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[ SF/ファンタジー ] 6時間後に君は死ぬ |
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高野和明 | 出版月: 2007年05月 | 平均: 6.60点 | 書評数: 5件 |
講談社 2007年05月 |
講談社 2010年05月 |
No.5 | 6点 | パメル | 2024/05/10 06:32 |
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未来予知能力という題材を通じて、運命と向かい合う様々な人間の姿を描く5編からなる連作短編集。
「6時間後に君は死ぬ」原田美緒は、25歳の誕生日を迎える前夜に、江戸川圭史と名乗る青年から突然、「6時間後に君は死ぬ」と警告される。予言者とはいえ、非日常的な出来事が起きた瞬間が見えるだけで、何もかもが見通せるわけではない。この設定が、スリルの盛り上げに一役買っている。興味を惹かれる不思議な状況の中での謎解きが読ませる。 「時の魔法使い」苦しい生活をしているプロットライターが地元の神社を訪れると、幼い頃の自分と遭遇する。過去の自分を見ながら、今の自分を見つめる、心温まるストーリー。 「恋をしてはいけない日」どんな相手でもすぐに飽きてしまい、次々と恋人を変える美亜。そんな時、圭史に「今度の水曜日だけは人を好きになってはいけない」と言われる。警告は何を意味していたのか。その別れが印象深い。 「ドールハウスのダンサー」ダンサーを夢見て、ダンスの練習に明け暮れオーディションを受ける美帆。彼女は、時折デジャ・ビュのような不思議な感覚を覚えるのだが。夢と厳しい現実の間にいる主人公の描写が魅力的な不思議な物語。 「3時間後に君は死ぬ」圭史はあるパーティー会場で、彼自身を含む大勢の人間の死を予知してしまう。何とかして惨事を防ごうとするが、事態は悪い方向へ転がっていく。きめ細やかなサスペンスの演出が読みどころ。 全体を通して、辛い現実を描きつつ示される未来への明るさが、テーマとして感じられる。 |
No.4 | 6点 | メルカトル | 2012/06/02 23:49 |
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表題作の第一話とファンタジーっぽい第二話を読み終えた時点では7点か8点付けるつもりだったが、以降トーンダウンしてしまい、この点数に。
しかしまあ、全体として楽しめたのは確かだし、一読の価値はあると思う。 最終話で、なかなかのサスペンス振りを発揮しているのはいい感じで、ハッピーエンドにしたのは正解だったろう。 ただ、ミステリとして捉えるとやや弱いのは残念な気もする。 |
No.3 | 6点 | haruka | 2011/04/30 00:19 |
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ミステリーとファンタジーをいっぺんに味わえる作品。読み易く、心温まる話が多いのも良い。 |
No.2 | 7点 | シーマスター | 2010/12/20 23:58 |
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(以下の感想も含めて、全く予備知識なしで読んだ方が楽しめると思います)
いい歳こいた大人が非現実的なエンタメ短編などで感動するわけがない、と長らく思っていたが奥田英朗の「空中ブランコ」と本作でその読書観が少し変わったような気がする。 表題作 ・「6時間後に君は死ぬ」・・全く斬新とは言えないが(予備知識なしで読めれば)サスペンスフルなミステリとして楽しめる。 以下の三作は三様に生きる女性達が遭遇する「世にも奇妙な物語」 ・「時の魔法使い」・・苦境の中、懸命に脚本家を目指す女性に訪れるメルヘン。ミステリ要素はないが、こういうのにはホント弱いんですよ。 ・「恋をしてはいけない日」・・恋愛遊びに呆けた女子大生に訪れる純心な恋。ミステリ的にも面白いと思うがこのパターンを経験していれば分かっちゃうよね。 ・「ドールハウスのダンサー」・・「時の~」と同様、必死に夢を追う女性に絡んでくるファンタジー。成功のためには仲間も蹴落とすか・・ そして最後に表題作への呼応作 ・「3時間後に僕は死ぬ」・・人は運命を変えることができるのか?それとも蟻地獄に落ちながら足掻く蟻にすぎないのか? ・「エピローグ 未来の日記帳」・・本短編集で言いたかったことのまとめなのだろう。特に最後の段落で。 非現実的であろうとも、現代感覚に溢れた実力派作家の真価を実感させてくれる一冊。 この時期に読めた自分には作者からのクリスマス・プレゼントになったように思う。 |
No.1 | 8点 | E-BANKER | 2010/06/25 23:12 |
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他人の悪い未来(作中ではビジョンと言ってます)が見える男、山葉圭史をシリーズキャラクターとする連作短編集。
作者らしいスピード感のある展開で、面白く読ませていただきました。 ①「6時間後に君は死ぬ」: 既視感がなくはないですが、ラストのドンデン返しが見事に嵌まってます。 ②「時の魔法使い」: ファンタジー映画のようなテイスト。 ③「恋をしてはいけない日」: よくできてます。1編の映画のような味わい・・・ ④「ドールハウスのダンサー」: 個人的にはベスト。謎は結局明かされてはいませんが・・・ ⑤「3時間後に僕は死ぬ」: 圭史に死のビジョンが! ラストはきれいにまとめました。 全体的には小説というよりも、よくできた映画の脚本のような作品。ミステリー的要素は少ないですが、読後感が非常に良いです。 |