皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
simo10さん |
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平均点: 5.69点 | 書評数: 193件 |
No.29 | 5点 | 真夏の方程式- 東野圭吾 | 2013/08/14 11:24 |
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--ネタばれ含みます--
ガリレオシリーズ長編第3弾。 あの湯川准教授がついに殺人事件に巻き込まれるという、シリーズ探偵ものの王道路線を踏むことに。 とはいえその殺人事件も事故として処理されるような事件性の薄いものだし、クローズドサークルものでもないから特に緊張感はないです。 話は色々な登場人物の視点を通じて進んでいくのだが、湯川が登場するシーン以外はどうにも退屈な展開が続きます。 真相解明時も各伏線が巧く紐解かれてゆくのだけれどもインパクトはいまいちでした。 なにも殺すことはないだろうとか、湯川は子供嫌いだったんちゃうんかとか納得いかない部分も多々あります。 特に、子供嫌いが治っていたり、ラストをきれいに締めくくっていたり等はテレビ製作者たちの意向が無理やり組み込まれていたんじゃないかと勘繰ってしまいます。 (湯川のキャラが完全に福山化しているのはアリだけど。) |
No.28 | 5点 | 手紙- 東野圭吾 | 2013/08/14 11:16 |
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強盗殺人の加害者の家族の人生を描いた物語。
これは重いですね。きれいごとがないところも東野氏らしいです。 重罪を犯した場合、自分の親族の人生にまで被害が及ぶということを世の中全ての人達に理解してほしいものです。 泣けると聞いていたので単純に感動ものなんだろうと思っていたのですが甘かったようです。 しかし、心を打たれる作品でした。 (全くミステリでないので5点です) |
No.27 | 6点 | 天空の蜂- 東野圭吾 | 2013/08/14 11:15 |
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日本中の原発を停止しなければ、遠隔自動操縦でジャックした大型ヘリを高速増殖炉へ墜落させるというクライムサスペンス。
今でこそ原発の是非への関心が非常に高い世の中ですが、当時から今の時代に即したような作品を描いていたんですね。 テーマは非常にシリアスなものですが、手に汗握るストーリーで(少し長いが)サクサク読めました。 個人的な一番の読みどころは子供の救出シーンか。 |
No.26 | 5点 | 眠りの森- 東野圭吾 | 2012/11/10 11:05 |
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加賀シリーズ第二弾。
以前に「卒業」に引き続き読んだのだが、あまりの甘ったるさに辟易したのと事件のインパクトのなさがあいまって三日で内容を完全に忘れてしまい、書評が書けませんでした。再読する気もなかなか起きず、「内容を完全に忘れてしまうくらいつまらなかった」と書評して1点付けてやろうかとも思いましたが、何とか再読することができました。 事件の最大の謎は「バレエ団と接点のないはずの風間という男がなぜ侵入したのか?一体過去にどんな因縁があったのか?」だったと思って読んでいました。 そしてその人物の正体は何とバレエ団のある人物と深い関係を持つ人物の友人だった(つまり赤の他人だった)。なんだそりゃ。そりゃ忘れるわ、と内容を忘れた原因が解り、納得できました。 殺人の動機はバレエダンサーの独特の心理を汲んだ形であったのが特徴的でしたが、やはり一般的にはその心情は察し難く、これも印象を弱める要素かなと思います。 唯一強く覚えていたのがラストの強烈な甘さに思わずスピードワゴンのあのセリフを発したことですが、今回もやはり同じセリフを口にしてしまった。 |
No.25 | 6点 | 嘘をもうひとつだけ- 東野圭吾 | 2012/11/10 11:01 |
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加賀シリーズ短編集を再読。以下の五話で構成されます。
