皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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makomakoさん |
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平均点: 6.18点 | 書評数: 862件 |
No.30 | 7点 | 日本扇の謎- 有栖川有栖 | 2024/11/24 15:47 |
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有栖川氏はトリックメーカーと評価されていることもあるようですが、ことに最近の作品ではお話の深みややさしさが加わってよい雰囲気が味わえます。
本作品でも密室のトリックはちょっと推理小説が好きな読者ならあまりに簡単というか使い古されたものなのですが、本作品は密室トリックがメインではなく、記憶消失や家庭の事情などが主となる謎です。これをどう解決していくかが見せどころなのです。 アリスが次の作品のためのトリックをいろいろ考えて、ダメトリックを没としている姿は、さすが推理作家といったところ。 はじめはちょっと緩いが、読んでいくとなかなか面白くて、読後感もよい。 |
No.29 | 7点 | 濱地健三郎の幽たる事件簿- 有栖川有栖 | 2023/02/20 21:43 |
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有栖川氏のホラーもの(あんまり怖くないからオカルト的というべきでしょうか)は結構おもしろい。
登場人物が抜群の能力を持っているのではないが、しばしば相当な超能力者らしい力も発揮する。本格推理ではないから理論的に完全に帰結するわけではないのですが、何となく納得してしまうのは作者の力量でしょうか。 こういった作品も時々書いていってほしいものです。 |
No.28 | 7点 | 濱地健三郎の霊なる事件簿- 有栖川有栖 | 2020/03/07 07:27 |
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霊的能力のお話は本格物とは対極のような気がしますが、有栖川氏の作品はそれを感じさせない、というよりこういったお話が大好きな方が書いていると思えてきます。
作者の幽霊もの?はどれも全然怖くなく、その世界で見事に完結しているのでミステリーとして読んでも興味深いのでしょう。 相手役のユリエさんもなかなか素敵です。 |
No.27 | 6点 | カナダ金貨の謎- 有栖川有栖 | 2019/10/19 07:27 |
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有栖川氏の短編はトリック一本勝負といったところがあり、その出来不出来で印象が大きく異なるように思っています。
今回のカナダ金貨はそれなりの水準がそろっているようで、まあ面白く読めました。 私は氏の長編が大好きで、巻末の著作を見るとすべての長編を読んでいるようですが、短編は未読のものが結構ありました。これははずれだなあと思ったものが時折あったためなのですが、今回の作品はその中ではまずまずといった印象でした。 |
No.26 | 8点 | マジックミラー- 有栖川有栖 | 2019/06/16 08:14 |
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この作品は発表されてすぐ読んだ覚えがありましたが、内容はすっかり忘れてしまって、全くの初読のように読みました。発表当時は学生アリスがとても気に入っていたので、本作品のようにトリック勝負の内容にやや不満を感じたものですが、好みがが本格推理の方へ傾いてきたせいか、非常に面白く読みました。
双子のトリックで犯人はほとんど明らかであるのに、実に精緻で巧妙な手段を解明しつつなお謎は残る。さらにもう一つのトリックが仕掛けられこれまた双子が問題となり、犯人もかなりはっきりしているように思われるのだがやっぱりアリバイが崩せない。 若き作者は細かいところまで考え抜いてこの話を完成させたのでしょう。 素晴らしい出来栄えです。 締め切りに追われて一定の作品を量産させられているらしい?うれっこ作家になるとこんな作品はなかなか大変かもしれませんが、最近とみに充実してきた有栖川氏には期待しております。学生アリスも書いてね。 本格物が好きな方なら絶対楽しめると思います。 |
No.25 | 6点 | 火村英生に捧げる犯罪- 有栖川有栖 | 2019/06/09 11:25 |
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「鸚鵡返し」や「偽りのペア」のように10ページぐらいの短編から中編といってよい作品まで色々楽しめます。
作品ごとに違ったシチュエーションで、ほとんどが一発トリック型のお話です。 私は氏の作品は温かみがどこかに感じられるところが好きなのですが、短編となると本当にトリック一本勝負なので、そういった感触を望むことはあまりできません。 やっぱり長編がいいなあと思いますが、これはこれで悪くはないでしょう。 |
No.24 | 6点 | 長い廊下がある家- 有栖川有栖 | 2019/05/27 21:26 |
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表題作は中編。後の3つは長めの短編です。
