皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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makomakoさん |
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平均点: 6.18点 | 書評数: 861件 |
No.161 | 7点 | 四月の橋- 小島正樹 | 2010/10/03 09:50 |
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「武家屋敷」ではトリックの詰め込みすぎと登場人物の魅力不足が気になったが、本作品ではそういった点が大幅に改善されている。探偵も例の「っす」とは言わなくなったし、先輩弁護師の泉さんはとても魅力的に描かれている。トリックも無理がないため「武家屋敷」のように解法事典を読んでいるようなつまらなさは皆無となった。そのかわり推理小説としては小粒でややひねりが足りない気もする(読者とはかようにわがままで贅沢なものです)。
相変わらずあまりメジャーとは言いがたいリバーカヤックに対するお話がはじめのほうに長々と語られている。今回は川にちなんだお話であるのだが、カヤックの色々なテクニックのお話は薀蓄というよりはおたく気味である。 それにしても短期間に人物描写がうまくなったのはすごいではないか。次回を期待しよう。 |
No.160 | 8点 | 首無の如き祟るもの- 三津田信三 | 2010/10/03 09:33 |
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三津田氏の小説は初めてだが評判にたがわず面白かった。久しぶりのおどろおどろしげな本格推理小説。
このところ雰囲気だけの小説やトリックだけ(しかもかなり無理なトリック)の小説が多いなあと嘆いていた矢先であったのでそういった面では十分に満足がいく内容でした。 犯人も犯罪の過程や結果も私にはまったく推定できず(私はたいていの推理小説の犯人当てが外れるおめでたい読み手ではあるのですが)、作者の巧みなストーリー展開に巻き込まれ最後には唖然とした結果を十分楽しませてもらった。 残念なのは探偵が事件をあつかった読み物を読んでの推理といった形態をなしているため、物語の中の言葉使いなどを証拠として指摘するのはちょっと無理があるように思えたところかな。せっかく小説のはじめのほうにちょこっと探偵が出てきているのだからそのまま事件に絡ませるとよかったのに。 |
No.159 | 6点 | 武家屋敷の殺人- 小島正樹 | 2010/09/26 09:05 |
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話の展開は興味深いものがあり、トリックも盛りだくさんで何回も修正される謎解きも精緻であり、、、となれば本格推理小説として非常によく出来ていると思うはずなのだが、残念ながらそれほどでもない。原因は登場人物が平坦にしか描けていないことと、本の帯にあるようにトリックの詰め込みすぎにあるように感じる。私も探偵の「っす」としゃべるのは全くなじめない。弁護士がこんな言葉でしゃべったらまず自分の弁護人にはしないだろうな。
主人公の瑞樹はもう少し素敵でかわいい女性に描いてもらいたかった。そうすれば印象はぐんとよくなったのに。最後のトリックの解決も精緻なのだが解法事典の答えを見ているようでちょっとうんざりしてしまった。「つめこみすぎ」なのです。 旬な食材をふんだんに使った料理を高級な雰囲気のレストランで食べたのに意外と美味しくなかったような感じでした。 |
No.158 | 6点 | 配達あかずきん- 大崎梢 | 2010/09/26 08:15 |
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読んで不快な内容ではないが非常に面白いというほどでもない。表題の配達あかずきんが一番よかったかな。まあ軽い内容でひとつずつの長さが適当なので電車の中などで読む分にはちょうどよいかも。 |
No.157 | 6点 | クリスマス黙示録- 多島斗志之 | 2010/08/29 07:35 |
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アメリカを単にツアー旅行しただけでは決して分からないアメリカ人の日本人に対する考え方やアメリカ人気質がよく描かれている丹念な小説ではある。しかし主人公のタミはやたら相手を不愉快にする発言を繰り返す嫌なキャラクター。敵の女警察官はモンスターのような女。こんな女が今まで普通の警察官でいられたの?
