を持て余していた。さらに彼らに、かつてなく難しい「依頼」が舞い込んで―。ホラー小説の最前線がここに!第15回日本ホラー小説大賞受賞作。
『BOOK』データベースより。

ホラーではないと思います。遺工師という一風変わった職業の長男正太郎と、主な語り手であり帰郷した次男、粗暴で口汚い三男のアットホームな物語です。とは言え勿論グロ描写に容赦はありません。かなり異様な小説ではありますね。異色と言うのも憚れるほどの怪作と呼んでもあながち間違いではありません。
読み始めて暫くはゴツゴツした文章やいかにも荒削りな作風に慣れるのに時間が掛かりましたが、読み進むにつれ馴染んできます。しかし、読者を選ぶ作品には間違いないと思います。こういうのが苦手な読者は少なからず存在するでしょう。冒頭から自ら切り刻んだ死体に添い寝する長男の姿で始まるわけですから、想像が付くとは思いますが。

それにしても、前振りが長くいつになったら本筋がスタートするのかとやきもきしましたが、100ページ過ぎ、豊島興業の美濃田会長が登場してから俄かに話が締まってきます。やっと面白くなってきて本編が始まったなと思いました。そこからサイドストーリーを挟み、一気呵成に物語が進行していき興が乗ってきます。
しかしながら、一番盛り上がり泣かせるべきシーンが呆気なさ過ぎてがっかりしました。一流の作家ならばここで読者を号泣させる事でしょう、残念です。そしてラストのあれは出来れば無かったことにしたかったところです、個人的には。何故そこまでして?という疑問は通用しないんでしょうね、この場合。まあその辺りも容赦なしです。その割には後味は悪くありませんでしたけれど。
しかし、これがホラー小説大賞?直木賞作家の仕事なのかと素朴な疑問が湧いてきてしまうのは私だけでしょうかね。

No.1217 6点 外伝・麻雀放浪記- 阿佐田哲也 2020/11/18 22:35
あの懐しい坊や哲、ドサ健が帰って来た、しかもより多彩でより猛烈なキャラクターのメンメンを引き連れて―。天才的なカンであらゆる博打に勝ち続ける街の女。絶対放銃しないが故に緊張に耐えきれずクスリに溺れる芸妓。苛烈な勝負の連続を通して人生の闘いを鮮やかに描きあげた阿佐田哲也会心の珠玉短篇集。他に色川武大「ひとり博打」を併録。
『BOOK』データベースより。

『麻雀放浪記』とは別物と考えたほうが良さそうです。9の短編のうちドサ健が登場するものが2作品のみで、あとは作者がすでに阿佐田哲也として執筆活動する以降の付き合い麻雀やカジノの話であり、終戦当時を背景にした頃の坊や哲とその対戦相手は登場しません。更に言うと『不死身のリサ』は他の短編集に収められていて既読でした。そして結局この作品が私には一番の出来と感じられました。しかし、そこはそれやはり阿佐田哲也の小説はどれも読み物として優れているので、あながち取るに足らぬ短編集という事は出来ないと思います。

それにしても、阿佐田氏本人の出てくる短編については、どれも成績はあまり振るわずやや浮きか敗北に終わっています。正直、かつての坊や哲の面影はありません。まあ自身ナルコレプシー(発作性睡眠症)などの病に侵されていた為、体力的にも若い頃に比べてしまえば身も蓋もありませんけどね。だからその辺りを差し引いて、温かい目で見る、読む必要性があると思います。そうなれば博打打ちとしてはお終いですが、だからこそ物書きに転身したのだと考えればなるほどとなるでしょう。作者の作品はどれも虚々実々の部分が大きいので、それも断言は出来ない訳ですが。

