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[ 本格 ]
列のなかの男―グラント警部最初の事件
グラント警部
ジョセフィン・テイ 出版月: 2006年03月 平均: 4.67点 書評数: 3件

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論創社
2006年03月

No.3 5点 2023/02/18 15:06
テイが最初別名義で発表したこのグラント警部シリーズ第1作は、最後にどんでん返しのある作品になっています。それまではnukkamさん、人並由真さんも評されているように、クロフツを思わせるような捜査小説ですが、文章が淡白なクロフツに比べると、グラント警部の日常や内面、捜査上の悩みなどがじっくり描き込まれています。ただクロフツほどの試行錯誤はなく、容疑者が特定されると、後はその容疑者の隠れ場所を突き止め、どうやって逮捕にこぎつけるかというストレートな展開です。
それでいて、最後にもう一ひねりあるだろうなということは、容疑者逮捕の時点でもう明らかです。そのひっくり返し方がグラント警部の推理によるものでない点、真相は意外であるにもかかわらず、釈然としませんでした。
なお、翻訳にはこの人犯罪捜査について知らなさすぎじゃないかと思える点が散見されました(特にp.43「有罪の評決」)。

No.2 5点 人並由真 2019/04/25 17:53
(ネタバレなし)
 ミステリ的なギミックはそれなりに設けられているものの、読者に謎解きを楽しませながらフーダニットに絞り込む要素はあまりなく、これはほとんど警察小説の要素が強いときのクロフツの長編あたりに近いように思えるんだけど? 
 まあ作者のテイ(原書の初刊行当時は別名義だが)が、いかにもそのフレンチ警部がやりそうな<遠方への捜査出張編>を、お話を書く側として本当に楽しそうに綴っている感じは伝わってきた。
 最後の人間関係を導く手がかりというか伏線の部分は早々と読めたが、それでも終盤にはこういう感じでのサプライズを語るのか、と少し驚いた。まあそのあたりも正統派の謎解きでは決してなく、19世紀のホームズの時代からのスリラー作品の系譜的な感触だったが。
 1920年代のテイが当時自分が好きだったミステリ分野に参入しようと、良い意味で既存作品の模倣を心がけた感じがうかがえる。
 習作感も強いが、決してキライにはなれない一作。

No.1 4点 nukkam 2010/10/07 20:51
(ネタバレなしです) スコットランド出身の英国の女性作家ジョセフィン・テイ(1896-1952)がゴードン・ダヴィオットという男性名義で1929年に発表した初のミステリー作品が本書です。テイは大器晩成型と評価されることが多いので初期作品には読むべきものがないかのような印象を受けますが、確かに本書の謎解きに関しては残念レベルとしか評価できません。あまりにも唐突な解決、しかも運の良さに助けられており本格派推理小説としては納得できないと感じる読者も少なくないでしょう。しかし登場人物描写の上手さはデビュー作である本書で早くも発揮されており、端役的な人物でもわずかな登場場面で存在感を示しています。F・W・クロフツのフレンチ警部風の「足の探偵」であるグラント警部もその深い苦悩ぶりには単なる探偵役を超越した個性を感じさせます。


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ジョセフィン・テイ
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