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[ 時代・歴史ミステリ ] 二都物語 |
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チャールズ・ディケンズ | 出版月: 1942年02月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 1件 |
研究社出版 1942年02月 |
河出書房新社 1961年03月 |
河出書房 1967年01月 |
新潮社 1967年01月 |
新潮社 2014年05月 |
光文社 2016年03月 |
No.1 | 7点 | クリスティ再読 | 2019/09/08 21:22 |
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本サイトでディケンズというと、「バーナビー・ラッジ」か「エドウィン・ドルードの謎」ということになるようなんだが、昔は殺人事件があってトリックがないと「ミステリ」じゃなかったからそういうことになったんだろう。今さらそこまで狭く考える必要もないので、本作だったらフランス革命を背景としたスリリングなロマン、ということで広い意味での「ミステリ」でいいんだと思う。本作をフォローした「紅はこべ」もやったしね、いいじゃないか。
結構長めの小説なんだが、前半は断片的にキャラが交錯しあうような展開なので、今一つ「狙い」が解りづらい面もある。が実はこれ緻密に伏線を引いているんで、これを我慢しておくと後半に一気に伏線解消していくカタルシスを味わえる。まあ、そうでなくても、さすがディケンズというか、なかなかアジのあるキャラが多くて面白い。いかにもイギリス人らしい銀行家ローリー氏がいいなあ。銀行と一体化したような独身中年男なんだが、この人にはドラマがなくて生野暮なのが、激動のドラマの中の重心みたいなものだ。 「ダーニイ君、友人になりたいんだが」とカートンが言った。「もう友人じゃないですか」「君は、この前に挨拶したときにそう言ってくれたがね、僕の言うのは、そういう挨拶じゃなく、ほんとの意味の友だちに」 とカートン&ダーニイの友情シーンも、こういう水臭いばかりの人みしり振りが、いかにものイギリス紳士ぽくて、いいな。こういう迂遠さというか、殻をかぶったペルソナ感というか、他人という「分からないものを分かろうとする」研究心みたいなものから、「小説」というジャンルが育ってきたんだなあ、と思わせる。 でまあ、後半はフランス革命下のパリで、ギロチン最盛期で追い詰められていく一家の逃げ道は?とスリルとサスペンスで一気に読ますわけである。しかも怒涛の伏線回収まであるから、後半は本当にお楽しみ。 |