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[ ハードボイルド ]
天使たちの探偵
沢崎シリーズ
原尞 出版月: 1990年04月 平均: 6.50点 書評数: 6件

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早川書房
1990年04月

早川書房
1997年03月

埼玉福祉会
2005年11月

No.6 7点 E-BANKER 2014/10/26 20:45
私立探偵・沢崎シリーズの短篇集。
作者あとがきによると、処女長編「そして夜は甦る」と二作目「私が殺した少女」の間の時期に書かれた作品とのこと。
1990年発表。

①「少年の見た男」=沢崎の元に訪れた依頼人は、何と10歳の少年だった。しかも依頼内容は「ある女性を守ってほしい」というもの。調査を引き受けた沢崎は偶然にも銀行強盗の現場に遭遇する・・・。とにかく非常によくまとまっている佳作。
②「子供を失った男」=世界的な音楽家である在日朝鮮人の男からの依頼。昔一緒に暮らしていた女性の子供から脅迫を受けている・・・。その子供を突き止めた沢崎は事件の裏に潜んだ事実を明らかにしていく。結局男って甘いってことかな・・・
③「240号室の男」=娘の素行調査を依頼してきた金持ちの男。だが、大勢の愛人を持つその男はあるラブホテルの一室で死体として発見されてしまう。血のつながりのない娘に疑いの目が向けられるのだが、沢崎は意外な事実を突き止める・・・。こういう男ってやっぱりいるんだろうなぁー
④「イニシャル“M”の男」=沢崎にかかってきた一本の間違い電話。その相手は何とアイドル歌手だった。しかし、彼女は無惨に殺害された姿で発見されてしまう・・・。っていうことで、犯人と目される男がイニシャルMというわけ。相手が芸能人であろうが、沢崎のスタイルは変わらない。
⑤「歩道橋の男」=ある日事務所にやって来た妙齢の女性は同業者(私立探偵)だった。意外な申し出をしてきた彼女なのだが、歩道橋から突き落とされ大怪我をすることに・・・。沢崎の事務所が入居する雑居ビルの住人が次々に登場するのが興味深い。
⑥「選ばれる男」=タイトルどおり、今回は選挙運動中の候補者が依頼人となる。ただし、沢崎に舞台&設定など関係ない。いつでもどこでもクールそしてドライなのだから・・・

以上6編。
上記のとおり、タイトルの末尾はすべて「男」で統一されていて、文字どおり様々な男が登場する。
大抵の場合は犯罪者なのだが、彼らを含め作品中に登場する男と対極で描かれるのが沢崎ということになる。
とにかく余計なことには関心を示さず、自身の矜持に則って生きる男。
特に本作は、どれも未成年者が絡む事件を扱っているのだが、例え相手が子供であろうが、自身のスタンスを変えることのない沢崎の姿が凛々しく映る。

単なるハードボイルドに留まらず、謎解き要素もふんだんに詰め込んだ良質のミステリー。
短編も十分に達者だし、他には短編集は存在しないため、本作は貴重な作品と言えるだろう。
(ベストは迷うが①かな。②~⑤も良質。⑥はやや毛色の違う作品。)

No.5 8点 えむ 2003/03/07 20:31
個々の短編が、高い完成度で揃った短編集は概して少ない。
しかし、この短編集は違う。それぞれ印象的な小編が揃っている。

No.4 3点 美来 2002/06/12 11:47
話の雰囲気にのめりこめないと、この人の本は辛いです。
冷静に読むと、会話が可笑しくて。。。。
最初の2冊に比べれば、まあ、話は面白くなっています。

No.3 8点 由良小三郎 2002/04/08 23:02
ハードボイルド嫌いな人は、原?を読まないし、ハードボイルド好きには、この短編集はものたりないという不幸な短編集ですが、中途半端な僕には、良質な短編集だと思います。「選ばれる男」が好きです。

No.2 8点 Take 2001/05/03 13:01
この作品の世界が好き。
主人公の雰囲気や、人の言葉の裏を読み取り真実を暴く
心地よさが気に入っています。

No.1 5点 蛙ライダー 2001/03/28 22:30
沢崎シリーズの短編集だ。題名の天使たちはそれぞれの作品中のキーポイントに
なる少年少女たちのことを指しているようだ。
宮部みゆきや仁木悦子両氏の作中に出てくる、健気な子供たち…のようではない。
ベネトンの写真屋が撮った、原宿の天使のような少年たちを連想させる。
それにしても、こっぱずかしい題だ。
湿ったハードボイルド(てゆうかな)が好きな人にはお金出して読んでも時間の
無駄にはならないかな。


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