皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ クライム/倒叙 ] 二つの顔 刑事コロンボ |
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リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク | 出版月: 1975年01月 | 平均: 4.67点 | 書評数: 3件 |
1975年01月 |
二見書房 1990年09月 |
No.3 | 5点 | 人並由真 | 2020/09/20 14:15 |
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(ネタバレなし・ただしあくまで小説=ノベライズ版のレビューなので、原作ドラマ版の前もっての鑑賞もしくは復習は推奨。)
広域スーパーマーケットチエーン店の社長で55歳の大富豪クリフォード・パリスは、はるか年下の美人リザ・チェンバースと婚約。これに慌てたのが、彼の甥である29歳の一卵性双生児のパリス兄弟、弱気な兄・銀行副支店長のノーマンと強気な弟・料理研究家タレントのデクスターだった。婚姻後にクリフォードが死亡すると莫大な財産が新妻のものになると考えた甥は、独身最後の夜に心臓発作に見せかけて伯父を殺害するが……。 原作ドラマは「コロンボ」第二シリーズの一編で、シリーズ通算第17話のエピソード。 原作ドラマ「二つの顔」は名優マーティン・ランドー(『スペース1999』や『スパイ大作戦』、映画『メテオ』ほか)が双生児の兄弟役をひとりでこなしており、倒叙ものながら双子の実行犯がどちらかわからない、変化球のフーダニットでもあるのがミソ……とよくいわれている。 しかし実際にドラマを見ると実行犯は、強気な弟デクスターで、少なくとも画面を観ればこれはキャラクター描写で一目瞭然。 となるとこれは 1:実行犯はそのままデクスターである 2:ノーマンが弟に罪を着せる、あるいは自分の嫌疑を逃れるため、作中の関係者はおろか視聴者まで騙そうとしている ……のどちらか、ということになる(実は三つ子以上だったオチでもないかぎり)。 だが肝心のドラマは<2>の方に視聴者の興味を誘導するべきシナリオも演出も中途半端で、本来は面白いものになるハズの趣向がまるで生きていない。 でもって今回、家の中から何十年もの間に買い貯めた「コロンボ」のノベライズが山ほど出てきたので、そういえば「二つの顔」のあの映像でしか見せられない仕掛け(マーティン・ランドーの二役によるミスリード? あるのかないのか)は、地の文で実行犯の名前を書かなければやりにくいノベライズはどうなっているのであろう? と思い、本当に久々に小説版「コロンボ」を読んでみた。 そうしたら小説版では実行犯ははっきりと、客観的な神の視点(三人称)描写でそのまま(中略)と書いてあり、これはいろんな意味でムニャムニャ。本作の小説版の実執筆(公称は翻訳者)は本シリーズのメイン作家のひとりである野村光由だが、この方は原作ドラマのその辺の妙味(倒叙にして変革フーダニット)という側面はあまり重視しなかったようだ。まあ正にノベライズしにくい部分だから、無造作に放り出してしまったんだろうね。 ちなみにこの小説版ではドラマにないハズのオリジナルな脚色(もしかしたら原典ドラマの脚本にはあったけれど、映像化されなかったシーン?)として、堅物の初老メイド、ミセス・パメラに対してコロンボが「あまり厳しい物言いはいい加減にしてください、私だって人間なんだ(大意)」という感じで激昂、それを見たパメラ夫人がそれまでただのダメ男と思っていたコロンボを異性として意識するという、じつに愉快な描写がある。感情をむき出して憤怒するコロンボの図といえば、原典ドラマシリーズの後年のあの話が有名だけど、小説版ではこういう描写がすでにあったんだね。奥が深い。ちなみに準メインキャラであるミセス・パメラは、その内面描写の掘り下げもふくめて小説版でなかなか厚みのあるキャラになっているようで、たしか小説オリジナルのラストのコロンボとのやりとりも泣ける。 いや、この辺の小説のみの味わいを普通に楽しんでこそ「コロンボ」ノベライズ世界の賞味というものです。 【付記】 ・今回のレビューは直前には原作ドラマを再観賞せず(過去には最低2回は観ている)、宝島社のムック「刑事コロンボ・完全事件ファイル」を参照しながら執筆。 (ほかに「コロンボ」のファンサイトのこの回のレビューもいくつか参照。) もちろん、小説版はしっかり読んだ。ここはミステリ小説サイトですので。 ・小説版のキャラクター名のカタカナ表記は一部に日本語ドラマ版と異同があるようだが、本レビューは小説版の表記に準拠。 ・先行の江守森江さんのレビューは、原作ドラマ(および本小説版)の、最後にわかるミステリ的な趣向を思い切りネタバレしているので、注意。 |
No.2 | 5点 | 青い車 | 2019/09/16 18:34 |
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この回の本来の目論みは、双子のうちどちらが犯人?と思わせることなのですが、慣れた人ならその真相を簡単に見破ってしまうのが惜しい所です。コロンボの追及も今回あまり厳しくなく、デクスターと料理をするところがハイライトのように感じてしまいます。『スタートレック』で変装の達人を演じた人が犯人であると知り、アイデア一本で勝負したことにようやく納得できました。 |
No.1 | 4点 | 江守森江 | 2010/04/28 06:13 |
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ソックリで仲の悪い双子が容疑者で、どちらが犯人なのか?
ありふれた双子トリック作品をコロンボでもやってしまった。 しかし、コロンボらしく最後はきっちり倒叙作品に収まる。 要は、共犯だったのをコロンボが証明するだけの話。 これはノベライズよりドラマで双子を演じた俳優を楽しむ作品だと思う。 |