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[ 本格/新本格 ]
松谷警部と目黒の雨
松谷警部シリーズ
平石貴樹 出版月: 2013年09月 平均: 5.50点 書評数: 4件

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東京創元社
2013年09月

No.4 5点 青い車 2017/02/13 18:52
 生真面目でかっちりした造りなんですが、突出したセールス・ポイントに欠ける印象で、たとえば「犯人は〇〇だから△△に気が付かなかった」というロジックには同じようなものを以前読んでしまっていたので、あまり引きつけられませんでした。この時代に都市を舞台にしたストレートな本格を書いてくれた心意気は買いたいのですが、もうひとつは目新しさが欲しかったですね。

No.3 5点 E-BANKER 2016/09/27 21:51
作者というと「笑ってジグゾー、殺してパズル」「だれもがポーを愛していた」しか思い浮かばなかった。
いずれも硬質というか、ある意味“無機質”なミステリーという印象だったが、本作の表紙を見ていると全然イメージが重ならない・・・
2013年発表のシリーズ第一弾。

~目黒本町のマンションで殺害された小西のぞみの身辺を調べていくと、武蔵学院大学アメフト部「ボアーズ」との関連が浮上、更にはボアーズの仲間内でこの五年で複数の死者が出ていることが判明した。これらは繋がっているのか? 松谷警部は白石巡査らと捜査に当たるが、関係者のアリバイはほぼ成立し、動機らしきものも見当たらない。過去の事件は不可解な点を残しながらも既決事項となっている。白石巡査は地道に捜査を進め、ついに犯人が分かったと宣言するが・・・~

冒頭で触れた二作と比べて、えらく普通のミステリーだな、というのが第一印象。
最大のテーマはアリバイ崩しを絡めたフーダニット、でいいのだろうか。
真犯人候補は最初から「ボアーズ」のメンバー内に限定されてるし、いかにも伏線っぽい材料があちこちに投げ出されている。
(ミステリー好きなら嫌でも気付くだろう・・・)

これって良く言えばフェアな本格ミステリーということなのだが、それよりも、個人的には書き始めたばかりの新人作家のような印象を持ってしまった。
別にうまくないわけではないのだ。
ていうか、きれいにまとめている。
「動機は無関係」で有名だった更科ニッキの生みの親らしく、それこそ取って付けたような動機なのだが、それ以外は消去法で真犯人が炙りだし可能な純正ミステリーに仕上がっている。
でもなぁー、あまりにも「トゲ」がないというか、丸め過ぎた感が強いのではないか?
(拙い表現ですが・・・)

それもこれも作者に対する期待の裏返しということ。
もう少しトンがったミステリーを期待したいところだけど、年齢から考えても難しいかな。
でもまぁーこれはこれで悪くはない。安定感という観点からは。
(ラストでタイトルの意味が判明。なるほど・・・そういうロジックだったのね)

No.2 6点 まさむね 2014/01/26 18:51
 古典的とも言えるフーダニット作品。登場人物たちの雰囲気に違和感が…という気がしないでもないですが,伏線の提示,現在の事件と過去の事件との連携,さらに後半での推理の反転など,非常に良く練られています。一般的には地味な展開かもしれませんが,個人的には好印象。
 ちなみに,作者は東京大学を退官なさったとのことで,今後執筆のピッチが上がることを期待します。松谷警部と白石巡査のコンビにも好感が持てますし,是非このコンビでの続編を読みたいものです。

No.1 6点 kanamori 2013/10/19 21:57
目黒のマンションで殺された女性の身辺を探っていくと、大学時代のアメフト部OBがからむ過去の2つの変死事件との関連が浮上する。松谷警部は、所轄の女性巡査とともに過去の事件の再捜査に乗り出すが------。

容疑者候補である元アメフト部の関係者が多くて、現在と過去の事件それぞれのアリバイを頭の中で整理するのが大変だった。フーダニットが主眼なので多少やむを得ない側面もあるが、もう少し単純化できそうな気もする。
「動機は後回し」の更科ニッキ風の女性巡査・白石のキャラクターがいまいち分かりずらいが、現場の状況からアリバイ工作を解き明かし、犯人を絞り込むロジックはまずまずかなと思います。
創元推理文庫は国内ミステリでも翻訳モノに倣って、英語版タイトルを表示しているが、「目黒の雨」という”邦題”も味があるけれど、アメフト用語でもある”Unnecessary Roughness"という英語版タイトルが秀逸。


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