それを受け入れればまずまずなのだが。登場人物が好きでないのでどうしても印象は悪くなる。ひいきの多島氏の作品なのでちょっと甘めの評価。 |
No.156 | 7点 | 離愁- 多島斗志之 | 2010/08/21 21:20 |
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これはミステリーというより恋愛小説のほうがふさわしいかもしれない。でも推理の要素はかなりあってそれなりに楽しめるし、結果もちょっと意外なものとなっている。
主人公はほとんど無表情の女性。死後30年してからその女性の過去を探っていくという地味な話ではあるが多島氏らしい丁寧なストーリー展開にひきつけられる。 |
No.155 | 4点 | 雪のマズルカ- 芦原すなお | 2010/08/21 21:07 |
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これは私にはあわない。芦原すなおは好きな作家であのふんわかした気分がなんともいえないと思っていたのだがこれは全く違ったテイストの作品。ぼんやりした小説を書いていたらたまにはスカッとしたものを書きたくなるのは分かるのだが、この小説はハードボイルドとしては間抜けなところがある(ハードボイルドの間抜けはぜんぜんふさわしくないと思うのだが)。推理小説として読むと穴だらけでこんな殺人を平気でやってしまう女探偵がいること自体が腑に落ちない。ふうちゃんが登場するのが唯一の救いとの意見に同感です。 |
No.154 | 6点 | 虫とりのうた- 赤星香一郎 | 2010/07/24 16:45 |
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私はミステリーよりホラーの要素を強く感じました。読んでいるとそれなりに面白いのですが、ちょっと気味が悪いところがあり好みとはいえない。
作者から解明されていない秘密が隠されているとコメントされているが、残念ながら私は見つけられなかった。その秘密をみつけないとこの話は解決されないというから難儀なことです。したがってみつけられなかった私はもうひとつ割り切れないままとなりました。 |
No.153 | 7点 | 福家警部補の挨拶- 大倉崇裕 | 2010/07/18 07:39 |
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4つの中篇すべてが倒叙小説。作者らしく犯人はその道に執着を持つために殺人まで犯してしまうという設定。どろどろとしたところは全く無くさらりと読めて後味もよい。福家警部補がかわいい小柄な女性であることにまずびっくりさせられるが読んでいくうちにこの警部補が好きになってきた。ちょっと作品ごとに出来不出来はあるがこのシリーズの続きも出ているので読んでみよう。 |
No.152 | 8点 | 青春デンデケデケデケ- 芦原すなお | 2010/07/18 07:26 |
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作者が直木賞をとった作品。片田舎で何も知らない若者がバンドを組んでといった話でミステリーとはいえないが、同年代の私にはきわめて共感が深い。出てくる音楽もほとんどがかってなじみだったものばかり。われわれの青春時代を髣髴させてくれる。友人に勧めたら「三丁目の夕日」といわれた。そうかもしれない。 |
No.151 | 4点 | 共犯マジック- 北森鴻 | 2010/07/11 17:47 |
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北森鴻は好きな作家であるがこれは私にはあわなかった。悪いことのみが当たる占いのお話なんてだいたいがいやな感じがする上に結末ももうひとつすっきりしない。 |
No.150 | 7点 | 白戸修の事件簿- 大倉崇裕 | 2010/07/11 17:41 |
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こんな軽い感じの話は好きです。それぞれの話の中になかなかマニアックな薀蓄様の内容が盛り込まれているのも面白い。ツール&ストールが一番好き。 |
No.149 | 5点 | 無法地帯 幻の?を捜せ!- 大倉崇裕 | 2010/07/11 17:36 |
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おたくの書いたおたく向けミステリー。登場人物のやることがめちゃくちゃでとてもこの世界についていけないと思ったらおしまいでしょう。よくこんな話を書いたもんだ。