表題の長い廊下がある家が一番好き。似たようなトリックは何度か読んだような気もしますが、これはこれでかなり大胆で斬新なトリックと思います。 実は長編と思って読んでいたので、途中で急に解決してしまったように感じました。お話も面白く登場人物も興味深いので、もっと膨らませて長編としてみてもよかったような気がします。 そんなことはせずに切れよく中編とした作者の志に拍手を起こりましょう。 ほかの3作はちょっと落ちるかなあ。 2作目の雪と金婚式はかなりロマンチックで嫌いではないのですが、切れ味は今一つでしょう。 3作目の天空の目はアリスは一人で解決したお話。ちょっと意外な展開ではありますが、推理小説としてのおさまりはいまいちな感じがしました。 最後のロジカルデスゲームはあまり好みではないですね。 |
No.23 | 7点 | インド倶楽部の謎- 有栖川有栖 | 2018/10/20 20:26 |
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国名シリーズは短編集が多いようですが、これは長編小説です。読みごたえは十分にあり、最近の作者の充実ぶりを裏切らない出だしです。
全体によくできた小説と思いますが、私にとっては信じがたい理由での解決、名探偵火村自身も全く信じていない理由による解決には違和感を感じました。 すべての可能性を否定しないのが科学的といえるとは思うのですが、ここまでとなるとちょっとねえ。 でも力作であることは間違いなく、かなり楽しめました。 作者への希望。 これほど力が充実しているのですから是非学生アリスシリーズの完結編をお願いしたいですね。 |
No.22 | 6点 | ジュリエットの悲鳴- 有栖川有栖 | 2017/06/17 17:29 |
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有栖川有栖氏がだいぶん前に書いた短編小説をまとめて一冊としたものです。シリーズものではないのでアリスや名探偵は出てきません。
まあいろんな小説を書いていたんだというのが、読んだすぐ後の印象です。とんでもないSFの話もあります。 作者はトリックを先に思いついてそれに合うようなシチュエーションを後から考えだしたような感じ。従ってトリックの出来不出来が作品に大きく影響しているようです。 私は有栖氏の学生アリスシリーズや最近の長編のファンでありますが、短編に関しては出来不出来がかなり大きいように思います。 |
No.21 | 7点 | 狩人の悪夢- 有栖川有栖 | 2017/03/05 10:43 |
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このところぐっと懐が深くなってきた有栖川有栖氏の火村シリーズの長編ということでさっそく読んでみました。
なかなか長い。殺人事件の話となるまでに相当ページがさいてあります。それでも飽きさせずに読ませるのはさすがに最近の有栖川有栖。充実していますねえ。 登場人物は少ない。犯人たる人物は極めて絞られています。かなり最後まで行かない犯人は分からない。後付けで真相を暴露するといったかたちなら、誰が犯人でもこの小説は成り立ちそうなのです。 まあ怪しげな人は初めから怪しそうなのですが、推理小説の常として怪しそうな人は犯人でないことが多いからなあなどと、余分なことを心配しながら読むこととなりました。 どんでん返しはあるのか?期待しながら読んでいました。 結果は書きません。読みごたえは十分で読んで損はありませんよ。 |
No.20 | 7点 | 幻坂- 有栖川有栖 | 2016/03/27 13:14 |
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有栖川氏の作品なので当然本格物と思ってネット購入したのですが、この作品集は本格ミステリーではありませんでした。だからといってよくなかったわけではなく、むしろ作者の大阪に対する愛情やそこはかとない美しさがあり、満足でした。
ちょうど大阪へ出張しているときでしたので、時間を作って坂と天王寺へ行ってきました。最近流行となりつつある真田幸村の戦死したところにたつ神社もありました。 なるほど。大阪にもこんなしっとりしたところがあるんだ。 |
No.19 | 7点 | 菩提樹荘の殺人- 有栖川有栖 | 2016/02/21 16:19 |
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4つの中編小説が入っていますが、「雛人形を笑え」が一番好きかな。トリックはちょっと強引なところもありますが、氏独特のやさしさと余韻があります。
有栖川氏のこういった長さの作品だとどうしてもトリック中心となってしまい、その出来不出来によって作品の価値が変わってしまう。 今まで読んだ中でもがっかりといったものもないわけではありませんが、ここに納められた作品はどれも暖かい余韻が漂い、私の好きな感じに出来上がっていました。 |
No.18 | 9点 | 鍵の掛かった男- 有栖川有栖 | 2015/11/07 21:42 |
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ずっしりとした本格物です。有栖川氏の作品では学生アリスシリーズが好きで、私の中では火村英生シリーズはちょっと落ちるのですが、これはすばらしい。
大阪中の島のホテルを舞台として、物語はゆっくりゆっくり進んでいく。自殺とされた男の正体が全く分からないが、とても不思議なお話という言わけではない。火村は当分の間脇役で、専らアリスが地味に少しずつ真相を探っていくこととなる。 普通こんな展開では読者は退屈してしまうのだが、作者の筆力と中の島に対する愛着がにじみ出て決して退屈させない。もちろん最後まで犯人は全然わからず、でも解決のあとはすっきりしており、作者独特の悲しみも共感しました。 このところ有栖川氏の新作が若干さえない気がしていたのですが、こんなに重厚で長いお話に出会えて満足しています。 あとは学生アリスの最終長編を心待ちにしています。 |
