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インサート・コイン(ズ)
詠坂雄二 出版月: 2012年02月 平均: 6.60点 書評数: 5件

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光文社
2012年02月

光文社
2016年10月

No.5 6点 メルカトル 2020/01/30 22:40
スーパーマリオ、ぷよぷよ、スト2、ゼビウス、そしてドラクエ、ビデオゲーム史に燦然と輝く巨大タイトルを、さんざん遊び倒したプレーヤーの視点から描く、まっとうなゲーム小説って、ほんとうは、こういうことだ。ビデオゲームの高度成長期に青春を費消したファミコン世代、必読。シニカルな仮面の奥深く、やわい心を突き刺す傑作。
『BOOK』データベースより。

基本的にゲームは麻雀とパチンコしかしない私でも、それなりに楽しめたので、ゲーマーの方にとっては涙ものでしょう。第一話第二話で日常の謎を扱っており、オッこれはゲームだけじゃないな、ミステリとしても通用するのかと思いましたが、それ以降早くもネタ切れ気味でグダグダな印象。
詠坂雄二は結構ポテンシャルを持った作家と勝手に思っていて、毎回期待しているのですが、なかなか本領を発揮してくれませんね。早く『遠海事件』を超える傑作を書いて欲しいですよ。一応隠れファンなのでどうせなら月島凪を探偵役に据えた本格物を、と思いますね。たまには変化球じゃなく直球勝負で行ってくれ。

No.4 5点 パメル 2019/10/12 01:36
懐かしのビデオゲームの世界を題材にした連作ミステリ。
第一話は、フリーライターの柵馬がゲーム雑誌の特集企画で「スーパーマリオブラザーズ」におけるキノコの移動に着目したことから始まるストーリー。山へ動くキノコを探しに行き、そこで奇妙な出来事に遭遇。その謎を柵馬にとって憧れの先輩ライターである流川が見事に解いてみせる。
第二話で扱われているのは「ぷよぷよ」。さらにインベーダー、ドラクエなど懐かしのゲームを題材にしつつ、柵馬、流川、そして作者の詠坂自身も作中に登場する。
ひたすらゲームに没頭した青春が語られるだけでなく、メタな視点を生かしたり、巧みな伏線が置かれていたりとミステリの仕掛けも見事。なにより大人になった今もなお、人生をゲームに捧げ続けている者たちのさまざまな思いがひしひしと伝わる連作集。ファミコン世代ならずとも共感を楽しめるでしょう。
これらのゲームに詳しい方は、より楽しめると思いますが、詳しくなくても、ある程度の知識があれば「日常の謎」?のミステリとして楽しめると思います。ちなみに私は、ゲーム音痴です。

No.3 6点 まさむね 2014/09/25 22:24
 すべてゲームをモチーフにした連作短編集。
 内容は措いておき,個人的にはスーパーマリオの考察(なぜキノコは動くのに,ファイヤーフラワーは動かないのか)に引き込まれましたね。ドラクエⅢの薀蓄(あれだけのデータ量であれだけの世界を構築していたという事実)にも驚かされました。改めてプレイしたくなったなぁ…。
 ミステリとは言い難い作品がほとんどなので(掲載順も仕掛けの一つなのでしょうが,私はソレをミステリには括らないので…),このサイトでの採点は控えめにしますが,ファミコン世代には,懐かしさ満載で楽しめるのではないかと思います。
 しかし,何かしらの「捻くれ」を配置する作者さんですねぇ。

No.2 8点 名探偵ジャパン 2014/09/18 11:31
私自身もテレビゲーム好きということで、思い出補正も手伝い甘めの点数になったかもしれない。テレビゲームに興味のない人が読んでも、この面白さは伝わらないと思うのでご注意を。

・穴へはキノコをおいかけて
「スーパーマリオブラザーズ」
動くスーパーキノコと、動かないファイヤーフラワーの考察に、なるほどと膝を打った。

・残響ばよえ~ん
「ぷよぷよ」
ミステリでおなじみのあのガジェットが使われている。テトリスではなく、ぷよぷよでなければこれは使えない。内容は主人公の青春譚。こういった甘苦い思い出を一切持たない私は、この手の話を読むのが辛い(笑)。

・俺より強いヤツ
「ストリートファイターⅡ」
ちょっと他の作品からは浮いている。ストⅡを題材に無理矢理作った話という印象を受けた。同時に居合わせたはずの三人の体験談が微妙に食い違うというのに、何かミステリ的な仕掛けを期待してしまった。

・インサートコイン(ズ)
「シューティングゲーム全般」
「遠見市シリーズ」の常連キャラクターにある出来事が!
攻撃性のみを持つシューティングゲームが、暗いストーリーを持つはめになったという考察は頷ける。あれだけバカスカ破壊しまくるゲームでストーリーが脳天気だったら、ただの破壊魔だからね。多くのシューティングで、自機のみが世界を救う最後の切り札、という設定も無関係ではないだろう。

・そしてまわりこまれなかった
「ドラゴンクエストIII」
ドラクエ1.2.3、いわゆるロト三部作の重大なネタバレ含む。未プレイの方は読まれないよう。作者の言うとおり、そんな人間がこの宇宙にいるとは思えないが。
題材ゲームの容量が、現在のデジカメ写真一枚程度のデータ量でしかないということに、驚いたというか、ショックを受けた。
主人公が、ドラクエ3最大の伏線の謎に挑むという話だが、本作のタイトルも内容の伏線になっているといったら、勘のいい人にはネタバレになってしまうだろうか。

「ミステリ」ではない、あえて分類すれば「日常の謎」的なものになるのだろうが、ファミコン世代と呼ばれる人たちにとっては、ノスタルジックな思い出が絡まり、とてもひとことで言い表せない読後感を受けるのではないか。これは、80~90年代にゲームを趣味とした人間だけが感じることのできる感覚のはずだ。
各作品で展開されるゲームについての考察、研究は、どれも的確かつ面白く、ゲームを知っていれば、なるほどと納得するものばかりだ。実際に制作を手がけたゲーム作家がこの考察を読んだら、「よくぞ気付いた」と唸るだろうか、それとも「そこまで考えてなかったよ」と笑うだろうか。
作中に頻繁に作者「詠坂雄二」が登場するが、それが、漫画「Dr.スランプ」の作中に作者の鳥山明がよく出てきたことを思い出して、変に面白かった。

No.1 8点 ayulifeman 2013/01/18 15:31
ドンピシャ詠坂世代なので題材だけで興味津々です。
スーパーマリオ・ぷよぷよ・スト2・シューティング・ドラクエⅢ。
これらをからめての連作短編。

詠坂さんもスト2の章から登場。
ドラクエⅢの葬式がらみの主人公周辺の人間関係とか地元感覚はうんうんとうなずける。
なんだかすかした会話や人生観ももう中毒症状になってしまいました。
今後も注目していきたい。


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