No.1216 8点 麻雀放浪記(一) 青春編- 阿佐田哲也 2020/11/17 22:33
終戦後まもない昭和二十年十月、東京。坊や哲(哲也)の物語はここから始まる――。職にあぶれ街をさまよう哲は、麻雀の主のような男出目徳に出会い、徐々に技(イカサマ)を駆使した高レートの麻雀に惹かれていく。出目徳の下でイカサマ技術を覚えた哲は、長年のライバルドサ健のみならず出目徳すらも凌駕しようと、上野下車坂の「喜楽荘」で勝負を挑む。有り金全てを賭けた真剣勝負の勝者は……!? 麻雀史のみならず小説史にその名を残す金字塔「麻雀放浪記」の第一弾。
Amazon内容紹介より。

何度となく読み返した、私の学生時代のバイブルです。この度何度目かの再読でやはりこの作品はエンターテインメント小説の金字塔だと改めて感じました。本物の名作です。麻雀に限らず博打に於ける、バイニン同士の裏ワザが炸裂する戦いの数々はまるで目の前で展開されるかのように色褪せず、読む者を魅了します。まさに手に汗握る、血沸き肉躍るといういささか陳腐な表現すらピッタリくるような、戦後日本の勝負に命を懸けた博打打達の生々しい姿が躍動するように描かれています。

個人的に印象に残っていたサイドストーリーで登場した、ガン牌の清水のエピソードが意外にあっさりしていて、この先どうなるのかというところで呆気なく死んでしまうのには、あれ?という思いもしました。こんなんだったっけと言うのが本音。
全てが読み所と言っても過言ではない本作ですが、やはり坊や哲、ドサ健、出目徳、女衒の達による最後の闘牌は圧巻ですね。中でもワンランク下の打ち手でありながら、人間味溢れる女衒の達が私の中では意外にも存在感が大きかったのを今回確認できました。和田誠監督により映画化(1984年)されており、私はDVDも持っていますが、映画ではoxクラブのママだけでは色気に欠けるという配慮からか、ドサ健の女まゆみが結構重要な訳を与えられていますが、原作ではそれほど出番が多い訳ではありません。その辺り原作と映画を比較してみるとなかなか興味深い事実が浮き彫りになってきます。しかし、映画がかなり原作に忠実に描かれていたのは間違いないです。映画の撮影には阿佐田哲也氏自身が立ち会ったようで、坊や哲役の真田広之は自分の若い頃に似ているとおっしゃっていたそうです。

No.1215 7点 きみにしか聞こえない- 乙一 2020/11/16 22:09
私にはケイタイがない。友達が、いないから。でも本当は憧れてる。いつも友達とつながっている、幸福なクラスメイトたちに。「私はひとりぼっちなんだ」と確信する冬の日、とりとめなく空想をめぐらせていた、その時。美しい音が私の心に流れだした。それは世界のどこかで、私と同じさみしさを抱える少年からのSOSだった…。(「Calling You」)誰にもある一瞬の切実な想いを鮮やかに切りとる“切なさの達人”乙一。表題作のほか、2編を収録した珠玉の短編集。
『BOOK』データベースより。

いやはや本当に切ないですねえ。これが乙一の本来の姿なんでしょう。まさか本作が10件もの評価数があるとは驚きました。さすがに皆さん目の付け所が違いますね。最早乙一の代表作の一つと言っても過言ではありますまい。

『Calling You』 8点 

これは素晴らしい、文句の付けようがありません。ミステリ要素をチラッと見せつつ、救いのないラストの切なさと永久機関を思わせるエピローグの凄み。表題作に選ばれるだけの事はありますよ。

『傷-KIZ-KIDS』 7点

まさに傷だらけの人生ならぬ、傷だらけの青春。純粋な心を持ち他人の傷を自分の痛みとして感応してしまう少年アサトと、荒んだ主人公の少年の友情。あまりに痛ましい物語でありながら、温もりを持つ結末は読む者の心にほのぼのとした余韻を残します。