①「嘘をもうひとつだけ」:「眠りの森」以来のバレエもの。バレリーナの習慣、心理を活かしたハウダニット、ワイダニットが特徴的。 ②「冷たい灼熱」:例の社会問題をはっきり書かないのが印象的な作品。遺族に気を遣ってるのかなとも思います。 ③「第二の希望」:さらっと解説されたが、本当にそんな大技が可能なんだろうか?ガリレオ系トリックに属すると思います。 ④「狂った計算」:加賀の推理した通り程の悲惨な結末でなくて良かった。最低の旦那だが、実際いるんだろうな、こういうの。 ⑤「友の助言」:未必の故意という言葉は初めて知りましたが、その内容は聞いたことあります。「死んでくれたらラッキー」て、恐ろしい…。ラストの夫妻のやり取りがブラックでしびれる。 基本的にどれも語り手が犯人または事件の真相を知る者で、倒叙に近い形です。そんな語り手に対して加賀刑事が古畑任三郎よろしく、しつこくまとわりついてボロを出させます。どれも安定してよくできているが、突出して面白いのもないかな。 |
No.24 | 7点 | 聖女の救済- 東野圭吾 | 2012/09/30 20:53 |
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--ネタばれ含みます--
ガリレオシリーズの長編第二弾。 シリーズお馴染みの倒叙形式のハウダニットものです。トリック自体は理系モノではないのですが、実際にそれが行われるということが有り得ないため、それを虚数解に据えるということで理系に結びつけたのが巧いです。 その有り得ないトリックを実行するにための動機付けが、ワイダニットとして素晴らしいと思います。 とはいえ、その動機付けはやはり多少無理矢理な印象を受けてしまいました。絶望を感じているはずなのにわざわざ完全犯罪を企てるのか?と違和感を感じてしまいました。 物理的には可能だけど実行されることはありえない、そんな虚数解トリックは動機付けが最大のキモとなると思いますが、その動機付けを放棄した歌野氏の密室殺人ゲームシリーズの設定はうまいというかズル賢いというか、特許もんだなあと思う。 |
No.23 | 5点 | ガリレオの苦悩- 東野圭吾 | 2012/09/30 20:44 |
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--(一応)ネタばれ含みます--
ガリレオシリーズ短編集第三弾。以下の五話で構成されます。 ①「落下る(おちる)」:温度と圧力の関係を利用したシンプルな時限式落下装置。難し過ぎず、良問だと思います。 ②「操縦る(あやつる)」:爆発成形による金属の流体的挙動とやらを利用した、ガリレオシリーズらしい大技トリック。素人が推測不可能なトリックなんか使うなよ、と最初は思っていましたが、やはりこのシリーズに限っては最低一つはこんなトリックが欲しいなと思っています。 ③「密室る(とじる)」:ホログラフィを利用した密室アリバイトリック。インパクトに欠けるかな。 ④「指標す(しめす)」:ダウジングに関するお話。結局種は解んないのね。 ⑤「攪乱す(みだす)」:超指向性スピーカーとやらの悪用例。文中にもある通り、怪人二十面相よろしくといった犯人の登場で結構盛上がった。しかし学会において他人の発表の質疑応答中に自分の研究内容のほうが優れていることを示唆するのは普通のことなんだろうか? 初期の短編集に関してはTVの方が圧倒的に面白いと思いました。しかし、本作からはTV版オリジナルキャラの内海刑事が登場したこともあり、まるでTV版をそのまま見ているような感覚でサクサク読めました。TV版のアレンジ力も凄いが、東野氏の柔軟性も凄い。 |
No.22 | 8点 | 容疑者Xの献身- 東野圭吾 | 2012/09/30 20:40 |
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--ネタばれ含みます--
ガリレオシリーズ初の長編もの。 まさかこのシリーズで長編やんのかよ、ってとこですね。 どうやって科学トリックを長編に持ち込むかが焦点だったのですが、実際はオーソドックスなミステリでした。 とはいえ、よくできていたと思います。倒叙形式なのですが、その偽装工作の方こそが真の犯罪であり、ハウダニットにもなっている点が面白いです。 登場人物も個性的で、ブラックな終わり方も私好みです。 |
No.21 | 5点 | 予知夢- 東野圭吾 | 2012/09/20 23:26 |
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--(一応)ネタばれ含みます--
