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[ 本格/新本格 ]
化身の哭く森
私立探偵・槙野康平&刑事・東條有紀
吉田恭教 出版月: 2017年07月 平均: 5.00点 書評数: 1件

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講談社
2017年07月

No.1 5点 メルカトル 2021/03/30 22:47
7年前に消息を絶った祖父の痕跡を探すため、「入らずの山」と呼ばれる地に足を踏み入れた大学生・春日優斗と友人たち。下山後、ほどなくして彼らは次々と死を遂げる。さらには祖父と繋がりのあった探偵も6年前に31歳の若さで亡くなっていた。禁断の地に関わる者たちに訪れる非業の死。これは祟りか、それとも…。広島と東京で起きる死の連鎖に、元刑事の探偵・槇野康平と「鉄仮面」と呼ばれる警視庁捜査一課の刑事・東條有紀が迫る。怪奇世界と謎解きの妙。奇想の本格ミステリ!
『BOOK』データベースより。

話自体は悪くないですが、その見せ方が下手なせいで十分に楽しむことが出来ませんでした。まず人間が描けていませんね。主人公の二人も個性が感じられず、何となく中途半端な印象を受けました。また登場人物が多く、誰が誰だか分からないような事態が発生し、あれ、これ誰だっけ?というような状況に陥ったりもしました。唯一心に残るのは幽霊滝のくだりで、情景が自然に浮かんできて、幻想的なイメージが膨らんできさえしました。

アリバイトリックはまあ他愛のないものだし、動機の点も果たして幾人もの人間を殺すほどのものだろうかとの疑問を感じました。ホラー寄りのミステリに仕上げたかったとも思えますが、作者の目論見が成功しているとは言い難いですね。古い因習に捉われ、人の道に外れる様な山村の忌まわしい過去の姿にはゾッとしました。昔の日本では当たり前だった事に悍ましさを覚えます。


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