『華歌』 7点

途中までは異様な話にやや唐突なイメージを持ち、その因果が語られた時には鼻白んだ気分にさせられました。が、最後にやってくれました。見事騙されましたね。

No.1214 7点 白妖鬼- 高橋克彦 2020/11/15 22:33
物狂帝と呼ばれた天皇が十七歳で譲位し、内裏の陰陽寮から各地に派遣された術士たちは解任され、謎の烏天狗に襲撃された!陸奥で異変を知った陰陽師・弓削是雄は、数奇な運命に導かれた仲間とともに都をめざし、人心を操る鬼との死闘を繰り広げる。胸躍る歴史伝奇長篇。
『BOOK』データベースより。

これは面白い。鬼シリーズ第一弾『鬼』は五人の陰陽師が登場しましたが、本作はその中の一人陰陽寮を免官された弓削是雄が主人公です。まるで桃太郎さながらに、三人と一人の「鬼」をお供に引き連れて鬼退治に向かう至って単純明快なストーリーです。郎党の甲子丸、何かしらの能力を持っている知恵遅れの蝦夷の子供淡麻呂、土蜘蛛の生き残りで盗賊の女首領芙蓉丸、最後に加わる髑髏鬼それぞれが個性的に活き活きと描かれていて躍動しています。勿論主役の弓削是雄は言うまでもありません。

最後の最後まで飽きさせず読ませるリーダビリティは素晴らしく、見たこともない平安の時代の景観が目の前に現れたような臨場感に溢れています。果たして鬼の正体とは?そしてその鬼は誰に憑いているのかという謎が中心にあり、更に最後の対決まで様々な実在の人物が絡んできて、その意味でも十分に楽しめます。これはシリーズ第一弾よりもパワーアップしている印象で、高評価に繋がりました。期待以上の面白さでしたね。

No.1213 6点 木島日記- 大塚英志 2020/11/14 22:38
昭和初期。オカルト、猟奇事件、右傾化が吹き荒れる東京。歌人にして民俗学者の折口信夫は偶然に、しかし魅入られるように古書店「八坂堂」に迷い込む。奇怪な仮面で素顔を隠した主人は木島平八郎と名乗り、信じられないような自らの素性を語りだした。以来、折口の周りには奇妙な人、出来事が憑き物のように集まり始める…。ロンギヌスの槍、未来予測計算機、偽天皇、記憶する水、ユダヤ人満州移住計画―昭和の闇を跋扈するあってはならない物語。民俗学者・折口信夫の名を騙る仮面の古書店主・木島平八郎が偽史の時代を“仕分け”する。超民俗学伝奇小説の傑作、登場。
『BOOK』データべースより。

正直大塚英志、舐めてました。この人、色んな大学や研究センターの教授や講師だったんですね、偉い人だったんです。漫画の原作者兼作家としか思っていませんでしたので、ちょっと見直しました。通りでこの作風はこれまで読んだ作品とは一線を画すものとなっています。折口信夫の近代文学史の金字塔とまで言われた『死者の書』が偽書として本人が脱稿する前に古書店の棚に置かれていたという導入部から、怪しげな人々や民俗学に纏わるアイテムが登場し、まさに幻想小説の如き様相を呈してきます。これは最早奇書と呼んでも差し支えないでしょう。夢か現か幻か、物語が紡ぐ幻視を見せられることになります。二転三転するストーリーは既に私の理解を超えてしまいます。とは言え、伝奇小説のエンターテインメントとして屹立する、孤高の決して日の目を見ることのない幻の怪作だと思います。

個人的には前半に登場する月という女性のエピソードの話をもう少し膨らませて欲しかった気もします。しかし、折口と言い木島と言い土玉と言い、何故このような変人ばかりが出てくるのでしょうかね。美蘭や一ツ橋も真面とは言えないですし。当然一般受けはしないと思いますが、隠れた支持者がいることは確かなようです。

