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[ 警察小説 ]
ロールスロイスに銀の銃
棺桶エド&墓掘りジョーンズ/別題『聖者が街にやってくる』
チェスター・ハイムズ 出版月: 1975年01月 平均: 7.00点 書評数: 4件

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角川書店
1975年01月

角川書店
1975年11月

No.4 7点 クリスティ再読 2026/08/02 21:15
墓掘り&棺桶でも後半戦で、本作以降は早川ではなく角川に移籍。とはいえ、チェスター・ハイムズは本作の映画化(日本公開1971年)に合わせて、大多数の作品が1971年に一気に翻訳紹介されている。こんなこともあるんだな(苦笑)映画はメジャー製作のいわゆるブラック・エクスプロイテーション映画でも、「黒いジャガー」に先行する先駆的な作品になる。映画は当時ヒットはしたが、「黒いジャガー」や「スーパーフライ」ほどの影響力はない。

本作の特徴はやはり、当時の黒人運動が掲げたアフリカ帰還運動が扱われていることかな。ミステリだもん、それをネタにした詐欺もあるわけだ。
牧師という触れ込みで前科者ディーク・オマリーは、アフリカ帰還のための応募者と資金を募る運動で絶大な人気を誇っていた。資金集めのための集会が突如マシンガンを持った白人によって襲撃される...集めた資金が奪われてそれを追跡するが、逃げられてしまう。しかし、いろいろと後ろ暗いディークも逃亡し、墓掘り&棺桶コンビがこれを追跡する....

こんな話が軸。いったん逮捕されたディークも「無罪の牧師を解放せよ!」という信者たちのデモ隊が警察署を襲撃して、ドサクサにまぎれて逃亡するとか、アフリカ帰還運動が対立する団体のデモと鉢合わせてして一触即発なのを墓掘り&棺桶が強硬に収めるとか、そういうあたりが読みどころかな。だから本作はハイムズの「社会派」なところが強く出ている作品でもある。

だからかミステリ以上に社会小説、といった感触の方が強いかな。1970年代のNYハーレムだからねえ、いわゆる「警察小説」のジョーシキは通用しづらい世界でもある。

映画は緩め。黒人俳優上がりのオジー・デイヴィスの監督作。原作を要領よく端折りつつまとめている感じ。やはり当時のハーレムの街やクラブ・バーなどを描いているのが興味深い。クライマックスはやや改変していて、なんとアポロシアターの舞台の上で決着がつく。ゴスペルとかモータウンとか関心があれば興味深いと思うよ。
とはいえ主演俳優コンビがあまり墓掘り&棺桶っぽくないな。硫酸火傷の痕の残る棺桶とはいかないだろうけど、もう少し強面するフランケンシュタインっぽくてもいいかなあ。映画ではもっぱら墓掘りが暴力、棺桶が止め担当。原作はそんなことないからね。やはり原作では墓掘り&棺桶コンビの心理は掘らないし、それがハードボイルドでいいんだがね。そうすると映画で人が好さそうな感じが出ると「らしく」ない。

「経験から生まれる感情さ。あの言葉が読めたら、世界じゅうの犯罪は全部解決するよ」
「じゃ、出ようぜ。ジャズはしゃべりすぎていけねえや」

よくお分かりで(笑)

No.3 6点 蟷螂の斧 2024/09/24 20:42
「墓掘り」「棺桶」と呼ばれる二人の黒人刑事。上司の命令には従わないし、勝手に逮捕者を泳がしたりと好き放題。白人が黒人を殺害しても罪にならないとの文があり、「えっ?」と思ったがそんな時代を描かいた作品なのか?(発表は1965年)。アメリカンジョークがちりばめられていますが、イマイチ理解できない(苦笑)。だが、ラストは笑えます。