ガリレオシリーズ短編集第二弾。以下の五話で構成されます。 ①「夢想る(ゆめみる)」:森下礼美との出会いは十七年前に予言されていた!一応話は理解したけど、何だか人間関係がごちゃごちゃしてるし驚きもないし科学ですらない。ガリレオシリーズでこのネタをやる意味が理解できない。 ②「霊視る(みえる)」:彼女の幽霊を見た!これまた科学トリックなし。それっぽいとこはガリの部分くらい。警察も形無しの湯川の名探偵ぶり。 ③「騒霊ぐ(さわぐ)」:ポルターガイスト現象発生!=共振 というのはよく使われるので私にも分かった。 ④「絞殺る(しめる)」:火の玉発生!せっかくの科学トリックなんだから共犯無しで成立させてほしい。 ⑤「予知る(しる)」:娘が予知夢を開眼!ER流体なるものを用いた偽装・偽装自殺トリック(?)はガリレオシリーズならでは。オチはブラックでしびれる。TV版もうまくアレンジされて面白い。 今回再読してみたが、前作と違い多くの作品が超常現象=科学トリックとはなっていなかったためか、タイトルから話の内容を思い出せるものは少なかった。個人的には⑤が良かった。①、②はつまらなかった。 |
No.20 | 5点 | 探偵ガリレオ- 東野圭吾 | 2012/09/20 23:21 |
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--(一応)ネタばれ含みます--
ガリレオシリーズ第一弾。最初はTVで予知夢の「予知る(しる)」を見て作品を知りました。後は全て本で先回りして、TVの残りはDVDで見ました。最初は短編集だったんですね。以下の五話で構成されています。 ①「燃える」:炭酸ガスレーザーというものがそんなに威力があるものだとは知りませんでした。夜中に騒ぐ輩がどれだけ迷惑か知っているので、犯人には同調します。(ひょっとして著者もそういう経験あったのかな?) ②「転写る(うつる)」:衝撃波によって造形を崩すことなくアルミが顔にピッタリはまる!マジで?! ③「壊死る(くさる)」:銭湯なんかにある超音波風呂って大丈夫なんだろうかと不安になってしまう。クロい女の独白がたまらない。 ④「爆ぜる(はぜる)」:ナトリウムって危険なんですね。せっかくの派手な事件ももう一つの余計な事件のせいで思いっきり印象が薄まった感じがします。 ⑤「離脱(うつる)」:唯一これだけは予想がついた!蜃気楼ならまだ一般的なほうだから分かる人は多いはず。 初めて読んだ時は全然面白くないと思ったが、作品の方向性が分かった上で再読したら、湯川と草薙の掛け合いを中心としてまあまあ楽しむことができました。 |
No.19 | 4点 | 殺人の門- 東野圭吾 | 2010/03/09 22:39 |
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幼い頃から動機の深い計画的な殺人に興味を持つ主人公。
おお、なんか今まで見たことのないパターンではないか。 しかもちょっと自分好みの暗めのどんよりした展開だし、これは期待できそうだ思った。 クラスの全員を殺すための予行演習として、ある人物を選定し、実行する。 ここまでは良かったんだけれど、主人公が気変わりを起こした瞬間、残り400ページ以上の展開が読めてうんざりした。 予想に違わず、殺意を抱いては失うのローテーションにやっぱりうんざり。 雰囲気は「幻夜」のアレンジバージョンみたいな感じで、キーマンの倉持修も男版新海美冬といった感じで、悪い奴なんだけどなんか魅力を感じる。 面白いことは面白いんだけど、どうも嗜好に合わないんだよなぁ。 ミステリでもないし。 |
No.18 | 6点 | 赤い指- 東野圭吾 | 2010/03/01 21:41 |
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加賀シリーズ長編モノです。
多くの家庭が抱える社会問題をテーマにした、倒叙形式となっています。 犯行の動機から方法まで全て稚拙なのですが、その分妙にリアリティがあり、恐怖すら感じました。 実は加賀シリーズなので本格モノを期待していたのですが、ミステリ的には目新しい所もなくイマイチでした。 しかし、ラストのくだりはなかなか圧巻です。 重めの作品だけど、好きな人にはたまらないかも。 |
No.17 | 6点 | ある閉ざされた雪の山荘で- 東野圭吾 | 2010/02/23 18:42 |
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-ネタばれ含みます-
「仮面山荘~」の書評に本作の真相に触れる内容が多かったため、図らずもオチが知れてしまったのが残念な作品です。 「仮面~」とは違い、登場人物の中にも真相を知らないものが数名いたのが、良いフェイクになっていたと思いました。 しかし設定的にしょうがないのだけれども、緊迫感を演出させることができないため、そこにどうにも物足りなさを感じてしまう。 あと最初の見取り図ですが、ドアがあったりなかったりと、ちゃんと描かれていないため理不尽だと思いました。(「あの場所」がどうなってるのか全然解んなかったし) 久我君と貴子はナイスでした。 |