No.1212 6点 放浪探偵と七つの殺人- 歌野晶午 2020/11/12 22:33
大学の男子寮で殺人事件が発生。犯行時刻に外部からの侵入者はいなく、すべての寮生にはアリバイがあった―「有罪としての不在」や、“水難”とは何を示すか見きわめると、犯人がわかる?「水難の夜」など、さすらいの名探偵・信濃譲二が奇想天外な難事件の謎を見事な推理で解決する七つの傑作短編を収録。
『BOOK』データベースより。

やや作品ごとに出来不出来の差があるように思います。増補版に収められた『マルムシ』は分かりませんが、例えば『ドア⇔ドア』なんかは穴が多く、たとえその場を凌げたとしてもすぐに犯行が発覚するかなり杜撰な殺人事件です。指紋の問題などが度外視されており、ちょっとどうなのかなという気がします。アイディアそのものは面白いですが、どこか既視感がありますね。このトリックはおそらく既出ではないかと思いますが。
初出がアンソロジー『奇想の復活』である『阿闍梨天空死譚』は再再読ですので、他とは比較し難い点がありますし、これはある意味別格扱いで良いのではないかと思うのですが、これを除いて最も面白かったのは『烏勧請』でしょうかね。近所のゴミ捨て場からゴミを拾ってきて庭をゴミだらけにする妻と、それをせっせと元に戻す夫。この関係性の裏に意外な事実が、という物語。他にもなかなか気の利いたトリックを駆使して読者を楽しませてくれる短編が幾つかありました。

探偵信濃譲二はあまりアクの強さは感じませんが、それでも風体を含めて異彩を放つ存在であることは間違いありません。まるで猫丸先輩の様に神出鬼没でもあります。定職に就かずアルバイトしながら事件に巻き込まれ、速攻で解決する点は共通する点ですね。

No.1211 6点 長野・上越新幹線四時間三十分の壁- 蘇部健一 2020/11/10 22:19
容疑者は美人双子姉妹! 事件を追う刑事・半下石は鉄壁のアリバイを崩せるか? バカミス史上に残る怪作『六枚のとんかつ』の著者が、本格鉄道ミステリーに挑戦した表題作に加え、どんでん返しのおもしろさが味わえる倒叙型ミステリ『指紋』『2時30分の目撃者』、ボーナス・トラック『乗り遅れた男』の短編3本を収録。本格+ギャグ=? お笑い鉄道ミステリー!
『BOOK』データベースより。

あれぇ?かなり評価が低いですね、私は結構面白いと思ったんですけど。
時にユーモアを交えた本格的な鉄道ミステリです。当然アリバイ崩しの話ですので冒頭でいきなり時刻表が掲載されています。かなり込み入った話を要領よく纏めていて、それでいてトリックは煩雑にならずに最後は一撃で仕留めるという、なかなか読み応えのある内容となっていると思いますよ。作者はこんな本格ミステリも書けるのだという事を証明した一冊として、貴重な作品集だと断言できます。まあ双子の姉妹が容疑者という時点で、半ばネタバレしているようなものですが、それを上手く読者の目から隠蔽できています。なかなかの仕上がりだと思いますけどねえ。
そして終盤のあからさまな伏線が良いです、特に半下石と、離婚して母親に親権を譲った娘とのエピソードが泣かせます。その中でもちゃっかり伏線を張っているのも憎いところ。ラストは洒落が効いていてクスッとなってしまいました。

尚、私はノベルスを読んだので、文庫版に収められた『遅れてきた男』は未読です。作者あとがきも読んでみたかったですね。

No.1210 5点 罪びとの手- 天祢涼 2020/11/08 22:20
廃ビルで中年男性の死体が発見された。身元が判明しない中、葬儀屋が遺体を引き取りにくるが、葬儀屋・御木本悠司は、その遺体を目にした瞬間、刮目した。「これは俺の親父だ」。その偶然に疑問を持った刑事・滝沢圭は、単なる事故死と判断する本部に反発するようにその遺体に固執する。世の中を賑わす幼女連続殺人事件、葬儀屋の葛藤と苦悩、不遇な警察官を親に持つ刑事のトラウマ・・・・・・様々な要素が絡み合う中、意外な犯人と動機が明らかに! 平和な生活を犠牲にしてでも守らなければならない、刑事と葬儀屋の誇りとは・・・・・・慟哭の社会派ミステリー。
Amazon内容紹介より。