No.2 7点 人並由真 2020/05/18 16:06
(ネタバレなし)
 ハンサムな前科者の若い黒人ディーク・オハラは、自らをディーク・オマリー神父と詐称。仲間とともに、ハーレム内の貧しい黒人に向けて「(黒人は)アフリカへ帰ろう」運動を扇動する。ディークは、先のないアメリカでの生活に見切りをつけてアフリカでの生活を希望する各家庭から準備金の名目で1000ドルずつ徴収。合計8万7千ドルの儲けを得るが、そこに別の犯罪者の横やりが入り、ディーク当人は逃亡、金の行方も不明となる。傷痍を経て半年ぶりに現場に復帰した黒人刑事「墓掘り」ジョーンズは、相棒の「棺桶」エドとともにこの事件を追うが。

 1965年のアメリカ作品。
 本シリーズはだいぶ前に『リアルでクールな殺し屋』(「なんじ、かぐわしくあれ」)を読んで以来2冊目だが、いや~、非常に面白かった。
 ハーレムに集う犯罪者、食わせ者、一般市民、そしてエド&ジョーンズをはじめとする捜査陣、それぞれの思惑が猥雑に絡み合いながら、実にハイテンポで物語が進行。そのくせどこか、冷めた品の良さというか格調を守る文体が堅持される(翻訳の良さもあるのかもしれないが)。
 ある意味では理想の、ハードボイルド風味の警察小説かもしれん。

 ところで前回『リアルで~』読んだときにはあまり意識しなかったんだけれど、ワイルドな黒人刑事という属性の方が、つい先に目についてしまうこのシリーズ。もしかしたら黒人とか犯罪スレスレのワイルド捜査とかを抜きにしても、アメリカ警察小説史上ではかなり初期の<バディものの先駆>だよね?
 長編が中途半端な紹介に終わってるローレンス・トリートとかジョージ・バグビィとかあるので(どっちも昔に読んでるが内容はほぼ忘れてる)、その辺まで踏まえてしっかり再確認しないと。うかつなことは言えないが。

 (ホームズ&ワトスン、モース&ルイスみたいな主と従ではなく)ほぼ均等に主人公キャラを二分して描かれた刑事コンビのシリーズというのは、あるいはかなり新鮮だったのかも(まあ50~60年代の時代はさらに、87分署みたいなチームプレイ、あるいはローテーション主人公ものの警察小説の隆盛に雪崩れこんでもいたのだろうが)。

 つまみ食いでシリーズを読んでるのであまり聞いた風なことは言えないが、人種を問わず同輩の警察官たちから憧れ&畏怖&敬遠の目で見られるエド&ジョーンズの立ち位置も、彼ら二人を「(手のかかる、しかし有能な)エース」として遇する白人の上司アンダーソン警部補のキャラもいい。
 そのうちまたタイミングを見て残りの作品を読んでみよう。

 最後に、嫌味や皮肉ではまったくなく、本作に9点をつけたkanamoriさん、心から尊敬します(!)。そこまで思い切り愛情を表現できる度量の大きさが素晴らしい。
 自分もこの作品をたっぷり楽しんだつもりだけど、8点にしようか迷った末に7点なので(残りのシリーズ未読作にさらにハマるものがあることも期待して、ではありますが)。
【2026年6月15日追記】
 ……と言いつつ、気がついたらkanamoriさんの評点が8点に変更なさられていた。何かお考えに変更が生じたみたいですね(それでも高いご評価だが)。

No.1 8点 kanamori 2010/12/05 18:42
ハーレムの黒人刑事コンビ、墓掘りジョーンズ&棺桶エド・シリーズの6作目。
<アフリカに帰ろう>運動という偽神父による大掛かりな詐欺から、民衆から騙し取った現金の強奪事件に発展する大騒動。売春宿、賭博屋、安酒場など60年代の黒人街を背景に、消えた現金を巡って、詐欺師グループ、南部軍人、殺し屋、美女たち、そして墓掘り&棺桶コンビがそれぞれの思惑を交錯させて暴走します。
ハードボイルド系の警察小説というより、クライム小説の一級品でしょう。最後に漁夫の利を得るある人物の突拍子もない行動には笑った。葬儀屋青年の”イマベルへの愛”に決着をつけたエピソードが挿入されているのにも思わずニヤリ。


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チェスター・ハイムズ
1991年07月
イマベルへの愛
平均:7.00 / 書評数:4
1975年09月
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ロールスロイスに銀の銃
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