作者の三人目の幽霊や白戸修の事件簿を読んでこの作者を好きになったのでインターネットで買ったが、本屋で見たらきっと買っていないね。 それでも5点としたのは私もゴジラの映画はすべて見ているし仮面ライダーはクウガ以後は楽しみにしているし(おたくじゃないよ、少年の心を忘れないだけ)。多少のシンパシーがあるので。 |
No.148 | 6点 | 冥府神の産声- 北森鴻 | 2010/07/04 13:23 |
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北森鴻らしくよく出来た小説と思うが、このお話はどうもすっきりしないところがある。物語があちこちの部分ですこしずつあいまいになっており本格推理といった感じは薄い。それでも十分に楽しめることは楽しめる。ただ医学系の話は自分がかかわりがあるせいかどうしても穴が見えてしまい楽しみが半減する。そういった穴を気にせずに読めば結構面白いと思うのだが。それにしても解剖学者が先端の移植医に突然なるのは無理なんじゃないかなあ。 |
No.147 | 7点 | 三人目の幽霊- 大倉崇裕 | 2010/06/26 13:23 |
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落語がもとだなんてと思っていたが、なかなかに面白い。特に表題の三年目の幽霊が好み。ミステリーとしては小ぶりで事件も殺人などの殺伐したものは無く日常の謎のようなものが主体なのだが、十分に楽しめた。 |
No.146 | 5点 | カンナ 鎌倉の血陣- 高田崇史 | 2010/06/21 06:17 |
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カンナシリーズは本格ミステリーとするにはあまりにも軽い内容であるが、歴史と薀蓄が好きな私には読めばそれなりには楽しめる。登場人物にもなれQEDの奈々ちゃんがチラッと登場しているのはファンにとってはちょっとしたプレゼント。推理小説としてだけ見れば残念ながらあまりぱっとしないが源氏三代の謎という点では面白い推理が楽しめた。 |
No.145 | 5点 | 私が殺した少女- 原尞 | 2010/06/20 17:17 |
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ハードボイルドが好きなら結構面白いのかも。沢崎という探偵はよほど馬鹿なのか余計なことを言っては失敗していると思って読むのならぜんぜんダメでしょう。こんな頭の悪い男が正鵠を獲るような最後の展開も説得力はないしね。外国の小説ならまだ外人にはこんな人間がいるのかと多少の納得があるが日本人が主人公だとどうもいけない。結局私がハードボイルドをあまり好まないせいなのでしょう。 |
No.144 | 8点 | 七度狐- 大倉崇裕 | 2010/06/13 08:18 |
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古典落語の話がメインということでちょっとどうかなと思ったのですが、落語のお話も芸に対する執念も興味深く書き込んである。さらに孤立した村と名探偵とパートナー、意外な展開と本格推理の面白さをしっかり楽しませてくれる。惜しいのは登場人物がうまく描き分けてあるのに探偵の手先となる緑さんがもうひとつのところ。もうちょっとでなかなかかわいくて素敵なヒロインとなれそうなのだが。
久しぶりに夜がふけるのも忘れて読んだ。この作品好きです。 |
No.143 | 7点 | 白楼夢 海峡植民地にて- 多島斗志之 | 2010/06/06 18:12 |
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冒険小説、歴史小説そして推理小説の要素が加わった魅力的な内容。ことに白蘭という女性が強烈なインパクトがあり興味しんしんで読み進めると複雑なストーリーが絡み合ってきてと、このあたりは非常にすばらしい。幕切れも後味が悪いわけではないが、多くの謎が未解決のまま突然終わってしまうのは推理小説としてはどうかなと思うところがある。続編は多分望めそうもないし。ちょっと残念。 |
No.142 | 7点 | トーキョー・プリズン- 柳広司 | 2010/05/28 18:20 |
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戦争直後の混乱と密室殺人をうまく組み合わせた力作だと思う。いろいろな歴史世界を舞台とする話が得意な作者だけあってこの時代の矛盾やそこに潜む悲しみなどは上手に描かれているが、推理小説としてみるとトリックがちょっと無理かな。そんなにうまくいくとはとても思えない。 |