舞台が葬儀屋だけに全般的に重苦しく、ラストに至るまではじりじりしたような焦らされた感が強かったです。数えられるのは不可解な謎ではありますが、それだけで最後まで引っ張るのはちょっと無理があるかもしれません。文章は堅実だし人間もそれなりに描かれています、しかしトリックが・・・。意表は突かれたものの、それはないんじゃないの?と思ってしまいました。まあ予想出来る決着の仕方ではあった筈なのに、何だか騙されたような感覚に陥りました。

結局そういう事だったのねって感じで、確かに腑には落ちますがカタルシスとは程遠い結末になんだかなと思いましたね、ええ。
しかし、随分前になりますが、何故この本を入手しようと思ったのか、その時の自分に問いただしたい気分です。まあ葬儀屋という職業がどういったものなのか、勉強になりましたし、決して悪くはないと思いますが、読後感がイマイチスッキリしないというか、もう少し面白い話に仕上げられなかったものかと云う気分に駆られたことは確かです。

No.1209 7点 蟲と眼球とテディベア- 日日日 2020/11/07 22:54
貧しいながらもケナゲに生きる高校生・宇佐川鈴音には愛する人がいた。知力、体力、財力、ルックスすべてに完璧な教師―その名は賢木愚龍。ある日あるとき鈴音が見た「林檎の夢」をきっかけに、二人は有象無象の輩にその純愛を邪魔されることとなる。それは「虫」という「個」を持たぬ謎の存在だったり、スプーンで武装(?)した「眼球抉子」なる名の猛き少女だったり―。魑魅魍魎を相手に二人は生き残れるのか?未曽有の学園ファンタジー開幕!第1回MF文庫Jライトノベル新人賞編集長特別賞受賞。
『BOOK』データベースより。

私が読んだラノベ史上一二を争う面白さ、楽しさ、心地よさでした。
世間ではグリコグリコ(眼球抉子・がんきゅうえぐりこ)と騒いでいますが、最初はそれほどでもないなと思っていました。しかし、次第にグリコに心惹かれていく自分に気付きました。シューズの蝶々結びが出来ず延々と格闘し、結局団子になったまま履く姿やファミコンの腕が一向に向上せず苦戦する姿など、細かなディテールが堪りません。誰にも関心を持たず心を開こうとしない、口の悪いグリコが結局美味しいところを浚ってしまい、主役の二人が霞みます。本作は彼女の為に書かれた物語と言っても良いでしょう。

物語としては新味がないものの、その筆捌きは見事の一言で、ここでそういう表現を持ってくるかと云う、その安心感はどの作家にも負けていないと個人的には思います。編集長特別賞受賞との事ですが、大賞でも良かったのではとないかと。
読み終わってもしばらく余韻が続き、頭の中でリフレインしている滅多にない体験をしてしまいました。自分にとってこの人が特別な作家になってくれることを今は祈るばかりです。

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メルカトルさん
ひとこと
「ミステリの祭典」の異端児、メルカトルです。変人でもあります。色んな意味で嫌われ者です(笑)。
最近では、自分好みの本格ミステリが見当たらず、過去の名作も読み尽した感があり、誰も読まないような作品ばか...
好きな作家
島田荘司 京極夏彦 綾辻行人 麻耶雄嵩 浦賀和宏 白井智之 他多数
採点傾向
平均点: 6.04点   採点数: 1828件
採点の多い作家(TOP10)
浦賀和宏(33)
島田荘司(25)
アンソロジー(出版社編)(25)
西尾維新(25)
京極夏彦(22)
綾辻行人(22)
折原一(19)
中山七里(19)
日日日(18)
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