No.16 | 4点 | 白馬山荘殺人事件- 東野圭吾 | 2009/12/15 22:10 |
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-ネタばれ含みます-
まず叙述宣言ともとれる登場人物表、序盤からためらいもなく相方の叙述を明かしてしまう挑戦的な作者の姿勢にうれしくなりました。 この先どれだけすごい叙述トリックが控えているのだろうと思わされました。 「ナオコ」と「菜穂子」は別人ではなかろうか?とか「シェフ」は外人ではなかろうか?とか。 結局何もなかったけどどういった効果を狙ったんだろう。 マザーグースの謎解きは「卒業」に引き続き、面倒くさいのでスルーしてしまった。 こういう読書態度が天下一シリーズを生み出してしまったのだろうかと少し反省してしまう。 しかし、共犯者を使ったトリックはやっぱりしらけるなあ。 |
No.15 | 4点 | 変身- 東野圭吾 | 2009/12/15 22:07 |
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これまたミステリーではないんですね。
このような医療技術が可能だったら、人格はどうなるんだろうとか、生きていることの判断はどうなるんだろうとか少し真面目に考えさせられる作品でした。 まあ読みやすかったけど、ちょっと暗い気分にもさせられたし、あんまり好きではないかな。 |
No.14 | 3点 | 虹を操る少年- 東野圭吾 | 2009/11/22 21:46 |
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題名から予想はしていたけど、ミステリではないんですね。
それはいいとして、光楽から展開される話は面白かったと思うけど、久々に登場人物に全く感情移入できない作品でした。 つまんねえなあと思いながら読みつつ、ラストも「何だこりゃ」って感じ。 波長が合わなかったです。 |
No.13 | 5点 | 同級生- 東野圭吾 | 2009/11/22 21:38 |
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東野氏の学園モノ作品を初めて読みました。
物語的にはさくさく読みやすく、主人公の体面を気にした行動もよく理解できたし、刑事もなんか格好良く、感情移入し易かったです。 しかし、事件そのものに関してはなんだかおまけみたいな感じで、そのうち忘れそうな程印象が薄かったです。 あと、どの登場人物も教師に対して反感持ち過ぎです。確かに嫌な教師も存在しますが、これはただの中傷としか思えません。他の学園モノもこんな感じなのかと疑ってしまいます。 |
No.12 | 5点 | 十字屋敷のピエロ- 東野圭吾 | 2009/11/22 20:31 |
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-ネタばれ含みます-
十字屋敷の構造を利用したトリックはよい意味でシンプルなのですが、そのせっかくのトリックをメインに据えていないせいで、どうにも印象の薄い仕上がりになったように思えてしまいます。 あと、変装に関してはもう少し表現を読者が納得するようにしてもらえないかなと考えてしまいます。 登場人物達もイマイチで香織に関してはワガママもええ加減にせいと思ってしまった。 人形師悟浄はシリーズ探偵モノの雰囲気を醸し出していて面白かったです。 |
No.11 | 6点 | 名探偵の掟- 東野圭吾 | 2009/11/22 20:27 |
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ウケました。
作者のミステリに対する苦悩が見事に皮肉られている作品です。 自分もちゃんと推理せずに「誰が犯人だったら面白いか」と考えてしまうタイプなので悪い読者だなぁとも思わされてしまいます。 |
No.10 | 7点 | 仮面山荘殺人事件- 東野圭吾 | 2009/11/22 20:16 |
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-ネタばれ含みます-
面白かったです。 薄々予想はしていたのですが,まさか全員とは思いませんでした。 しかし、前述にTetchyさんがおっしゃるように仕掛け人が多過ぎるとボロも出易くなると思うので,仕掛けをしらない人を何人か混ぜるとか,ボロを匂わす表現を与えてくれるとかすれば、よりシビれる作品になったと思います。 |