No.17 | 6点 | 高原のフーダニット- 有栖川有栖 | 2014/12/31 10:19 |
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3つの中編小説(ミステリ夢十夜は短編の集まりかも)、いずれも個性が違ってそれなりに楽しめました。
作者の中編、短編は一発芸のようなトリックで成り立つことが多いので、トリックを考えるのも大変なのでしょう。ミステリ夢十夜は考え出したトリックがどうしても小説とするのには無理があるものをまとめたみたいで、結構面白かった。 作者には幻想ものでないまともな?長編を望みたいのですが。できれば学生アリスで。 |
No.16 | 7点 | 江神二郎の洞察- 有栖川有栖 | 2012/11/28 21:50 |
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学生アリスが好きなわたしにとってはとても楽い作品でした。長編で語られなかった推理小説研究会の日常が分かってくる。推理小説研究会ってこんなことをして遊んでいたんだ。
短編連作のようになったいるのだが、すべてが本格推理ものではなく(本格ものもあるが)推理のお遊びや大学生活を垣間見ているうちに彼らの1年が過ぎマリアが入部してくる。 はっきり言って途中はちょっと退屈なところもあるのだが、最後の「蕩尽に関する一考察」などは実に後味がよく気持ちよく読み終えることができる。 学生アリスが好きな人は必読でしょう。 |
No.15 | 7点 | 虹果て村の秘密- 有栖川有栖 | 2012/10/12 14:09 |
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子供向けのミステリーということなのでそんなに奇抜なトリックや残酷なシーンはない。トリックも平易で分かりやすい分ミステリーを読み慣れた読者には不満足かも知れない。密室トリックの初歩の初歩なのだろうが、本格ものを初めて読む読者にとっては素晴らしいトリックに違いない。
読んでいると作者のミステリーへの愛着や子供にミステリーの素晴らしさを紹介しようという暖かさは十分に伝わってくる。 登場人物間の会話の面白さは(有栖川氏の小説を読む際に最も楽しみにしていることの一つです)たっぷりで後味もよく、なかなか面白かった。 |
No.14 | 5点 | 真夜中の探偵- 有栖川有栖 | 2011/10/17 19:09 |
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どうもこのシリーズは余り面白くない。長いお話になるようなのでこれだけでは解決していないところが沢山あるが、これから読み進んでいこうという気になりにくいなあ。有栖川氏の小説は登場人物とトリックそれにかすかに臭う文学性に惹かれるのだが、本作品はトリックがいただけない。
以下ネタバレ気味。 こんな大きな木箱で水も漏れないようなものを作れるなら犯人は間違いなく木材をあつかっている腕利きの職人でしょう。他人に依頼はしていないようだから自分で作ったんですよ。それに相当する人物は残念ながら登場していない。ああ無理だ。 さらにこれがとても丈夫なんだなあ。水が入っていたらすごく重いよ。このトリック絶対無理。 作者が殻を破って大きく広がりたいのは分かるのだが、残念ながら成功しているとは言いがたい。ごひいきの作家さんなのでちょっと辛口となったかもしれないけど、こういった作品を書く時間があるのならぜひ学生アリスシリーズの続きを書いてほしいのだが。 |
No.13 | 6点 | ブラジル蝶の謎- 有栖川有栖 | 2011/09/11 08:09 |
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有栖川氏の短編物は一発芸のようなところがあり、当たれば爽快だが外れるとなあんだということとなりがち。この作品集はあたりではなかったが、大はずれでもない。旅行中のつれづれに読んだので退屈しのぎにはなったが、心に残るようなものでもなかった。氏のファンであるので多少甘めの評価かもしれない。 |
No.12 | 8点 | スイス時計の謎- 有栖川有栖 | 2011/06/09 21:38 |
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スイス時計の謎は本格推理としてよく出来た作品と思います。この程度以上の長さがないとアリスと火村の掛け合いの楽しみが薄れてしまうのでちょうどよいのかも。いかにも本格らしいロジックにあふれていますが、しっかりと読んでいかないと意味不明の推理となりそうではあります。本格推理が好きな読者にとっては興味深い展開なので、当然私も興味しんしんで読みました。そのほかに3篇ではあるYの悲劇はまずまず。女彫刻家の首はちょっと落ちる。シャイロックの密室はトリック一本での勝負作。現実にこの話どうりになるかはかなり疑問ではあるが(理系の人間はすぐこういうことを考えていけませんね)まあ良しとしましょう。 |
No.11 | 5点 | 46番目の密室- 有栖川有栖 | 2011/04/23 21:37 |
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火村と作家アリスシリーズの記念すべき第1作。初めてこれを読んだときは学生アリスの探偵江神さんと比べてだいぶ落ちるなあと少なからずがっかりした覚えがある。今回再読してみたがやっぱり同じ感触であった。有栖川氏の作品の多くははトリックだけでなく情緒や雰囲気を楽しめるのだが、本作品は雰囲気もさほどでなくトリックもまあこんなものといった程度。火村助教授も作品を重ねるたびにいい感じになったように思うがこの作品ではいまいち。 |